ベトナムでの米朝首脳会談はテレビ、新聞メディアともに派手に報じられている。が、その片隅ではさらなる日本と韓国の亀裂が深まっている。石川県の地元紙などはこの「事件」を大きく報じている。去年12月4日午前3時10分ごろ、島根県の隠岐諸島100㌔の日韓の暫定水域で、石川県漁協所属の中型イカ釣り船が操業中、船を安定させる漁具のロープ「パラシュートアンカー」を海中に放っていたところ、韓国漁船が近づいてきて前方を通過、そのパラシュートアンカーをひっかけ、イカ釣り船は20㍍引きずら、ロープは切れた。イカ釣り船は韓国漁船に呼びかけたが応じなかった。
日韓の暫定水域は両国の漁船が操業できる水域ではあるが、操業中の船に近づくのは危険な行為で、スクリューにロープが絡まれば双方の船が被害を受ける可能性があった。問題は、呼びかけにもかかわらず、韓国漁船はそのまま去ったことだ。「言語道断」との憤る地元漁業関係者の声を地元紙などは伝えている。
このロープ事件のほかにも、11月15日には能登半島沖の大和堆で山形県のイカ釣り漁船と韓国漁船が衝突している。その後、11月20日、大和堆付近の操業中の北海道のイカ釣り漁船に対し、韓国の海洋警察庁の警備艦が「操業を止め、海域を移動するよう」と指示を出し、漁船に接近していた「事件」があった。日本の海上保安庁の巡視船が韓国の警備艇と漁船の間に割って入ることで、韓国の警備艇は現場海域を離れた。スルメイカは貴重な漁業資源だ。それを北朝鮮に荒らされ、さらに韓国側は「日本漁船は海域を出ろ」という。
一連の事件は、竹島は韓国の領土であると言い張り、大和堆は韓国海域であると主張する前触れではないだろうか。そう考えると、これから「海上衝突」状態に本格的に入るとも読める。
冒頭で「日本と韓国の亀裂」と述べたが、きのう(27日付)の読売新聞2面を読んで、「ここまできたか」と息をのんだ。「韓国大統領『親日を精算』」の記事である。記事内容は、日本の植民地支配に抵抗した3.1独立運動について、「親日を精算し、独立運動に対して礼を尽くす・・」という趣旨のようだ。ただ、この「親日精算」という言葉を文在寅大統領が閣議で語ったことで、さまざまに独り歩きをすることは想像に難くない。日本の漁船のロープを切ることも、「日本漁船は海域を出ろ」と警備艦が指示することも、すべて「親日精算」することとして解釈される。韓国では分かりやすい言葉に違いない。
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