自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★「除菌スタッフ」を横目に「ブースター接種」

2022年03月09日 | ⇒トレンド探査

   新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。きょうの紙面を見ると、北陸3県で千人を上回る新たな感染者が報じられている。進学や就職など人の動きが活発になるこの時季、そして今月13日に知事選と金沢市長選の投票がある石川県は大丈夫かと、ふと思ったりする。

   ようやくワクチンの3回目の接種を受けることができた。7日午後に予約した病院に行く。検温をして受付窓口へ。接種会場に行き、指定された番号のイスに着席した。順番待ちは30人くらいはいただろうか。そこで、見慣れない光景を見た。「除菌スタッフ」と書かれた作業着の5人が左手にスプレー、右手に布巾を持って、手すりやイス、机、カウンターで小まめに作業をしていた=写真=。「除菌スタッフ」という言葉は初めてだった。

   この病院で去年6月と7月にワクチンを2回接種したが、「除菌スタッフ」は見たことがなかった。思い当たるのは、先月25日付の報道で、この病院で感染者22人が出てクラスターとなったこと。おそらく、その対応策なのかと思ったりもした。とにかくていねいに徹底的に除菌するプロ集団のように思えた。

   順番が回って来た。小型ワゴンを押しながら女性看護師2人が近づいてきた。1回目、2回目と同様に接種を受ける側は座ったままで、看護師が会場を移動して接種する。接種後は15分間、イスに座って経過観察。用紙には「気分が悪くなってきた。座っているのがしんどい」「息切れがする。咳が出る」「じんましんや皮膚のかゆみがでてきた」などの体調の変化や自覚症状を感じた場合にはスタッフに告げてくださいとある。

   接種案内にはこの病院が扱っているワクチンはファイザー製とモデルナ製とあった。そこで、接種してくれた看護師が横を通ったので聞いた。「先ほど打っていただいたワクチンはファイザーですか」と。すると、「ファイザーは在庫がなくなり、モデルナです」との返事だった。1回目と2回目はファイザー製だったので、ちょっと嫌な副反応の予感がした。

   特に自覚症状はなかったので帰宅した。しばらくすると、1回目と2回目のときにはなかった副反応が出てきた。接種した左腕の付け根の当たりに痛みを感じるようになった。さらに倦怠感が出てきた。熱はないが、全身にだるさがある。翌日も同様だった。市内に所用があったので、念のため乗用車を使わずタクシーで出かけた。3日目のきょうようやく平常に戻った。

  ネットで調べると、ファイザー製ワクチンを2回打った人のうち、3回目にモデルナ製を交互接種した人の方が、3回ともファイザー製を打った人より抗体価の上昇率が高いと厚生労働省副反応検討部会で報告されている。接種後の副反応はモデルナ製の方が多く出る傾向も判明した(2月19日付・東京新聞Web版)。3回目接種は「ブースター接種」とも言われる。ブースターは「増幅器」のこと。副反応が出た分、抗体値がぐんと増幅してほしいものだ。

⇒9日(水)夜・金沢の天気    はれ

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☆能登半島の尖端で頻発する地震の不気味さ

2022年03月08日 | ⇒ニュース走査

   3月は地震のイメージが強く残る。「3・11」の言葉で象徴される東日本大震災(2011年3月11日)はもちろんそうなのだが、さらに「3・25」の能登半島地震(2007年3月25日)と重なる。マグニチュード6.9、震度6強だった。本震の後、震度5弱の余震が続いた。能登には「2・7」もある。1993年2月7日にM6.6、震度5を記録した能登半島沖地震だ。積雪が残るこの時季は春を待つこともさることながら、どうしても揺れを警戒してしまう。

   きょうの夜中に知人からメールが入った。地震情報だった。「能登に大きな被害はないようだけれど、金沢も注意してください」と。「また地震か」と憂鬱な気分になった。きょう午前1時58分ごろ、能登地方を震源とする震度4の揺れを観測する地震だった。マグニチュードは4.8、震源の深さは10㌔、最も揺れたのは半島の尖端・珠洲市だった。金沢は震度1だったが就寝中で気がつかなかった。

   ウエザーニュース社の公式ホームページを確認すると、震度4に続く震度3の揺れは半島のほかに、富山県舟橋村、新潟県の長岡市と糸魚川市、上越市で、震度2や震度1の揺れは東北や関東など広い範囲に及んでいる=写真・上=。M4.8でこれほど広く揺れるとは。

   この地震の52分前の午前1時6分ごろにも震度3が、前日午後4時36分にも震度2がそれぞれ珠洲市で観測されている。珠洲市だけではなく、半島の先端では2020年12月ごろから地震活動が活発化していて、震度1以上の地震が2021年は70回、2022年はすでに18回発生している。

   中には不気味な揺れもあった。去年9月29日、日本海側が震源なのに太平洋側が揺れる「異常震域」という初めて聞く地震があった。震源の深さは400㌔、マグニチュード6.1の地震に、北海道、青森、岩手、福島、茨城、埼玉の1道5県の太平洋側で震度3の揺れを観測した=写真・下=。この地震は大陸のユーラシアプレートに沈み込む海洋の太平洋プレートの内部深くで起きたとみられている。震源が深かったため、近くよりも、遠くが大きく揺れる現象とされる(9月29日付・朝日新聞Web版)。

   半島の尖端で何が起きているか、朝日新聞Web版(1月2日付)を引用する。「プレートには、海底下にあった時に岩石の隙間に入り込んだ海水や、鉱物の構造の中に含まれる結晶水と呼ばれる水がある。こうした水の多くはプレートとともに地球の地下深くに入っていくが、地下250㌔ほどから何らかの原因で分離し、十数㌔まで上昇した可能性が考えられるという」

   「マグマだまり」ではなく「水だまり」の可能性が指摘されている。その先例として、1965年8月から約5年続いた長野県の松代群発地震が指摘されている。地下深くから上昇してきた水が岩盤にしみ込み、岩盤の強度が下がって地震が起きたとみられる。このときは山が1㍍隆起したほか、水が噴き出す水噴火という現象もあった(同)。

   能登半島の尖端で水噴火があるとどうなるのか。周囲が海なので、どのような現象が起こるのか。

⇒8日(火)午後・金沢の天気      はれ

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★時代のニーズは何だ 金沢市長選で問われること

2022年03月07日 | ⇒ドキュメント回廊

   選挙カーが自宅周辺をひっきりなしに通りにぎやかしい。今月13日投開票の石川県知事選に出馬した前金沢市長の辞職に伴い、同日投開票の市長選がきのう6日告示され、新人5人が立候補した=写真=。県知事選にも5人が立候補している。

   けさの地元紙には金沢市長選に出馬した候補者の抱負や政策が紹介されている。届け出順に、いずれも無所属の新人で、共産党が推薦する新日本婦人の会金沢支部長の中内晃子氏(49)、元国連大学職員の永井三岐子氏(53)、元金沢市議会議員の小間井大祐氏(39)、自民党と公明党金沢総支部が推薦する元金沢市副市長の村山卓氏(49)、立憲民主党と社民党が推薦する元金沢市議会議員の森一敏氏(63)の5人。

   28年間、石川でマスメディア(新聞と民放)の職に就いたが、正直、金沢市長選の印象は「投票率が低い」ということだ。現職と新人2人が立候補した前回(2018年11月)は24.9%と1947年に公選による市長選が始まって以来、最低の投票率を記録した。その前(2014年10月)は4人が立ち、現職と新人の保守分裂選挙だったが47.0%と50%に届いていない。さらにその前(2010年11月)も4人が出馬する現職と新人の保守分裂選挙となったものの投票率は伸びず、35.9%だった。1982年11月以降で市長選が10回あって、50%を超えたことは1990年の1回しかない。市長選に限らず、知事選にしても金沢選挙区は小松市などの加賀地区や七尾市などの能登地区に比べ投票率は低調だ。ただ、衆院選に関しては50%を超えることが多い。

   北陸の地方都市にすぎない金沢のこの低投票率の傾向は東京や大阪、名古屋、京都といった大都市の傾向と似ている。それはなぜか。金沢には民間会社や行政の転勤族や他の地方から若者が集まる傾向があり、その分、地域の選挙に対する関心度は低いのかもしれない。たとえば、金沢周辺には15の大学・短大・高専が集中していて、金沢は「学都」と自ら称している。金沢大学の場合はほぼ7割が県外出身者で金沢市内に住んでいる。学生たちは住民票を移して選挙権を持っていたとしても、市長選や知事選への関心は薄いかもしれない。

   ちなみに、各都道府県の人口に占める学生の比率は第1位は京都府6.18%、2位は東京都5.48% 、3位は大阪府2.64%、そして4位は石川県で2.55%、5位愛知県と続く(2016年7月30日付・「マイナビ」大学生が多い都道府県ランキング)。

   ただ、金沢市長選は時代を読む選挙戦がこれまでにいくつか繰り広げられた。日本社会党の全盛時代に「革新自治体」と呼ばれた東京都の美濃部亮吉知事が有名だが、金沢市でも1972年8月の選挙で、戦時中に東條内閣の軍政を批判したことで知られた医師の岡良一氏が革新系市長として就任している。また、経歴が時代的なのは前市長の山野之義氏。ソフトバンクを経て市議になり、行政のデジタル化を積極的に進めた。では、今の時代が求めている次の首長はどのような人物なのか。ひょっとして女性のリーダーなのかもしれない。元国連大学職員の永井三岐子氏は時代のキーワードでもあるSDGsの知見を行政の施策に生かしたいと訴えている。

   自宅近くを通る選挙カーから発せられる候補者の声をじっと聞いている。若者たちを巻き込んで時代のニーズに向かっていく人に金沢の未来を委ねたいと思う。

⇒7日(月)夜・金沢の天気   

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☆叱り声「プーチンよ 大志を抱け」

2022年03月06日 | ⇒キャンパス見聞

   大学に勤めていたころの知り合いからメールをもらった。前回のブログを読んだ感想だった。その中で「北海道大学は学長名でロシアのウクライナ侵攻に抗議声明を出している。さすがアンビシャスな大学だね」と。知人は北大の関係者ではないが、ロシアの大学とつながりが深い北大だけでに、大学関係者の間で話題になっていたようだ。北大の公式ホームページをチェックする。「重要なお知らせ」のページに掲載されていた。以下。

「2022年2月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵攻は、紛争の平和的解決という国際的、普遍的合意を無視したものであり、許容されないものです。北海道大学は、ウクライナに対するロシアの軍事介入の即時終結と紛争の平和的解決を強く求めます。これまで、北海道大学は、日露大学協会・日露学長会議など日露間の大学間交流に深く関わってきており、現状を深く憂慮するものです。アカデミアの連携については、これまでの成果を尊重します。一方で、ロシアのアカデミアにおいても、今回の紛争に対する平和的解決に関する議論がなされることを期待します。なお、本学におけるウクライナ、およびロシアの教職員・学生については、彼らの平穏な職務遂行並びに教育・研究環境が維持されるように万全の取組を行います。」

   日付は2月28日で、発信者は「総長 寳金清博」。日本語だけでなく、英語、ロシア語、ウクライナ語でのメッセージも掲載されている。北大の抗議声明が評価されるのは、その行動の早さだ。ロシアに即時の攻撃停止と軍隊撤収を要求する非難決議が衆院本会議で採択されたのは今月1日、参院は2日だった。こうした国際問題については国を動きを見ながら大学は行動を起こすというイメージだったが、今回は異例だ。

   さらに他の大学もチェックすると、北大よりさらに早く、東京大学は総長名で2月25日に、広島大学も当日のホームペ-ジで抗議声明を発している。では、大学がロシアの侵攻に敏感に反応したのなぜか。それは北大の抗議声明に記載されているように、ロシアと日本の大学の「アカデミアの連携」がある。双方に行き来しながら医学や化学、工学など広い分野に及んでいる。このままウクライナ侵攻が続けば、そうした連携研究をストップせざるを得なくなると危惧しているのではないか。世界各国のノーベル賞受賞者160人がロシアのウクライナからの撤退を求める公開書簡を発表している(3月2日付・共同通信Web版)。平和を求めるとともに、アカデミアの立場からの憂慮の表れだろう。

   北大のHPに「Be ambitious」というページがあった=写真=。北大の前身でもある札幌農学校であのクラーク博士が残した言葉「少年よ大志を抱け」だ。それにしても、ロシアのプーチン大統領は「NATOはウクライナの民族主義者とネオナチを支援している」「ウクライナでジェノサイドが起きている」と繰り返し述べている。プーチン氏は大局観に立ち戻って事態を治めるべきだ。「プーチンよ 大志を抱け」とクラーク博士の叱り声が聞こえそうだ。

⇒6日(日)午後・金沢の天気      あめ時々あられ

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★反戦とロシアへ怒り込め「Peace!」IPC会長スピーチ

2022年03月05日 | ⇒ニュース走査
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☆「原発占拠」と「注射器の投棄」不気味さ増すロシア

2022年03月04日 | ⇒ニュース走査

   おそらくロシアはこれをNATOやEUへの脅しに使ってくるのではないかと考え込んでしまった。メディア各社の報道によると、ウクライナ南部のクリミア半島近くにあるザボロジエ原発がロシア軍から砲撃を受け、占拠された=写真=。ウクライナにある15の原子炉のうち6基がザボロジエ原発に集中している。ザボロジエ原発が爆発すれば、チェルノブイリ原発の10倍の被害になるとして、ウクライナ側はロシアに即時停止を求めた。ゼレンスキー大統領はFacebookに動画を投稿し「もし核爆発が起きればみんなおしまいだ。ヨーロッパの終わりになる。ヨーロッパの即座の行動だけがロシア軍を止められる。ヨーロッパを核で破滅させるわけにはいかない」と危機感を露わにした(4日付・NHKニュースWeb版)。

   ロシア側はザボロジエ原発を占拠した理由について、原発に貯蔵されている使用済み核燃料や高レベルの放射性物質をウクライナが核兵器に利用する恐れがあると主張した。IAEAは原子力施設に対する武力攻撃は国連憲章、国際法などの原則に反すると声明を発表し、ロシアをけん制した。いまのところ、原発周辺の放射線量に変化はなく、ウクライナ側は火災は主要設備に影響していないとIAEAに報告した(同)。ロシアがザボロジエ原発を占拠したことで、ヨーロッパへの脅しに使ってくるのではないか。「いつでも爆破させるぞ」と。

   ロシアの不気味なニュースをもう一つ。石川県の地元メディアによると、能登半島の尖端付近の海岸に大量の注射器が漂着し、輪島市の海岸だけで625本が見つかった。包装用の袋にはロシア語の表記があった。注射器の長さは約10㌢で、針のついているもの、針だけ包装されているものもあった(4日付・北國新聞夕刊)。

   これまで島根や鳥取、兵庫、京都府の海岸でも似た注射器が見つかっている(2月28日付・共同通信Web版)。これだけ広域に漂着しているということは以下のことが推測できる。能登半島の沖合には北朝鮮の木造船がよく流れ着く。大陸側に沿って南下するリマン海流が、朝鮮半島の沖で対馬海流と合流し日本海側の沿岸に流れてくる。とくに能登半島は突き出ているため、近隣国の漂着ごみのたまり場になりやすい。おそらく、ロシア、あるいはロシアから提供を受けた北朝鮮が沖合で廃棄した注射器ではないだろうか。見つかっているのはごく一部で、膨大な量の注射器が海を漂っているに違いない。

   ことし1月には能登半島の珠洲市の海岸で、船体の全長が50㍍ほどある鉄製の船が海岸に流れ着いた。船体にはロシア語が書かれていた。能登海上保安署は、ロシアで射撃訓練の際に「標的船」として使われる船に似ているという(1月4日付・朝日新聞ニュースWeb版)。ロシアは日本海でなぜ、どのような理由で射撃訓練をしたのか。実に不気味だった。

⇒4日(金)夜・金沢の天気     くもり

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★詭弁を弄するロシア大使の手練手管

2022年03月03日 | ⇒ニュース走査

   「詭弁を弄する」とはこのことを言うのだろう。昨夜、BSフジの番組『プライムニュース』で、駐日ロシア大使のミハイル・ガルージン氏と元防衛大臣の小野寺五典氏が論戦を交わしていた=写真=。ガルージン氏は流暢な日本語で、「ウクライナの市街地を空爆しているかのようなビデオが流されているが、我々が攻撃しているのは軍事施設だけ」と述べ、ウクライナ第2の都市ハリコフの州政府庁舎などが攻撃を受けたことについて、「おそらくウクライナ軍による誤射です」と主張した。

   その後もガルージン氏はキエフのアパートへの攻撃について、「われわれの軍の専門家がウクライナのミサイルの誤射だったと確認した」と主張し、「ウクライナを占拠する意図は一切ない」と繰り返していた。小野寺氏は一つ一つ事実関係をもとにガルージン氏の主張を論破していた。それにしても、事実でないことをいろいろ理屈を付けて事実であるかのように語ることを「詭弁」と言うが、ガルージン氏の手練手管に言いくるめられる日本人もいるだろう。

   その一人が元総理の鳩山由紀夫氏ではないだろうか。今月1日付の自身のTwitterで、「同時にウクライナのゼレンスキー大統領は自国のドネツク、ルガンスクに住む親露派住民を『テロリストだから絶対に会わない』として虐殺までしてきたことを悔い改めるべきだ」「なぜならそれがプーチンのウクライナ侵攻の一つの原因だから」と書いて、ロシア寄りの論調がSNSで批判を浴びた。実は、駐日ロシア大使館の公式ホームページをチェックすると、先月10日にガルージン大使が75歳の誕生日(2月11日)を迎える鳩山氏を訪問したことが記載されている。ページの最後には、「元首相は祝辞に心から感謝していると述べました。また、ロシアとの統合後のクリミアの客観的な状況を日本国民に伝えるなど、今後も両国の交流の促進に積極的に協力する意向を示しました」と記されている。

   上記の文からは、ロシアがウクライナを統合するプロセスについて鳩山氏に説明し、鳩山氏は「国民に伝える」と述べたと読める。以下憶測だ。鳩山氏はガルージン氏の訪問を受けて、ロジックがありそうな同氏の温和な語りを聞いて、鳩山氏はそれを詭弁ではないかとは疑わなかったのだろう。なので、その語りの論調をそのままTwitterに上げた。鳩山氏は2015年3月にロシアが一方的に編入したクリミア半島を、外務省の訪問中止要請を振り切って訪れている。ガルージン氏とすれば、ハトにエサを与えるように、手なずけるのは簡単な人物と読んでいるのかもしれない。

⇒3日(木)午前・金沢の天気     くもり時々はれ

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☆「Shame on you」渦巻くロシア非難

2022年03月02日 | ⇒ニュース走査

   きょうお昼に金沢市内の回転寿し店に入った。杖を突いて店に入って来たシニアの男性と付き添いの女性2人が横の席に座った。話し声が聞こえた。「ウクライナに攻め込んで好き放題に街を壊しとる。プーチンは許せん。この杖で叩いてやりたい」と。女性は「あまり感情的になると、また咳き込むから」となだめている。もう一人の女性も「ロシアに好き勝手させて、アメリカも国連も止められんのやね」と憤っていた。ロシアのウクライナへの侵攻への市民の怒りにも似た感情に気づかされた。

   メディアで連日報道されているこの侵攻は激しさを増している。ロシア軍の車列は首都キエフまで27㌔に迫り、きのう1日は同市内にあるテレビ塔などを攻撃したと報じている。テレビ塔の狙い撃ちは市民への情報通信を遮断することが目的だったのだろう。逃げ惑う市民の姿も映し出されていて、侵攻以降でウクライナから隣国ポーランドに避難した人々は41万人にものぼるという(2日付・NHKニュースWeb版)。イギリスのジョンソン首相は「ロシアは1945年以来、ヨーロッパで最大の戦争を計画している」と語った(2月20日付・BBCニュースWeb版日本語)。まさにその様相を呈している。

   キエフにある日本の大使館も一時閉鎖に追い込まれている。朝日新聞Web版(2日付)によると、外務省は大使館をウクライナ西部の都市リビウに移転すると発表し、「ロシアによる侵略が拡大し、首都キエフの情勢が極度かつ急速に緊迫化した」と説明した。在留邦人は先月27日時点で120人、その多くがキエフに在住している、

   ロシアがむき出しの軍事行動の理由にあげているのが、ウクライナ政府によるロシア系住民に対する「ジェノサイド(集団殺害)」から守るために国連憲章第51条が定める自衛権を行使するとの主張だ。駐日ロシア大使館のTwitterを読むと、あからさまな表現で日本とウクライナを非難している。27日に岸田総理がロシアへの追加制裁としてプーチン大統領の資産凍結について発表した。すると、28日の駐日ロシア大使館のTwitterでは、ウクライナ政府を「ナチス」にたとえ、支援している日本政府を非難している。「日本は100年も経たぬ間に二度もナチス政権を支持する挙に出ました。かつてはヒトラー政権を、そして今回はウクライナ政権を支持したのです」と=写真・上=。

   このTwitterには政治家も参戦している。ロシア大使館が同じく28日に「ソーシャルメディア上でロシアに対して情報戦が繰り広げられています。・・・ウクライナの民族主義者の犯罪を記録した映像や動画が、ロシアによるものであるかのように紹介されているのです」と。これに対し、河野太郎氏(元外務大臣、自民党広報本部長)は「Shame on you」(恥を知れ)と真っ向から非難のリツイートを行っている=写真・下=。庶民も政治家もロシアへの激しい怒りだ。

⇒2日(水)夜・金沢の天気  くもり

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★問われるコンプライアンス、揺らぐ報道の信頼性

2022年03月01日 | ⇒メディア時評

   報道を担う立場の人物が詐欺容疑で逮捕された。じつにショッキングなニュースだ。毎日新聞Web版(1日付)などによると、大阪府警はきょうテレビ朝日報道局報道番組センターの奥山明宏容疑者、47歳を詐欺の疑いで逮捕した。容疑者は報道番組「スーパーJチャンネル」の特集担当デスクを務めている。容疑者が関わったのは、中小企業のデジタル化を支援する経産省の「IT導入補助金」。中小企業がITシステムを導入する際に国に登録した業者の支援を受けた場合、経費の半分が補助される制度。容疑者は3年前、虚偽の申請をして中小企業のデジタル化を支援する国の補助金900万円を不正に受給した疑いが持たれている。

   この事件をめぐっては、同局のセールスプロモーション局ソリューション推進部長の男49歳も詐欺容疑で大阪府警に2月8日に逮捕されていて、2人目の逮捕となる。テレビ朝日は「現状では2人の関連性は確認されていません」とコメントしている(日本テレビNEWS)。

   テレビ朝日と言えば、代表取締役社長が業務との関連が認められない会食やゴルフなどの費用を業務と装って会社の経費を私的に流用していたことが発覚して、自ら辞任を申し出て受理された(2月10日付・テレビ朝日公式ホームページ「ニュースリリース」)。去年8月以降、スポーツ局の社員・スタッフによる不祥事が連続して発覚したことから、12 月に「役職員の業務監査・検証委員会」を設置。スポーツ局のガバナンスを中心に検証した過程で、スポーツ局統括でもある亀山氏の業務執行上の不適切な行為が明らかになった。まさに、身から出た錆(さび)だった。

   テレビ朝日ホールディングスの公式ホームページに掲載されている「コンプライアンス憲章」をチェックすると、「私たちは、高い倫理観をもって、放送法・その他法令をはじめ社会規範を守ります。良識に基づいた節度ある言動をとり、公正で健全な事業活動を行います。私たちは、真実を迅速、公正かつ正確に報道し、楽しく魅力的なコンテンツを制作します。そして広告放送によって、経済・社会の発展に寄与します。」とある。

   報道機関のコンプライアンスはいったいどこに行ったのか。「憲章は絵に描いた餅」なのか。それにしても、報道のデスクという仕事はニュースの価値判断をする重要なポジションだ。その立場にある人物が詐欺を働いていたとなると、テレビ朝日の報道そのものの信頼性が揺らぐ。

⇒1日(火)夜・金沢の天気      あめ時々くもり

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