自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

★沖縄の風~続編~

2010年05月05日 | ⇒トピック往来

 鳩山総理の沖縄訪問の目的は一体何だったんだろう、と考えてしまう。きょうのメディアの論調と同じだ。各紙の一面見出しはおおむね「首相 県内移設を初表明」「普天間問題 理解求める」である。つい先日までは、「極力、県外に移設させる道筋を考えたい」(3月26日付・中日新聞)と述べていた。ところが、きのうの鳩山総理の会見(沖縄)で、「県外、国外」発言については「党としての発言ではなく、私自身の代表としての発言」と述べ、話をさらにややこしくしている。真意はどこか多くの有権者は図りかねているのではないだろうか。かつて、先達から「アマは問題を複雑化し、プロは問題を単純化する」という訓を聞いたことがある。この訓に照らし合わせれば、総理の一連の発言は少なくとも「プロの言葉」ではない。

             普天間問題 ワジワジの風

  3日午後、沖縄旅行の折、沖縄県名護市辺野古の在日米軍海兵隊の基地「キャンプ・シュワブ」のゲートで写真撮影をした。すると、門兵が駆け寄ってきたので、その場を速やかに立ち去った。その後、辺野古で住民が座り込むテント村も訪れた。笑顔で声をかけてくれたが、総理の沖縄訪問を前にピンと張り詰めた雰囲気がテント内に漂っていた。総理を迎えた沖縄は、その一挙手一投足を注視していたのではないか。その総理に対し、4日の現地では「恥を知れ」の罵声が飛んだ。

  総理の記者会見(沖縄)でキーワードとなった言葉はおそらくこの一言でなないだろうか。

「学べば学ぶにつけて、沖縄におけるアメリカ海兵隊の役割は、全体と連携しているので、その抑止力が維持できるのだと理解できた」。これを素直に解釈すれば、海兵隊の基地であるキャンプ・シュワブは簡単に動かせるものだと思っていたが、その役割を考えるとはやり、普天間飛行場の代替施設は辺野古しかないということをようやく学んだ、ということだろう。「ようやく学んだ」ということの意味は、「これまでの発言は勉強不足からくるもので改めたい」と同義語だ。つまり、これまでの「県外、国外」発言を帳消しにしたい、という解釈になる。「恥を知れ」の罵声には、沖縄の人々にとって愚弄されたという怒りがあるのではないだろうか。

  外交を司る総理の発言かと耳を疑って、きのうの会見をテレビで見ていた。誰もが聞いても、明らかに言葉が「浮いている」のだ。さらにきょうのテレビ朝日「ワイド!スクランブル」の激論で出演していた民主党の議員の言葉がさらに話をややこしくしていた。「沖縄県民から反対の声をもらって、『県外・国外』について、これからアメリカとの交渉が始まるんです。これが第一歩です」と擁護発言を。防衛と外交はある意味で政府の専権事項だと解釈している。政府が主導権を持って外交と防衛に当たらねば、その任務を誰が成し遂げるのか。「御用聞き」のような発言に、その自覚はないのかと、愕然とする発言だった。そう感じたのは私だけではないだろう。

  バスガイド嬢から教わった沖縄言葉にワジワジがある。もともと南国のおだやかな性格から、ナンクルナイサ(何とかなるさ)という楽観的な人が多い。そんな人でも、腹の底からわき上がってくる怒りのことをワジワジと言うそうだ。沖縄はいま、普天間問題でワジワジしているのだ。(※写真は、辺野古の海とキャンプ・シュワブ)

 ⇒5日(祝)夜・金沢の天気   はれ 

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☆沖縄の風~下~

2010年05月03日 | ⇒トピック往来

 滞在しているホテルは恩納村の山懐にある。沖縄本島の中ほど、地形的には随分とくびれたところにあり、ここから見渡す海は名護湾、そして東シナ海、背にした山のすぐ向こうは辺野古(へのこ)崎、そして太平洋が広がる。いま日本の政治が揺れているのはまさにこのスポットをめぐってである。

         辺野古から吹く「民意の風」

 きょう午後、辺野古を訪れた。現地では普天間飛行場の代替施設の建設に反対する住民の座り込み行動「辺野古テント村」=写真=がきょうで2206日目となった。テントの中には5、6人が海を見つめながら話し合ったりしていた。記者と間違えられたのか、「どこの新聞社なの」と向こうから尋ねられた。ニュースの現場を見に金沢からやってきた旨を告げると、代替施設の建設計画地などを説明してくれた。人魚のモデルとして知られるジュゴンが生息するという辺野古の海は透き通った緑の海だ。砂浜を挟んだ陸地には在日米軍海兵隊の基地「キャンプ・シュワブ」が広がる。

  2004年8月13日、アメリカ軍普天間基地の大型輸送ヘリコプターが訓練中にコントロールを失い、沖縄国際大学(宜野湾市)の建物に接触し、墜落、炎上した。乗員3人は負傷したが、夏休みということもあり、学生や職員など民間人に負傷者は出なかった。原因は、整備不良によるボルトの脱落とされた。沖縄の住宅地にアメリカ軍のヘリコプターが墜落したのは1972年の復帰後初めてのこと。昼夜の低空飛行で「もしかしたら」と沖縄県民が恐れていたことが現実になった。

  アメリカによる冷戦後の軍配置の見直しの機運があったことに加え、この墜落事故をきっかけに、日米両政府による在日米軍再編協議が進み、2006年5月1日に正式に合意された。沖縄に関しては、沖縄に駐留する海兵隊司令部と隊員・家族1万7000人のグアムへの移転、沖縄本島中南部にある5基地の全面返還、1基地の部分返還が盛り込まれた。その前提条件が、V字形に2本の滑走路を備えた普天間飛行場の代替施設をつくることだった。そのロードマップ(工程表)として、2014年までに名護市辺野古沿岸(キャンプ・シュワブ側)に代替施設を建設するという方針が自民党から示された。

  その後、自民党から民主党へと政権交代があり、さらに代替施設受け入れを容認してきた名護市の現職市長が、代替施設受け入れ反対・県外移転を主張する新人候補に破れた(2010年1月24日)。

  鳩山総理はあす4日、総理就任後、初めて沖縄の地を踏む。そして、仲井真弘多県知事と話し合いをする。沖縄の地元メディアは今の政府に疑心暗鬼の論調だ。訓練の一部を鹿児島県徳之島などに分散することで、沖縄の負担を減らすが、最終的に辺野古沿岸への移設する自民党政権時代の「現行案」の受け入れを県民に求めにやってくるのは許さない、と。現地では「県外・国外を軸に修正を図れ」と日増しに論調を強めている。

 普天間と辺野古。この二つの場所は、沖縄本島の人たちが中頭(なかがみ)と言う島の真ん中あたりのことで、実に近い。直線距離にして40㌔足らずではないだろうか。沖縄の人の感覚だと、ちょっと北に移動するだけで、現状は変わらない。鳩山総理もテント村を訪れ、2206日も座り続けている住民の声を耳を傾けたらどうだろうか。

 ⇒3日(祝)午後・沖縄県那覇市の天気  はれ  

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★沖縄の風~中~

2010年05月02日 | ⇒トピック往来

 沖縄の海の文化が紹介されているというので、本部(もとぶ)町の海洋博公園を半日ゆっくり回った。興味を引いたのが「沖縄美ら海水族館」で特別展「海の危険生物展」だった。中でも危険な静物して紹介されているのがハブクラゲ。初めて聞くおどろおどろしい名前の生き物だ。なにしろ、ハブと聞いただけで危険と直感するのに、それにクラゲがついている。写真のようにいかにもグロテスクだ。何が危険かというと、水深50㌢ほどの浅瀬にいて、カサの部分が半透明なため、接近されてもよく見えない。それでいて、触手は150㌢にもスッと伸び、刺胞(毒針が毒液が入ったカプセル)を差し出す。これ触れると毒針が飛び出し、毒を注入される。姿が見えない、それでいて超越した戦闘能力を持つ、まるでSF映画『プレデター』に出てくる異星人なのだ。

            海のプレデターと「山羊薬」

  刺されると激しい痛みがあり、ショックで死亡するケースもある。このハブクラゲだけで年間200件余りの被害が報告されている(沖縄県福祉保健部のリーフレット)。そこで、沖縄県は本島だけで「クラゲネット」という防護ネットを33ヵ所も設けて、ネットで中で海水浴を楽しむように呼びかけている。ちなみに英単語「predator」は動物学用語で「天敵」「捕食者」の意味である。沖縄のハブクラゲは日本海のエチゼンクラゲと並んで、人の天敵と化している。

  「人と海は近かった」と感じた展示物があった。海洋文化館にある「バジャウの家船(えぶね)」だ。フィリピン南方のスルー諸島を航海するのに使われ、「レパ」とも呼ばれ、現地の人にとって移動手段だけでなく、食事や就寝という生活全般に使われていた。展示されている船は1975年まで実際に漁師の一家が住んで漁を営んでいたものだと説明されていた。日本でも、能登半島の輪島市の海女たちが「灘(なだ)回り」といって、魚のヌカ漬けなどを冬場の行商で売り歩くときに乗っていた家船とそっくりであることを思い出した。私は実際に見たことはない。25年ほど前、新聞記者時代に同市海士町を取材した折、昭和20年代の写真を見せてもらったことがある。それを連想したのだ。

  波の音、風の音、そして揺れ、寒さ、すべてを受け入れる生活である。もともと人はサルから起源を発した「森の動物」だった。それが海上で暮らすのだから、相当の肉体的、精神的な負荷を伴ったろうことは想像に難くない。

  話はがらりと変わる。海洋博公園に屋台の店が出ていた。なにげなくのぞくと除くと「ヤギ汁」と手書きの看板が出ていた。きょうのバス・ツアーのガイド嬢の説明によると、沖縄ではヤギ(山羊)料理をヒージャーグスイ(山羊薬)と呼ぶほどの名物だという。新築とか出産のお祝いのときに、ファミリーが集まって食する。料理は「山羊刺し」が一般的で、ショウガとニンニクを乗せて、しょう油で食べるそうだ。ただ、「ヤギ汁」はウチナンチュ(沖縄の人)でも、その匂いで苦手な人も多いとか。ガイド嬢は「沖縄に来たら一度はチャレンジしてくださいね」と言っていた。そのヤギ汁が目の前にある。挑戦すべきか否か…。値段は「ヤギ汁(小)」が500円、「ヤギ汁(大)」は1000円もする。そこで、ささやかに挑戦することに意を決し、小盛を注文した。ヨモギの葉入り、ショウガ味で臭みが思ったほど感じられなかった。が、肉が弾力的で歯ごたえがある。ギュッと噛む。野ウサギの肉も、クマ肉、野鳥の肉も食したことがあるが、これら「けもの臭い」ジビエとは違った食感だ。薬だと思えば、気にするほどではない。

  立って食べていたので、最後の肉片を食べ終えたときに肉に付いていた骨を地面にうっかり落とした。そのときにカチッと金属のような音がした。数㌢の骨だが、手に取ると硬く重い感じ。ヤギの存在感が伝わってきた。

 ⇒2日(日)夜・沖縄県恩納村の天気  くもり

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☆沖縄の風~上~

2010年05月01日 | ⇒トピック往来

 大型連休を利用して、沖縄に来ている。きょう1日に小松空港から羽田空港、羽田から那覇空港へと乗り継いだ。小松から羽田は若干の空席も感じられたが、羽田から那覇はほぼ満席だった。羽田からの便の中で、大陸からの偏西風が強く、それに向かって飛ぶので、少々揺れが予想され、到着時間も15分から20分ほど遅れるとのアナウンスがあった。揺れはさほど感じられなかったが、アナウンス通り20分遅れで那覇についた。気温25度、夏日だった。

             海のサファリパ-ク

  空港では恩納村のホテルまで送ってくれるタクシーを手配してあったで、空港では迎えが待っていた。せっかくだからと思い、高速道路「沖縄自動車道」を走ってもらい、オプションで名護市の「パイナップルパーク」と「ブセナ海中公園」に立ち寄ってもらった。現地までは60分ほどの時間があったので、タクシーの運転手と話が弾んだ。54歳だという運転手は子どもが4人、孫がすでに7人いる。「沖縄には大きな企業がなくて、息子のうち2人は本土(東京と山口)で会社員をしている」「企業といえば、オリオンビールぐらいかね」と。高速道路から見える家並のほとんどが2階建て、あるいは3階建てのコンクリート造り。守り神として有名なシーサーが乗る赤い瓦の屋根は少ない。「沖縄は台風が強くてね、かつて私の家は茅葺屋根だったんだけれども、吹き飛ばされることもあって、台風のたびに親戚の家に避難したものでしたよ。いまは瓦屋根の家でさえ、立て替えてコンクートの家にするのが当たり前ですよ」

  「屋根がコンクリートになった理由がもう一つある」という。「よく見てください」といわれ目を凝らすと、各家々の屋根には必ずステンレスのドラム缶が乗っている。高さは2㍍ほどもあるだろうか。「貯水タンクなんですよ」。沖縄の泣き所は台風と並んで水不足だという。「沖縄は島だから、本土のように隣県から水道水を簡単に融通してもらうということはできないですよ。そうそう、昭和38年(1962)ごろだったか、鹿児島などから船で水が送られてきたこともありましたよ」。沖縄本土復帰(1972)以降、水の安定供給のためダム建設が集中的に進められ、沖縄本島だけでも9つのダムがある(「内閣府沖縄総合事務局」ホームページより)。

  そんな話を聞きいているうちに、パイナップルパークに到着した。人でごった返していた。大型観光バスのほか乗用車が駐車場にびっしりと並んでいる。くだんの運転手が「ほどんどが本土の観光客ですよ」という。「沖縄わ」ナンバーはレンタカーなので判別できるのだという。よく見ると、「沖縄Y」というものある。「Y」は駐留アメリカ軍の関係者のナンバーという。パイナップル園を電気自動車で周遊した。前の車には米兵とおぼしき体格のよい若者が女性とペアで乗っていた。タトゥー(刺青)がびっしりと描かれた左腕を車体から出して、手振りが忙しそうだった。会話が弾んでいたのだろう。

  ブセナ海中公園の入り口で「海中展望塔」のチケット(1000円)を求めると、窓口の女性が「階段が50段ほどありますが、大丈夫ですか」と聞いきてきた。展望塔というとタワーをイメ-ジするが、海中の場合は逆で、海中に降りていくことになる。らせん状の階段を50段降りると深さ5㍍の海底に達する。円形の窓があり、海中を眺めることができる。透明度が高く、魚群や海藻の見渡しもいい。時折、ヌッと色鮮やかな魚体が目の前に現れる。こちらをキッとにらむ凄みのある魚たちだ。飼いならされた水族館の魚とはどこか違う「野生の魚」だ。海原の様子は、さしずめ「海のサファリパーク」とでも言おうか。(※写真の魚は「オヤビッチャ」。岩礁やサンゴ礁に普通にみられる。日本海では少ない。スズメダイの仲間。沖縄では食用に=「東海大学海洋科学博物館」ホームページを参照)

⇒1日(土)夜・沖縄県恩納村の天気  はれ

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