自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆弾道ミサイルの次は核実験なのか 北朝鮮の思惑は

2022年09月30日 | ⇒ニュース走査

   連日の弾道ミサイルの発射だ。防衛省公式サイトによると、北朝鮮は29日午後8時47分と同53分に平壌近くの半島西岸付近から、計2発の弾道ミサイルを東方向の日本海に向けて発射した。いずれも最高高度50㌔程度で、300㌔程度飛翔したと見られ、落下は日本のEEZ外だった。前日28日にも午後6時10分と17分に計2発の弾道ミサイルを発射している。

    連日の弾道ミサイルの発射についてメディア各社は、29日にアメリカのハリス副大統領が韓国入りし、尹大統領と会談した後、南北の軍事境界線を挟む非武装地帯(DMZ)を訪れたことから、北朝鮮が強くけん制したと報じている。

   そして、もう一つの理由が、きょう30日に日本海で行われる日米韓3ヵ国の共同訓練へのけん制だ。NHKニュースWeb版(29日付)によると、海上自衛隊の護衛艦1隻、アメリカ海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」や潜水艦など5隻、韓国海軍の駆逐艦1隻が参加する。訓練は潜水艦を探索・識別・追跡しながら、情報を相互交換する形で行われる。日米韓の海上共同訓練は2017年12月以来となる。

   この対潜水艦の共同訓練は明らかに、北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を想定したものだろう。防衛省サイトによると、北朝鮮は「新型潜水艦発射弾道弾」と称するSLBMをこれまで2021年10月19日と2022年5月7日に2度発射させている。SLBMは変則的な軌道で、低高度(最高高度50㌔程度)を飛ぶため、ミサイル防衛システムによる迎撃は困難とされる。

   日本海側に住む者として、SLBMもさることながら、さらに懸念するのは北朝鮮による核実験だ。IAEAのグロッシ事務局長が警告しているように、北朝鮮北部の豊渓里(プンゲリ)の核実験場の坑道の1つが再び開かれ、核実験の可能性が高くなっている(6月7日付・NHKニュースWeb版)。プンゲリでは2006年10月9日に最初となる核実験が行われ、2017年9月3日までに6回行われている。長崎大学核兵器廃絶研究センター公式サイトによると、6回目のとき、北朝鮮は「ICBMに搭載可能な水爆実験に成功」と発表している。このとき、核実験の地震規模は最大でマグニチュード6.3だった(米国地質調査所)。

   では、核実験はいつ行われるのか。韓国メディアは、10月16日に開催される中国共産党第20回党大会以降から11月8日のアメリカ中間選挙の間に行う可能性が高いと報じている(29日付・ハンギョレ新聞Web版)。ただ、北朝鮮では、「建国以来の大動乱」と称された新型コロナウイルスとみられる発熱症状の拡大で国全体が混乱し、農作物の不作で食糧難と飢えがまん延しているとも言われる。このような状況の中でも、最高権力者には核実験を実行するモチベーションがあるのかどうか。

⇒30日(金)午後・金沢の天気    はれ

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★「沈黙」の弾道ミサイルまた2発 北朝鮮の狙い

2022年09月29日 | ⇒ニュース走査

   今月25日に続いて、北朝鮮はまた弾道ミサイルを発射した。防衛省公式サイト(28日付)によると、北朝鮮は28日午後6時10分と17分に平壌近くの半島西岸付近から、2発の弾道ミサイルを、東方向に向けて発射した。いずれも落下したのは北朝鮮東岸に近い日本海であり、日本のEEZ外と推定される。弾道ミサイルはいずれも変則軌道で飛翔した可能性がある。

    飛翔距離については以下が記されている。午後6時10分の弾道ミサイルは最高高度約50㌔程度の低い高度で、約350km程度飛翔。午後6時17分の弾道ミサイルも最高高度約50㌔程度の低い高度で、約300㌔程度飛んだとみられる。25日に発射された弾道ミサイルは同じく最高高度約50㌔程度で、飛んだ距離は約400㌔程度だった。

   防衛省サイトで公開されている資料「2019年以降に北朝鮮が発射した弾道ミサイル等」によると、高度と飛距離から、一連の弾道ミサイルは北朝鮮が「極超音速ミサイル」と称しているミサイルと推測できる。ことし1月11日発射した「極超音速ミサイル」は最高高度約50km程度を最大速度約マッハ10で飛翔し、水平機動を含め変則的な軌道で飛翔した可能性がある。飛翔距離は約500㌔だった。「滑空再跳躍し、強い旋回機動」と北朝鮮の発表も記載している。

   防衛省の資料を読んでいて、一つ気が付いたことがある。この「極超音速ミサイル」の飛翔距離が1月11日は500㌔、9月25日は400㌔、そしてきのう28日は350㌔と300㌔だ。つまり、高度が同じでで距離が短縮されているのだ。飛翔距離は「最大射程距離」あるいは「限界射程距離」とも言われる。弾道ミサイルが大きく放物線を描いて到達できる最大の距離のこと。この最大射程距離が短くなれば、それだけ目標が定めやすくなる。

   平壌とソウル市内の距離は世界地図で見ると、およそ200㌔だ。マッハ10でしかも変則軌道の弾道ミサイルは、ミサイル防衛システムによる迎撃は困難とされている。さらに「核兵器の小型化・弾頭化を実現しているとみられる」(防衛省)。北朝鮮の狙いは、「瞬時にして火の海にする」奇襲攻撃の能力の向上を狙っているのかもしれない。

   それにしても、 きのうと今月25日の発射について、労働新聞Web版などをチェックしたが報道されていない。ことし5月4日の弾道サミイル発射以降、北朝鮮の国営メディアは「沈黙」を続けている。むしろ気になる。

(※写真は、北朝鮮が「極超音速ミサイル」と称する新型弾道ミサイル=防衛省公式サイト資料「2019年以降に北朝鮮が発射した弾道ミサイル等」より)

⇒29日(木)午前・金沢の天気    はれ

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☆ロシアの「理不尽な病」に効く薬はあるのか

2022年09月28日 | ⇒メディア時評

   安倍元総理の国葬がきのう営まれたが、前回のブログでも述べたように、「めりはりのない形式的な追悼式」だった。ただ、苦楽を共にした友人の目線で述べたで菅前総理の追悼の辞には昭恵夫人が涙し、そして終わると会場からは異例の拍手が起きた。これがなければ、今の若者言葉で言う、「なんちゃって」国葬で終わっていたかもしれない。国葬問題に目線が奪われていたが、世界の動きを眺めて見る。

   共同通信やウォールストリートジャーナルなど日米のメディア各社がアルツハイマー病の新しい治療薬について報道している。日本の「エーザイ」とアメリカのバイオ医薬品「バイオジェン」が、開発中の治療薬「レカネマブ」について、臨床試験(治験)で症状の悪化を抑制する効果を確認したと発表した。この新薬を投与したグループと偽薬のグループを比較し、レカネマブのグループでは、記憶や判断力などの症状の悪化が27%抑制された。本年度中に日本や欧米で承認申請を目指す。

   両社は昨年6月にもアルツハイマー病の治療薬「アデュカヌマブ」を開発し、アメリカのFDAに承認された。タンパク質「アミロイドβ」を取り除き、認知機能を回復させることが見込まれていたものの、効果が不十分だとしてアメリカでは高齢者向け保険が適用されなかった。試行錯誤を繰り返しながら医薬は進歩する。

   ロシアは自己矛盾をさらけ出している。プーチン大統領はウクライナ侵攻をめぐり、軍務経験のある予備役を30万人招集する「部分的な動員令」を発動したたものの、ゴタゴタ続き。CNNニュースWeb版日本語(28日付)によると、ロシア国営メディアの司会者が生中継で「就業者や音楽家、病人、学生が招集されている」と疑問を投げかけ、動員担当者を処罰すべきと報道した。(※写真は、今月22日付・BBCニュースWeb版)

   ロシアをめぐっては、ウクライナ東部と南部の4州で親ロシアの指導者らが、ロシアへの編入を問う「住民投票」を行い、9割賛成で支持されたと発表している、今後はロシア議会が承認に動く。また、ロシア連邦保安局が、スパイ活動をしたとして極東ウラジオストクの日本総領事館の領事を一時拘束した。理不尽な病(やまい)がまん延するロシアに効くクスリはあるのだろうか。

   ところで、話は冒頭に戻る。弔問に訪れたIOCのバッハ会長は岸田総理らと面談したのだろうか。気になるのは、五輪汚職事件についてだ。五輪招致の段階で、高橋容疑者は招致委員会から820万㌦(8億9000万円)の資金を受け、IOC委員にロビー活動を行っていたと報じられている(2020年3月31日付・ロイター通信Web版)。ロビー活動については、フランス司法当局の捜査対象となったJOCの当時の竹田恒和会長が2019年6月に退任している。国際的にもオリンピックにまつわる汚職には厳しい眼が注がれている。五輪汚職事件を受けて、IOCはドーピングと同様に、日本に対してペナルティーを検討しているかもしれない。メディアの続報を待ちたい。

⇒28日(水)午後・金沢の天気    くもり

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★安倍国葬後の課題 「今より後の 世をいかにせむ」

2022年09月27日 | ⇒ドキュメント回廊

   きょう日本武道館で営まれた安倍元総理の国葬の中継番組をNHKなどで視聴した=写真=。見ていた時間は午後1時50分から午後3時50分ごろまで2時間。この間、安倍氏の昭恵夫人が遺骨を抱いて車から降りて会場に入る。開式の辞で始まり、国歌演奏、黙とう、政府が制作した生前の安倍氏の映像を映写、追悼の辞(三権の長がそれぞれ、友人代表)、皇族による供花、献花(海外参列者、駐日大使ら)までを視聴した。

   あくまでもテレビ視聴での感想だが、めりはりのない形式的な追悼式というイメージだった。目立ったのはきびきびとした動きの自衛隊の儀杖隊だった。そもそも、10分にも及ぶ生前の安倍氏の映像を流す必要性が一体どこにあったのか。故人の功績や人柄をしのぶのは追悼の辞で十分ではなかったか。追悼式は追想の場であり、映像シーンを次々見せてしのぶものではない。

   追悼の辞で、友人代表として菅前総理が興味深いエピソードを紹介していた。平成12年(2000年)、日本政府は北朝鮮にコメを送ろうとしていた。当選2回目だった菅氏は「草の根の国民に届くのならよいが、その保証がない限り、軍部を肥やすようなことはすべきでない」と自民党総務会で反対意見を大々的に述べた。紙面で掲載され、記事を見た安倍氏が「会いたい」と電話をかけてきた。これが、安倍氏と菅氏が北朝鮮の拉致問題にタッグを組んで取り組むきっかけだった。当時の森喜朗内閣や外務省などは日朝正常化交渉を優先していて、拉致問題はむしろ交渉の阻害要因というスタンスだった。

   安倍政権の7年8ヵ月、官房長官として苦楽を共にした菅氏は、明治の政治家・山県有朋が長年の盟友、伊藤博文に先立たれて故人をしのんだ歌を一首詠んで追悼の辞を締めくくった。「かたりあひて 尽しゝ人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ」。追悼の辞で拍手があったのは菅氏だけだった。

   民放チャンネルも中継番組を流していた。横並びの中継には当初、総務省からの圧力かと違和感があった。日本テレビ系とテレビ朝日系は海外参列者の献花のタイミングで、安倍氏と世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の関係や、いわゆるモリカケ問題など取り上げ、安倍長期政権の光と陰にスポットを当てていた。日テレ系は、この国葬を統一教会がプロパガンダとして使っていく可能性があると、霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士のコメントを中継で紹介していた。

   来週3日から秋の臨時国会が始まる。自民党は旧統一教会と絶縁宣言(今月8日)をする一方で、安倍氏と教団の関係を調査することについては「本人が亡くなった今、限界がある」(岸田総理)として否定している。国葬をプロパガンダにさせないためにも、この問題にけじめをつけてもらいたい。まさに、菅氏が詠んだ山県有朋の歌、「今より後の 世をいかにせむ」だ。

⇒27日(火)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

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☆国葬前夜『ボヘミアン・ラプソディ』を熱唱 是か非か

2022年09月26日 | ⇒ニュース走査

   あす安倍元総理の国葬が東京の日本武道館で営まれる。総理経験者の国葬は戦後2例目、1967年の吉田茂元総理以来で55年ぶりとなる。国葬を実施するにあたっては、そのの法的な根拠、そして当初2億5千万円と発表していた経費がその後、警備費を盛り込んで16億6千万円と再発表されたこと。さらに、安倍氏を始めとする自民党議員と世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の関係が取り沙汰されて物議を醸している。

   こうした中で、岸田総理は安倍氏が遺した数々の「外交的遺産」を弔問外交で引き継ぎ、発展させる意思を内外に伝えたいと繰り返し発言してきた。いよいよ、その弔問外交が始まる。元外務大臣でもある岸田氏の外交の手腕がどのように発揮されるのか。

   NHKニュースWeb版(26日付)によると、岸田氏はきょうから3日間で、およそ40人と個別に会談する予定で、きょう午後1時からはIEA(国際エネルギー機関)のビロル事務局長と会った。このあと、アメリカのハリス副大統領やベトナムのフック国家主席ら10人余りと会談する。国葬当日のあす27日はインドのモディ首相やオーストラリアのアルバニージー首相らと。28日は韓国のハン・ドクス首相やカンボジアのフン・セン首相らとの会談が行われる。ただ、G7首脳で唯一の出席者だったカナダのトルドー首相はきのう急きょ、大型ハリケーンの災害対応のため出席を見合わせた(25日付・同)。

   トルドー首相については、エリザベス女王の国葬に参列のためイギリスを訪問した際に、ちょっとしたエピソードがあった。BBCニュースWeb版(21日付)は「Justin Trudeau's team defends singing Bohemian Rhapsody before Queen's funeral」の見出し=写真=で、国葬の2日前の17日、ロンドンのホテルでイギリスのロックバンド「クイーン」の『ボヘミアン・ラプソディ』を熱唱する様子がSNSで流出したと報じている。動画には、Tシャツのトルドー氏がピアノの伴奏に合わせて歌う姿が捉えられている。 エリザベス女王はカナダの国家元首で、トルドー氏は9月19日をカナダの連邦政府の休日にすると表明していた。

   この動画について、BBCは批判的な意見として、「女王の葬儀の前夜に、しかも公共の場で。彼はなぜこのように振る舞うのか」など。一方、擁護する声として「女王に無礼だったとは思わないが、カラオケだったら無礼だったろう」などの声を紹介している。

   このニュースを見て、カナダのトルドー首相にはぜひ日本でも歌ってほしいと思っていたのだが、急きょの参列取り止めは残念。来年5月に広島市で開催されるG7サミットではぜひ、『ボヘミアン・ラプソディ』を熱唱してほしいものだ。

⇒26日(月)午後・金沢の天気    くもり

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★1発の弾道ミサイル 北朝鮮の思惑

2022年09月25日 | ⇒ニュース走査

   北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを撃つのは112日ぶりだ。防衛省公式サイト(25日付)によると、北朝鮮はきょう午前6時52分ごろ、内陸部から少なくとも1発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射した。最高高度約50㌔程度で、距離は通常の弾道軌道だとすれば、約400㌔程度飛翔し、北朝鮮東側の沿岸付近に落下。日本のEEZ外と推定される。また、弾道ミサイルは変則軌道で飛翔した可能性があり、関連する情報を収集・分析している。

   北朝鮮からの弾道ミサイルはこれを狙ったのかもしれない。共同通信Web版(23日付)によると、日本とアメリカ、韓国の3ヵ国の外務大臣はニューヨークで会談を開き、共同声明を発表。北朝鮮の度重なるミサイル発射を非難し、さらに核実験に踏み切れば、国際社会は毅然と対応すると警告を発した。この声明に反発する意味合いがあったのだろうか。

   もう一つの狙いが想定される。前回6月5日のとき、日本海に向けて立て続けに6発撃っている。今回と前回の共通点がある。アメリカの原子力空母「ロナルド・レーガン」が韓国の釜山に今月23日に入港している。月末から日本海で米韓合同演習に参加する予定だ(25日付・毎日新聞Web版)。前回のときも合同演習が行われ、原子力空母「ロナルド・レーガン」が加わっていた。BBCニュースWeb版(25日付)も「North Korea fires suspected ballistic missile into sea」の見出し=写真=で、合同訓練など最近の韓国とアメリカの緊密な関係に反発していると記している。

   上記の2つの反発から弾道ミサイルを発射したとしても、言葉に語弊はあるかもしれないが、前回の6発に比べ今回の1発は反発の意思表現が少々遠慮がちと思うのは自分だけだろうか。しかも、最高高度約50㌔程度で、約400㌔程度飛翔なので短距離弾道ミサイルのようだ。ただ、防衛省の記述にあるように、「変則軌道で飛翔した可能性」あるとすれば、通常よりも低高度を飛翔し、変則的な軌道で飛翔可能な「極超音速ミサイル」ということも想定される。防衛省の分析を注視している。

   もう一つ注視したいのが、北朝鮮メディアの発表についてだ。きょうの発射は労働新聞Web版などで公表されるだろうか。ことし5月4日に弾道ミサイル発射以降、国営メディアは沈黙を続けている。これまで発射の成功や核・ミサイル能力の開発を大々的に報じてきたのに、この沈黙は一体何を意味するのか。

   あくまでも憶測だ。おそらく、国家自体がデフォルト状態に陥っているのではないか。「建国以来の大動乱」と称された、新型コロナウイルスとみられる発熱症状の拡大で国全体がロックダウンとなった。さらに気候変動による農作物の不作で食糧難と飢えがまん延。今もこのような状況下にあるとすれば、国営メディアが弾道ミサイルを報じても、人々は「ミサイルより、食べ物よこせ」とあがき叫ぶだろう。最高権力者はそれを恐れているのではないか。

⇒25日(日)午後・金沢の天気    はれ

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☆五輪汚職 ぬいぐるみ老舗の誤算 IOC会長は何を語る

2022年09月24日 | ⇒ニュース走査

   あの大会マスコットまで五輪汚職の対象になっていたのか、憤りを通り越してあきれる。メディア各社の報道によると、受託収賄罪で起訴された大会組織委会元理事の高橋治之被告が、大会マスコット「ミライトワ」「ソメイティ」のぬいぐるみを製造・販売した会社「サン・アロー」に便宜を図った疑惑が浮上している。高橋容疑者の知人の会社を通じて現金計約800万円が提供された可能性がある(24日付・読売新聞Web版)。

   五輪汚職事件をめぐっては、紳士服の大手「AOKIホールディングス」や大手出版社「KADOKAWA」などの名前が次々と報じられている。今回は、大会マスコットのぬいぐるみを手掛けた中小企業にまで贈賄疑惑が出てきた。どこまで汚職事件は拡大するのか、まさに「底なし沼」の様相だ。

   「サン・アロー」の公式サイトをチェックする。この会社はなんと大正時代の1918年創業で老舗だ。最初はセルロイド玩具などを手掛けていたが、1970年代からはぬいぐるみの企画・販売を行い、テディベアシリーズなど 数々のヒット商品を生み出している。1990年代からは、アニメ映画のヒット作品をぬいぐるみにする販売戦略に。スタジオジブリと契約して、アニメ映画「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」「千と千尋の神隠し」「天空の城ラピュタ」「崖の上のポニョ」などの商品を次々と発表。ぬいぐるのほか、絵本「こびとづかん」などの雑貨も。そして、1998年には 長野オリンピック公式ライセンス商品「SNOWLETS」を発売している。

   オリンピックのマスコットは同社にとって、商品PR、販売ともに最高の戦略商品と位置付けたに違いない。「ミライトワ」「ソメイティ」の両マスコットのぬいぐるみについて、組織委から公式ライセンス商品の承認を受け、2018年7月から販売を開始していた。ところが、新型コロナウイルスによるパンデミックで1年延期、さらに競技場は無観客となった。競技場を訪れる人々の土産にと目論んでいた販売戦略に誤算が生じたであろうことは想像に難くない。

        それにしても、今回の五輪汚職事件は世界に日本の不名誉をさらすことになった。報道によると、今月27日の安倍元総理の国葬には、IOCのバッハ会長も参列する予定という。来日した折、バッハ会長が誰に何を語るのか、注視したい。今回の汚職事件を受けて、IOCが日本に対してペナルティーを検討していると発言するかもしれない。

⇒24日(土)夜・金沢の天気     くもり

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★「芝生」の「雑草」に除草剤 是か非か

2022年09月23日 | ⇒ドキュメント回廊

   午後に晴れていれば、庭の草むしり(雑草取り)を日課としている。草取りをすると作業の成果が見えるだけに、気持ちがすっきりとする。しかし、いくら抜いても取ってもすっきりしない雑草がある。チドメグサだ。漢字では「血止め草」と書き、学名は「Hydrocotyle sibthorpioides」。すっきりしない理由は、数日するとまた茎を張りめぐらして生えてくるからだ。

   チドメグサはどこにも適応できる多年草で、匍匐茎(ほふくけい)といい、地中深くに茎を伸ばしながら繁殖する。茎を途中でちぎっても、残った茎から繁殖し、あっという間に広がってしまう。すさまじい繁殖力だ。こうなると、雑草とはいえ、敵意がむき出しになる。

   とくに、芝生に入ったチドメグサは許せない=写真=。まるで、「隠れ蓑」戦術だ。目立たないように勢力を拡大している。そこで戦いを挑む。まず、芝刈り機で刈り込む。チドメグサの葉や茎も刈ることができるが、問題は芝生の根にチドメグサの茎が絡まって離れようとしない。そこで、一本一本を無心に外すことになる。芝生専用の除草剤もあるのが、除草剤は使いたくないので手作業だ。

   先日この作業をしていて、ふと、いま霊感商法や献金強制で問題となっている旧統一教会と仕組みが似ていると思い浮かんだ。自民党など政治家を芝生に例えれば分かりやすい。そこに、選挙応援などと称して入り込み、いつの間にか自民党の国会議員全体の半数近くの179人が何らかの関係を持っていた。中には秘書となり、しっかりと根を張った者もいる。

   そこで自民党は今後、統一教会や関連団体と一切関係を持たないことを基本方針とし、党所属の国会議員との関係を点検して公表したが、それだけでは教団との関係性を絶ち切れない。そこで、立憲民主党など野党は今月20日、旧統一教会の問題に取り組む弁護士や2世信者を招いてヒアリングを実施し、宗教法人法に基づく解散命令の請求を文化庁に求めた。この解散命令を除草剤と言い換えれば、分かりやすい。

   しかし、文化庁宗務担当者は「安易な解散命令請求することはできない。確実に(裁判で)勝てるだろうという状況がなければ解散命令請求すべきでない」との見解を繰り返した。つまり、除草剤の効果が分からないのにまくべきではないとの主張だ。これに対し、野党側は「解散命令を出す十分な要件がある。裁判で勝つ可能性が極めて高い」と述べていた。除草剤をまいてみないことにはその効果は分からないでしょう、と。

   それぞれに一理はある。個人的には庭に除草剤をまきたくはないが、反社会的な問題を起こしている宗教法人に対して、政治サイドがきっぱりとけじめをつけない限り、また時間とともに茎を生やし芝生を覆うようになる。

⇒23日(金)午後・金沢の天気     あめ

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☆アメリカに渦巻くインフレ プーチンの「はったり」

2022年09月22日 | ⇒ニュース走査

   アメリカのインフレとロシアの核に世界が翻弄されている。アメリカのCNNニュースWeb版は「Fed goes big again with third-straight three-quarter-point rate hike」の見出しで、FRBが21日まで開いた会合で、0.75%の大幅な利上げを決めたと報じた=写真・上=。3回連続で0.75%という異例の利上げに踏み切り、記録的なインフレを抑え込む姿勢を一段と鮮明にした。

   大幅利上げにより、政策金利の新たな目標は3-3.25%の範囲に決まった。これは世界的な金融危機が発生した2008年以来の高水準。この決定は、インフレと戦うための1980年代以来のFRBの最も厳しい政策だと指摘している。それはまた、住宅や乗用車、クレジットカードなどの借り入れのコストを押し上げることによって、何百万ものアメリカの企業や家計に経済的苦痛を引き起こす可能性が高い、とも述べている。

   今回の決定で円相場は24年ぶりとなる一時1㌦145円台をつけた。3月初めまでは1㌦=115円前後で安定していたが、半年余りで30円も円安が進んだ。日本も翻弄されている。 

   イギリスのBBCニュースWeb版は「Ukraine war: Putin orders partial mobilisation after facing setbacks」の見出しで、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻についてテレビ演説で、予備役など30万人規模の動員を可能とする大統領令に署名した、と報じている=写真・下=。

   さらに、「西側諸国によるロシアへの核の脅威」と述べ、「反撃すべき兵器を多く持っている」、「わが国の領土保全が脅かされるとき、ロシアと国民を守るために、ロシアが持つすべての手段を用いる。はったりではない」と発言。プーチン大統領があらためて核兵器の使用をほのめかしたと報じている。

   ウクライナの猛反撃でロシアの劣勢が顕著となる中、戦況を打開したい考えなのかもしれないが、むしろプーチン大統領の焦りと窮地が浮き彫りになってきた。

   ちなみに、「はったりではない」のBBC記事原文は「It's not a bluff」と記されている。

⇒22日(木)夜・金沢の天気     はれ

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★めりはりのない旧統一教会問題の政府対応

2022年09月21日 | ⇒トレンド探査

   それにしてもめりはりの利いた、見事な季節の移ろいだ。「暑さ寒さも彼岸まで」とよく言われるが、彼岸入りでもあったきのう20日は台風14号が去って、一気に秋めいた。前日までは真夏日や猛暑日が続いていたのだが、気温は20度と肌寒くなった。Tシャツと半ズボンを仕舞い、長袖のシャツと長ズボンを出した。台風一過、秋を呼ぶ。

   めりはりが利いていないのが、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)に対する政府の対応だ。共同通信ニュースWeb版(20日付)によると、立憲民主党など野党は20日、旧統一教会の問題に取り組む弁護士や2世信者を招いてヒアリングを実施した。弁護士らが採択した、宗教法人法に基づく解散命令の請求を行政に求める声明について議論したが、文化庁の担当者は過去の事例を挙げ「現状では難しい」と繰り返した。

   文化庁担当者の「現状では難しい」という意味合いは裁判になった場合を想定しているようだ。日刊スポーツWeb版(同)によると、文化庁宗務担当者は「安易な解散命令請求することはできない。確実に(裁判で)勝てるだろうという状況がなければ解散命令請求すべきでない」との見解を示した。これに対し、社民党の福島党首は「解散命令を出す十分な要件がある。裁判で勝つ可能性が極めて高いので解散命令を出すことが被害者の救済、これ以上被害を生まないために文化庁、今やらないとダメです」と指摘した。

   この議論の基となったのは、全国霊感商法対策弁護士連絡会が16日、永岡文科大臣に対し、宗教法人法に基づいて旧統一教会の解散命令を裁判所に請求するよう求める声明だった。連絡会の公式サイトに声明の内容が掲載されている。以下、抜粋。

「2 解散請求 文部科学大臣は、旧統一協会に対し、宗教法人法第78条の2に定める報告質問権を行使するとともに、同法第81条1項に基づき解散命令を請求されたい。 3 カルト対策 (1)内閣総理大臣は、フランスなどカルト対策に先進的な諸外国の法制度・諸施策を参考に、基本法の制定も視野に入れた上で、被害抑止・救済のための法制度を整備し諸施策を講じられたい。(2)文部科学大臣は、旧統一協会による過去の諸々の被害(金銭被害、家族破壊、労働力収奪、その他被害)に関し調査の上で、その結果を総括的な報告書をまとめられたい」

   ヒアリングに出席した木村壮弁護士は「正体を隠した勧誘、献金活動が繰り返されている。違法な活動が継続しており、解散命令請求ができないことはないはず」と指摘した(20日付・共同通信ニュースWeb版)。

   文化庁宗務担当者の発言は実に役人らしい見解だ。解散請求を裁判所が審理して、解散命令請求が100%勝てる状況にないので請求しない、と。発言は、面倒くさいことをオレたちにやらせるな、と言っているだけのようにも解釈できる。

   文化庁だけではない。ヒアリングで、野党側が消費者庁が把握している旧統一教会による被害相談件数について回答を求めた。すると、同庁担当者は「個別の事業者、団体にかかわる相談件数についてはお答えを控えさせていただいている」と答えた(20日付・日刊スポーツWeb版)。旧統一教会問題のヒアリングでの場で、この発言だ。法務省が設置した旧統一教会に関する「合同電話相談窓口」=写真=で受け付けた相談件数は今月5日から14日までに1415件(速報値)にも上る。

   旧統一教会に関しては、自民党は消極的、関係省庁は関わりを拒否する。おそらく、教団は高笑いをしているに違いない。 「野党が何を言おうが、我々の摂理は正しい。自民党と関係省庁は正しく理解してくださっているのだ」と。

⇒21日(水)夜・金沢の天気    はれ 

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