自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆アメリカ・ファースト

2017年01月23日 | ⇒メディア時評
   最近ニュース報道はトランプ大統領の就任とその一挙手一投足に注目が集まっている。メディア上では東京都の小池知事の存在感が一気に薄れたような感じもある。東京都議選の行方より、はやり、アメリカの行先と未来、世界の動向に関心が集まる。その意味で、「アメリカは偉大」だ。どのような人物が大統領になろうと、アメリカはアメリカ、世界の耳目が集まる。トランプ氏が声高に言うまでもなく、すでに「アメリカ・ファ-スト」だ。

   21日未明のアメリカ大統領の就任式の模様を視聴した。反対する人たち、就任を歓迎しない人たちの声がこれほど大きく、デモも随所にあり、波乱の幕開けを予感した。その就任の演説で連呼した「アメリカ・ファースト」。すべての政策でアメリカを優先し、メリットを勝ち取ると宣言していた。そこで感じたことだが、公職に就任するとその言葉の重みを意識して声のトーンも穏やかで慎重になるが、トランプ氏の言葉は選挙の時と同じようにエキサイトして聞こえた。さらに演説の内容もさほど変わらない。既視感(きしかん)が脳裏に漂った。

   政策も大統領選での公言と変わらない。「移民を認めない」。果たしてこれでよいのかと疑問に思う。アメリカが牽引するIT産業では、例えばフェイスブックやアップル、グーグル、マイクロソフトといった企業には有能なクリエーター、エンジニアがいるが、アメリカ人ばかりではない。インドからの移民だって多い。それを排斥するというのならば、むしろ産業力や国力の衰退につながるのではないか。

   また、トランプ氏がお得意の「アメリカ国内に工場を戻せ」の言葉で自動車産業界を揺さぶっているが、単純に重厚長大型の産業の復活をイメージしているのだろうか。むしろ、オートドライブ(自動運転)など車社会におけるイノベーションが求められ、産業構造に変化が起きようとしているのに、かつての栄光を生産現場の雇用拡大のみでアピ-ルするのは時代錯誤ではないだろうか。

   オバマ氏のイニシアティブ進めていたTPP(環太平洋連携協定)の脱退をさっそく表明した。それだけでなく、NAFTA(北米自由貿易協定)を再交渉し、応じない場合は離脱するという徹底ぶりだ。

   こうしたアメリカの政策転換を眺めて見ると、単純に「社会分断」「国際的な孤立」「技術革新の疎外」などいろいろなマイナスイメージの言葉が浮かんでくる。天下動乱の幕開けなのか、見る分には面白い時代に突入したものだ。アメリカ・ファーストの行方をウオッチ(見守り)したい。

⇒23日(月)朝・金沢の天気  ゆき
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★「あのとき」のケータイとネット

2017年01月17日 | ⇒トピック往来
   1995年1月17日5時46分、金沢も大きく揺れた。当時、テレビ局で報道デスクの仕事をしていた。確か、当時は成人式が1月15日だったので、翌16日は振り替え休日、その連休明けの朝だった。22年前の阪神淡路大震災のことである。

  さっそくテレビをつけた。「近畿地方で大きな地震がありました」とアナウンサーはコメントで繰り返し述べているが、映像が入ってこない。そこでキー局のテレビ朝日の報道デスクに電話をした。情報が錯綜していたのだろう、これもなかなかつながらない。地震で死者が出ていれば、取材の応援チームを現地のテレビ局(大阪ABC)に派遣する準備をしなければならないので、その情報が知りたかった。

   まもなくしてNHKで映し出された映像を見て仰天した。倒れたビル、横倒しになった高速道路などの空撮の映像が次々と。あの映像を見ただけでも、事態が容易に想像できた。すぐに若手の記者とカメラマンに現地に行くよう指示した。その時、記者に持たせたのが携帯電話だった。被災地では安否を親族に伝えるため、公衆電話に長い行列ができていたこともあり、当時会社に数台しかなかったケータイを連絡用に持たせた。

   このときは携帯電話は「売り切り制」(1994年)に移行した時期だった。つまり、それ以前はNTTとのレンタルで携帯電話を契約していた。デジタルホングループ(現在「ソフトバンク」)などが新規参入したころで、携帯電話が一般で普及する初期のころだった。その後、爆発的に普及したのは言うまでもない。

   このとき、聞き慣れない言葉が飛び交った。「インターネット」だ。神戸大学の研究者たちが、インターネットを通じて被災地の状況を世界に発信したことがニュースとなった。当時はインターネット、メールを知る人も少なく、通信環境も一般化していない時代だった。私が勤務していた職場(テレビ局)で初めて、メールを使い始めたのは大震災から1年たった1996年だった。このときはネット環境をいち早く手掛けていた朝日新聞東京本社から中古のパソコン(確か富士通製)を払い下げてもらい、社内の数人で試験的に使ったのだった。その後、会社全体で通信環境が整備され、社内で一気にネット環境が整った。

   1995年、ケータイとネットの幕開けは阪神淡路大震災だった。その後、2011年3月の東日本大震災では避難所でケータイを使う姿が普通になっていた。

⇒17日(火)朝・金沢の天気    くもり
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☆ハイブリッド戦争

2017年01月13日 | ⇒メディア時評
  昨日(12日)未明のトランプ時期大統領の初めての記者会見をテレビで視聴していて、この大荒れの会見が次の時代の到来を端的に象徴してると実感した。注目したのは、CNNのホワイトハウス担当記者が「報道機関を攻撃するのであれば質問のチャンスを与えてください」と訴えたの対し、トランプ氏は「あなたのところ偽ニュースだ」と質問をさせなかった。

  この偽ニュースとは、会見の前日(11日)に報道されたロシアのアメリカ大統領選への関与かんするニュースだ。以下、11日付のCNNウエッブ版(日本語)。「ロシアがトランプ氏の個人情報や財政情報も集めていたことを示す極秘文書が含まれていたことが分かった。事情を知る複数の米当局者がCNNに語った。」「添付文書の内容からは、ロシアがもともと米民主、共和両党について情報を収集していながら、民主党のクリントン陣営に不利な情報だけを公開していたことがうかがえる。ロシア政権がトランプ氏に肩入れしていた事実が裏付けられたと指摘する当局者もいる。」「文書の基になっているのは、英国の情報機関、対外情報部(MI6)の元工作員がまとめた35ページ分のメモだ。CNNはメモ自体の内容も入手したが、その詳細については独自の確認が取れていないため報道を差し控える。」

  少々長くなったが、要点はロシアはトランプ氏に有利に大統領選挙を進めるためにサイバー攻撃など行い、それだけでなく、ロシアはトランプ氏の個人情報や財政情報なども収集していた。しかし、この程度の記事で怒りの矛先がCNN記者に向かうものだろうか、と。

  というのも、ロシアがアメリカ大統領選の期間中、民主党のクリントン陣営幹部らにサイバー攻撃を仕掛け、メールを含む大量の情報を収集し、クリントン陣営に不利な情報だけを告発サイト『ウィキリークス』などに提供した疑いがあるということは、この記者会見でトランプ氏も「ロシアがやったと思う」と認めているのである。

  事の真贋は別として、この記者会見での様子を見て、「ハイブリッド戦争」という言葉を思い起こした。2014年ロシアが宣戦布告をせずにウクライナのクリミア半島に非正規軍を送り込んで制圧し併合した手法が「ハイブリッド戦争」と世界で言われるようになった。従来の国家と国家という争いの構図ではなく、非国家組織(極右や極左集団、テログループ、民兵などの非正規軍、サイバー攻撃集団、経済詐欺集団など)が、国家レベルではなく、狭い範囲で戦争に起こす構図だ。

  ロシアが前回のアメリカ大統領選で、民主党のクリントン陣営にサイバー攻撃を仕掛けたのも、明らかにハイブリッド戦争だろう。サイバー攻撃だけでなく、経済的手段やメディアを利用する方法もある。相手の社会に深く入り込んで、内部から政治的な意思を突き崩す方法である。おそらく、トランプ氏もこのハイブリッド戦争の仕掛け人になるのではないか。それも陰に隠れてではなく、堂々と実行するのがトランプ流かもしれない。この手法にメディアは無力だ。なぜなら、本来アメリカでもウオッチドッグ(権力監視)がメディアの役目だが、そんなものは不要というのが、あのトランプ氏が記者会見で見せた攻撃的なスタンスだった。

  なぜ、トランプ氏がCNNを目の敵にという理由をもう一つ。それは日本のメディアとはまったく異なる状況がアメリカにはあるからだ。日本のテレビ局は放送法の中で定められている、政治、とくに選挙での公平中立を守らなくてはならない。ところが、アメリカでは公平中立を旨としたフェアネス・ドクトリンがとっくの昔(1987年)に廃止され、テレビ局は政党色を強く押し出して報道している。たとえば、FOXは共和党、CNNは民主といったところが代表的だ。だから、もともとトランプ氏は民主党色が強いCNNを嫌っていたのだろう。このままだとメディアは無力化することになるのではないか。

⇒13日(金)朝・金沢の天気    くもり時々あめ
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★涙の演説、荒れる会見

2017年01月12日 | ⇒メディア時評
  アメリカのオバマ大統領が昨日(11日)在職2期8年の締めくくりの演説を行った。次期大統領のトランプ氏はきょう12日、当選後初めての記者会見を開いた。その二人の様子が余りにも対象的だったので、感想を述べてみたい。

  オバマ氏はイリノイ州シカゴでの退任演説で、リーマンショックとその後の景気回復、キューバとの国交回復、医療保険制度改革(オバマケア)、イランとの核合意など政権の政策の実績を述べ、「Legacy(政治的遺産)」を強調した。

  ちょっと感動したのはこの一節だった。Our Constitution is a remarkable, beautiful gift. But it's really just a piece of parchment. It has no power on its own. We, the people, give it power - with our participation, and the choices we make. Whether or not we stand up for our freedoms. Whether or not we respect and enforce the rule of law. America is no fragile thing. But the gains of our long journey to freedom are not assured. 意訳すると、憲法は美しい贈り物だが、私たちが政治的に参加し責任ある選択をしなければ憲法はただの紙である。  

  本来、大統領の退任演説はホワイトハウスでするのが通例だが、今回オバマ氏の希望で、2008年大統領選で勝利演説をしたシカゴで市民を前に退任演説した。締めくくった言葉は、2008年と同じ「Yes We Can(私たちにはできる)」と、「Yes We Did(私たちは成し遂げた)」だった。この場所設定と締めくくりの言葉でも想像できるように、オバマ氏は「演出家」なのだ。自らのヒロシマ訪問、真珠湾への安倍総理の招へいもそうだ。演説中には涙をぬぐって見せた。役者でもある。

  一方、12日未明にあったトランプ氏の当選後初めての記者会見はテレビのニュースで見る限り荒れ模様だった。自身に不都合な情報を伝えてきたCNNテレビのリポーターからの質問を拒否する一方で、報道に手加減してきたテレビ局や新聞社には謝意を示すなど、メディアの選別を露わにした。このことを逆にCNNはどう伝えたか。12日付のCNNウエッブ版(日本語)は「ニューヨーク市内のトランプ・タワーで行われた記者会見では、メディアや政敵にも容赦ない批判を浴びせ、20日に就任した後も攻撃的なスタイルを変えない姿勢をはっきりさせた。」と記事で応戦している。

  そのほか記者会見では、20日の就任後は即座に医療保険制度改革法(オバマケア)の撤廃に乗り出し、メキシコとの国境を隔てる壁の建設を急ぐことなどが語られたようだ。ツイッターによる攻撃、「ツイ撃」から今度は本人の「口撃」が本格化しそうだ。

⇒12日(木)朝・金沢の天気    くもり時々はれ
  
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☆続・広告のメッセージ性

2017年01月07日 | ⇒メディア時評
  「これは、自虐ネタですよ」。大学の先輩教授は3日付の全国紙の広告を見て笑った。『早慶近』の特大文字とマグロの頭の写真が掲載された全面カラー広告。広告主は近畿大学だった。

   この特大文字を読者が普通に読めば、「早稲田、慶応、そして近大」。これまでは「早慶上智」だったが、最近は上智にとって代わって近大が早稲田、慶応と並んだ、と言いたいのだろうと解釈する。文章を読めば、3日が近大の一般入試出願の受付の開始日と書いているので、インパクトを狙った、自虐ネタだと理解できる。

   ウイキペディアによると、自虐ネタ(じぎゃくねた)とは、主にお笑い芸人が、漫才や漫談などの話題として使用する、自分を貶(おとし)めるネタのこと。自虐ネタの元祖はタレントの坂田利夫かもしれない。自ら「アホのサカタ」と歌って、そのキャラをネタに笑いをとる。

   今回の広告では、その自虐ネタを大学の広報目線で使っているということで価値が高いと感じる。文章を読むと、広告で言うべきことは言っている。「“早慶近”はさておき、日本は語呂がよいだけの大学の“くくり”に依存してませんか? こんなもん世界から見たら、通用するわけがない。2017年。そんな大学界の常識、そろそろ見直してもいい頃じゃないですか。」と。その通りだ。日本でしか通用しない大学のランクを表現する“くくり”はグローバルを標榜するこの社会にどのような価値や意味があるというのだろう。そのことをひと言せていただきたいとの意思が十分に伝わってくる。ただし、オチもつけている。「でも、さすがに“早慶近”て、言いだした自分でもアホくさくて、笑てまうわ。」。言葉表現といい、実に関西らしい自虐ネタのオチである。

    そして最後に“早慶近”の意味を披露している。「みなさまに早々に慶びが近づきますように」。この広告の練り方は深い。

⇒7日(土)夜・金沢の天気   はれ   
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★広告のメッセージ性

2017年01月05日 | ⇒メディア時評
   けさ(5日)全国紙の朝刊を広げて少々驚いた。「これ、なんの広告だ」と。2ページの見開き白黒で、向かって左面に真珠湾攻撃の写真を、もう一方に広島に落とされた原爆によってできたきのこ雲の写真を配置してある。そして、「忘却は、罪である。」「人間は過ちを犯す。しかし学ぶことができる。世界平和は、人間の宿題である」のメッセージが添えられている。最初の印象は、宗教団体の広告かとも思った。出版社の宝島社が、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、日本経済新聞、日刊ゲンダイの全国版に掲載した広告だ。

   同社は昨年1月5日付でも、全国紙に「死ぬときぐらい好きにさせてよ」を掲載した。15段カラー見開きで、女優の樹木希林さんが水面に浮かぶ様子を、イギリスの画家・ジョン・エヴァレット・ミレイの名作「オフィーリア」をモチーフに写真で表現した。ほかにも、「子孫のために、借金を残す。」(2013年)、「ヒトは本を読まねばサルである。」(2012年)など。過去の作品の多くは、数々の新聞広告賞を受賞している。1998年から、商品では伝えきれない「企業として社会に伝えたいメッセージ」を発信したいと新聞広告を掲載している。

   企業のメッセージ性としてはインパクトがある。宝島社のホームページには以下の「広告意図」が掲載されていたので、全文を紹介する。

 今回の企業広告のテーマは「世界平和」です。
 2016年は、オバマ大統領の広島訪問、
 安倍首相の真珠湾訪問が実現した歴史的な年でした。
 そして2017年。世界は大きく変動することが予想されます。
 トランプ新大統領が誕生します。
 イギリスがEU離脱交渉を本格化し、
 難民問題は各国を揺るがすでしょう。
 変わりゆく世界にあっても、
 決して変わらない、変えてはいけない人間の目標が、世界平和です。
 そのために何ができるのか、何をすべきなのか。
 この広告が、それを今一度見つめ直すきっかけとなれば幸いです

⇒5日(木)夜・金沢の天気    くもり
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☆人生の決断に「鶏の声」

2017年01月04日 | ⇒トレンド探査

   ことしの干支は酉(とり)、動物に当てれば鶏(にわとり)となる。中国では、鶏は夜明けを知らせる威勢の良い鳴き声から、吉兆をもたらすと言われているそうだ。日本でも、鶏にまつわる有名な神話がある。太陽神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、天岩戸(あまのいわと)という洞窟に引きこもり、世が闇夜になってしまう「岩戸隠れ」だ。他の八百万の神々(やおよろずのかみがみ)は天照大御神の気を引いて、洞窟から出そうとする。よく知られている立役者がアメノウズメの踊りだが、闇夜に鳴き声を上げて夜明けを知らせる「常世の長鳴鶏(とこよのながなきどり)」もひと役買った。

  鶏って卵を産むだけでなく、太古から神話にもかかわる貴重な動物だったのだと改めて思いながら、元旦に届いた年賀状(141枚)を読んだ。そして分類してみた。賀状に鶏のイラストで酉年を表現していものが57通、「酉」という文字表現が8通、鶏ではなく鳥類(ツル、トキ、不死鳥、ダチョウなど)で表現しているものが24通、酉とは関係のない「謹賀新年」「富士山」「日の出」「家族」などで表現しているものが51通、残り1通はなぜか豚だった。過半数の89通が酉をイメージした賀状であったことを考えると、干支は今でも賀状に欠かせない年始のあいさつ代わりなのかと思う。

   「鶏」と言えば、実は人生の決断を迫られた思い出がある。50歳のときにテレビ局を辞した。人生の折り返し点で、悩んでいるとき、ある政治家が私にこう言った。「ニワトリのように強制換羽(きょうせいかんう)をしてはいかがですか」と。初めて聞いた言葉だった。

   養鶏業者の間の言葉だ。ニワトリは卵を産み始めてから8ヶ月ほどで卵の質が落ちてくる。この時点で、絶食させる。毛が抜け、衰弱したところでエサを豊富に与えると、また、良質の卵を産むようになる。その政治家は彼なりの解釈を聞かせてくれた。人もまた同じ仕事を続けているといつか周囲が見えなくなったり、アイデアが枯渇したり、その延長線上に嫉妬、やっかみが出てくる。それは人生の劣化の始まりなのだ、と。その年齢が50ごろ。そのとき、「家族が大切…」と言いながら現状を続けるのか、収入減を家族に理解してもらい別の道を歩むのか、それぞれの選択ですよ、と。私の場合、結局後者を選んだ。それから12年、今彼には感謝している。

⇒4日(水)夜・金沢の天気   くもり
   

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★2017年の賀状を「読む」

2017年01月03日 | ⇒トピック往来

  正月3が日、金沢は晴天に恵まれ、穏やかな年の始めとなった。以下は私の年賀状。

    謹  賀  新  年
 
   今年もよろしくお願いいたします。還暦を過ぎて、自分の至らなさにハッとすることが多々あります。先日お寺が点在する金沢の東山界隈を歩いていると、山門の掲示板にあった「その人を憶(おも)いて、われは生き、その人を忘れてわれは迷う」という言葉が目に入りました。仏教的な解釈は別として、人は若いころは諸先輩の言葉に耳を傾けていても、加齢とともに聞く耳を持たなくなり、我がままに迷走するものだと。これって自分のことではないか、と気がついて掲示板を振り返った次第です・・・。荒れ模様の世界情勢ですが、引き続き、人生のよきお付き合いをお願いいたします。

   いただいた年賀状から。かつての仕事仲間(新聞・テレビメディア)からの賀状。「世界もテレビ業界もいよいよ激動の時代へ。メディアの胆力が問われます」、「放送コンテンツのネット同時配信に向けて動きが本格化しています。ネットワークの在り方にも変化が出始めました」、「・・・『空気』や『言葉』が言論を抑え込んでいる。そんな時代になっていないかと、考えました。その答えははまだ見つかりません・・・」。新聞も放送メディアも大きな岐路に立っている。短文だが、ひしひしとその気持ちが伝わってくる。

   ITベンチャーの社長からいただいた賀状。「当社は新たなサービスの開発を目的として、今後発展が期待されるIoT技術の活用やデジタルマーケティングについて研究を行うIoTマーケティングラボをスタートいたします」。金沢のホテルの社長兼支配人からいただいた賀状。「おもてなしの神様は、細部にこそ宿る・・・20世紀を代表する建築家ミース・ファン・デル・ローエの『神は細部に宿る』の言葉通り、細かな設え、おもてなしのすみずみまで、金沢らしいこだわりをもって、お客様をお迎えします」。

   漆芸の重要無形文化財保持者(人間国宝)からいただいた賀状。「うるしの木は植樹して、12年から15年ぐらいで樹液を採取出来ます。その事を漆を掻くといい、一本の樹から約180mlぐらいしか採れません。・・・・昨年暮れに届いた漆を使い今年も仕事が出来る事に感謝いたし、新年のご挨拶申し上げます。」。漆芸と人生をともにする謙虚な心根がこちらの心にも響く一文だった。

⇒3日(火)夜・金沢の天気    くもり

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