自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

☆「選挙一過」の光景

2017年10月24日 | ⇒トピック往来
   23日、台風21号が北陸を去ってしばらく青空がのぞいた。すっきりと晴れ渡った金沢の家並み、山河はまさに台風一過の透明度の高い風景だった。衆院総選挙は与党が定数の3分の2(310議席)を超える議席を獲得した。そこから見える光景もまた、くっきりと見える「選挙一過」の政治の光景だ。

    すっきりと見えた山が「株高」だった。23日、日経平均株価は2万1696円と上昇し、ことしの最高値を更新し29年ぶりの高値水準、15営業日連続の値上がりは57年前の14営業日連続の値上がりの記録を超え「史上最長」と、メディアは報じている。「天晴(あっぱれ)」と言うべきか。

   すっきりと見えた公約は消費税率を10%に引き上げること。国の借金減らしに当てる分を削って、幼児教育の無償化などに使うと宣言して安倍総理は解散に踏み切ったのだから、これは間違いなく実行されるだろう。曇り空も見える。では、消費税の使い道を見直すことで財政再建が遅れることを国民にも国際的にも説明責任がある。もう一つ見逃せないのが日銀による大規模な金融緩和が継続されるということだ。

   選挙一過のもう一つの光景は北朝鮮。首班指名を行う特別国会は来月1日に招集され、第4次安倍内閣がスタートする。その最初の大仕事が「トランプ大統領との外交展開」だと読む。5日に2泊3日で日本を訪れるトランプ大統領はゴルフだけをするわけではない。北朝鮮問題、とくに「斬首作戦」の日程の双方合意ではないかと個人的に勘ぐっている。そう推測する理由は、今月20日の各社が伝えている、安倍総理がトランプ大統領を護衛艦「いずも」(全長248㍍)に招待するというニュースだ。「いずも」は海上自衛隊最大級の護衛艦だ。報道各社は「強固な日米同盟をアピールする狙い」など報じているが、本来の狙いは「朝鮮半島有事の際はこの護衛艦を出す」とアピールするためではないか。

   アメリカ軍の機関紙「星条旗新聞(Stars and Stripes)」は今月23―27日で、非戦闘員救出作戦(NEO)訓練を実施すると報じている(9月12日付)。大使館員やアメリカ軍の家族、民間人らが旅券などを持って韓国内に18ヵ所の避難所に集まり、航空機や船舶で日本に逃げる退避訓練だ。その記事の見出しがすべてを物語っている。「US military plans semiannual evacuation drills against backdrop of North Korea tensions」。通常の訓練とは言え、朝鮮半島有事を想定した訓練は半年に一度行われているのだ。アメリカ軍はすでに朝鮮半島沖に戦略爆撃機や原子力潜水艦、空母などを展開している。

   このような状況で、「いずも」にトランプ大統領を招待することは、「斬首作戦」を決意する大統領に対し、後方支援の最大のアピールになると安倍総理は考えているのではないか。衆院総選挙を早めた理由も北朝鮮情勢を計算に入れたものではなかったか、と。これでは勘ぐりである。

⇒24日(火)朝・金沢の天気    くもり

    
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★選挙の開票結果と暴風雨

2017年10月23日 | ⇒メディア時評

            衆院選は22日投開票で、与党が総定数465のうちち、300議席超を確保する勢いとなった。午後8時から選挙特番は自民の圧勝を一斉に伝えた。自民党は単独でも過半数(233)を獲得し、大勝となった。自民党は争点に挙げた北朝鮮への圧力強化など、国民の信任が得られたとして、動きを加速させるだろう。何しろ、アメリカのトランプ大統領が来月5日から2泊3日の日程で日本を訪れる。それまでに特別国会を召集し、首班指名、新内閣の発足と慌ただしい。

    ところで、海外のメディアと今回の総選挙をどう伝えているのか。イギリスの公共放送「BBC」は23日0時00分のホームページの見出しで「Abe on course for strong victory in Japan」と伝えている。「日本の選挙は安部の圧勝だ」と。さらに記事の中で、日本の戦後の、平和憲法を改正するという安部総理の野心にとって大多数での勝利は不可欠」と述べ、自民党は改憲に向けて大きく進むだろう、と論評している。

    アメリカのテレビ「CNN」もNHKの選挙速報の数字を引用して伝えている。出口調査の結果で、大勝が判明した総選挙について安倍総理は「謙遜にこの勝利に向き合わねばなりません」と述べ、「有権者は、我々与党に大多数を与えてくれた。これは日本人の声です。そして、我々は公約を推進して、選挙結果に応える」とNHKのインタビューで答えたと報じている。

    アメリカの経済紙「ウオール・ストリート・ジャーナル」は「Japan's Abe Cements Hold on Power With Election Win」と見出しで伝え、安倍総理は日曜日の国政選挙で有権者から強い新しい委任を得た(NHK出口調査による)。 「1947年に施行された憲法について、最初の改憲に向けて進むだろう。(選挙の)勝利が彼を励ましている」と報じている。

    海外メディアは、安部自民党は改憲に向けて突き進むだろうとの論調で、選挙勝利を伝えている。選挙結果では、確かに野党含め改憲勢力が8割に達したことで、改憲に現実味が帯びてきた。それにしても台風21号の勢いが未明にかけて吹き荒れている。金沢には土砂災害警戒情報が流れている。

⇒23日(月)朝・金沢の天気   暴風雨

   

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☆さいはてのアート <下>

2017年10月20日 | ⇒トピック往来
   先日(今月7日)、奥能登国際芸術祭の実行委員長でもある泉谷満寿裕・珠洲市長と立ち話だったが、今回のアートフェスティバルについて話をうかがうチャンスに恵まれた。「すごい反響ですね」と水を向けると、泉谷氏は「おかげさまで鑑賞者は目標の2倍の6万人を超えそうな勢いで、手応えを感じています」と口元がほころんだ。

    ~芸術はセットで一つ、可能性の示唆「Something Else is Possible」~

    次に「トリエンナーレ(3年に一度の美術展)で次回は2020年になりますが、『奥能登』と銘打っているので2市2町(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)へと会場を広げるお考えはあるのですのか」と質問した。「さいはてのアートなので、他の自治体とも連携してできればさらにアートの面白味がでてきます。しかし、運営資金を出し合うとなると途端にハードルは高くなります」と今度は口元が引き締まった。1週間後の14日夜、再び泉谷市長にお目にかかった。地元のキリコ祭りの会場で、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」で知られる新潟県十日町市の関口芳文市長の訪問を受けて、市内を案内されていた。珠洲市と十日町市の連携イベントを模索しているのかと直感したのだが。

   鉄道の能登線の終着駅だった旧・蛸島(たこじま)駅から数百㍍点前、かつての線路上にカラフルな作品がある。「なにか他にできる Something Else is Possible」(作者:トビアス・レーベルガー)。何か可能性を引き出してくれそうな、響きのある言葉だ。ドイツ人作家であるレ style="float:left; margin: 5px;">    ーベルガー氏が能登に贈ったメッセージではないだろうか。「さいはて」であるがゆえに出来ることがある、と。

    黄色からピンク色への暖色に塗られたトンネルのようなカタチをした作品だ。レールの上を意識したのだろうか。そのトンネルの出口付近に双眼鏡を置いてあり、のぞくとネオンサインの看板が見え、そこに「Something Else is Possible」の文字が描かれている。ボランティアの男性ガイドによると、ネオンサインの看板とセットで一つの作品なのだと解説してくれた。なるほど。肉眼であれ、双眼鏡であれ、近くでも遠く離れていても「作品の場」は構成できる。なるほど、芸術はセットで一つだ。 

   もう一つセットがあった。作品から100㍍ほど山側の線路上に錆びた電車が1車両ある。2005年4月に穴水駅以北の能登線が廃止された後、地元の有志が買い取ってイベントなどに使っていた。が、最近ではガラスが割れ、錆びなどの痛みも激しく、利用されず放置状態となっている。そこで、錆びた車両、カラフルなトンネル、ネオンサインの看板と3点セットで見てみると、過疎の現実からアート表現へ、過去・現在・未来へ、絶望から可能性へ、など一本のレールの上で物語が構成されていることに気付く。

   「さいはて」のアートは22日に千秋楽だ。大型台風が来ることも予想される。衆院選総選挙の投票日も重なって、慌ただしさの中でフィナーレを迎える。2020年、どのような運営コンセプトで開催され、作品が鑑賞できるのか。

⇒20日(金)夜・金沢の天気  くもり 
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★さいはてのアート <中>

2017年10月18日 | ⇒トピック往来

   これはパロディ・アートだと直感した。最初は笑いが込み上げ、後は少々悲しくなる現実と直面するのがこの作品だ。「神話の続き」(作者:深沢孝史)は笹波海岸に創作された「鳥居」である。青空と青い海に映える白い鳥居は印象深い。説明看板には平成29年建立の「環波(かんなみ)神社」で、海と漂着物を信仰する神社、と記されている。

    ~現代の漂着神は海の向こうからの廃棄物、文明の大いなるパロディ~

    2礼2拍手1礼で鳥居をくぐった。よく見ると、鳥居の柱やしめ縄まで、すべて廃棄物なのだ。ボリタンクやペットボトル、漁具など。しかも、ハングル文字や中国語、ロシア語の表記のものが目立つ。日本語のものもある。しめ縄は廃棄された漁網だろうと想像がついた。この周辺で集めた廃棄物で相当の量に驚く。海にはこれほど廃棄物が漂着しているのか、と。

   かつて能登には寄神(よりがみ)信仰があった。文明が大陸からもたらされた時代、海から漂着した仏像や仏具などは神社にご神体として祀られ、漂着神となった。神は水平線の向こうからやってくるという土着の信仰だ。時代は流れ、現在の寄神は最良の廃棄物なのである。その廃棄物で造った鳥居に2礼2拍手1礼するのかと、たっぷりと皮肉が込められていて、思わず笑ってしまう。

   作者の深沢氏はさらに突っ込んだ解釈でこう述べている。「人間たちは、電気を供給する役目を終えてあまりある力を持つ廃棄物=神様を埋葬するために、ガラスの棺に納め、さらに土で周りを囲い、地の底まで埋めて供養することにしました」(説明看板)。廃棄物は海だけでなく、陸にもある。それは、放射性廃棄物だと暗示している。

         この作品を見ながら、ふと、国連環境計画(UNEP)のアルフォンス・カンブ氏の言葉を思い出した。カンプ氏が「いしかわ国際協力研究機構(IICRC)」の所長時代に金沢で知り合い、何度か能登視察に同行したことがある。廃棄物が漂着した海岸を眺めながら、「日本海の環境を守る能登条約が必要ですね」と。もう10年前のことだが、カンプ氏は日本海は生け簀(いけす)のような小さな海域であり、このまま放置すれば大変なことになるとカンプ氏は危機感を抱いていた。地中海の汚染防止条約であるバルセロナ条約(1976年)が21ヵ国とEUによって結ばれ、地中海の海域が汚染されるのを何とか防いでいる。「能登条約」、遅まきながらその必要性を実感した。

⇒18日(水)朝・金沢の天気   はれ



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☆さいはてのアート <上>

2017年10月16日 | ⇒トピック往来

   能登半島の先端・珠洲市で開催されている「奥能登国際芸術祭2017」(9月3日―10月22日)にこれまで4度訪れた。その中から自らの私の感性に合った作品をいくつか紹介する。

     ~海沿いの寂れた小屋と捨てる貝殻が作品になる「サザエハウス」~

   前回ブログで紹介した珠洲市馬緤のキリコ祭り(13、14日)に参加した後、国際芸術祭のポイントをいくつか巡った。途中、沿道の広場で衆院選の候補者用の掲示板があり、近所のおばさんたち3人が候補者ポスターを見ながらにぎやかに話していた。たまたま、通りかかったので、聞き耳を立てた。石川3区(能登地区)では自民の新人(48歳)、希望の元職(43歳)、共産の新人(36歳)の3人が立候補している。「今回の選挙は若い人ばっかりやね。元気があっていいね」と笑っている。すると、一人が口元をほころばせている自民候補のポスターをのぞき込んで、「この人、ちょっと歯並びがよくないね、前歯がガタガタや」と。するともう一人が同じく歯を見せて笑っている希望元職を指さして、「この人はしっかりした歯やわ」と比較した。あとは雑談で終わったようだ。人物は見た目の印象が心に残る。ひょっとして歯並びが投票行動の決め手になるのかもしれないと考えさせられた。本題から話がずれた。

    「サザエハウス」(作者:村尾かずこ)。海沿いの一軒の小さな小屋の壁面を膨大な数のサザエの貝殻で覆っている。よく見るとサザエだけでなく、アワビや巻貝の殻もある。また、同じサザエでも貝殻のカタチが違う。殻に突起がくつもあるもの、まったくないもの、それぞれにカタチの個性がある。サザエは一つ一つがその生息地(海底の岩場の形状など)に適応して形づくられた、完成度の高いアートなんだと改めて思えるから不思議だ。靴を脱いでハウスの中に入ると今度はサザエの貝殻の入ったような白色の曲がりくねった世界が広がる。

   入り口にいたシニアの男性ボランティアに、サザエの殻はどこから集めたのかと尋ねた。すると「全部で2万5千個、全部市内からですよ」と少し自慢気に。聞けば、アーチストの村尾氏との地元の人たちの打ち合わせで、今年6月から一般家庭や飲食店に呼びかけて集め始めた。貝殻の貼りつけ作業が7月からスタートし、作品のカタチが徐々に見え始めると、集まる数も増えた。当初から作品づくりを見守ってきたという男性ボランティアは「サザエの中身は食べるもの、殻は捨てるものですよ。その殻が芸術になるなんて思いもしなかった。殻を提供しただけなのに地元は参加した気分になって、(芸術祭で)盛り上がってますよ」とうれしそうに話した。

   「サザエハウス」の外観は全体に白っぽい。カメラを向けていると、赤いスカートの女性が通り過ぎたのでシャッターを押した。赤と白のコントラストが鮮やかに映った。半島の先端、さいはてのアートがまぶしい。

⇒16日(月)午後・金沢の天気   くもり

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★義経伝説とキリコ祭り

2017年10月14日 | ⇒トピック往来
  きのう(13日)ときょう、能登半島の先端・珠洲市の馬緤(まつなぎ)という集落で伝統の秋祭りがあり、大学の教員スタッフや学生5人でボランティアに出かけた。祭りのボランティアというのは、能登で「キリコ」と呼ぶ高さ12㍍にも及ぶ奉灯を動かす人手が足りず、集落に住む知人から「5、6人、祭りに来て」とSOSが入った。

  夜にキリコが沿道を動き始めると家々の人々は外に出てきて、巡行を嬉しそうに眺める。キリコは集落の誇り、あるいは自慢でもあるのだ。ところが、過疎化で若者の絶対数が足りない。でも、集落のシンボルでもあるキリコは出したい、そこでお声がかかるというわけだ。ただ、私自身がキリコ祭りが好きなので、還暦を過ぎても呼ばれればひょいひょいと出かける。

    この馬緤集落は、キリコに描かれる絵が面白い。源義経の「八艘跳び」の絵や義経と弁慶の絵=写真=なのだ。このキリコ絵の作者であり、祭りに誘ってくれた田中栄俊氏(元珠洲市教育長)が馬緤集落と義経伝説について語ってくれた。

  平氏と源氏が一戦を交えた壇ノ浦の戦い(1185年)で功名を上げた義経は京に帰り、敵方だった平時忠(たらいのときただ、平清盛の後妻である時子の弟)の娘を妻に迎える。義父である時忠は武士ではなく、「筆取り武士」と呼ばれた文官だったこともあり、死罪ではなく流刑となる。その配流先が能登だった。間もなくして、義経も兄・頼朝との仲違いで追われた。義経は奥州・平泉に逃げ延びる途中に加賀の安宅の関、そして能登に流された時忠を訪ね面会した。その場所が馬緤集落なのだ。

  義経の一行がここで滞在するため、馬を繋いだので、「マツナギ」という地名になり、その後「馬緤」の漢字が当てられた。馬に与えるエサがなかったので、海藻の神馬藻(ギバサ、ホンダワラの一種)を村の人が与えた。土地の人は義馬草(ぎばさ)と漢字を当てている。では、弁慶はどうか。「安宅の関」ほどの活躍はないが、能登では水路の石を弁慶が担いで脇によけたと言われる「弁慶石」がある。もう一人、常陸坊海尊は義経一行と別れて能登の山に住み着き修行に励んだ。その山は「山伏山」といわれている。能登にはこうした義経にまつわる伝説が多い。この地域には時忠の子孫とされる人たちもいて、平氏と源氏の伝説が共存する里でもある

  祭りには3基本のキリコが舞った。担ぎ手はシニア世代が多いが、元気がいい。伝説に彩られた地域の「祭りパワー」を感じた。

⇒14日(土)夜・金沢の天気     くもり
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☆里海と子どもたち

2017年10月12日 | ⇒キャンパス見聞
   能登半島の先端、能登町に一般社団法人「能登里海教育研究所」がある。今月6日に同研究所などが主催する「里海科研究発表会・能登の海洋教育シンポジウム~里海と地域連携教育~」が開催され、聴講に出かけた。この一般社団法人が設立する際に関わったこともあり、どのような教育活動がなされているのか関心があった。

    会場は同町立小木(おぎ)小学校。この小学校は文部科学省の特例校に指定されている。この特例校というのは、学習指導要領によらない教育課程を編成して実施することを認める制度で、同小学校は独自の「里海科」を持っている。小学校がある小木地区はイカ釣り漁業が盛んで、地域の生業(なりわい)を初等教育から学ぼうと3年前に開始した。一般社団法人はそうした町教育委員会の動きを支援しようと金沢大学の教員や地域の有識者が構成メンバーとなり、日本財団からファンドを得て設立された。

   同小学校では、たとえば5・6年生の里海科では35時間を使って、漁師の仕事と水産業、海運業、海洋資源、海の環境保全など学ぶ。シンポジウムでは前半に公開授業が、5年生の教室では「日本の水産業」、6年生の教室では「漁師の仕事」をそれぞれテーマに児童たちの話し合いも行われていた。子どもながらイカ釣り漁業の作業工程などしっかりと話しているという印象があった。子どもたちは日頃から父親や祖父から生業について聞いてる。それを授業で語り合うとなると、子どもたちも自然と語り口調にチカラが入るのかもしれない。熱い語りぶりに思わずほくそ笑んだ。

   シンポジウム後半は体育館で、「海洋教育の実践~豊かな自然とアクティブラーニング~」をテーマにポスターセンション、続いて「海洋教育の未来像:学校と地域の連携」をテーマとしたパネルディスカッションがあった。小学校だけではなく、中学や高校の教諭らが能登の豊かな自然環境をハイレベルな海洋教育の実践の場として活用していることが実感できた。

   ただ個人的にはパネルディスカッションなどを聴いていて何か物足りなさを感じていた。シンポジウムの締めの挨拶に立った同小学校の校長の話を聞いてその思いが晴れた。話の中ほどにさりげなくこう触れた。「小木のイカ釣りですが大和堆では北朝鮮の漁船が近寄ってきてイカ漁をするのでうまくいっていない現実もあります」と。

    日本の排他的経済水域(EEZ)の大和堆に北朝鮮の木造船が群れでやってきて、イカの集魚灯を照らす日本のイカ釣り漁船に近寄り、網でイカを採る。イカ釣り船はその網が船のスクリューに絡まって船が破損しないか警戒している。現実に大和堆での漁を断念する漁船が続出している。校長はその現実に触れたのだ。

   教育の現場でいつも問われるのは現実感覚ではないだろうか。子どもに現実を教えても教育にはならないと考えるプロは大半だろう。ところが、小木の漁師の家庭の子どもたちは父や祖父から実際に北朝鮮の話を聞いて知っている。その憤慨して語る姿を目の当たりにしているのだ。締めの挨拶とはいえ、校長がその現実にあえて触れたことは意味があると思った。里海科に日本海で起きているイカ釣り漁の現実をテーマに、漁業をめぐる国際問題を話し合ってみたらどうだろうか。小木の子どもたちは意外と領海、EEZ、安全保障など熱く語るかもしれない。

⇒12日(木)朝・金沢の天気   あめ
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★「ごちゃごちゃ選挙」の行方

2017年10月10日 | ⇒トピック往来
   きょう10日、衆院選の公示、総選挙がいよいよ始まったというか、「ごちゃごちゃ選挙」がとりあえず始まったという印象だ。夜、帰宅すると「投票のご案内」という金沢市選挙管理委員会からの郵便はがきが届いていた。中を開いてみると、期日前投票や不在者投票のことなどが細かく記されていて、なおさら「ごちゃごちゃ感」が募った。

    ごちゃごちゃ選挙の印象はどこが理由なのか、自分なりに点検してみる。第一に争点がどこにあるのか分からない。安倍総理は「国難突破解散」と称して、北朝鮮の核実験・弾道ミサイルの発射に対応した体制づくりと消費税を10%に増税し、幼児教育や保育の無償化など少子化対策に回すと争点を掲げた。野党は増税の凍結を訴えるが、それよりも「解散そのものが森友・加計隠しだ」とのボルテージが高い。政策論争が聞こえない。

   二つ目に、「政権選択選挙だ」と希望の党の小池代表氏は「反安倍」を打ち出したが、肝心の希望の党が総理候補を掲げずに選挙戦に臨んだ。これでは、有権者は政権選択ができない。三つ目が、立候補者そのものの「ごちゃごちゃ感」だ。民進党の出身者の多くが希望の党に鞍替えしたが、政策の調和がはっきりしない。希望の党の公約には「9条を含め憲法改正論議を進める」と明記されているが、鞍替えした中には与党の安保法制や改憲に一貫して反対を叫んできた候補者もいる。地元の選挙でたとえると、今回石川2区で希望の党から立候補した柴田未来氏は弁護士で、昨年7月の参院選では民進党から立候補した。そのとき、金沢市内での街頭演説を聴いたが、「憲法の理想を現実に合わせて引き下げるべきではない」と強調していて、さすがに弁護士だけあって護憲と安保法制の反対の信念は筋金入りだと印象を強くしたものだ。

   きょうの公示、すっきりしない中でも、さまざまな現象が起きている。日経平均株価は6営業日連続の値上がり、132円高い2万823円で今年の最高値となった。これは選挙で政権交代が起きて政治が刷新されるとの期待値なのか、どうか。株式相場の世界では「うわさで買って、事実で売る」と格言があるらしい。うわさ=期待で株価は上がり、結果で売られて下がる。そんなパターンになるのかどうか。ただ、今回の上げは選挙というよりアメリカの景気が連動しているようだ。どこに投票するか、誰に投票するか、秋の紅葉を散策しながら思案したい。

⇒10日(火)夜・金沢の天気   はれ
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☆中秋の名月、世俗では

2017年10月04日 | ⇒メディア時評
    今夜は「中秋の名月」を雲の切れ間から見ることができた。月をめでることができる幸福感に包まれたのだが、それにしても、世俗では毎日テレビで戦国時代のドラマを見ている気分になる。旗揚げ、画策、裏切り、謀反、切腹・・・のシーンが出てくる。

  謀反のシーンは昨日(3日)あった。小池都知事の支持母体「都民ファーストの会」の都議の音喜多駿、上田令子の両氏が辞表を提出した。その言い分は、「二足のわらじが悪いわけではないが、都政は豊洲移転問題や東京五輪を控える中で、都政を片手間にして国政に手をかけることが果たして正しいのか」と指摘。小池知事が国政政党「希望の党」を設立したことや、先月に都民ファーストの代表を選ぶ際、所属議員に諮らずに小池氏から執行部3人だけで決定したことなどを問題視して、「ブラックボックスだ」と。音喜多氏は忠君のイメージが強かっただけに、小池陣営にすれば謀反だろう。

  民進党の枝野幸男氏は2日、「希望の党の理念や政策は私たちのめざす理念や政策の方向性とは異なる」として新たに「立憲民主党」の設立を表明、3日に新党設立の届けを出した。枝野氏は先月30日のインタビューで、民進党の前原誠司代表が進めた民進党の希望の党と合流案について、安全保障関連法廃止を掲げるリベラル派議員が入れないのではと記者に問われ「前原代表は、私には出来なかったら腹を切るとまで言っていたから実現するのではないか」と答えていた。しかし、リベラル派議員は容赦なく排除された。前原氏の切腹はどうなったのか。そういえば、最近、前原氏の姿がテレビに映らない。

  先月27日「希望の党」の旗揚げ会見で、小池氏は2019年10月に予定されている消費税率10%への引き上げを「凍結」、また、2030年までの「原発ゼロ」を訴えた。政権選択をアピ-ルするための「画策」である。昨年7月の都知事選では、小池氏は原発についてあえて明確な方針を掲げず、争点化していなかったはずだ。その手法は「豊洲移転・築地再開発の市場両立」と同じで、良いとこ取りだ。果たして、この手法で国政を動かすことはできるのか。

  衆院選挙を前にした野党再編劇は希望の党が昨日第1次公認を発表したことで少し落ち着きが出た。そして、きょう夕方、元警察官僚で論客でもあった亀井静香氏が政界引退を表明した。80歳。老兵は去った。(※ 写真は、4日午後10時00分、金沢市の上空を撮影) 

⇒4日(水)夜・金沢の天気      くもり
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★不都合な真実か

2017年10月03日 | ⇒メディア時評
   きょう3日も日経平均株価が前日比213円高の2万0614円で終えた。連日で年初来の高値を更新だ。知り合いとの話で、「復興株」と呼ばれている日成ビルド工業(本社・金沢市)のことが話題に上がった。同社は大規模災害時にプレハブの仮設住宅を造ることで実績を上げ、立体駐車場の建設でも定評がある。知人が言うには、「ここ最近、再び上がってきた。北朝鮮がミサイルを日本に打ち込んできたら仮設住宅が必要になる。投資家はそこまで見込んでいる。買いだ」と。「そんな物騒な話で儲けようとは話にならない」と不快感を示すと、知り合いはさらに「いや、ミサイルだけではない。北からの難民が大量に日本に流れ込んでくる。その時はおそらく各地で何百、何千という単位で難民が漂着するだろう。仮設住宅が必要になるんだよ。買いだよ」と。ますます気が重くなった。

    一方の「防衛関連株」の石川製作所(本社・白山市)の終値は2986円(前日比21円高)と3000円目前に迫った。アメリカのトランプ大統領が国連総会での演説(9月19日)で、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と揶揄(やゆ)すれば、金委員長はすかさず声明(9月21日)で「老いぼれ」と返した。北朝鮮メディアによる罵詈雑言は珍しくないが、最高指導者が直に発したのは異例だろう。さらに、李容浩外相は金委員長への批判について「明白な宣戦布告」と見なすと声明(9月25日)を発表した。こうした「言葉の戦争」で防衛関連株はエスカレートしているのか。

   朝日新聞の朝刊(3日付)を読んでいてある記事に目が止まった。「裁判―青酸連続死」の記事。京都、大阪、兵庫で起きた連続不審死事件で殺人罪に問われた筧(かけひ)千佐子被告の裁判員裁判。2日、京都地裁での最後の被告人質問のやりとりがそのまま掲載されていた。裁判員が「死刑になっても仕方がないと思うか」と質問すると、筧被告は「人を殺(あや)めて ごめん、助けてという気持ちは一切ない」、裁判員が「事件について反省しているのか」とただすと、被告は「そんな少女ドラマのようなことを聞かないでほしい。あなたのような若い人にここまで言われたくない。私はあなたのおばあさんのような年だ。失礼だ」と。筧被告の人格がそのまま出ているようなやりとりではないだろうか。

    と、同時にこの記事から石川五右衛門のイメージがわいてきた。京都・南禅寺で包囲され、「絶景かな、絶景かな。春の宵は値千両とは、小せえ、小せえ」とセリフを吐く。そして、三条河原で釜茹(かまゆで)の刑に処せられたとき、「石川や、浜の真砂は尽くるとも、世に盗人の種は尽きまじ」と辞世の句を詠んだ。筧被告は「私はあなたのおばあさんのような年だ。失礼だ」と大見得を切った。

⇒3日(火)午後・金沢の天気     あめ
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