自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

★グランドスラム広告

2019年01月30日 | ⇒トピック往来

   全豪オ-プンの女子シングルスで、全米オープンに続き4大大会の2連勝を遂げた大坂なおみ選手が、世界ランキングで男女を通じてアジア勢初の1位に輝き、日本、そして世界を沸かせている。まだ21歳、若きテニスの世界女王の誕生だ。29日付の全国紙の朝刊で、大坂選手のスポンサー日清食品の全面広告が目立った。

   「グランドスラム連覇 おめでとう!!」「歴史的快挙!すごすぎます!!」「世界ランキング1位!!!」「GOOD JOB!!NAOMI!!!」「謙虚さも世界一」「新女王誕生!これからもずっと応援します。」などお祝いのメッセージが躍っている=写真=。 大坂選手とスポンサー契約を結ぶ日清食品のアニメーション動画の広告で、大阪選手の肌が実際より白く描かれているとの批判が起き、同社は23日夜にアニメ動画を削除したばかり。それだけに、今回の全面広告は日清食品の商魂のたくましさを見せつけた。

   さあ、次は全仏オープンだ。5月下旬からパリのスタッド・ローラン・ギャロスで開催される。4大大会で唯一のクレーコートによる試合で、粘土と赤土でつくられたコートは球足が遅くなるため、選手の体力や精神力が試されると言われる。その次が6月下旬から7月にかけて行われる全英オープン(ウィンブルドン大会)。ロンドンのオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブの全面グラスコート(芝コート)だ。芝のコートは球が速く低く弾む特性があり、選手の得手不得手がはっきり出るとされる。開催場所のテニスクラブの規定で、選手は白いテニスウェアを身につけなければならない。

   大阪選手のグランドスラム4連覇はなるのか。日清の次なるグランドスラム広告も見てみたい。それにしても、全豪オ-プン優勝翌日の会見で記者から大会を終えて食べたいものは何ですかと問われた大坂選手は「カツ丼、アゲイン」と全米オープン優勝のときと同じメニューをあげて、記者たちの笑いを誘ったと報じられている。日清とすれば、「カップヌードル」、せめて「ラーメン」と答えてスポンサーの気持ちを忖度してほしかったと思っているに違いない。蛇足だが。

⇒30日(水)朝・金沢の天気   はれ  

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☆施政方針演説の地方創生モデル「春蘭の里」

2019年01月29日 | ⇒トピック往来

   きのう(28日)第198回通常国会で安倍総理は施政方針演説の中で、能登半島の農家民宿で組織する「春蘭(しゅんらん)の里」(能登町)のことを述べた。「地方創生」の項目の中で、「田植え、稲刈り。石川県能登町にある50軒ほどの農家民宿には、直近で1万3千人を超える観光客が訪れました。アジアの国々に加え、アメリカ、フランス、イタリア。イスラエルなど、20ヵ国以上から外国人観光客も集まります。」と例に挙げ、「観光立国によって全国津々浦々、地方創生の核となる、たくましい一大産業が生まれた」と。

   「春蘭の里」が施政方針演説の中で取り上げられるまでに一つの大きな転機があった。世界の地域おこしを目指す草の根活動を表彰するイギリスBBCの番組「ワールドチャレンジ」。世界中から毎年600以上のプロジェクトの応募がある。最優秀賞(1組)には賞金2万ドル、優秀賞には1万ドルが贈られる。2011年のこの企画に能登半島からエントリーした『春蘭の里 持続可能な田舎のコミュニティ~日本~』が最終選考(12組)に残った。日本の団体が最終選考に残ったのは初めてだった。惜しくも結果は4位だったが、地元はいまでも「BBCに認められた」と鼻息が荒い。
        
         ちなみに、他の11組は、ナイル川の農業廃棄物を使って高級紙製品を作るエジプトの非営利企業や、ニューヨークのビルの屋上スペースで本格的な農業を行う取り組み、パラグアイの先住民と企業が協力して熱帯雨林でハープティーを育てる取り組みなどが選ばれていた。

   春蘭の里は50の農家民宿が実行委員会をつくって、インバウンド観光の里山ツアーや体験型の修学旅行の受けれを積極的に行っている。驚いたのは、BBCに取り上げられてからというもの、実行委員会の役員たちの名刺の裏は英語表記に、そして英語に堪能な若いスタッフも入れて、民宿経営の人たちは自動翻訳機を携え、ビジネスの「国際化」を地で行っている。
   
   春蘭の里がBBC放送にエントリーしたのは、突飛な話ではない。前年の2010年10月、名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の公認エクスカーション(石川コース)では、世界17ヵ国の研究者や環境NGO(非政府組織)メンバーら50人が参加し、春欄の里でワークショップを繰り広げた。そして翌年2011年6月、北京での国連食糧農業機関の会議で「能登の里山里海」が世界農業遺産(GIAHS)に認証され、能登にはある意味での世界とつながる大きなチャンスが訪れた。春蘭の里はこの機会を見逃さずにエントリーしたのだった。

   チャンスを逃さず、グローバルに挑む。能登半島の小さな集落の壮大なチャレンジではある。それを「地方創生」のモデル事例として政府も見逃さなかった。(※写真=「春蘭の里」には世界から日本の里山を見学に訪れる。左はリーダーの多田喜一郎氏)

⇒29日(火)朝・金沢の天気     ゆき

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★「雪すかし」 不都合な真実

2019年01月28日 | ⇒ドキュメント回廊

   金沢の「雪すかし」、つまりスコップを持っての除雪にはちょっとした暗黙のルールのようなものがある。時間的には朝、それも学校の児童たちが登校する前の7時すぎごろ。ご近所の誰かが、スコップでジャラ、ジャラと始めるとそれが合図となる。別に当番がいるわけではないが、周囲の人たちがそれとなく家から出て来始める。「よう降りましたね」「冷え込みますね」とご近所が朝のあいさつを交わす。いつの間にかご近所が一斉に雪かきをしている=写真=。

   雪をすかす範囲はその家の道路に面した間口部分となる。角の家の場合は横小路があるが、そこは手をつけなくてもよい。家の正面の間口部分の道路を除雪する。しかも、車道の部分はしなくてよい。登校の児童たちが歩く「歩道」部分でよい。すかした雪を家の前の側溝に落とし込み、積み上げていく。冬場の側溝は雪捨て場と化す。

   暗黙のルールに従わなかったからと言って、罰則や制裁があるわけではない。雪は所詮溶けて消えるものだ。しかし、町内の細い市道でどこかの家が積雪を放置すれば、交通の往来に支障をきたし雪害となる。ご近所の人たちはその家の危機管理能力を見抜いてしまう。

   雪すかしのご近所ルールはさて置くとして、最近ある懸念を抱いている。最近のスコップはさじ部がプラスチックなど樹脂製が多い。少し前までは鉄製やアルミ製だったが、今はスコップの軽量化とともにプラスチックが主流なのだ。雪をすかす路面はコンクリートやアスファルトなので、そこをスコップですかすとなるとプラスチック樹脂の方が摩耗する。その破片は側溝を通じて川に流れ、海に出て漂っている。日常の雪すかしが、意識しないうちに「マイクロプラスチック汚染」を増長しているのではないか、ということだ。

    マイクロプラスチック汚染は、粉々に砕けたプラスチックが海に漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニール)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持っているとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で最後に人が魚を獲って食べる。

    ご近所で仲良く路上で雪すかしをするが、それが知らず知らずのうちにマイクロプラスチックを陸上で大量生産することになっているとすれば、それこそ不都合な真実ではある。そう考えると、樹脂製のスコップには製造段階でさじ部分の先端に金属を被せることを義務づけるなどの対策が必要なのではないだろうか。

⇒28日(月)朝・金沢の天気    くもり   

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☆雪吊りの価値と景観

2019年01月27日 | ⇒ドキュメント回廊

   けさ金沢はすっかり雪景色になった。それでも自宅周囲は20㌢ほど。昨年のこのごろは70㌢積もったこともあったので、ある意味穏やかな冬将軍かもしれない。雪が積もると金沢の街で目立つが雪吊りだ。北陸の湿った重い雪から樹木を守ってくれて、さらに冬景色を単なる銀世界からアートへと誘ってくれる。まさに、雪吊りが醸し出す価値と景観だ。

   金沢の造園業者は雪吊りにかけてはなかなか「うるさい」(技が優れている)。雪吊りには木の種類や形状、枝ぶりによって実に11種もの技法がある。庭木に雪が積もりと、「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」と言って、樹木の形状によってさまざま雪害が起きる。樹木の姿を見てプロは「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」の手法の判断をする。毎年見慣れている雪吊りの光景だが、縄の結び方などもまったく異なる。

   雪吊りで有名なのは「りんご吊り」=写真・上=。五葉松などの高木に施されている。マツの木の横に孟宗竹の芯(しん)柱を立てて、柱の先頭から縄を17本たらして枝を吊る。パラソル状になっていることろが、アートなのだ。「りんご吊り」の名称については、金沢では江戸時代から実のなる木の一つとしてリンゴの木があった。果実がたわわに実ると枝が折れるので、補強するため同様な手法を用いていたようだ。

   低木に施される雪吊りが「竹又吊り」=写真・下=。ツツジの木に竹を3本、等間隔に立てて上部で結んだ縄を下げて吊る。秋ごろには庭木の枝葉を剪定してもらっているが、ベテランの職人は庭木への積雪をイメージ(意識)して、剪定を行うという話だった。このために強く刈り込みを施すこともある。ゆるく刈り込みをすると、それだけ枝が不必要に成長して、雪害の要因にもなる。庭木本来の美しい形状を保つために、常に雪のことが配慮される。「うるさい」理由はどうやらここにあるようだ。それにしてもせっかくの雪吊りの景色だが、電線を地下配線化してくれたらもっと違う景色になるのではないかと思うのだが。

   周囲の庭木の雪吊りを眺めながら、「雪すかし」(スコップで除雪)をする。玄関前やガレージ周辺の雪を側溝に落とし込む。20分ほどの軽い運動でもある。ただし、これが一夜にして70㌢の積雪だと数時間の重労働となるのは言うまでもない。

⇒27日(日)朝・金沢の天気      はれ

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★花の香り、肌の色

2019年01月25日 | ⇒トピック往来

   このころ金沢の庭に咲く季節の花といえば、スイセンとロウバイだ。晴れ間を見計らって裏庭に出て、2種の花を切ってきた。黄色い花のロウバイは「蝋梅」と漢字表記されるだけあって、ふくよかな香りがする。中国語ではラ -メイ(蝋梅)、英語ではWinter sweetと言い、人々はその香りを楽しんでいる。素人ながら、和室の床の間に活けてみた。今月3日付のブログでも紹介したが、花はこれほどまでに人の心を和ませてくれるものかと改めて想う。

   ネットでロウバイを調べてみると、これまた意味深い。昔から「雪中四友(せっちゅうしゆう)」と称され、雪の中で咲く4つの花の一つだそうだ。ちなみに、残りの3つの花はウメ、サザンカ、スイセンとなる。床の間に飾った花は雪中四友のうちの「ニ友」ということになるだろうか。

    話を肌の色に変える。 テニスの大坂なおみ選手とスポンサー契約を結ぶ日清食品のアニメーション動画の広告で、大阪選手の肌が実際より白く描かれているとの批判が起き、同社はアニメ動画を削除した(24日付ニュース)。誰が肌の色を問題視したのだろうかと気になっていた。というのも、実物写真を変色したのであれば、これは人権、捏造などから明らかに問題視される。しかし、アニメではそこまで問われるだろうか。大坂選手本人は全豪オープンに集中しているせいか、さほど気にしていないようだ。では、誰が問題視したのだろうか、と。

   たまたまCNNのWeb版(日本語)をチェックしていて関連記事があった。「日本の英字紙ジャパン・タイムズのコラムニストでアフリカ系米国人のバイエ・マクニール氏は、大坂選手のキャラクターが『白人化』されているのを見て『がっかりした』と書いている。」と。そこで、ジャパン・タイムズ紙のバイエ・マクニール氏のコラムを検索すると、今月19日付のコラム、「Someone lost their noodle making this new Nissin ad featuring Naomi Osaka」があった。

Sure, anime fans aren’t used to seeing women of color in the genre so … a few shades lighter on the skin here … a debroadening of the nose there … the de-exoticization of her hair … and, voila! The perfectly palatable girl next door. Not for this fan, though. Osaka’s de-blackening is as problematic to me as a Bobby Riggs tirade against female tennis players.

  コラムを自分なりに解釈すると。日清食品は日本の視聴者にターゲティングしてアニメ広告をつくった。日本のアニメファンは茶色の肌をした女性を見ることに慣れていないので、アニメでは肌の色を薄くして、完璧に美味しい女の子として表現した。しかし、大阪選手は自分の性格と能力が評価されることを望んでいる人間である。コマーシャルはYouTubeで流れており、その視聴者はグローバル、つまり潜在的な顧客は全世界である。昨年、全米オープン女子シングルスで初制覇したトップテニスプロは世界から注目されている。世界の人は大坂選手を白塗りにしたら奇異に感じるのではないだろうか。

   ぎこちない要約だが、バイエ・マクニール氏のコラムを読んでいると、アニメだからと言って、その個性を塗り変えてよいはずがない。個性や多様性を尊重することだ、と。とくに最後の一文が日本人に投げかけられた課題テーマのようで重い。You’re not “hungry to win,” but playing to lose.

⇒25日(金)朝・金沢の天気    はれ

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☆能登にトキが飛来する日

2019年01月23日 | ⇒トピック往来

   環境省は国の特別天然記念物のトキについて、自然の中での生息数が増えているとして、レッドリストのランクを「野生絶滅」から1ランク下げて「絶滅危惧種」に変更すると、きょう23日発表した。新潟県佐渡市では中国から譲り受けたトキの人工繁殖が進められ、2008年から自然への放鳥が始まった。2012年に放鳥のトキのつがいからひなが誕生し、現在では自然の中に353羽が生息している。

   トキが急激に減少したとされる1900年代、日本は食糧増産に励んでいた。レチェル・カーソンが1960年代に記した名著『サイレント・スプリング』で、「春になっても鳥は鳴かず、生きものが静かにいなくなってしまった」と記した。農業は豊かになったけれども春が静かになった。1970年1月、本州最後の1羽だったトキが能登半島で捕獲された。オスで「能里(ノリ)」の愛称があった。繁殖のため佐渡のトキ保護センターに送られたが、翌1971年に死んだ。解剖された能里の肝臓や筋肉からはDDTなどの有機塩素系農薬や水銀が高濃度で検出された。2003年10月、佐渡で捕獲されたメスの「キン」が死んで、日本のトキは絶滅した。その後、同じ遺伝子の中国産のトキの人工繁殖が始まった。

    能登半島にトキがいなくなって37年後の2007年、金沢大学の「里山里海プロジェクト」の一環として、トキが再生する可能性を検証するポテンシャルマップの作成に携わった。珠洲市や輪島市で調査地区を設定した、生物多様性の調査だった。奥能登には大小1000以上ともいわれる水稲栽培用の溜め池が村落の共同体により維持されている。溜め池は中山間地にあり、上流に汚染源がないため水質が保たれている。ゲンゴロウやサンショウウオ、ドジョウなどの水生生物が量、種類とも豊富である。溜め池にプ-ルされている多様な水生生物は疏水を伝って水田へと分配されている。

    また、能登はトキが営巣するのに必要なアカマツ林が豊富である。かつて、昭和の中ごろまで揚げ浜式塩田や、瓦製造が盛んであったため、アカマツは燃料にされ、伐採と植林が行なわれた。また、能登はリアス式海岸で知られるように、平地より谷間が多い。警戒心が強いとされるトキは谷間の棚田で左右を警戒しながらドジョウやタニシなどの採餌行動をとる。豊富な食糧を担保する溜め池と水田、営巣に必要なアカマツ林、そしてコロニーを形成する谷という条件が能登にある。

   調査ヒアリングで、トキのカラー写真を熱心に撮影していた小学校の校長がいたという話を聞いて、遺族を訪ねた。輪島市三井小学校の校長だった岩田秀男氏は昭和30年代から、本州最後のトキを熱心に撮影して歩いた人だった。遺族から能登のトキを写真を見せられた時、胸が熱くなった。写真のトキが「能登に帰りたい」と叫んでいるような、そんな衝撃を受けた。岩田氏のクレジットを必ず入れることを条件に写真の使用許可をいただいた。

   今回、環境省が絶滅の危険度が1ランク低い「絶滅危惧種」に変更するということはトキの繁殖力に可能性があるということでもある。佐渡の西側から能登は距離にして100㌔余りだ。トキのつがいが能登に飛来すれば、第二の繁殖地になるのではないか、などと夢を描いている。(※写真は石川県輪島市三井町で営巣していたトキの親子=1957年・岩田秀男氏撮影)

⇒23日(水)夜・金沢の天気     あめ

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★「脱亜」の時代状況

2019年01月22日 | ⇒メディア時評

   日経新聞社が郵送による世論調査の特集を組んでいた(21日付)。同社は毎月電話を調査を実施しているが、書面の方が「じっくりと回答できる」という特性を生かしたという。調査は2018年10月-11日で回答は1673件、回収率は55.8%。その結果を自分なりに考察してみたい。

   意外な結果だと思ったのは、日本の8つの機関や団体、公職の信頼度を尋ねた結果だった。信頼度1位は60%で自衛隊だった。次は裁判所で47%、警察43%と続く。ある意味でまともな結果かもしれない。昨年は地震や洪水など自然災害が相次ぎ、まさに災害列島と化した。その災害現場で被災者の救出や復旧にあたっていた自衛隊員の姿が評価されたのだろう。

   逆に、「信頼できない」トップが国会議員56%、次がマスコミ42%だ。ひとくくりにマスコミと言っても範囲は広いが、その一員でもある日経新聞社もショックな数字だったろう。私自身この数字には正直「困った」との印象だ。ネット上ではフェイクニュースが氾濫している。確かな取材手法で情報を世に投げるのがマスコミの使命だと解釈している。そのマスコミが「信頼できない」となるとファクトチェック(信憑性の検証)は誰が担うのか。

   もう一つ困った結果を。好感度が低い国、「嫌い」「どちらかといえば嫌い」は北朝鮮82%、中国76%、ロシア、韓国と続く。「近隣外交」という言葉ほど面倒なものはないと、日本人の多くは思っているのではないだろうか。尖閣諸島をめぐる中国側の執拗な動きは連日のように、そして韓国軍による自衛隊機へのレーダー照射問題ではへきえきとしている。

   134年も前、隣国に対する憤りの念を持った人物がいた。福沢諭吉だ。主宰する日刊紙「時事新報」の1面社説にこう書いた。「・・独リ日本の旧套を脱したるのみならず、亜細亜全洲の中に在て新に一機軸を出し・・」(1885年3月16日付、本文はカタカナ漢字表記)。全文2400字に及ぶ記事の中で近隣諸国についてこう述べている。「日本を含めた3国は地理的にも近く”輔車唇歯(ほしゃしんし)”(お互いに助け合う不可分の関係)の関係だが、今のままでは両国は日本の助けにはならない。西欧諸国から日本が中国、朝鮮と同一視され、日本は無法の国とか陰陽五行の国かと疑われてしまう。これは日本国の一大不幸である」(鈴木隆敏編著『新聞人福澤諭吉に学ぶ~現代に生きる時事新報~』より引用)。 

  近隣諸国と真逆に、好感度が高いのはイギリスとオーストラリアがそれぞれ72%でアメリカ67%と続く。近隣諸国との関係性は福沢が論じた当時の状況とダブる。「脱亜」は福沢の言葉だが、その後「脱亜入欧」が広がった。福沢がこの日経の調査を見たらどうコメントするだろうか。(※写真は福沢諭吉像=慶応義塾大学三田キャンパス)

⇒22日(火)夜・金沢の天気     くもり時々あめ

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☆「50円払って」と請求すればすむ話が

2019年01月21日 | ⇒メディア時評

    夕方のNHKニュースを乗用車のラジオを聞いていて、ちょっと違和感を感じた。福岡県那珂川市のコンビニで、コーヒー用の100円のカップを購入したのにセルフ式コーヒーマシンで150円のカフェラテを注いだとして、62歳の男が窃盗の疑いで逮捕された、というニュースだ。捕まったのは同市に住む62歳の会社員で、100円のコーヒーカップに150円のカフェラテを注いでいるという常連客からの指摘が店に寄せられ、店が警戒していたところ、男がカフェラテを注いでいるのを確認した。店のオーナーが男に問いただしたところ、男は「ボタンを押し間違えただけだ」と言い逃れようとしていた。警察の調べに対しては、容疑を認めているという。

    ニュースを聞いたときは「こんなヤツもいるだろうな」というくらいの印象だったが。違和感を感じ始めたのは、そもそもこの話はコンビニ側が男に「50円払ってください」と請求すればすむ話ではないか、なぜ男は逮捕されなけらばならなかったのか、ということだ。逮捕は証拠隠滅や逃亡があるのであれば、その可能性はあるだろう。あるいは現行犯逮捕ということもあるが、警察が逮捕にいたった経緯がよく分からない。

    NHKニュースでは、、男は以前にも支払った代金よりも高い飲み物をカップに注いでいたとみられるということで、警察がさらに余罪を調べている、という。それにしても、仮に過去に100回繰り返していたとしても、本人は警察の聴取に対し認めているので、店に謝罪と5千円を払えば解決する話ではないか。思い過ぎかもしれないが、これは別件逮捕かもしれないと勘ぐってしまう。

    もう一つ違和感がある。このニュースをNHKが全国放送しなければならないのか。確かにコンビニの時代を象徴するような話で、「逮捕」となればニュース価値はあると判断したのだろうか。むしろ、NHKがこのニュースをあえて全国放送で取り上げたのには。もう少し深いワケがあるのではないかと勘ぐっている。それは、ポイントカードをめぐって、カードの運営会社が会員の情報を裁判所の令状なしに操作当局に提供していることが問題となっているからだ。

    これは推測だが、もし男がポイントカードや電子マネーカードを使っていたとすれば、コンビニ側は住所と氏名、コーヒーを購入した回数などを警察側に情報提供をしているだろう。警察は男にこの証拠を突き付けたので、容疑を認めたのだろう。NHK報道が狙っているのは、「カードの落とし穴」という次なるニュースではないだろうか。プラバシーを保護すべきコンビニ側だが、不正を摘発するためにあえて情報を提供、警察側もあえて逮捕に踏み切って事件扱いにした。 「50円払ってください」で済む話がここまで事件として大きくなった背景にカードという情報社会の闇がある、とNHKは報じたいのかもしれない。考えすぎか。

⇒21日(月)夜・金沢の天気    あめ

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★雪のない冬の兼六園で

2019年01月19日 | ⇒ドキュメント回廊

   このところの天気が異常に思える。例年ならば、周囲は雪景色なのだが積雪はゼロである。まったく降らなかったわけではない。12月30日朝は雪が4、5㌢積もっていて、30分ほど自宅周囲の雪すかしをした。この冬はそれ一回だけ。新調したスコップも手持ちぶさたで、出番を待っている=写真・上=。

    きょう午前、所用で通りかかったので久しぶりに兼六園を歩いた。前を歩く家族連れらしき3人のうち女性が「せっかく兼六園に来たのに、雪がないと魅力がないよね」と。そうか、暖冬で一番ぼやいているのは観光客かもしれない。確かに、雪吊りの風景をパンフで見て、銀世界の兼六園のイメージを膨らませて金沢にやって来たのに、拍子抜けとはこのことか。

   夕顔亭(ゆうがおてい)=写真・下=という古い茶亭の横を通った。もう14年も前のことだがエピドーソを思い出した。茶亭をハイビジョンカメラで撮影したことがある。撮影は、石川県の委託事業で兼六園を映像保存するもの。兼六園の数ある茶亭でもなぜ夕顔亭にこだわったのかというと、この茶室から滝を見ることができるので「滝見の御亭(おちん)」と呼ばれていて、茶室から見る風景がもっとも絵になるからだ。

   この夕顔亭の見本となったといわれるのが、京都の茶道・藪内家の「燕庵(えんなん)」という茶亭。そこで、撮影では藪内家の若宗匠、藪内紹由氏(2015年に家元を継承)に夕顔亭まで起こし頂き、お点前を撮影させていただいた。そこで出た話だ。藪内家には、「利家、居眠りの柱」とういエピソードがある。京の薮内家を訪れた加賀藩祖の前田利家が燕庵に通された時、疲れがたまっていたのか、豪快な気風がそうさせたのか、柱にもたれかかって眠リこけてしまった。こうした逸話が残る燕庵を後に利家の子孫、11代の治脩(はるなが)が1774年に燕庵を模してつくった茶亭が夕顔亭だった。 

   この夕顔亭をつくる際、薮内家と加賀藩には一つの約束事があった。茶器で有名な古田織部が指導してつくったこの由緒ある茶亭を簡単に模倣させる訳にはいかない。そこで、もし燕庵が不慮の事故で焼失した場合は「京に戻す」という条件で建築が許された、との言い伝えだ。知的財産権の観点からいうと、広い意味での「使用権」だけを加賀藩に貸与したということになるかもしれない。その後、契約者である前田ファミリーは明治維新後この夕顔亭を手放し、今では石川県の所有になっている。その約束事は消滅しているのかもしれない。

   知的財産権という法律は当時なかったにせよ、「知財を守る」という精神は脈々と日本の歴史の中に生きていたと、若宗匠のお点前を拝見しながら思ったものだ。暖冬の話がいつの間にか知財の話になってしまった。

⇒19日(土)午後・金沢の天気     はれ

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☆ファーウェイ問題、どこまで

2019年01月18日 | ⇒メディア時評

  きょう18日のニュースで、中国の通信機器「ファーウェイ」の創業者であるCEO(最高経営責任者)が中国の本社で日本メディアのインタビューに応えて、顧客の機密データの提出を中国政府に求められても提供しない、これまでも提供したことはないと述べたと報じられている。

  ファーウェイは高速大容量の次世代通信方式「5G」の分野で、技術やコスト競争では代表的な企業の一つ。特許の出願件数も多く、国連の専門機関、WIPO(世界知的所有権機関)を通じた国際特許を出願した件数でも、企業別でファーウェイが世界1位となっている(2017年の国際特許登録の出願数、WIPOプレスリリース)。12月1日にカナダのバンクーバー国際空港で、CEOの娘の副会長が、アメリカの要請でカナダ捜査当局に逮捕された。この事件がきっかけで、アメリカがファーウェイの5Gに安全保障の上で懸念があり、締め出しに動いていることが世界に拡散した。

     会見したCEOは機密データの提出を政府に求められても提供しないと述べたが、腑に落ちないのが、2017年6月に施行された中国の「国家情報法」だ。法律では、11項目にわたる安全(政治、国土、軍事、経済、文化、社会、科学技術、情報、生態系、資源、核)を守るために、「いかなる組織および国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助および協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない。国は、国家情報活動に対し支持、援助及び協力を行う個人および組織を保護する」(第7条)としている。CEOがいくら外向けに機密データを政府に提供しないと述べたとしても、中国国内では国家情報活動に協力しなければならないという法律があるではないか、と懸念を抱いてしまう。

   副会長がカナダで逮捕されて以降、中国ではカナダ人が相次いで逮捕され、今月14日には中国で麻薬を密輸したとして懲役15年を言い渡されたカナダ人がやり直し裁判で死刑を言い渡されている。これは中国政府の報復措置ではないかと世界中が見ているに違いない。中国側の過敏とも言えるこの反応が、むしろファーウェイの国家情報活動との関わりを示唆するのではないか。

   中国は「一帯一路」の巨大な経済圏構想を掲げ、アジアやアフリカの各国に融資し、港湾や鉄道、情報通信のインフラ整備を積極的に展開している。しかし、有事の際に中国の安全が脅かされると判断されれば、容赦なくファーウェイは政府や軍にハッキングやデータ提供に協力せざるを得なくなる。アメリカはそうなる前に国防権限法を昨年8月発効させ、中国5社から政府機関が製品を調達するのを今年8月から禁止、2020年8月からは5社の製品を使う企業との取引も打ち切るなど徹底する。アメリカは日本など関係国にも働きかけを強め、オーストラリア、ヨーロッパ各国も追随する流れだ。

   アメリカの検察当局はファーウェイがアメリカの携帯電話会社「Tモバイル」からスマートフォンのテストに使うロボットの技術を盗んだ疑いで捜査していると、ウォール・ストリート・ジャーナルのWeb版(16日付)=写真=が伝えている。起訴されれば、知的財産権の侵害に対しても、アメリカだけでなく国際世論が沸騰するのではないだろうか。

⇒18日(金)夜・金沢の天気   あめ

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