自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

★米朝会談の陰で日韓さらなる亀裂

2019年02月28日 | ⇒ニュース走査

  ベトナムでの米朝首脳会談はテレビ、新聞メディアともに派手に報じられている。が、その片隅ではさらなる日本と韓国の亀裂が深まっている。石川県の地元紙などはこの「事件」を大きく報じている。去年12月4日午前3時10分ごろ、島根県の隠岐諸島100㌔の日韓の暫定水域で、石川県漁協所属の中型イカ釣り船が操業中、船を安定させる漁具のロープ「パラシュートアンカー」を海中に放っていたところ、韓国漁船が近づいてきて前方を通過、そのパラシュートアンカーをひっかけ、イカ釣り船は20㍍引きずら、ロープは切れた。イカ釣り船は韓国漁船に呼びかけたが応じなかった。

  日韓の暫定水域は両国の漁船が操業できる水域ではあるが、操業中の船に近づくのは危険な行為で、スクリューにロープが絡まれば双方の船が被害を受ける可能性があった。問題は、呼びかけにもかかわらず、韓国漁船はそのまま去ったことだ。「言語道断」との憤る地元漁業関係者の声を地元紙などは伝えている。

  このロープ事件のほかにも、11月15日には能登半島沖の大和堆で山形県のイカ釣り漁船と韓国漁船が衝突している。その後、11月20日、大和堆付近の操業中の北海道のイカ釣り漁船に対し、韓国の海洋警察庁の警備艦が「操業を止め、海域を移動するよう」と指示を出し、漁船に接近していた「事件」があった。日本の海上保安庁の巡視船が韓国の警備艇と漁船の間に割って入ることで、韓国の警備艇は現場海域を離れた。スルメイカは貴重な漁業資源だ。それを北朝鮮に荒らされ、さらに韓国側は「日本漁船は海域を出ろ」という。

  一連の事件は、竹島は韓国の領土であると言い張り、大和堆は韓国海域であると主張する前触れではないだろうか。そう考えると、これから「海上衝突」状態に本格的に入るとも読める。

   冒頭で「日本と韓国の亀裂」と述べたが、きのう(27日付)の読売新聞2面を読んで、「ここまできたか」と息をのんだ。「韓国大統領『親日を精算』」の記事である。記事内容は、日本の植民地支配に抵抗した3.1独立運動について、「親日を精算し、独立運動に対して礼を尽くす・・」という趣旨のようだ。ただ、この「親日精算」という言葉を文在寅大統領が閣議で語ったことで、さまざまに独り歩きをすることは想像に難くない。日本の漁船のロープを切ることも、「日本漁船は海域を出ろ」と警備艦が指示することも、すべて「親日精算」することとして解釈される。韓国では分かりやすい言葉に違いない。

⇒28日(木)午後・金沢の天気    あめ後くもり

コメント

☆次なる天皇の象徴像への問いかけ

2019年02月25日 | ⇒ニュース走査

     即位30年を祝う行事(24日)で天皇が述べられた言葉が印象深かった。天皇は憲法の第一条を常に意識され、この30年を歩んでこられたのだと理解した。第一条は「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」。「国民統合の象徴」として今何をなすべきなのか、象徴として国民に理解される象徴像(イメージ)について苦心されてきた様子がお言葉から読み取ることができる。お言葉は宮内庁ホームページから引用。

   「平成の30年間、日本は国民の平和を希求する強い意志に支えられ、近現代において初めて戦争を経験せぬ時代を持ちましたが、それはまた、決して平坦な時代ではなく、多くの予想せぬ困難に直面した時代でもありました。」
   「世界は気候変動の周期に入り、我が国も多くの自然災害に襲われ、また高齢化、少子化による人口構造の変化から、過去に経験のない多くの社会現象にも直面しました。」

   明治、大正、昭和の時代は戦争続きだった。平成の世では日本が関与する戦争は起きなかった。しかし、阪神淡路大震災(平成7年・1995年)や東日本大震災(平成23年・2011年)など自然災害のほか、安倍総理が先の衆院解散(平成29年・2017年)で「国難」と位置付けた少子高齢化が社会解題としって重く圧しかかっている。

   天皇皇后は被災地を訪れ、丁寧に被災者を見舞った。避難所を訪れ、膝をついての被災者と対話する姿は被災者に寄り添うお気持ちが伝わり、国民の共感を呼んだ。平成3年(1991)の雲仙・普賢岳(長崎県)の噴火の被災地への見舞いから始まり、その後の災害復興状況の視察を含め37回にも及ぶ(宮内庁HP)。国民はマスメディアを通じて、いつの間にか、この姿が天皇の象徴像、シンボリックなイメージとして認識するようになったのではないだろうか。

   お言葉の中でこう述べられた。「災害の相次いだこの30年を通し、不幸にも被災の地で多くの悲しみに遭遇しながらも、健気に耐え抜いてきた人々、そして被災地の哀しみを我が事とし、様々な形で寄り添い続けてきた全国の人々の姿は、私の在位中の忘れ難い記憶の1つです。」

   しかし、象徴像というのはある意味移ろう。時代は確実に変化する。不変ではない。次の時代にどのような姿が国民の共感を得るのか。天皇が問われた言葉を意味深く感じる。「憲法で定められた象徴としての天皇像を模索する道は果てしなく遠く、これから先、私を継いでいく人たちが、次の時代、更に次の時代と象徴のあるべき姿を求め、先立つこの時代の象徴像を補い続けていってくれることを願っています。」

   そして、象徴像のあるべき姿のヒントをこう述べられている。「これまでの私の全ての仕事は、国の組織の同意と支持のもと、初めて行い得たものであり、私がこれまで果たすべき務めを果たしてこられたのは、その統合の象徴であることに、誇りと喜びを持つことのできるこの国の人々の存在と、過去から今に至る長い年月に、日本人がつくり上げてきた、この国の持つ民度のお陰でした。」

   天皇の仕事、それは「国の組織の同意と支持のもと」「この国の持つ民度」によって務め上げることができる、と。国民を信じ、象徴としての天皇を務め上げることの次世代へのメッセージと読める。

⇒25日(月)午前・金沢の天気     はれ 

コメント

★言葉の矜持

2019年02月23日 | ⇒ニュース走査

      日本は議会制民主主義の国である。しかし、最近の国会でのやり取りをテレビで視聴していて、我が国の民主主義はこれでよいのかと案じてしまう。今月10日の自民党大会で安倍総理がかつての政権交代に触れ「悪夢のような民主党政権・・」と述べたことについて、12日の衆院予算委員会で民主党政権時代を元副総理として担った岡田克也議員(立憲民主会派)が安倍総理に発言の撤回を求めた場面があった。

  岡田氏:「私たちは政権時代に、その前の自民党の歴代政権の重荷も背負いながら、政権運営をやってきた。撤回を求める」
  安倍総理:「私は自民党総裁としてそう考えている。そう考えていることを述べる自由はまさに言論の自由です・・・」
  岡田氏:「もちろん民主党政権時代の反省は我々にあります。しかし、政党政治で頭から相手を否定して議論が成り立つのか・・・」「全否定をするようなレッテル貼りはやめろと言っているのです」
  安倍総理:「全否定するなとおっしゃいますが、たとえば採決のときに安倍政治は許さないと全否定してプラカードを持ったのはどこの党・・・」「みなさん、悪夢ではなかった、それを否定しろとおっしゃるが、ではなぜ民主党っという名前を変えたのですか・・・」

  そもそも「悪夢のような民主党政権」発言は自民党大会で述べられたものだ。それを国会で追及するというのは少々無理があるのではないだろうか。岡田氏はその後に「今の発言はまったく理解できませんよ。取り消しなさい」と命令口調で声を荒げた。この発言をテレビで視聴した国民の多くは「まがりなりにも一国の総理に対して無礼な発言だ」との印象を抱いたのではないだろうか。与野党の議員は国民に選ばれた選良であり、矜持、プライドというものがあるだろう。このような発言が飛び交う議会制民主主義はいつまで持つのか。

       政治家は言葉を発することが職業である。その発言内容が問われる。さらに、言葉の説得力というのは、情熱と知性と論理性が聴き手に刺さり、初めて評価、納得されるものだ。言葉を丁寧に選び、それを発語するチカラは国会の場だけでなく、職場や地域コミュニティ、そして家庭でも求められているのは言うまでもない。現代ほど言葉の矜持が求められている時代はないと思う。

⇒23日(土)夜・金沢の天気     くもり

コメント

☆土佐人の「龍馬愛」

2019年02月20日 | ⇒トピック往来

    今月18日から20日まで高知大学主催のシンポジウムに参加するため、高知市を訪れた。プライベートでは2012年5月に家族旅行で訪れている。7年ぶりの高知で、変わらないのは地元土佐の人々の「龍馬愛」だろうか。まず、JR高知駅の広場にある三志士像。左から武市半平太、坂本龍馬、中岡慎太郎の像=写真・上=だ。設置されたのは2011年7月だが、初めて見た。前回は小松空港、羽田空港、高知龍馬空港と空の便で往復したので気が付かなかった。当時は桂浜にある竜馬の銅像を見て圧倒されたものだ。
        
    三志士像は明治維新を動かした群像でもある。龍馬は開国と交易で日本を変革しようとした人物。その銅像はJR高知駅をバックに、太平洋を向いている。龍馬の盟友、中岡慎太郎武は陸援隊を率いて倒幕に奔走した。武市半平太は尊皇攘夷の中心人物で土佐勤王党を結成した。その中心に龍馬がいる。土佐人の誇りだ。

    市内に入ると、街角やホテルなどでは観光キャンペーン「リョーマの休日(Ryoma Holiday)」のポスターやパンフレット=写真・中=であふれている。リョーマは龍馬のこと。オードリー・ヘプバーン主演の映画「ローマの休日」とひっかけている。リョーマの休日は、「すべての人に、特別な時間が待っている。さあ、高知でパワーチャージ!」を合言葉に、県立牧野植物園や室戸ユネスコ世界ジオパークの見学など当地ならではの自然体験メニューを提供する。ことし12月まで実施している。

    2012年に訪れたときも「リョーマの休日」のポスターはあった。このときは、龍馬姿の当時の知事がスクーターに乗るパロディ化された写真が図柄に組み込まれていた。すでにその構図での木彫作品が発表されていて、著作権問題かとの議論もあった。今回はそうした図柄でもなく龍馬が万歳をしているデザインだ。

            喫茶店に入ると「龍馬カプチーノ」というメニュー(460円)があったのでさっそく注文する。すると、なんとクリーム状に泡立てた牛乳の上にココアパウダーで龍馬の顔が描かれている=写真・下=。「ここまでやるか」と思いながらも、土佐人の龍馬愛を感じた。薩摩人にとって「西郷どん」はある意味で敬いだろう。おそらく「カプチーノアート」にはなりにくいのではないなどと比較しながらコーヒーを味わった。

⇒20日(水)夜・金沢の天気     はれ 

コメント

★「どぶろく」と「シャルドネ」

2019年02月17日 | ⇒ドキュメント回廊

    きょう(17日)金沢の友人たちと朝から「酒の秘境」をめぐる旅をした。秘境の意味はまだ一般に知られていない場所という意味ではある。まずは日本酒のルーツをめぐる旅から始めた。

    最初に訪れたのは「雨の宮古墳群」(中能登町)。国指定史跡である雨の宮古墳群は、眉丈山(びじょうざん)の尾根筋につくられた古墳群で、地元では古くから「雨乞いの聖地」として知られた。尾根を切り開いて造られた古墳は前方後方墳(1号墳)と前方後円墳(2号墳)を中心に全部で36基が点在している。全長64㍍の1号墳は、4世紀から5世紀の築造とされ、古墳を覆う葺石(ふきいし)も当時ままの姿。まるでエジプトのピラミッドのようだ。山頂にあるこの古墳からは周囲の田んぼが見渡すことができる。この地域は能登半島のコメの産地でもある。1987年に古墳近くの遺跡から炭化した「おにぎりの化石」が出土し、2千年前の弥生時代のものと推定され、日本最古のおにぎりとして当時話題になった。

    コメの恵みに感謝する神事も営まれてきた。同町にある天日陰比咩(あめひかげひめ)神社は稲作の実りに感謝する新嘗祭(にいなめさい、毎年12月5日)で同社が造った「どぶろく」をお供えし、お下がりとして氏子らに振る舞っている。今回、同神社を参拝してお神酒としてどぶろくをいただいた。蒸した酒米に麹(こうじ)、水を混ぜ、熟成するのを待つ。ろ過はしないため白く濁り、「濁り酒」とも呼ばれる。神社の説明によると、どぶろくを造る神社は全国で30社あり、石川県内では3社とも同町にある。コメ造りと酒造りが連綿と続く地域である。

    次に能登半島をさらに北上して、穴水町に。この辺り一帯は赤土(酸性土壌)だ。ブドウ畑に適さないと言われてきたが、畑に穴水湾で養殖されるカキの殻を天日干しにしてブドウ畑に入れることで土壌が中和され、ミネラルが豊富な畑となり、良質なブドウの栽培に成功している。白ワインの「シャルドネ」、赤ワインの「ヤマソービニオン」は国内のワインコンクールでグランプリに輝いている。さっそく、予約してあったかき料理の店に入った。けさ水揚げしたカキを炭火で焼く。プリプリとしたカキの身はシャルドネにとても合う。

    穴水湾ではカキのほかにボラが獲れる。同町の寿司屋では、ボラの卵巣を塩漬けにして陰干した珍味のカラスミが楽しめる。このカラスミは柔らかく、まるでチーズのような濃厚な風味なのである。これもシャルドネと合う。そのような話をしながら、焼きガキとシャルドネの「マリアージュ」を楽しみながら旅のクライマックは終了したのだった。

⇒17日(日)夜・金沢の天気     はれ

コメント

☆SDGsは「三方よし」の社会循環

2019年02月13日 | ⇒トピック往来

         国連の持続可能な開発目標(SDGs)を目指す自治体など集まる「第1回地方創生SDGs国際フォーラム」がきょう(13日)東京・千代田区の日経ホールで開催された=写真=。内閣府の「SDGs未来都市」に採択された全国の29自治体の関係者や研究者、NPO関係者ら600人が参加する初めての集会でもあった。新たな価値観の共有の場でもある。その意味でフォーラムで飛び交った言葉は実に新鮮だった。そのいくつかを紹介する。

   基調講演に立った神奈川県の黒岩祐治知事。「昨年の夏に鎌倉市由比ガ浜でシロナガスクジラの赤ちゃんが打ち上げられ、胃の中からプラスチックごみが発見されました。これを『クジラからのメッセージ』として真摯に受け止め、持続可能な社会を目指すSDGsの具体的な取組として、深刻化する海洋汚染、特にマイクロプラスチック問題に取り組んでいます。それが『かながわプラごみゼロ宣言』です」「新素材開発ベンチャー企業と連携して、石灰石を主成分とし、紙とプラの代替となる革新的新素材の開発を進めています。アップサイクルの実証事業です」  

    KDDI代表取締役会長の田中孝司氏の話には妙に納得した。「通信事業の社員には『つなげたい』という意識が強いんです。電波の届かない不感地はもちろん、世界中のモノとモノとつなげたい、多様な人たちをつなげたい。コネクティビティ(相互接続)は通信事業の社員のDNAなんです」

   山口県宇部市はSDGs未来都市に採択されている。久保田后子市長は「ICTやイノベーションを切り口にして、起業家やスタートアップ企業支援に力を入れています」と。地場の金融機関と連携し、セミナーや創業コンテストなどに積極的に取り組んでいる。その成果があって、年40件以上の起業件数に。久保田市長は「ICTクリエイティブ人財の育成にチカラを入れています。宇部は『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明氏を育てたまちなんです。宇部から全国区のスタートアップ企業を輩出するのが私の願いです」と。

   今回のフォーラムでいろいろな立場の人のSDGsに対する想いを聴いた。一つ感じたことは、話し手は楽しそうに熱く語っているのが印象的だった。さらに思ったのは、SDGsは古くから伝えられる近江商人の「三方よし」の心得ではないだろうか。これは私が知る事例なのだが、石川県小松市に腕のよい造り酒屋の杜氏がいる。買い手が満足してブランド化している。造り酒屋の近くには有機で造る酒米の農家の人たちがいる。造り酒屋は酒米を相場より高く買う。売り手、買い手、作り手がそれぞれに納得して利を得る。「三方よし」のモデルのような社会循環ではある。SDGsは日本に根付く「三方よし」の和の精神と合致するのではないか。楽しそうに語る講師の人たちを見てそんなことを考えた。

⇒13日(水)夜・金沢の天気     あめ

コメント

★トランプの米朝会談は本気か

2019年02月11日 | ⇒ニュース走査

      アメリカのトランプ大統領は北朝鮮と本気で向き合っているのだろうかと気かかるところだ。大統領が先日(2月5日)に行った一般教書演説(State of the Union Address)の中から北朝鮮関連の演説を読み解いてみたい。

   そもそも一般教書演説は、行政府のトップである大統領が立法府である議会に対して、これまで1年間の国家の状況(State of the Union)を議会に報告し、これからの1年間で取り組む政策の立法化を勧告する場である。なので、一般教書演説で位置づけが今後の在り様を左右する。では、北朝鮮問題をトランプ大統領はどう演説したのか。ホワイトハウスのホームページで掲載されている一般教書演説の全文から以下抜粋。

「As part of a bold new diplomacy, we continue our historic push for peace on the Korean Peninsula.  Our hostages have come home, nuclear testing has stopped, and there has not been a missile launch in more than 15 months.  If I had not been elected President of the United States, we would right now, in my opinion, be in a major war with North Korea. 」(大胆な新たな外交の一環として、朝鮮半島の平和に向けた歴史的な行動を進める。アメリカの人質は帰国し、北朝鮮は核実験を中止し、15ヵ月以上、ミサイルを発射していない。私が大統領に選ばれていなかったら、これは私の意見だが、われわれは北朝鮮と戦争になっていただろう。)
「Much work remains to be done, but my relationship with Kim Jong Un is a good one.  Chairman Kim and I will meet again on February 27th and 28th in Vietnam. 」 (多くの仕事が残されている。しかし、私と金正恩委員長との関係は良好だ。金委員長との2回目の首脳会談は2月27日と28日にベトナムで開く。)

    演説でトランプ大統領の自信あふれている。私が大統領になっていなかったら、北朝鮮と戦争になっていただろうと強調する当たりは、トランプ外交の成果を振りかざしているようにも感じる。最期のフレーズで2月27日と28日にベトナムで米朝首脳会談を開くと明言した。

    では、なぜベトナムでの開催なのか、以下推測だ。おそらく「和平のモデル」をトランプ大統領は金委員長に現地で示したいのではないだろうか。1961年にケネディ大統領が就任して、南ベトナムに肩入れを本格化し、75年のサイゴン陥落まで、アメリカとベトナムは壮絶な戦いを繰り広げた。その後、アメリカはベトナムの経済開放を受けて貿易面、さらに最近では武器輸出など軍事協力も行っている。背景には中国の海洋進出などがある。トランプ大統領とすれば、「かつて戦火を交えたベトナムとはこんなに仲良くやっている。北朝鮮ともうまくやれるよ」と金委員長を説得する場としてベトナムにしたのではないか。(※写真は「ホワイトハウス」のHPより)

⇒11日(祝)朝・金沢の天気   くもり

コメント

☆ボトムアップ型「イフガオの民」

2019年02月09日 | ⇒キャンパス見聞

   先日(2月3、4日)このブログでも何度も取り上げているフィリピン・ルソン島のイフガオ棚田の研究者たちを招いたワークショップが能登空港ターミナルビルで開催された。主催はイフガオと能登半島の世界農業遺産(GIAHS)を通じた交流を企画運営する「イフガオGIAHS支援協議会」(金沢大学、県立大学、能登の9市町、県、佐渡市、オブザーバーとしてJICA北陸、北陸農政局)。双方の研究者を招いた国際ワークショップは今回で5回目となる。イフガオ側からの研究者の発言を聞いていて、ここ数年のある変化を感じた。

   ワークショップの基調報告、大西秀之・同志社女子大学教授の講演は示唆に富んでいた。「生きている遺産としてのイフガオの棚田群:地域社会を基盤とする文化的景観保全の重要性」と題した講演の要旨は以下。

   ルソン島のコルディリエラ山脈の2000㍍級の山岳地帯の少数民族はスペイン植民地時代を通して独自性を維持してきた。コルディリエラの棚田は「天国への階段」「世界の八番目の不思議」といわれる景観であり、1995年にユネスコ世界文化遺産に登録された。景観と伝統習慣はイフガオの先住民の知恵の中に持続可能性の鍵があり、まさに「生きている遺産(Living Heritage)」と言える。棚田の上から下に水を送る水路が張り巡らされ灌漑システムは人類の知恵である。しかし、市場経済との接合が加速し、現金収入を求める若年層の都市部への流出が止まらない。後継者不足による棚田の荒廃、全体の3割が休耕田と推測される。「経済か」「景観か」という単純な二者択一を迫る問いには限界があり、現地が無理なく持続的に行える取り組みが必要不可欠だろう。イフガオにはボトムアップ型の対応、つまり地域住民を中核とする合意形成がある。植民地ではなく、全ての民が棚田のオーナーとして田んぼづくりに関わってきた歴史を有するイフガオの民の知恵に期待したい。
          
        大西秀教授が述べたように、歴史上で独自性を保ってきた山岳地帯の民である。日本人の多くは地域は少子高齢化で廃れると思い込んでいる。ところが、イフガオでは農業離れによる棚田の存続という問題をグローバル化(NGOとの連携など)をとおして、国境を越えて日本やアジアや中東、欧米と結ばれるネットワークをつくることで問題解決しようと外に向けて努力している。世界農業遺産をテーマとした能登との交流もその一環なのだ。それに参加する人たちは多様だ。性別、年齢、職業、学歴が異なる多様な地域住民の主体的な取り組みが特徴である。ボトムアップ型の対応、つまり地域住民を中核とする合意形成がしっかりしているとの印象だ。

   ワークショップで発表した国立イフガオ大学の研究者が地域活性化策を述べた。イフガオで求められることは、「農場・製品デモ」「米酒製造の商品化」「先住民の住宅保全計画」を着実に進めることだ、と。イフガオで収穫される米は食糧としてだけではなく、自家醸造の「ライスワイン」として各家庭で消費されている。そのライスワインの品質と瓶詰の商品ラベルを統一して共同出荷すればイフガオのビジネスになり、すでにその動きが出ている。地域資源の活用が若者の農業離れにブレーキをかける可能性がある、と述べた。そのため 「労働力の開発」「能力構築」の仕組みづくり、プラットホームをつくることなど、「やることがいっぱいある」と研究者は熱く語った。

   2014年に能登とイフガオの交流がJICA事業の一環としてスタートした。現地で人と会い、壮大な棚田を見上げて、「イフガオはいつまで持つのか」が第一印象だった。「ところがどっこい」である。女性たちがライスワインの共同販売を手掛けたり、若者たちが特産の黒ブタのブランド化に動いたりと、地域に根差したさまざまなアクティブな光景が目立つようになってきた。それも、トップダウン型ではなく、ボトムアップ型の動きなのである。イフガオの人々は「ボトムアップ民族」ではないかと考察している。

⇒9日(土)朝・金沢の天気     ゆき

コメント

★「しつけ」と児童虐待

2019年02月07日 | ⇒ニュース走査

   昨年1年間、児童虐待の疑いがあるとして全国の警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもの数が8万人余りになったとニュースになっている。前年比で1万4600人増と22%も増えて過去最多だという。

   千葉県の野田市で小学4年生の女の子が親から虐待を受けて死亡した事件、実に痛ましい。小学校のアンケートで父親からの暴力を訴えていた。児童相談所は、女の子を両親のもとに戻したあとの去年3月下旬以降、一度も家族と連絡を取っていなかったようだ。昨年も東京・目黒区で、5歳の女の子が虐待を受け死亡した事件があった。女の子は「もうパパとママにいわれなくてもしっかりとじぶんからきょうよりもっともっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします」と書き残していた。児童相談所は家庭訪問をしたが女児との面会を拒否された。父親は「しつけ」と称して虐待を繰り返していた。 

   この2つの事件を報じるマスメディアの論調は児童相談所(児相)の手落ちを強調する傾向にあるが、警察が児相に通告した虐待を受けた子どもが8万人にも上る状況では児相だけの責任では済まされないだろう。日本では「しつけ」と虐待の線引きがあいまいであるがゆえに虐待が見逃されケースが多いのではないか。児童虐待を単なる家庭の問題としではなく、社会犯罪と明確に位置付ける必要があるだろう。

   アメリカは明確化している。アメリカの在ナッシュビル日本総領事館のホームページに「安全情報」の中の「米国での生活上の注意事項」に掲載されている。日本で当たり前の親子入浴ですからアメリカでは虐待を疑われる。事例が紹介されている。「某日、幼稚園に通う少女が、父親と一緒にお風呂に入るのがいやだと幼稚園の作文に書いた」、すると「幼稚園の先生が、児童虐待(性的暴力)容疑者として父親を州政府の児童保護局に通報し、調査活動が行われた」。また、「某日、乳児をお風呂に入れている写真を近所のドラッグストアで現像に出した」、すると「ドラッグストアが児童に対する虐待容疑で児童保護局に通報し、児童虐待(性的虐待)容疑で調査活動が行われた」。

    日本とアメリカの文化による認識の違いで、日本では許容されることでも、アメリカでは犯罪として扱われる事例だ。入浴のほかにも、言うことを聞かない子どもの頭を人前でたたいたり、買い物をするときに、乳幼児を車に置いて離れたりすることなども、虐待の容疑で親の身柄が拘束されることもある。社会問題化している児童虐待から子どもの命を守るには、児相に捜査機関としての役割を付与することも必要なのではないだろうか。児相に捜査権があれば、「あの家庭ちょっと様子おかしい」と察した近所からの通報も得られるのではないか。これは子どもの命を守る「善意の通報」である。

⇒7日(木)午後・金沢の天気     くもり

コメント

☆北陸の「春一番」

2019年02月04日 | ⇒トピック往来

   金沢地方気象台はきょう、北陸地方で「春一番」が吹いたと発表し、全国ニュースにもなっている。北陸地方の春一番は統計を取り始めた1999年以降、最も早いという。気象台によると、昨年は2月14日で、10日も早い観測だ。そもそも、「春一番」は立春から春分までの最高気温が前の日を上回る暖かい日に、風速10㍍以上の南風を複数の地点で観測した場合に出される。きょうが立春に当たるので気象台も「一番だ」と勢いよく発表したのだろう。

   確かに、石川県内は昨夜から暖かい南からの強い風が吹いていた。気象台によると、午前11時までの最大瞬間風速は輪島市三井町で23.1㍍、金沢で22.8㍍だ。気温も午前0時すぎに金沢で18.5度だった。4月下旬並みだ。ただ、きょうの日中は金沢で午後1時に10度に落ちたが、それでも3月中ごろの暖かさ。この高気温で庭の積雪も一気に融けた。北陸だけでなく、関東や東海の各地では20度を超える5月中旬並みの暖かさとなっているようだ。

   これも「春一番」だろうか。旧正月の春節に合わせた中国人観光客が金沢にも多く訪れ、きょう歩いた兼六園や片町の繁華街は中国語が飛び交っていた。訪日ビザの発給要件が緩和されたことも、中国からの旅行客が増えた要因となっているようだ。また、貿易摩擦をめぐるアメリカとの対立で、旅行先としてアメリカを敬遠して日本を選ぶ傾向が強まっているとも報じられている。

   「爆買い」で知られる中国人旅行者だが、最近は少々変化があるようだ。地元テレビ局のニュースにもなっていたが、茶屋街で芸妓の三味線や踊りを見たりと体験型のツアーが人気だとか。ただ、この傾向はこれからも続くのどうか。中国経済の下ぶれが顕著になっているからだ。日立やパナソニックなど大手電機メーカーは相次いで、中国向けの産業用や家電の販売減少が見込まれるとして、ことし3月までの1年間の売上と営業利益を下方修正している。(※写真は、インバウンドの観光客でにぎわう兼六園)

⇒4日(月)夜・金沢の天気   はれ

コメント