きのう午前のブログで京都の私立大学の学生7人が新型コロナウイルスに感染したことを述べた。大学のホームページが30日午後8時現在で更新されていて、さらに同大学の学生6人が新たに罹患していることが判明したと記されている。スペインなどヨーロッパに旅行した学生と帰国後に送別会などで接触した学生合わせて13人の感染となる。
ところが、大学側がホームページを更新した直後に後でさらに、感染者が新たに発表された。同大学の学生で富山市に帰郷していた女子学生がPCR検査で陽性が判明したと、富山市が午後8時30分に、マスメディア各社などにファクスで概要を発表した。その後、午後9時30分すぎに富山県の石井知事が県庁で会見し、「心配していたことが現実になった。感染者が増えないよう全力を尽くすことが大事だ」と述べた(31日付・北日本新聞Web版)。
大学側が最初に発表した7人と接触した学生が48人もいたことから、京都市保健福祉局は29日、富山市保健所に対し感染者の濃厚接触者として調査の依頼していた。30日、保健所は女性に対して帰国者・接触者外来での受診を指示し、PCR検査で陽性であることが分かった。女性はこの春に同大学を卒業し今月21日にゼミの卒業祝賀会に出席していた。おそらく就職先も決まっているだろうから、これから新社会人というときに本人も残念だろう。
もう一つ残念なこと。富山県砺波市で開催される予定だった「となみチューリップフェア」(4月22日-5月5日)は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止が決まった(2020となみチューリップフェア公式ホームページ)。69回目だったが、中止は初めてという。主会場のチューリップ公園は通常の都市公園として開放する予定で、前売り券は払い戻す=写真=。チューリップフェアにはこれまで何度も家族で会場を訪れたことがある。野外なので中止にしなくてもよいのではと一瞬思ったが、来場者の安全と健康を考慮しての判断なのだろう。
⇒31日(火)朝・金沢の天気 はれ
日本の各大学は新学期を控え身構えているのではないだろうか。学生たちが春休みを利用しての旅行や留学から続々と帰ってくる。多くがアメリカやヨーロッパからの短期組である。
京都の私立大学はきのう(29日)、学生7人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。そのうち男子1人が石川県出身で、県内で陽性が判明するまでの経緯が公表されている。学生は3人で3月2日から13日までヨーロッパ旅行でスペインなどを訪れた。14日に関西空港に降り立ち帰国。14日から25日は関西方面で滞在し、26日に石川県の自宅に帰った。22日ごろには鼻閉、味覚・嗅覚障害があったようだ。帰宅後に37度台の発熱が出て、県内の帰国者・接触者相談センターに相談。28日に石川県保健環境センターでのPCR検査で陽性と判明し入院。石川県では9人目の感染者となった。
この私大では感染した7人と接触した学生が48人もいることから、48人それぞれに自宅待機を指示し、京都市保健福祉局で検査を受けるよう連絡をとっている。また、4月6日に予定していた授業の開始日をさらに延長して5月11日とすると発表している。新学期を1ヵ月以上も遅らせるとなると、学内の混乱ぶりは想像に難くない。大学とするとキャンパスがクラスター化(集団感染源)することをなんと防ぎたい。
この京都の学生たちのケースは表面化したが、他山の石ではない。統計的な数字は手元にないが、全国の大学でも相当数の学生が新学期前に旅行や留学から帰国するのでそれぞれのキャンパスでは危機感を募らせているだろう。
週明け30日午前の東京株式は、感染拡大で東京都がロックダウンの可能性もありとの警戒感から日経平均が大幅反落し、下げ幅は一時800円を超えた。そして、訃報も報じられている。「ザ・ドリフターズ」のタレントの志村けん氏が亡くなった。70歳だった。重度の肺炎との診断を受け、23日に陽性が確認されてた。番組「8時だョ!全員集合」で東村山音頭を踊っていたことを思い出す。あの懐かしいポーズも。アイーン
⇒30日(月)午前・金沢の天気 くもり
先日金沢のコンビニで買い物ついでにトイレに入った。手荒いをしようとしたが、ハンカチを持ってくるのを忘れたことに気がついた。そこで、ハンドドライヤーを使おうとするとこのような貼り紙が。「お客様各位 新型コロナウイルス感染予防の為、ハンドドライヤーを停止しております。ご了承のほどお願い申し上げます。店長」
結局このコンビニでハンドタオルを購入して再度手洗いに入った。購入するときに店員に「なぜハンドドライヤーが使えないの」と尋ねると、「ハンドドライヤーのエアーでウイルスが拡散する可能性もあるのでとめています」と明快な返事だった。なるほど、ハンドドライヤーでウイルスが飛び散る「エアロゾル感染」もありうると妙に納得した。と同時に、最近はハンカチを持たない若者が多いので、ひょっとしたらハンドタオルが売れているのではないかなどと想像をたくましくした。
それにしても、今回の新型コロナウイルス感染でさまざまなカタカナ言葉が拡散している。「クラスター」や「オーバーシュート」「ロックダウン」「テレワーク」など、これまで医学などそれぞれの専門分野で使っていた言葉がこれを機にマスメディアを通して広まり、一気に全国区になった。ただ、使うことに迷ってしまうカタカナ言葉もある。
テレワークはその事例かもしれない。「tele=離れた場所」と「work=働く」の造語とされる。本来は、会社から支給されたノートパソコンなどを使って自宅などで働く就労スタイルなのだが、「電話会議」と勘違いしている人たちもけっこういる。こうした誤解を避けるためにも、「リモートワーク」と称する方がよいのではないだろうか。
問題は政府がそのようなカタカナ言葉を安易に使ってよいのかという論点もある。河野防衛大臣は、政府が新型コロナウイルス対応で横文字の専門用語を多用していることに苦言を呈している。河野大臣は今月24日の記者会見で「日本語で言えることをわざわざカタカナで言う必要があるのか」と持論を展開し、「分かりやすく説明するのが大事だ」と厚生労働省に言い換えを求めている(25日付・朝日新聞Web版)。
「クラスター」や「オーバーシュート」「ロックダウン」などは新鮮味を感じるが、日常の言葉としてなかなか定着しない。話し言葉としては「集団感染」「感染爆発」「都市封鎖」と表現した方が使いやすいことは確かだ。
⇒29日(日)夜・金沢の天気 くもり
金沢地方気象台が毎年出している「桜の開花宣言」が今年は今月26日にあり、平年よりも9日早く観測史上最も早いと発表された。同気象台の敷地にあるソメイヨシノが5、6輪以上の花をつけるというのが開花宣言の基準になっている。平成元年と平成14年と並び統計開始の昭和28年(1953年)以来で最も早い開花だとか。
昨日兼六園を歩いた=写真=。例年だと開花宣言後の週末、兼六園周辺の平地ではブルーシートを広げて宴会を楽しむ花見客の姿があちこちに見受けられたが、今年は閑散としている。見頃を迎える兼六園の桜の並木道にも観光客の姿はまばらだった。春の風物詩がなくなっているのだ。
兼六園近くの繁華街、片町を歩いた。「ハナキン」なのに人通りは少ない。ところが、居酒屋に入ると、けっこう人であふれていた。その後、2軒はしごをしたが、そこそこ入っている。店のマスターに「このご時世でも繁盛しているね」と声掛けすると、マスターは「常連客が来てくれて助かっています」と。観光客はインバウンド客も含めて減少しているが、常連客は「巣ごもり」生活のうっぷん晴らしか、と思いをめぐらせた。常連客の中に顔見知りがいた。70歳後半のシニア仲間と店に来たという。「われわれはマスターの応援団だから、コロナに負けるなと元気づけに来たんですよ」と。何とも頼もしい言葉だ。
確かに、テレビなどでは、閑散とした飲食店街の様子が映し出される。おそらく、このご時世が長引けば、経営が成り立たない、あるいはこの際だから閉店といった店が続出するだろうと誰しもが想像するに違いない。そこで、シニア世代が立ち上がった。「コロナに負けるな」、街の経済を支えよう、と。そのシニア仲間の話を聞いて、気が高ぶって少々飲み過ぎたようだ。きょうは二日酔い気味だった。
⇒28日(土)午前・金沢の天気 くもり
きのう午後8時から新型コロナウイルス感染に関する東京都の小池知事の記者会見をテレビで視聴していて、かなり深刻な状態であることを察した。たとえば、東京都立大学の新学期の始まりをゴールデンウイーク明けから始めると述べていた。始まりを5月7日とすると通常より1ヵ月余り遅いということになる。金沢大学でも4月6日がスタートだが、今年は2週間遅れの4月20日が新学期の始まりとなった。1ヵ月も遅らせるという判断はその後のすべての講義や実習のカリキュムラの組み直しを余儀なくされるので、大学とすると相当重い判断だっだろうと察する。
小池知事が「感染爆発 重大局面(オーバーシュート)」を掲げて記者会見した理由は、この3日間で感染者数が急増したからだと説明していた。今月23日に16人、24日に17人、そして25日は最多となる41人の感染となった。この41人のうち、11人は台東区の総合病院の患者であると、具体的な病院名を上げていた。「院内感染」という新たなクラスター、そして感染経路が不明なケースが混在するカタチで感染者が増えれば、オーバーシュートに確実に向かっているとの認識がうかがえた。
この会見に敏感に反応しているのが、東京株式市場だ。26日の日経平均は開始直後から全面安の展開となり、一時900円以上の値下がとなった。都知事が「(26、27日は)できるだけ仕事は自宅で」「夜間の外出も控えて」「週末は、不要不急の外出はぜひとも控えて」と呼びかけたのだから、金融マーケットとすると、足元の経済活動に及ぼす影響へが強まると懸念するのは当然だろう。
難問は次々と降り注ぐ。東京オリンピックの開催問題が1年程度の延期でIOCとようやく決着した。では、ことし7月5日投開票の東京都知事選はどうだろう。次に小池知事が緊急記者会見を開くとしたら、掲げる言葉は、「首都封鎖(ロックダウン)」かもしれない。「東京一極集中」と言われるように政治経済へのダメージは計り知れない。そうならないように祈るしかない。
(※写真は東京都公式ホームページの動画より)
⇒26日(木)午前・金沢の天気 はれ
IOC President: “The Olympic flame can become the light at the end of this dark tunnel”
IOCのバッハ会長は安倍総理との電話対談で東京オリンピックの延期を決め、その後、IOC臨時理事会を開催した。記者団のとのインタビューで冒頭の言葉を述べた。「オリンピックの聖火を暗いトンネルの出口を照らす光にすることができる」
IOC公式ホームページによると、1年程度の延期についてバッハ会長は記者団にこう説明した。「 We will also keep, for these symbolic reasons, the name Olympic Games Tokyo 2020.」。オリンピックの名称については「東京オリンピック2020」をそのまま使うと、述べている。 また、国際パラリンピック委員会の会長であるアンドリューパーソンズも臨時理事会に招き、同氏は国際パラリンピック委員会を代表してこの合意を支持した、と説明している。
また、記者から延期による追加コストの問題にどう対処するのかとの質問にバッハ会長はこう答えた。「これは調整委員会と組織委員会の調整事項です。オリンピックはたとえて言えば巨大で非常に難しいジグソーパズルで、オリンピックはおそらく地球上で最も複雑なイベントです。私たち2人(安倍総理とバッハ会長)の間の電話だけで決めることは到底できません」(意訳)
予定されているバッハ会長の5月の訪日についてはこう述べている。「安倍総理と私との電話での話し合いの中で確認しましたが、私は予定通りに訪日します。そして東京オリンピックの成功に向けて全力を傾けることを表明するつもりです。前述したように、人類はコロナウイルスのこの前例のない危機を克服して東京オリンピックをお祝いの場としたい。世界の団結の象徴にしましょう」(意訳)
バッハ会長の記者との質疑を読んでいると、答えは実に的確。そして、詩人であり政治家のような言葉運びがある。ドイツの弁護士で、自らも1976年のモントリオール五輪にフェシングの代表選手として出場した。66歳。
⇒25日(水)朝・金沢の天気 はれ
面白いもので、きのうのブログで「オリンピック銘柄」の話題として、翻訳機「ポケトーク」を開発・販売している「ソースネクスト」(東証一部)を取り上げた。今夜、安倍総理とIOCののバッハ会長が電話で懇談し、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて東京オリンピックを延期する方向で話し合うとの観測がニュースなどで流れた。すると、オリンピック銘柄が動いた。ソースネクストは前日比で8.75%も値を上げ、286円で引けた。東京市場では日経平均が前日比で7%、1204円上昇し、歴代9番目の上げ幅を記録した(24日付・日経新聞Web版)。
きょう午後8時からの安倍総理とIOCのバッハ会長の電話会談では、東京オリンピックを1年ほど延期することで一致したようだ(24日付・共同通信Web版)。夏の東京オリンピック・パラリンピックを「完全な形」で開催するためには延期が望ましいと判断したようだ。これを受けて、バッハ会長は、IOCとして4週間以内に結論を出す方針で、理事会メンバーとも協議する。オリンピックは戦争で中止になった例はあるが、延期することになれば史上初めてとなる(同)。
ということは、来年の東京オリンピック・パラリンピックが安倍総理の「花道」になるのではないか。安倍氏の自民党総裁としての任期満了は2021年9月末だ。2017年の党則改正で総裁任期は連続3期9年までとなっている。まさに「モモとクリ三年、ユズ九年」(安倍氏が1月の仕事始めで述べた言葉)、ユズの花道ではある。
一方の小池都知事もことし7月5日投開票の東京都知事選で自民党本部の支援を得て戦うことになりそうだ。オリンピック・パラリンピックが延期開催となる中で、選挙戦になれば、IOCにとっては開催都市の知事が変わるかもしれないので、相談や申し入れがこの間できなくなり、不安定な状態が続くことになる。それを避けるには自民は現職の小池氏を支持せざるを得ないだろう。
それにしても残念なのは「聖火」だ。延期が固まったことで、大会組織委員会は26日に福島県で始まる予定だった聖火リレーを中止した。121日間をかけて47都道府県を回り、オリンピックムードを盛り上げる予定だったが、土壇場での取り止め。聖火はしばらくは福島県に留め置かれるそうだ。まさに宙に浮く聖火か。(※聖火は日本に到着したもののリレーは中止となった=写真はIOC公式ホームページから)
⇒24日(火)夜・金沢の天気 くもり
話は少々長くなるが、自身が「オリンピック銘柄」ということに気が付いたのは、2019年1月の第198回通常国会で安倍総理は施政方針演説がきっかけだった。演説の中で、能登半島の農家民宿で組織する「春蘭(しゅんらん)の里」(能登町)の取り組みを紹介した。「地方創生」の項目の中で、「田植え、稲刈り。石川県能登町にある50軒ほどの農家民宿には、直近で1万3千人を超える観光客が訪れました。アジアの国々に加え、アメリカ、フランス、イタリア。イスラエルなど、20ヵ国以上から外国人観光客も集まります。」と例に挙げ、「観光立国によって全国津々浦々、地方創生の核となる、たくましい一大産業が生まれた」と。
春蘭の里はかつてこのブログでも取り上げたことはあるが、最近はごぶさただった。地域にある50軒ほどの農家民宿が実行委員会をつくって、インバウンド観光の里山ツアーや体験型の修学旅行の受けれを積極的に行っている。最近では民宿経営の人たちが自動翻訳機を使いこなして、インバウンド観光客に対応していることを知った。
現地を訪れ、春蘭の里の代表から話を聞いた。「ポケトークだと会話の8割が理解できる。すごいツールだよ」と。見せてくれたのは、74言語に対応した音声翻訳機「ポケトーク」だった。この翻訳機を使うようになって、年間20ヵ国ほどから2000人余りを受け入れている、という。70歳や80歳のシニアが自動翻訳機を使いながら、笑顔でコミュニケーションを取っている姿は、言語の壁を楽々と超える文明の利器を感じさせた。
そして、昨年10月、観光庁の観光振興に貢献した団体、個人を表彰する第11回観光庁長官表彰で、「春蘭の里」、そして、ポケトークを開発した「ソースネクスト」が同時に表彰を受けた。春蘭の里は農家民泊を運営するグリーンツーリズムの草分け的存在として、そしてソースネクストは技術による観光振興に貢献したとしてそれぞれ評価された。
春蘭の里の代表と再度会った。「私たちが使っているポケトークは、来年の東京オリンピックでもっと有名になるよ」と話した。なるほど、オリンピックでは海外からの観光客が見込める。2020年は訪日外国人が3430万人(JTB)との見通しもあった。こうなると、ポケトークの需要がさらに高まるに違いない。ソースネクストは「オリンピック銘柄」だと気が付いた。この話を聞いて12月11日調べると、株価は480円だった。グーグルがスマホ向けの翻訳アプリを発表し一時的に下げたものの、その後は値を上げことし1月16日には590円をつけた。オリンピック銘柄は強いと思った。
ところが、新型コロナウイルスの感染拡大が世界に広がると同時にソースネクトは値を下げ続ける。東京オリンピックそのものの開催が危惧され、そのまま株価に表れた。WHOのテドロス事務局長による「パンデミック宣言」は今月12日(日本時間)。13日には224円の底値となった。その後、IOCのバッハ会長が「延期や中止の理由はない」とコメントして値はやや戻したものの、きょうはオリンピック延期もありうるとの情勢で263円に下げている。新型コロナウイルスに翻弄される「オリンピック銘柄」の話である。
⇒23日(月)夜・金沢の天気 くもり
新型コロナウイルスの感染拡大で自らも「巣ごもり」生活が続いている。外出はするが、人混みを避けている。そのような日常の中でささやかな楽しみが花を活けることかもしれない。きょうも玄関に黄色い花のヒュウガミズキと紅色のヤブツバキを飾ってみた=写真=。楚々とした雰囲気のヒュウガミズキと、存在感を示すようなヤブツバキの対称性が玄関という空間を演出してくれている。
今月15日付のこのブログでも述べたが、この花を見ていて思うことは人の世の無常である。花は毎年変わらず咲くが、人の世は変わってしまう。本来ならば春の訪れを祝うかのように人の心はうららかになり、街も華やいでくる。ところが、人の世は新型コロナウイルスの流行(はや)りで滅入ってしまっている。人々はフェイス・トゥ・フェイスではなく、マスク・トゥ・マスクで対話し、世界は互いに国境を閉ざしている。
今回のパンデミックで経済リスクが顕在化してきたようだ。日本をはじめ各国の中央銀行が事態がリーマン・ショックのような金融危機につながりかねないとの見方が強めている。ニューズウィーク日本語版(20日付)で、アメリカの中央銀行であるFRBが「通貨スワップ新たに韓国など9つの中銀と締結 新型コロナウイルス流行による混乱緩和へ」との見出しで報じていた。協定を結んだのはオーストラリア、ブラジル、韓国、メキシコ、シンガポール、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、ニュージーランド(NZ)の中銀。規模は総額4500億ドル。協定の期間は少なくとも6ヵ月としている。
各国の中央銀行が互いに協定を結ぶスワップ協定は、「通貨交換協定」とも呼ばれる。自国の通貨危機が起きた際、自国通貨の預け入れと引き換えに、協定を結んだ相手国の通貨をあらかじめ定めたレートで融通してもらう協定だ。日本とアメリカが結んでいるような無制限、無期限の国家間協定とは違う。
コロナショックによる経済の変調によって、金融市場での決済外貨ドルが枯渇し、急激な為替変動などが生じれば世界経済全体にさらなるリスクが波及する。FRBと締結した9つの中央銀行はそのリスクの緊急性が高いとの判断したのだろう。コロナショックはまだまだ続くのか。週明けの金融、株式市場が気になる。
⇒22日(日)夜・金沢の天気 はれ
けさのNHKニュースは政府の発表として、北朝鮮から弾道ミサイルとみられるものが日本海に向けて発射されたと伝えている。日本の領域には飛来せず、EEZ(排他的経済水域内)にも落下していないようだ。北朝鮮は新型コロナウイルスが各国に感染が拡大した今月2日と、1週間後の9日にも発射していて、今回で3度目だ。北朝鮮は弾道ミサイルの発射にどのような意図を込めているのだろうか、隣国の不安心理をさらに煽る狙いだろうか。
このタイミングの発射に国際世論はどう受け止めるだろうか。「自国内のコロナ対策がうまくいかないので、人民の不満と不安を弾道ミサイルで逸らそうという金正恩委員長の魂胆か」とか、「北朝鮮軍は弾道ミサイルの発射能力があることをアメリカにアピールしたいだけ」「トランプ大統領に対する再会へのメッセージ」などと憶測を呼ぶだけではないか。
国際世論は弾道ミサイルよりイタリアに向いている。同情と言ってよいかもしれない。イタリア政府は20日、新型コロナウイルスに感染した死者が前日から627人増え4032人になったと発表した。死者が4千人を超えたのは世界でイタリアが初めて(21日付・共同通信Web版)。昨夜、テレビのニュースで遺体を載せたイタリア軍のトラックが列をなして走行している様子が映し出されていた。これだけ多くの人々が感染の犠牲になったのかと想うと実に痛ましかった。
なぜイタリアで死亡者が多いのか。イタリアは平均寿命が男女共に80歳を超え、全人口に占める65歳以上の比率は23%とされる。高齢者の多くは持病を抱えており、死期を速めているのではないか。医療現場の混乱も相当だろう。とくに北イタリアでは感染者が急増しているので、医療従事者や医療器具が不足し、重症患者の治療に手が回らないという現実があるようだ。
ヤフーニュースで、イギリスの「デーリー・テレグラフ紙」の記事(20日付・日本語)が以下紹介されていた。同紙はイタリア北部ピエモンテ州トリノの危機管理チームが作成した治療の実施要綱案を入手した。それによると、集中治療室が不足した場合、80歳以上の患者や元から健康状態が悪い患者には集中治療を受けさせないことになっている。医師らは集中治療を受けられない患者を事実上、死なせることになるのではないかと危惧している、と。これが現実になっているとしたらショックだ。
この記事を読んで、2006年1月に訪れたバチカン美術館のシスティーナ礼拝堂で鑑賞した、ミケランジェロの天井壁画「最後の審判」を思い出した。壮大な壁画には400人以上の人物が描かれて、中央では再臨したイエス・キリストが死者に裁きを下していく様子が描かれる=写真=。デーリー・テレグラフの記事を読んだ多くの世界の人々はこの壁画のことをイメージしたのではないだろうか。
⇒21日(土)午後・金沢天気 はれ時々くもり