自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

★祝意と違和感と

2019年10月23日 | ⇒ニュース走査

   191の国と国際機関から代表が参列し、天皇陛下の中心的な儀式である「即位礼正殿の儀」が滞りなく執り行われた。国民を代表して安倍総理が「寿詞(よごと)」という祝辞を読み上げた。テレビで即位礼正殿の儀を視聴したのは2回目だが、今回は古式にのっとり行われたせいか、時代がタイムスリップした感覚で見ていた。

   正直、違和感があったのは安倍総理の「天皇陛下万歳」の三唱だった。ほかに言い方はなかったのだろうかと思った。というのも、私は小さいころ亡き父から聞いていた話は、戦時中、仏領インドシナ(ベトナム)の戦線でフランス軍と戦うとき、兵士たちは「天皇陛下万歳」と叫びながら突進していった、と。父はそれを否定的に言っていたのではなく、今思い起こせば、戦友たちは勇敢に戦ったと表現するために「天皇陛下万歳」という言葉を持ち出して話を聞かせてくれたのだと思う。

   もう少し詳細に父が話してくれたことを述べる。父が所属したのは歩兵第八十三連隊第六中隊。フランス軍との戦闘で、カンボジアとの国境の町、ロクニンに転戦。昭和20年8月15日、敗戦の報をこの地で聞くことになる。終戦処理の占領軍はイギリスが任に当たり、父の部隊はサイゴンで捕虜となる。このころから部隊を逃亡する兵士が続出。その数は600人とも言われている。多くは、ベトナムの解放をスローガンに掲げる現地のゲリラ組織に加わり、再植民地化をもくろむフランス軍との戦いに加わった。中にはベトナム独立同盟(ベトミン)の解放軍の中核として作戦を指揮する元日本兵たちもいた。父はゲリラ組織には加わらなかったが、ベトナム解放戦線に加わりその後再び捕虜となった元同僚の兵士から聞いた話として、はやりフランス軍に突進するときには「天皇陛下万歳」と声を上げていた、と。

   当時日本軍兵士は死を覚悟で敵に対峙するときに、このフレーズを使ったのだろう。戦場の叫びだ。安倍総理はこうした事実を理解しているのだろうか。私は戦争体験者(父)から聴いて知っていたので違和感が残った。ご存命の元兵士の方々はどのような思いで聴いていただろうか。

⇒23日(水)夜・金沢の天気     くもり

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☆衝突映像、公開のタイミング

2019年10月20日 | ⇒ニュース走査

   ビデオの3分29秒で「ガシャーン」という衝突音が響く。映像は今月7日、能登半島沖の350㌔の日本の排他的経済水域(EEZ)で、水産庁の取締船「おおくに」と北朝鮮の漁船が衝突したときの動画だ。18日夜、水産庁がホームページで公開した。

   動画(12分54秒)は「退去警告に従わないため、撮影を開始する」とコメントが入り、撮影が始まっている。漁船の船体には北朝鮮の国旗が描かれ、漁の網を引き揚げている様子が映る。違法操業と確認できたため、取締船が漁船に向けて放水を開始する。EEZから退去するよう警告アナウンスを何度も伝える。放水するため取締船が漁船に併走している。「石を投げる様子ないか」と取締船は漁船の様子を確認しながら並走を続ける。すると、漁船が左に方向を変えて急接近、漁船の左の側面が取締船の船首に衝突する「ガシャーン」という音が響く。同時に「ガイセンが本船とぶつかった」と撮影者の声が入っている。ガイセンは「該船」のこと、取り締まる対象の船のことを指す。

   ビデオでは、衝突の後、漁船が取締船を追い越すように離れていく様子が映っている。しばらくして、漁船が傾き始め沈没する。海に飛び込み脱出する乗組員の様子が生々しく映っている。取締船は救助ボートを出し、救命いかだを現場に投げて救助に当たる。ビデオの12分00秒には、別の北朝鮮の船が来て、救助された船員たちが次々と乗り移っていく様子が映っている。「救命いかだからNK公船に全員が乗り移った模様」「救命いかだからNK公船が離れていく」のコメントを最後に映像は終了する。

   北朝鮮外務省の報道官は12日の声明で、「日本側が故意に衝突した犯罪的な行為だ」と指摘、日本に対し漁船沈没の損害賠償を強く求めた。漁船が急旋回したため衝突したとの日本の主張に対して、声明では通常の航行状態だったと反論し、「日本は意図的な行為を正当化しようとしている」とも非難した。

   北朝鮮が声明を出したとき、水産庁ははやく映像を公開し事実関係を明らかにすべきではないか、何をもたもたしているのかと不信感すら抱いた。水産庁が公表した映像を見る限り、声明にある「日本側が故意に衝突した犯罪的な行為」との指摘は論外ではあることは言うまでもない。むしろ遅れたタイミングの映像公開によって、北朝鮮の声明の論拠を崩したことにもなる。仮に、この映像が先に公開されていたらどうか。それでも、声明は「映像は捏造」と主張していたかもしれない。
(※写真は、北朝鮮の漁船が水産庁の取締船に衝突する様子=水産庁ホームページの動画より)

⇒20日(日)午後・金沢の天気    はれ

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★「オープンイノベーション」って何だ

2019年10月18日 | ⇒ニュース走査

       「人生百年時代」という言葉に戸惑っている。これまでの人生観は、60歳定年で再就職し、65歳まで頑張り、後は年金をもらって泰然自若として余生を送る、だった。ところが、「人生百年時代」の言葉の裏には年金制度の下心が見えてくる。高齢者はリタイアせずそのまま働き、年金保険料や税金を納めてもらい、年金の受給開始をできるだけ待ってもらうという、時代の要請を感じる。これに背いて、時の政権を恨んで生きようとは思わない。問題は、65歳の人生観から人生百年時代へとライフスタイルを延ばすために、求められる能力・スキルをどう身につけるかである。

   キャリアの単なる延長では意味がない。有している技術やノウハウはもう時代についていけない。キャリアアップやキャリアチェンジが必要なのだ。自虐的な発想だが、65歳から身につける、能力・スキルには限界がある。せめて50歳で会社を辞しキャリアチェンジに進む、あるいは会社に兼業を認めてもらい、キャリアアップを図るといった自己開発が必要なのだ。これは、個人のキャリアもさることながら、会社組織にとっても必要ではないかと考えている。老舗企業として生き残るのはそう楽ではない。

   「オープンイノベーション」という言葉がある。これまでの自前主義(クローズドイノベーション)に代わって、会社の外にある知識や技術を積極的に取り込むという意味で使われる。もちろん、それぞれの企業内には秘密保持契約があり、自ら創った壁に風穴を空けて、既存のベンチャー企業やIT企業から技術導入するというのはそう簡単ではないだろう。「スタートアップ」と称される、新規サービス・ビジネスモデルの確立を目指すメンバーを取り込み、 イノベーションの創出を求める大企業の間で盛んに言われているのが、オープンイノベーションだ。 一方で、成功事例は少なく、失敗に終わる事例が多いことから、「オープンイノベーションごっこ。そう簡単ではない」と自虐的に言う人もいる。

   オープンイノベーションを起こすべきはむしろ政府だろう。厚生労働省の統計によると、ことし1-7月の出生数は前年同期に比べて5.9%減の51万8590人となり、ショックが走った。2016年に100万人を割り、わずか3年で90万人を割る公算が大になってきた。「団塊ジュニア」と称されてきた世代の女性が45歳以上になり、20代と30代の女性が減少している。つまり、人口減は構造的な問題なのだ。

   この問題に対応するには事実婚というオープンイノベーションを導入するしかないだろう。日本には戸籍の問題があり、事実婚を阻害しているが、結婚をしないで子供を出産する許容さ、その支援制度を政府が前向きに示すことではないか。事実婚のオープンイノベーションに踏み切れば、高齢化した社会の変革も促されるのではないだろうか。

⇒18日(金)夜・珠洲市の天気     くもり

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★被害者権利「日本が故意に衝突、損害賠償を」

2019年10月13日 | ⇒ニュース走査

  数十年に一度の重大な災害が予想される特別警報が出された台風19号。各地で爪痕を残し、13日朝、台風の中心部は東北三陸沖の太平洋側に抜けた。ネットニュ-スで被害状況をチェックしているが、長野県の千曲川の堤防が一部決壊し住宅地が浸水。また、長野市のJR新幹線車両センターも水没して、北陸新幹線の車両が水に浸かっている状態で終日運休が決まった。時間が経つにつれ、さまざまな被害状況が確認され、今回の台風のすさまじさが見えてくる。

  もう一つ「北の台風」が吹き始めた。12日付のロイター通信Web板(日本語)は「北朝鮮が日本に賠償要求、故意に沈没漁船に衝突と主張」との見出しで、今月7日に起きた能登半島沖の日本のEEZ(排他的経済水域)内での北朝鮮漁船と水産庁取締船との衝突について、北朝鮮側の発表を報じている。

   ニュースを以下要約する。朝鮮中央通信社(KCNA)が12日に報じた内容として、北朝鮮外務省の報道官は声明で、日本側が故意に衝突した犯罪的な行為だと指摘、将来このような事案が発生しないよう日本は対応すべきだと主張。さらに「日本政府に沈没船の損害補償を強く求める。このような事態が再び起これば日本は望ましくない結果に直面することになる」と指摘。漁船が急旋回したため衝突したとの日本の主張に対して、通常の航行状態だったと反論し、「日本は意図的な行為を正当化しようとしている」と非難した。

   なぜこれほど北は強気に出てくるのか。衝突から損害補償の請求まで仕掛けられたワナではないか。領海の基線から200㌋(370㌔)までのEEZでは、水産資源は沿岸国に管理権があると国連海洋法条約で定められている。ところが、北朝鮮は条約に加盟していないし、日本と漁業協定も結んでいない。北朝鮮は衝突があったEEZは自国の領海であると以前から主張している。日本側が領海を侵犯した上、公船が漁船に体当たりしたと自らの立場を正当化する戦略として仕立てたのだろう。これからことあるごとに「北朝鮮の領海での日本側の意図的な衝突、損害賠償を請求する」と高いボルテージで言い続けるだろう、北朝鮮は被害国だという「権利」の主張だ。

   北朝鮮では近海の漁業権を中国に売却したため、漁民が危険を冒して大和堆などの沖合に出ざるをえない事情があると言われている。ロシアのEEZに入り拿捕が相次ぎ、日本のEEZの方が拿捕されないので「安全」と見くびっている。おそらく北による違法操業は今後も当面止むことはないだろう。日本は水産庁が撮っている今回の衝突映像を国際社会に公開すべきだ。衝突が単なる事故なのか、故意に衝突した「事件」なのか。厄介なボールが日本に撃ち込まれた。(※写真は、日本のEEZで違法操業する北朝鮮の漁船=海上保安庁の動画から)

⇒13日(日)午前・金沢の天気     くもり

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★迫る台風19号、茜色の夕空

2019年10月11日 | ⇒ニュース走査

  見事な茜(あかね)色の風景だった。きょう午後5時37分、金沢の外環状道路を車で走っていて西の空に見えた=写真=。暴風雨の前のつかの間の和みの光景か。非常に強い台風19号が迫っている。あす12日は北陸も大荒れとなる見込みだ。自身が講義を予定をしていた金沢大学の人材養成事業「能登里山里海SDGsマイスタープログラム」も次週に延期となった。紙面ではラグビーのワールドカップもニュージランドvsイタリア(愛知・豊田市)、イングランドvsフランス(横浜市)が中止となり、試合はドロー(引き分け)扱いとなると報じられている。確かにこの2会場は19号の直撃コースだ。

  それにしてもラグビーW杯の盛り上がりはだれが予想していただろうか。W杯の開催ついての功労者は、かつて「神の国」発言で物議をかもした森喜朗元総理であることは選挙地盤でもあった石川県民が地元紙を通じてよく知っている。森氏が日本ラグビーフットボール協会の会長を務めていた2009年に今回の第9回W杯の日本招致に成功した。 当時は衆議員在任中でもあったので、「趣味のラグビーのために国費を使うのか」などと冷ややかな声も地元ではあった。政界引退後は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長を務める。ラグビーW杯と東京オリンピック・パラリンピックが成功裏に終われば、「スポーツ界の神様」と称されるかも。

  森元総理のことはさておき、ラグビーについて知るとなんとグローバルなスポーツかと実感する。その国に3年以上滞在していれば、その国の選手として国籍に関係なく出場できるのだ。日本チームのメンバーはニュージーランドのトンプソンルーク、南アフリカのピーター・ラブスカフニ、オーストラリアのジェームス・ムーア、韓国の具智元ら。多国籍を超えて、日本チームとして結束しているところが見事だ。国歌斉唱では外国人選手も「君が代」を歌い、むしろグローバルさを感じさせる。

  このラグビーの在り様は、日本が取るべき将来の進路ではないかと考える。急速に進む少子高齢化で働き手や担い手が不足する中、日本の多国籍化を進めていく。国際化と述べると共通の理念が求められるが、目標に向かって結束する場合は多国籍化でよいのではないか。多国籍化が求められるのは、スポーツだけでなく、研究開発やマーケット戦略、生産性や教育分野など幅広い。市民生活でもあえて日本人の社会に溶け込む必要はない。たとえば、金沢に「ニュージーランド村」や「南アフリカ村」があってもいい。日本の法律の下でお互いに暮らし安さを追求すればそれでよいのではないか。茜色の夕空を見てそんなことを考えた。

⇒11日(金)夜・金沢の天気    はれ
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★猛烈な台風接近、北の漁船は

2019年10月08日 | ⇒ニュース走査

   能登半島沖の日本のEEZ(排他的経済水域)できのう(7日)、水産庁の漁業取締船と北朝鮮の漁船が衝突した事故で、沈没した漁船の乗組員60人が救助され、別の北朝鮮の船に引き取られた。これで一件落着なのだろうか。事故の原因は、取締船が北の漁船に放水して退去するよう警告したところ、漁船が急旋回して取締船の左側から衝突してきたと報じられている(8日付・NHKニュースWeb版)。通常、船同士がぶつかりそうな場合、左側の船が衝突をよけるルールとなっているが、避けることなく衝突し沈没した。

   日本側への威嚇による故意の事故なのか、単なる操縦ミスなのか、伝えられていない。水産庁が撮影しているであろう衝突映像を国際社会に公開すべきだ。衝突が単なる事故なのか、故意に衝突した「事件」なのか。それにしても不可解なのは、なぜ、救助した60人全員を帰すことになったのか、だ。本来ならば北の船長や機関士らから事情聴取すべきだろう。水産庁の目的は違法操業をさせないことで事故原因の調査ではないとするならば、海上保安庁にバトンタッチすべきだろう。

   日本海のスルメイカの漁期は6月から12月だ。これからの日本海は荒れやすい。大型で猛烈な台風19号も接近している。能登半島や金沢の海岸線に打ち上げれた北の漂着船をこれまで何度か目撃した。2018年1月10日朝、金沢市下安原海岸に北朝鮮の漁船が漂着し、船内から7人の遺体が見つかった。現場に足を運んだ。船の中には、ハングル文字で書かれた菓子袋などが散乱し、迷彩服もあった。ひょっとして軍人が乗っていたのではないかと勘繰った。小型船で日本海の大和堆に繰り出して漁をする。荒れる日本海に命がけで、なぜそこまでしてイカ漁に固執する必要があったのだろうか。上からの命令なのか。

      海上保安庁によると、昨年1年で北朝鮮からとみられる木造船の漂着は201件で前年の2倍。問題はこうした漂着船の解体処分や遺体の火葬をするのは自治体だ。石川県に漂着した木造船などの処分費用21件880万円。最終的に国が全額負担している。猛烈な台風19号の接近で難破する北の漁船も増えるだろう。無謀で不合理な光景がまた繰り返されるのか。(※写真・上は水産庁の取締船と北朝鮮の漁船の衝突を報じる石川県の地元紙、写真・下は2018年1月に金沢市下安原海岸に漂着した北朝鮮の漁船)

⇒8日(火)朝・金沢の天気      あめ

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☆能登半島沖、北の漁船と衝突の衝撃

2019年10月07日 | ⇒ニュース走査

   これは起こるべくして起きた「事故」ではないだろうか。報道によると、きょう7日午前9時10分ごろ、能登半島の北西、350㌔の沖合で、水産庁の漁業取締船「おおくに」と北朝鮮の大型漁船が衝突した。北朝鮮の漁船は浸水、乗組員が海に投げ出され、水産庁の漁業取締船が救助にあたり、夕方までに漁船の乗員60人を救助した(読売新聞Web版)。衝突した現場は日本のEEZ(排他的経済水域)内だった。北朝鮮は2日朝、東部の元山付近から弾道ミサイル1発を発射し、島根県隠岐諸島の北約350㌔㍍の日本のEEZ内に撃ち込んでいる。

   現場は日本有数のスルメイカの漁場で知られる「大和堆」。ここ数年6月から12月にかけて北朝鮮のイカ網漁船による違法操業が繰り返されている。ことし8月23日午前9時半ごろ、同じ大和堆で北朝鮮海軍らしき旗を掲げた小型高速艇と北朝鮮の国旗が船体に描かれた船の不審船2隻を水産庁の取締船が見つけ、連絡を受けた海上保安庁の巡視船が駆け付けた。高速艇には小銃を持った船員がいた。周辺には日本のイカ釣り漁船が操業していて、水産庁は漁船に対し安全確保のため海域を離れるよう指示した。

   言うまでもないが、領海の基線から200㌋(370㌔)までのEEZでは、水産資源は沿岸国に管理権があると国連海洋法条約で定められている。ところが、北朝鮮は条約に加盟していないし、日本と漁業協定も結んでいない。そのような北朝鮮の漁船に排除行動を仕掛けると、北朝鮮が非批准国であることを逆手にとって自らの立場を正当化してくる可能性がある。おそらくそこが取り締まる側としては悩ましいところなのだろう。うがった見方をすれば、今回の衝突事故は北から仕掛けれた可能性もある。8月23日の接近問題では北の船が水産庁の巡視船に30㍍にまで近寄ってきた。相手を威嚇するためだろう。

   同じ日本海でロシアと「事件」も起こしている。先月9月17日にロシア国境警備隊が、日本海のロシアのEEZで北朝鮮の密漁船2隻をだ捕し、乗組員80人以上を拘束したと発表している。このとき、北の密漁船1隻から武力攻撃を受け、国境警備隊3人が負傷した。ロシア側は、同月12日にもロシアのEEZでイカを密漁していた北の漁船16隻を拿捕し、250人以上を拘束している。

   なぜこれほど北は強気に出てくるのか。北朝鮮では海軍が水産事業所を所有し、漁船は各部隊の傘下に所属して漁に出ているとされる。昨年12月には、金正恩党委員長が日本海側にある軍の水産事業所3ヵ所を視察し、軍の幹部らに漁業活動に力を入れるよう指示を出したとされる。また、北朝鮮では近海の漁業権を中国に売却したため、漁民が危険を冒して大和堆などの沖合に出ざるをえない事情があるとも言われている。北にすれば、ロシアのEEZより、日本のEEZの方が拿捕されないので「安全」と見くびっているかもしれない。

   おそらく北による違法操業は当面止むことはないだろう。日本は水産庁が撮っているであろう今回の映像を国際社会に公開すべきだ。衝突が単なる事故なのか、故意に衝突した「事件」なのか。

        夕方の報道によると、北朝鮮籍の漁船は漁業の準備をしようとしていたため、水産庁が退去させようと警告した。しかし、船は止まることなく水産庁の船に左側から衝突してきた。通常、船同士がぶつかりそうな場合、左側の船が衝突をよけるルールとなっているが、よけることなく衝突し沈没したという。関係者は日本側への威嚇ではなく船の操作ミスではないかとの見方を示している(日テレNEWS24)。

⇒7日(月)夜・金沢の天気      くもり

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★マーラー交響曲『巨人』、闇と光の相克

2019年10月06日 | ⇒ニュース走査

   きょう(6日)午後、久しぶりに石川県立音楽堂に出かけた。バイオリンを弾く知人が出演する「石川フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会」=写真・上=。ジョン・ウィリアムズの『スターウォーズ』組曲では、「帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)で指揮者がライトセイバーを持ち出して指揮したのには思わず笑い。グスタフ・マーラーの交響曲『巨人』では、ウトウトと眠りかけていたのに第4楽章の冒頭でシンバルの強烈な一撃をくらってビックリ。勝利感に満ちたフィナーレで、ブラボー屋たちも思わず叫んでいた。アンコールの同『花の章』は最後にハープがポロリンと演奏をしめたのが印象的だった。

   この演奏を聴いていて、さまざまなニュースが脳裏に浮かんできた。『スターウォーズ』では、アメリカの配車大手「ウーバー・テクノロジーズ」が「空飛ぶタクシー」をアメリカ・テキサス州ダラスとロサンゼルスでの試験飛行するのに続いて、オーストラリアのメルボルでも始めるというニュース(6月)を思い出した。垂直着陸が可能な電気小型航空機を活用する空飛ぶタクシーは、無人機ではなくパイロットが操縦する。空のライドシェアの先駆けでもある。「Uber Air」のホームページにあるPR動画=写真・下=は、空を飛ぶというイメージよりも、高層ビルを宇宙船に見立てて、その空間をつなぐというモビリティ(移動)の発想が映画『スターウォーズ』をイメージさせるのだ。

  『巨人』の演奏を聴いていて、揺れる香港をイメージした。今月1日のニュースでは、中国建国70年の軍事パレードよりも、香港の若者たちの必死の主張に耳を傾けた。マーラーが思い描いて作曲したのは、まさに生きる希望ではなかったと感じる。自由な言論、自由な議論、自由な社会活動、自由な経済、自由な学問研究など、香港が一国二制度という枠組みで守ってきた歴史を絶対に揺るがせないという若者の熱意と、マーラーの激しく情熱的な全楽器による演奏(第4楽章「嵐のように激しく揺れ動いて」)が実に響き合う。 

   一方で、『巨人』の同じ第4楽章には混沌とした「闇」を連想させる部分もある。関西電力と行政の原発立地の闇というイメージが膨らむ。エネルギーという公共性の高い事業なのだが、現在の科学では核廃棄物を処理が不可能である。原発にはそうした社会的な負の部分がどうしてもつきまとう。「闇金」を回し合いながらお互いを慰め合っているとしか思えない。マーラーの曲は、深く濃い「闇」をクライマックスの凄まじい「光」でその「闇」を打ち消して終わりを告げる。名曲である。

⇒6日(日)夜・金沢の天気     くもり時々はれ

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★今ここにある朝鮮半島の夢と現実

2019年10月03日 | ⇒ニュース走査

  北朝鮮はきのう(2日)朝、東部の元山付近から弾道ミサイル1発を発射し、島根県隠岐諸島の北約350㌔㍍の日本のEEZ(排他的経済水域)内に着水した。防衛省ホームページによると、河野防衛大臣=写真=はきょう3日午後5時45分から5分間の臨時記者会見を行った。北朝鮮が発射した弾道ミサイルが新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられ、打ち上げ角度を高くするロフテッド軌道での発射でなければ射程が2500㌔㍍に達するもので、準中距離弾道ミサイルとの見解を示した。陸上ではなく、沖合で発射されたが、実際に潜水艦が使われたかどうかは、さらなる分析が必要と述べた。記者との質疑は以下。

記者:今回の北朝鮮のミサイルの飛距離が2500㌔㍍におよぶSLBMということで、トランプ大統領は、短距離については問題にしないということで発言をしていたと思いますが、これは明らかに、問題になるような弾道ミサイルだと思いますが、その点はいかがでしょうか。
河野大臣:日米間では、短距離のミサイルであっても安保理決議に違反をしているということは問題であるという認識は、これまでも共有しております。当然に、このミサイルについても、そうした考え方は共有しております。トランプ大統領は、この米朝プロセスを進めるために、様々、発言をされ、あるいは、ツイートされておりますが、そういう目的でやられているということで、日米ともに了解しております。

記者:SLBMと断定するに至った、何か新しい情報はあるのでしょうか。差し支えない範囲で、どのような根拠でそうだと言えるのかを説明していただけますか。
河野大臣:分析の中身は申し上げられません。

記者:日韓の情報共有についてですが、昨日、日本政府は当初、2発発射というところから、その後1発が分離した可能性があると修正されていると思いますが、GSOMIAを含め、日韓での情報共有に支障を来たしているということはあるのでしょうか。
河野大臣:そのようなことはありません。

記者:潜水艦かどうかはともかく、中距離弾道ミサイルを発射するという北朝鮮の軍事行動が、日本の安全保障、あるいは、地域の安全保障にとって、どのような脅威になるとお考えでしょうか。
河野大臣:日本の安全保障にとって、深刻な脅威であるということは間違いないことでありますし、国際社会にとっても非常に大きな課題であるという認識は、広く国際社会で共有されていると思います。

記者:2段式ということですか。
河野大臣:2つに分離している可能性はあると思います。

   北は今年に入って弾道ミサイルを含む飛翔体を11回も発射していて、ミサイル技術の高度化が進んでいる。一方の韓国の文在寅大統領は8月15日の「光復節」で「2032年ソウル-ピョンヤン共同オリンピックを成功裏に開催し、2045年の光復100周年までには平和と統一で一つになった国(One Korea)として世界の中でしっかりと立つことができるように、その基盤をしっかりと固めると約束する」(8月15日付、韓国・中央日報Web版)と述べた。これが今ここにある夢と現実なのだろう。

⇒3日(木)夜・金沢の天気     あめ

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☆北の武装船、日本海の一触即発

2019年09月21日 | ⇒ニュース走査

   イギリスBBCテレビのWeb版をチェックしていると、日本海で北朝鮮がロシアとせめぎ合っている。「Russia holds 80 North Koreans on 'poaching' boats」の見出しの記事=17日付・BBCニュースWeb版=によると、ロシアの国境警備隊が今月17日、日本海のロシアの排他的経済水域(EEZ)で北朝鮮の密漁船2隻をだ捕し、乗組員80人以上を拘束したと発表した。ロシア側の説明によると、密漁船1隻から武力攻撃を受け、国境警備隊3人が負傷したという。

   ロシア連邦保安局(FSB)報道官はだ捕の経緯について、朝鮮半島とロシア、日本の間に位置する、日本海の好漁場「大和堆」で、北朝鮮のスクーナー(帆船)2隻とモーターボート11隻が密漁しているのを発見したと説明。さらに、ロシア外務省は北朝鮮の駐ロシア臨時代理大使を呼び出し、「深刻な懸念」を表明した。ロシア・インタファクス通信は、FSBの話として、拿捕された漁船は極東ナホトカ港に連行されたと伝えた。

   ロシアと北朝鮮がこの海域で争うのは今回が初めてではない。FSBは今月12日にもロシアのEEZでイカを密漁したとして北朝鮮の漁船16隻を拿捕し、250人以上を拘束したと発表していた。今年6月には、北朝鮮がロシア漁船をだ捕し、乗組員を逮捕した。北朝鮮側は今回のだ捕についてコメントしていない。

   懸念するのは北朝鮮の船の武装化だ。8月23日には、大和堆で武装した船員が乗った北朝鮮の船2隻を水産庁の取締船が見つけ、連絡を受けた海上保安庁の巡視船も駆け付けた。現場は日本のEEZ海域だった。北朝鮮海軍らしき旗を掲げた不審船は、小型高速艇と北朝鮮の国旗が船体に描かれた貨物船で、高速艇には小銃を持った船員がいたという。周辺では日本の漁船も操業していて、水産庁は漁船に対し、安全確保のため海域を離れるよう伝達した。日本海は一触即発の緊張感が漂っている。

⇒21日(土)夜・金沢の天気    はれ

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