自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

★その署名が世界を変えるのか

2019年11月28日 | ⇒ニュース走査

   トランプ大統領に相当な決断があったことは想像に難くない。今月23日付のこのブログで、トランプ氏が香港の一国二制度を支援する香港人権・民主主義法案がアメリカ議会上下院で採択され、大統領署名をするのか拒否権を発動するのかどうか、「通商交渉を有利に進めるために法案をチラつかせ、中国側が仕方なく折れてアメリカ側が交渉を勝ち取ったとしたらどうだろう。トランプ氏は微笑みながら拒否権を発動するだろう。」と書いた。さらに「『金のために民主主義を売ったアメリカ大統領』として歴史に悪名を刻むことになるのではないか。」とも述べた。

   というのも、トランプ氏はそれまで、「中国は香港との境界沿いに多くの軍部隊を駐留させているが、香港に侵攻していないのは私が習主席に侵攻しないよう要請しているからにほかならない」「現在、歴史上最大の通商合意に向け交渉が進められており、実現すれば素晴らしいことになる。 私がいなければ、香港で数千人の人々が殺され、警察国家が誕生することになる」(22日付・ロイター通信Web版)と述べていた。記事をストレートに解釈すれば、トランプ氏が中国による香港への侵攻を習氏に要請して止めているので、法案は必要ない、つまり拒否権を発動すると同じ意味ではないかと読んでいた。 

   民主主義を守るというアメリカ議会の強い政治姿勢を示した法案だけに、トランプ氏にとっては拒否権を行使したら、国内外からの大きな非難に揺れる。その意味で、香港の区議会議員選挙の結果を見計らったうえでの決断(署名)だったのだろう。きょうのアメリカのCNN(Web版)=写真=によると、新法は政府に対し香港の特別な自由が保たれているか毎年検証するよう求めているほか、自由が維持されていないと判断された場合、香港への優遇装置の取り消す。また、香港市民の恣意的な拘束、拷問、自白強要などに関与した人物への渡航制限、民主化を阻害した人物に対する資産凍結などの措置も盛り込まれている。個人への制裁にも及ぶ強烈な内容だ。

   当然、中国政府は怒り心頭だろう。時事通信Web版によると、法成立についてさっそく非難声明を出し、香港や中国の内政に対する著しい干渉であり、「赤裸々な覇権行為」「中国は必ず断固反撃を加え、それで生じる一切の結果はアメリカが負う」と激しく反発している。世界の2大国の対立が経済面、政治面で先鋭化してきた。これがグローバル社会にどう波及するのか。日本の政治はこの事態にどう向き合うのか。まさか、あすも「桜を見る会」なのか。きょうの夕方、北朝鮮は飛翔体を発射したようだ。アメリカと中国、韓国と北朝鮮の混迷がさらに深まる。

⇒28日(木)夜・金沢の天気     くもり

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☆ローマ教皇、極東の旅

2019年11月26日 | ⇒メディア時評

   「民主化運動に前例のない地すべり的勝利」とイギリスBBC(26日付・日本語版)は伝えている。24日に投票が行われた香港の区議会議員選挙は、18の区議会の合わせて452の議席をめぐって争われ、政府に批判的な民主派が80%を超える議席を獲得して圧勝した。

   同Web版では、親中派の有力議員を破った21歳から37歳の4人の若い候補者たちを紹介している。ベテラン政治家を800票差で下した21歳の学生は、匿名の脅迫状が送り付けられる中で活動を続け、「きょうの勝利と記録的な投票率は、この壊滅的な状況における香港市民の声をはっきりと反映している」と勝利の喜びを語っていると紹介されている。この記事を読んだだけでも、体を張った選挙だったということが伝わってくる。

   一方で、民主派が圧勝し抗議活動が勢いを増すのを警戒する中国政府は、アメリカ議会が香港人権・民主主義法案を議会上下院で可決したことを受けて、北京に駐在するアメリカ大使を呼んで強く抗議し、トランプ大統領の署名で法案を成立させた場合、報復措置を取ると警告したと報じられている(26日付・NHKニュースWeb版)。中国外務省の次官はアメリカ大使に対し、「法案の成立を阻止し、内政干渉をやめるよう強く求める。さもなければ一切の悪い結果はアメリカが負うことになる」と抗議した(同)。

   アジアに熱風が吹く中、ローマ・カトリック教会の教皇として38年ぶりに日本を訪れたフランシスコ教皇。24日に長崎市の爆心地公園で、同日夜には広島の平和公園でそれぞれスピーチを行った。安倍総理との懇談(25日)では、「広島と長崎に投下された原爆によってもたらされた破壊が二度と繰り返されないよう阻止するために必要なあらゆる仲介を推し進めてください」と訴えていた。教皇は核を持つことで戦争を防ぐ「核抑止論」そのものを批判し続けている。総理は、アメリカの「核の傘」に守られた日本の安全保障政策に変わりはないとの見解だ。基本的なすれ違いが見えていた。

   今回の教皇来日でどのような成果があったのだろうか。ただ、目立ったのは、これまでメディアは「ローマ法王」と称していたのに、今回は「教皇」と呼び方を変更したことだ。20日の政府発表で、カトリック関係者の間では教皇の呼び方が普及しているので来日を機に名称を統一したようだ。

   きょう昼前、教皇は羽田空港からバチカンへ帰国の途に就いた。4日間の滞在での教皇のお気持ちはいかばかりだったか。教皇が各国に批准を呼びかけている核兵器禁止条約に日本は参加していない。煮え切らぬお気持ちだったに違いない。むしろ、香港に立ち寄ってみたかったのではないか。82歳、極東の旅はお疲れだったろう。

⇒26日(火)夜・金沢の天気     くもり

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★香港のめげない民主主義

2019年11月25日 | ⇒ニュース走査

   香港の民主主義は生きている。実施さえも危ぶまれていた香港の区議会議員選挙がきのう(24日)予定通り行われ、香港メディアは政府に批判的な立場の民主派が議席の3分の2にあたる300議席を超えると報じている。この様子を、「Hong Kong elections: Pro-democracy group makes big gains.」とイギリスBBC(25日付・Web版)は伝えている。あの騒乱の中で投票率が70%を超えて過去最高となり世界の注目を集めていた。冒頭で述べた言葉は「香港のめげない民主主義」と言い換えてよいかもしれない。

   注目したのは投票率だった。4年に1度行われる香港の区議会議員選挙(18区議会で452議席)は有権者(18歳以上)による直接投票のため民意を反映する選挙と言える。抗議活動が激しさを増しす騒乱状態の中、安全で公正に行えるのかという懸念の声が市民からも上がり、600余ある投票所すべてに重装備の警察官が配置されるなど厳重な警備態勢がとられたようだ。その状況下で、投票率は71.2%と、4年前を24ポイント上回った。香港の有権者は相当の覚悟を持って投票場に足を運んだに違いない。

        もう一つ注目していたのは開票の在り方だ。諸外国で見られる、票のすり替えによる権力側の不正などは香港ではできないシステムのようだ。と言うのも、開票作業はメディアや有権者への公開で行われていて、開票作業の様子を画像で掲載しているメディアもある(25日付・朝日新聞Web版)。余談だが、日本でも開業作業は公開されていて、その様子を双眼鏡でのぞくことも許可されている。日本のメディアは「開披台(かいひだい)調査」と呼び、候補者の得票を先読みする際に使う手法だ。開票作業の公開は民主主義を担保している。

    民主派の躍進で今後、中国政府はどのような手を打ってくるのか。香港の民意がはっきりしたことで、中国政府のあせりは相当であることは想像に難くない。むしろ、これを機会に中国政府が香港の一国二制度を担保し、人民解放軍を引き上げると宣言すれば、中国の国際評価はかなり上がると思うのだが。

⇒25日(月)朝・金沢の天気     あめ

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☆政治外交の茶番劇

2019年11月23日 | ⇒メディア時評

    茶番劇とはこのことか。韓国政府はきのう(22日)、破棄を決定していた日本と韓国のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)について失効を回避することを決めた。きょう午前0時が期限だったので土壇場での決定だろう。朝刊では各社が「さらなる関係悪化はひとまず避けられた」と述べているが、この決定を評価する読者はいるだろうか。「下手な芝居はもうやめろ」というのが率直な感想ではないだろうか。

    各社の関連ニュースをチェックすると、韓国側は破棄するとした通告を「停止する」と発表したのであって、「撤回する」と言っていない。つまり、輸出管理をめぐる今後の日本と韓国の対話の進展を必要とする「条件付き」の措置なのだ。優遇措置の対象国「ホワイト国」に戻さなければ、停止を撤回すると脅している。言葉遊びのようなことを繰り返している外交では、両国の関係改善につながるはずがない。

    茶番劇になりそうなニュースをもう一つ。アメリカのトランプ大統領は、香港の一国二制度を支援する香港人権・民主主義法案が議会上下院で採択され、大統領署名をするのか拒否権を発動するのかとTVメディアから問われ、「香港と立場を共有する必要はあるが、中国の習主席とも立場を共有する必要がある。習主席は友人であり、立派な人物だ」と述べ、明言を避けたと報じられている(22日付・ロイター通信Web版日本語)。

   大統領署名によって法案が成立すれば、中国側が態度を硬化させ通商交渉に影響が出ることは間違いない。逆に、通商交渉を有利に進めるために法案をチラつかせ、中国側が仕方なく折れてアメリカ側が交渉を勝ち取ったとしたらどうだろう。トランプ氏は微笑みながら拒否権を発動するだろう。

   ロイターの記事によると、トランプ氏は「中国は香港との境界沿いに多くの軍部隊を駐留させているが、香港に侵攻していないのは私が習主席に侵攻しないよう要請しているからにほかならない」とし、「現在、歴史上最大の通商合意に向け交渉が進められており、実現すれば素晴らしいことになる。 私がいなければ、香港で数千人の人々が殺され、警察国家が誕生することになる」と述べた。

   記事をストレートに解釈すれば、中国の香港への侵攻を習氏に要請して止めているので、法案は必要ない、つまり拒否権を発動する、と同じ意味だろう。仮にこうなれば、ホワイトハウスの大茶番劇となる。そして、「金のために民主主義を売ったアメリカ大統領」として歴史に悪名を刻むことになるのではないか。

⇒23日(土)午後・金沢の天気      はれ

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★「安倍一強」を問うならば

2019年11月21日 | ⇒ニュース走査

      連日、総理大臣主催の「桜を見る会」をめぐり、ことしの招待者のうち千人程度が安倍総理からの推薦だったことについて国会で問題になっている。きょう21日は参院内閣委員会で、総理が地元関係者を招いたことは公職選挙法違反に当たるのではないかとの追及があり、菅官房長官は「当たらない」と答弁をしていた。ニュースを見ていて、国会になぜ緊迫感がないのだろうかと正直思う。国会がまるで「お花畑」のようだ。花見の会を国費でやること自体が間違っている。野党は「無意味な桜を見る会なんて金輪際止めろ」となぜ言わないのか、と不思議だ。

  一方で緊迫しているのが香港だ。アメリカ議会上院は、香港での人権尊重や民主主義を支援する「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決した(19日)。香港の一国二制度が機能しているかどうかアメリカ政府に毎年の検証を義務付け、人権を犯した中国政府関係者らに制裁を科す内容だ。下院では10月に可決されていて、成立にはトランプ大統領の署名が必要となる。おそらく、中国は猛反発してくるだろう。貿易交渉どころではない、次なる対立のステージに上るのではないかと緊張感が走る。

  日本の国会とアメリカの議会、この違いは何だ。野党が指摘するように、「安倍一強」のせいなのか。もし安倍一強を言うのであれば、このテーマを問うてほしい。安倍総理は中国の習近平国家主席を国賓として来春に招くという段取りで動いている。来月下旬に中国・成都で予定される日中韓サミットの折に北京で習氏と会談して国賓来日を確認するという。

  香港での民主主義の蹂躙、尖閣諸島周辺での中国公船の連日の挑発的な行為などを今の中国の政治姿勢に違和感を持っている日本国民は多い。内閣府による「外交に関する世論調査」(2018年10月)でも、中国に親しみを感じる20.8%、感じないが76.4%である。この状況下で国民は習氏に国賓来日を歓迎するだろうか。国賓として招く目的は何か。これで上記の問題が解決するのだろうか。これこそが安倍一強の姿ではなのだろうか。で、これをなぜ野党が国会で質さないのか。

⇒20日(木)夜・金沢の天気    くもり

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☆続・ 「香港騒乱」の様相

2019年11月19日 | ⇒ニュース走査

        騒乱状態の香港。アメリカのポンペオ国務長官が、デモ隊と警官隊の激化する衝突について「深刻な懸念」を表明したとメディアが報じている(19日付・共同通信Webニュース)。それによると、ポンペオ氏は香港市民はイギリスからの香港返還(1997年)に際し保障された自由を求めているだけだと指摘し、「中国共産党は約束を守らなければならない」と述べ、香港政府による暴力的対応を支持する中国政府をけん制した。一連の香港発のニュースをチェックしていると、警察によるまるで武力制圧の様相だ。

   香港の騒乱を詳細に報じているイギリスBBCのWebニュース(18日付日本語版)では、警察官が理工大学のキャンパスに入った様子を記者がルポしている。17日午後5時半ごろ、警官隊がキャンパスを制圧しようと攻勢に出た。デモ参加者は、火炎瓶やレンガを投げるなどして抵抗した。双方の衝突が散発的に続き、キャンパス内では火炎瓶による火災が発生した。一部のデモ参加者はキャンパスを出ようとしたが、警官隊の催涙ガスで押し戻した。

   警官隊は17日午後10時を最終期限とし、デモ参加者に降伏を呼びかけ、応じなければ殺傷能力のある武器を使う可能性もあると警告した。すると、多くのデモ参加者は黒い服を脱いでマスクを外し、姿を消した。多くの若者が拘束され、キャンパスには500人以上の若者がとどまっていてる。

   キャンパスに残った若者・学生たちは危険を考慮せず、覚悟を固めているようだという。BBC記者に学生は「もし私が死んだら、私のことを覚えていてほしい」と言った。記者が「そういう事態になると思うか」と聞くと、不安そうに肩をすくめたという。死を覚悟している若者の姿が目に浮かぶ。

   その若者たちを助けようと市民が動いた。けさ19日のNHKニュースによると、警察に包囲され大学にとどまる学生たちを助けようと大勢の市民が大学の周辺に集まった。しかし、警察は強制排除に乗り出し、市民と衝突した。拘束される人が相次いだ。ポンペオ氏が「深刻な懸念」を表明した背景は、保障されたはずの自由がすでに市民から奪われているこの現状に危機感を抱いたのだろう。

⇒19日(火)朝・金沢の天気    くもり

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★ 「香港騒乱」の様相

2019年11月18日 | ⇒ニュース走査

   まさに騒乱の様相だ。香港警察は18日、抗議活動参加者らとのにらみ合いの末、大学に突入したとイギリスBBCのWeb版が伝えている=写真=。150年以上もイギリスの植民地だった香港は、一国二制度の下に中国に返還され、特別行政区となった。表現の自由などの権利も保障されている。デモの発端は、犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改定案をめぐってだった。

   逃亡犯条例が中国政府と間で成立すれば、中国に批判的な香港の人物がつくられた容疑で中国側に引き渡される。つまり、表現の自由などが脅かされるのではないかとの懸念が香港の学生や市民の間で高まった。10月に改正案は撤回されたものの、香港政府はデモの参加者にマスクの着用を禁止する緊急状況規則条例「覆面禁止法」を制定した。顔を出させることでデモの過激化を抑圧する効果を狙ったものだろう。中国社会では監視カメラによる顔認証システムの普及していて、個人の情報が警察などで蓄積されていることは知られている。これに反対して逆に学生たちが覆面化・仮面化して、抗議活動が過激化する。まさにパラドックス現象となった。

   衝撃的な映像が日本のテレビメディアでも流れた。警察官が交差点で、近づいてきた黒いマスクのデモ参加者に至近距離で発砲し、命中して倒れる様子だ(今月11日付)。この映像はもちろん世界に流れたであろう。冒頭で「騒乱の様相」と述べた。デモ参加者に対する警察側の発砲は、すでに警察では鎮めることが不可能な状態にあることを示すシンボリックな映像ではないかと読む。次なるステージは、軍による介入だろう。そう思案していたところに、別のニュースが流れてきた。香港に駐留する中国の人民解放軍の軍人らが、デモの学生らが路上に設置した障害物を撤去する活動に参加した(16日付・朝日新聞Web版)。軍の駐留部隊が動くのは初めてで、軍隊の存在を示し、デモ隊を牽制する狙いがあるのではないか、と報じられている。

        BBCの記事は生々しい。「Large fires broke out at entrances to the Polytechnic University (PolyU), where protesters hurled petrol bombs and shot arrows from behind barricades.Officers earlier warned they could use live ammunition if protesters did not stop attacking them using such weapons.」(ポリテクニック大学(PolyU)の入り口で大規模な火災が発生し、抗議参加者は警察にガソリン爆弾を投げつけ、バリケードの後ろから矢を放った。警官は以前、抗議者がそのような武器を使用して攻撃するのを止めなかった場合、実弾を使用できると警告していた)。先が読めない、騒乱の様相だ。

⇒18日(月)午前・金沢の天気    はれ

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☆「桜を見る会」野党追及が内閣支持率を

2019年11月16日 | ⇒ニュース走査

    この支持率の意味を考えてみた。きのう(15日)の時事通信Webニュースによると、11月の世論調査(8-11日、回収率62.5%)は内閣支持率が前月比で4.3ポイント増えて48.5%、不支持率は3.6ポイント減り29.4%となった。NHKの世論調査(8-10日、回答率58%)は内閣支持率が9月調査より1ポイント減り47%、不支持は2ポイント増え35%だった。経産大臣と法務大臣の閣僚の相次ぐ辞任や、大学入試への英語民間試験の導入見送り、総理主催の公的行事「桜を見る会」の私物化問題など政権側の不手際が相次いでいるにもかかわらず、この内閣支持率の高さは一体なぜなのか。

    その考えるヒントは意外と、きょう朝に視聴した日テレ系番組『ウェークアップ!ぷらす』にあるかもしれない。番組では、桜を見る会が来年は開催中止となることを特集していた。桜を見る会の前日に都内ホテルで開かれた安倍総理の後援会「前夜祭」の夕食会の会費が5千円だったことから、野党側は総理サイドが差額分を負担していたら公職選挙法に抵触することになり、「総理辞職」を念頭に徹底して追及する構え。この件では安倍総理は記者団に「事務所や後援会としての収入、支出は一切ない。金額はホテル側が設定した」と説明している(15日)。

    この一連の国会の動きに、キャスターの辛坊治郎氏が「連日の野党の追及を聞いていると、野党の人たちはバカなんじゃないかと多くの人は思います」と持論を述べていた。この辛坊氏のコメントは総理を擁護するという立場の発言ではなく、関西人の目線だ。「私、関西でメディアやってて不思議なのは、けっこう大騒ぎになってますが、在京のテレビ局にしろ新聞社にしろ全員幹部が毎年参加していて実態知らないはずがない」と辛口だった。これは視聴者と近い感覚かもしれない。視聴者の大多数は有権者でもある。

    有権者の感覚は「そんなこともあるだろう。本人がやりすぎたと反省すればそれで済む話ではないか。来年は中止、それでよい」ではないだろうか。国会で野党が連日追及し、それを大見出しで新聞やテレビメディアが報じていることに、有権者は意外とさめている。そこに、「世論調査です、協力ください」と電話がかかり、「安倍内閣を支持しますか」と問われると、現内閣支持と答え、その理由に「他に適当な人がいない」(時事通信の調査23.0%)の選択肢を取ってしまうのではないか。政党支持率は自民が前月比2.6ポイント増の30.1%でトップ、立憲民主は同2.7ポイント減の3.1%だ。野党頑張れの有権者のエールはこの数字からは読むことができない。

    今月23日に失効が迫っている日本と韓国のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)について与野党のまともな論戦を見たことがない。野党は倒閣ありきの追及ではなく、国際問題や国内問題で政権と論戦を交わしてほしい。

⇒16日(土)午後・金沢の天気    くもり時々あめ

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★話題2題~雪と新聞休刊日~

2019年11月15日 | ⇒メディア時評

  今週、知人や職場の同僚で話題になっていることを2つ。気象庁が「新しい雪の情報」を発表するとリリースした(13日)。山形県、福島県(会津地方)、新潟県、富山県、石川県、福井県 の6県において、 「顕著な降雪が観測され、今後も継続する見込まれる場合には、『短時間の大雪に対して一層の警戒を呼びかける情報』を発表します」と。具体的な内容は、県内各地の積雪の深さ、降雪量の解析結果を色分けして図で示すもの。道路地図や鉄道路線図と重ね合わせて見ることができる。これまでは積雪量をセンチで表記されていた。

   昨年(2018年)2月、北陸は豪雪に見舞われた。近年は「集中的・記録的な降雪」といった言葉をテレビメディアで聞くようになった。豪雪による高速道などでの大規模な車両渋滞や、社会生活への影響が問題となっている。気象庁の速報体制の充実は、こうした雪害や記録的な大雪を踏まえてのことだろう。金沢大学は山手にあり、市内の平野部より積雪は5割増しだろうか。キャンパスの雪道で車同士の接触事故などよく見かける光景だ。積雪情報で多様な情報が得ることができれば、心構えもできる。雪のシーズン到来を前に、ある意味朗報ではある。(※写真・上は気象庁のニュースリリースより)

  話題をもう一つ。今月10日午後、秋晴れの下での天皇陛下の即位を祝うパレード(祝賀御列の儀)をテレビで視聴していた。皇居宮殿から赤坂御所まで4.6㌔の沿道を12万人が埋めた。小旗を振り、国民の祝うムードが盛り上がっていた。夕方からのニュースも祝賀パレード関連で一色だった。メディアによると、午後3時から1時間のNHKの中継番組の視聴率はビデオリサーチ調べで27.4%(関東地区)だった(11日付・共同通信ニュースWeb版)。

  12日朝、朝刊を手にすると一面で即位パレードの記事が出ていた=写真・下=。「終わった祝賀行事をなぜ2日後に今さら」と。時間感覚が一瞬歪んだせいか、不愉快になった。そうか、新聞休刊日で11日付の朝刊は配達されなかったのだ、と気が付いて納得した。11日の夕刊でも掲載されていたのだが、夕刊は購読していない。このタイムラグを感じたのは私だけではなかった。知人からも「2日後にニュースなんて、なんか違和感があるよね」とメールが届いた。

  即位パレードは当初10月22日だったが、台風19号の被災者に配慮され、11月10日になった。11日の新聞休刊日はすでに決まっていた。知人は続けて、「新聞休刊日は分かるが、一大イベントがあった翌日は臨機応変に朝刊を出せばよかったのではないか」と。同感だ。うがった見方だが、臨機応変に対応するほどのイベントではないとの新聞各社の判断だったのだろう。

⇒15日(金)朝・金沢の天気    くもり時々あめ

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☆NHK同時配信の新たな問題点

2019年11月13日 | ⇒メディア時評

   前回のブログでNHKが民放に先駆けて進めている番組のインターネット同時配信について、高市総務大臣が閣議後の記者会見(11月8日)で、待ったをかけたことを書いた。総務省サイドとしては、コストが適正かどうかなど懸念を述べ、NHKの肥大化につながる恐れがあるとの考えを示した。

   その理由は、NHKの基準案では、同時配信などの基本業務は受信料収入の2.5%を上限とする今の基準を守るとした一方で、1)東京オリンピック、2)国際放送の配信、3)字幕と手話への対応、4)地方向け放送や民放連との連携の4業務は公益性が高いので別枠扱いにするとした。これに対し、総務省サイドは費用が最大で受信料収入の3.8%に膨らむではないかとクレームをつけたのだ。総務省の指摘の通りで、別枠扱いを認めれば予算はさらに膨張するだろう。まず、NHKのミッションである人々の命と財産を守る、災害報道に対応するため、同時配信をそのものを一刻も早くスタートさせることだ、と述べた。別枠はスタートしてから考えるべきだ。

テレビ   総務省の「待った」には背景がある。受信料である。NHKの受信料収入は年間7000億円を超え、繰越金残高はNHK本体だけでも1000億円もある、とされる。高市大臣が受信料が適正かどうかと問うたのは、ある意味、国民目線の疑問でもある。もちろん、NHKの反論もあるだろう。10月から消費税が8%から10%に引き上げられたが、NHKは放送受信料額を改定せず、「受信料は実質2%の値下げ」とした(NHKホームページ「受信料の窓口」)。さらに、NHKは来年10月までに2.5%の値下げを行う予定で、合わせて実質4.5%の値下げになる、と主張しているのだ。この程度の「値下げ」で国民は納得するかどうか、だ。 

   先日(8日)のニュースで、NHKの受信料名簿が集金委託先の会社を通じて外部に漏れ、それが特殊詐欺に使われていたと報じられた。NHKは記者会見で、名簿には家族構成など含んだ個人情報が掲載されていると説明した。このこと自体、契約者の不信感を増幅させた。なぜ、受信契約でそのような個人情報が必要なのか。契約の範囲を超えて、視聴者を管理しようとの意図があるのではないか。このような中で、インターネットの同時配信が可能になれば、NHKは契約者の好みの番組なども把握できるだろう。

⇒13日(水)午前・金沢の天気    はれ

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