自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆隣国の理不尽さ 北のICBM、露のウクライナ侵攻

2022年03月25日 | ⇒ニュース走査

   これまでの北朝鮮の弾道ミサイルは日本海側に住む日本人の脅威だったが、今回のICBM発射実験は世界を巻き込んで脅威が共有されたのではないか。けさの北朝鮮の労働新聞Web版(25日付)をチェックすると、「주체조선의 절대적힘, 군사적강세 힘있게 과시 신형대륙간탄도미싸일시험발사 단행 경애하는 김정은동지께서 대륙간탄도미싸일 《화성포-17》형시험발사를 지도하시였다 」(意訳:金正恩総書記の立ち会いのもと、新しい大陸間弾道ミサイル「火星17型」の発射実験は成功した)の見出しで報じている。

   それによると、発射は首都平壌の郊外の国際空港で行われた。最高高度は6248.5㌔に達し、1090㌔の距離を67分32秒飛行、「朝鮮東海公海の予定海域に正確に着弾した」と伝えている。そして、金氏は「もし誰かがわが国家の安全を侵害しようとするなら、彼らはその代償を払うこと、そして我々の国防能力はアメリカ帝国主義との長期的対決に徹底的に備える強力な軍事技術を持っていることを明確にしなければならない」(意訳)と述べたと伝えている。写真では、オレンジ色の炎を吹き出しながら上昇していくICBMの様子を掲載している=写真・上=。

   防衛省公式ホームページ(24日付)によると、北朝鮮は24日14時33分ごろ、朝鮮半島西岸付近から1発の弾道ミサイルを東方向に発射した。約71分飛翔し、15時44分ごろ、北海道の渡島半島の西方約150㌔の日本海(EEZ内)に落下したものと推定。飛翔距離は約1100㌔、最高高度は6000㌔を超えると推定される。また、今回の弾道ミサイルが2017年11月のICBM級弾道ミサイル「火星15型」の発射時を大きく超える約6000㌔以上の高度で飛翔しており、今回発射のものは新型のICBM級弾道ミサイルであると考えられる。

   では、新型ICBMはどのくらいの射程距離があるのか。防衛省の「北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について」(2022年1月)によると、上記の火星15型ではアメリカのロサンゼルスやサンフランシスコが射程に入っている=写真・下=。今回のものはさらに射程距離が長いので、ニューヨークやワシントンDCも入るだろう。

   さらに、日本のEEZ内に落としたにもかかわらず、「朝鮮東海公海の予定海域に正確に着弾した」と表現している。領海の基線から200㌋(370㌔)までのEEZでは、水産資源は沿岸国に管理権があると国連海洋法条約で定められている。ところが、北朝鮮は条約に加盟していないし、日本と漁業協定も結んでいないことを盾に、自国の領海であると以前から主張している。

   ふと不安がよぎる。北朝鮮のこの「論法」で言えば、EEZ内で6月から始まる日本漁船のイカ釣り漁も無視されるのではないか。日本漁船の拿捕だ。1984年7月、北朝鮮が一方的に引いた「軍事境界線」の内に侵入したとして、能登半島の小木漁協所属のイカ釣り漁船「第36八千代丸」が北朝鮮の警備艇に銃撃され、船長が死亡、乗組員4人が拿捕された。1ヵ月後に「罰金」1951万円を払わされ4人は帰国した。これを「非友好国」日本を相手に北朝鮮とロシアがタッグを組んでやるのではないか。想像するだけで身の毛がよだつ。

   ロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮のICBMなど空、海、領土などさまざまなところで理不尽な動きがまかり通る。

⇒25日(金)午後・金沢の天気   はれ

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