韓国への輸出規制強化に対するリアクションや、アメリカと中国の貿易摩擦など隣国の動向が北陸の地域経済にどう波及するのか気がかりでもある。財務省北陸財務局が月例で報道発表している北陸経済調査(8月29日付)がホームページで掲載されているのでチェックしてみる。概況では、北陸財務局管内(石川県、富山県、福井県)の 最近の経済動向は「緩やかに拡大しつつある」としながらも、先行きでは「通商問題の動向、中国経済の先行きなど海外経済の動向 に関する不確実性が企業活動に与える影響を一層きめ細かく注視する」とやはり警戒感をにじませている。
もう少し詳しく読み込んでみる。主要項目の判断の中で、個人消費は「緩やかに拡大しつつある」とある。百貨店とス-パーでの販売が前年を上回っている。家電大型専門店の販売は、冷蔵庫など白物家電やテレビに動きがあり、「緩やかに回復しつつある」と。ただし、インバウンド観光客を誘致している主要温泉地では6月の宿泊数は前年を下回った(-1.5%減)。発表の中では国別のインバウンド客数の記載はないので詳細は分からない。
主要項目の判断の中で、生産は電子部品・デバイスが足踏みの状況にあることや半導体製造装置に弱さがみられることから、「拡大の動きに一服感がみられる」との表現だ。電子部品・デバイスは自動車向けが増加しているものの、スマートフォン向けに弱さがみられ、「全体では足踏みの状態」にある。中国への輸出が多い生産用機械は、半導体製造装置に弱さがみられるものの、金属加工機械が持ち直しているほか、繊維機械、建設・鉱山機械が増加していることから「全体では緩やかに回復している」との表現だ。繊維は、炭素繊維など非衣料向けが堅調となっているほか、衣類向けに動きがみられることから、「全体では緩やかに持ち直しつつある」と。
冒頭で述べたように、現時点は日本と韓国の通商問題、米中の貿易摩擦による中国経済先行き懸念はまだ北陸の経済を直撃してはおらず、「細かく注視する」段階だ。ただ、懸念がある間は設備投資もままならないだろう。特に数字として今後表面化しやすいのはインバウンド観光かもしれない。10月の消費税率引き上げによる内需の冷え込みとタイミングが重なると「ヤバイことになる」のではないか。(写真は、インバウンド観光客に人気の金沢21世紀美術館のヤン・ファーブル作「雲を測る男」)
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