自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

☆「ごちゃまぜ」という社会の化学変化

2019年12月04日 | ⇒トレンド探査

  「Share(シェア)金沢」という施設が金沢大学の近くにある。高齢者向けデイサービス、サービス付き高齢者住宅、児童福祉施設、学生向け住宅の複合施設だ=写真=。90人ほどが暮らす、ちょっとしたコミュニティでもある。施設には天然温泉やカフェバー、レストラン、アルパカの牧場、タイ式マッサージ店などがあり、近くの子供たちや住民も出入りする。運営している社会福祉法人「佛子園」の理事長、雄谷良成(おおや・りょうせい)氏と面談するチャンスがあった。


   大学で作成する教材用の動画の出演依頼の面談だった。テーマは「ソーシャルイノベーション」。都会から地方に移住したいという人々を地域が受け入れ、一つのコミュニティー(共同体)をつくることで新たな考えや発想、ビジネスを起こすという社会実験の場をいかにして創るか。Share金沢はそのモデルの一つだ。CCRC(Continuing Care Retirement Community)は高齢者が健康なうちに地方に移住し、終身過ごすことが可能な生活共同体のような小さなタウンを指す。1970年代にアメリカで始まり、全米で2000ヵ所のCCRCがあるという。都会での孤独死を自らの最期にしたくないと意欲あるシニア世代が次なるステージを求めている。そうした人々を受け入れる仕組みを地方で創る、いわば日本版CCRCの社会実験の意義について講演をお願いした。 

    雄谷氏は「私が目指しているのは、“ごちゃまぜ”によるまちづくりです」 と口火を切った。続けて「障害のあるなしや高齢に関係なく、多様な人たちがごちゃまぜで交流する。誰もがコミュニティの中で役割を持ち、機能しすることで元気になり、コミュニティが活気づく。いわば人間の化学反応が起きるのです。いま日本の社会、とくに地域に求められているのはこうした共生型社会ではないでしょうか」と。

    雄谷氏の祖父は寺の住職で、戦災孤児や知的障害児を引き取り育てていた。1961年生まれの雄谷氏も障害児たちと生活し、「ごちゃまぜ」の環境で育った。金沢大学で障害者の心理を学び、青年海外協力隊に入り、ドミニカで障害者教育に携わった。いろいろな人たちがごちゃまぜに共生し、人と人が関わり合うことによって化学反応が起きる。事例がある。通所している認知症の女性が、重度心身障害者の男性にゼリーを食べさせようと試みた。男性は車椅子で首はほとんど動かせない。3週間ほど繰り返すうちに男性にゼリーを食べさせられるようになった。首が少し回るようになったのだ。女性も深夜徘徊が減った。この様子を観察していた雄谷氏は「人と人が関わり合うことによって互いが役割を見つけ、生きる力を取り戻す。大きな気づきでした」と。

    雄谷氏が提唱する、ごちゃまぜのコミュニティづくりの構想は、縦割りとなった社会制度を崩すものだ。政府が目指すべき将来像を示す「まち・ひと・しごと創生基本方針2019」にこの構想が盛り込まれた。個人の人生設計と併せて地域で共生する社会のなかで誰もが活躍する。少子高齢化・人口減少の課題先進国、日本にとって示唆に富んだ提案ではないだろうか。今回の面談の時間は30分ほどだったが、講演の動画収録にOKが出たので、今度ゆっくり聞かせてもらうことになった。

⇒4日(水)朝・金沢の天気    あめ

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★SDGsをお経のように

2019年11月09日 | ⇒トレンド探査

   能登は自然環境と調和した農林漁業や伝統文化が色濃く残されていて、2011年には国連の食糧農業機関(FAO)から「能登の里山里海」が日本で最初の世界農業遺産(GIAHS)の認定を受けるなど、国際的にも評価されている。

        一方で、能登の将来推計人口は2045年には現在の半数以下になるとされ、深刻な過疎・高齢化に直面する「課題先進地域」でもある。金沢大学が能登半島の先端で開講している「能登里山里海SDGsマイスタープログラム」は新しい社会の仕組みをつくり上げる、志(こころざし)をもった人材が互いに学び合い切磋琢磨することで、未来を切り拓く地域イノベーションが生まれることの期待を人材育成プログラムに込めている。

   マイスタープログラムの取り組みは、国連で定めた持続可能な開発目標であるSDGsに資すると評価を受け、昨年6月に珠洲市が申請したマイスタープログラムと連携するコンセプトが内閣府の「SDGs未来都市」に認定された。これを機に、能登半島がSDGsの世界的な先進モデル地となることを目指すコンセプトにしようと、今年度からそれまでの能登里山里海マイスター育成プログラムを能登里山里海SDGsマイスタープログラムとしてリニューアルした。その効果はあったのか。

   きょう9日、マイスタープログラムに参加した。「SDGs」という言葉が飛び交っていた。たとえば、受講生が発表した報告には、「能登の里山里海の魅力を伝える観光DMOをSDGsの視点でさらに付加価値を高めたい」や「SDGsをテーマとして能登の森林バンクを創る」など、SDGsが普通にテーマに盛り込まれていた。能登暮らしに満足してはいない、かと言って決して先端を走っているわけでない。そこで、新たな価値としてSDGsを活用したい、そのような雰囲気が感じられた。

   これは思い付きの発想だが、SDGsを唱えることで自分自身をその気にさせる、お経のような効果があるのではないだろうか。理解することもさることながら、まず唱えてから自身に問いかけて語り、実行に移す。SDGs教である。悪い意味で言っているのではない。日本には「習うより慣れろ」や「考えながら行動する」という言葉がある。知識として教わることを優先するよりも、実際に体験を通じてその意味を実感していく方が習得は早い。講義を最後まで聴講していたが、面白い雰囲気が漂っていた。

9日(土)午後・能登半島・珠洲市の天気    くもり

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★能登半島、歌のツーリズム

2019年05月21日 | ⇒トレンド探査

   歌手の石川さゆりさんが春の褒章(今月21日発令)で学問・芸術分野などに贈られる紫綬褒章に選ばれた。石川県の住民の一人として、石川さゆりさんの功績は大きいと評価している。それは昭和52年(1977)にリリースされた曲『能登半島』(作詞・ 作曲 · 阿久悠、三木たかし)のヒットによる観光効果だ。

   「十九なかばで恋を知り あなた あなた 訪ねて行く旅は 夏から秋への能登半島」。恋焦がれる女性の想いが込められた歌は能登への旅情を誘い、能登観光の第2次ブームを創った。翌53年に半島の先端・珠洲市への日帰り客数は130万人を記録(三菱UFJリサーチ&コンサルティング「平成22年度旧きのうら荘見直しに係る検討業務報告書」)。その記録はまだ塗りかえられていない。

        では、能登観光の第1次ブームはいつだったのか。昭和32年(1957)、東宝映画『忘却の花びら』(主演:小泉博・司葉子)が公開された。「忘却とは忘れ去ることなり、忘れ得ずして、忘却を誓う心の哀しさよ」の名文句で始まるNHKラジオの連続ドラマ『忘却の花びら』(菊田一夫作)は、戦後の混乱期から落ち着きを取り戻し、マスメディアによる大衆文化が定着を始めたころのヒット作品だった。

   その映画のロケ地が輪島市の曽々木海岸であったことから、観光地としての能登ブームに火が付いた。横長のリュックを背負った若者が列をなしてぞろぞろと歩く姿を「カニ族」と称する言葉もこのころ流行した。さらに、昭和39年(1964)9月に国鉄能登線が半島先端まで全線開通、同43年(1968)に能登半島国定公園が指定された。マスメディアのPR効果、移動手段の確保、名勝としてのお墨付きを得て本格的な能登半島ブームが起きた。

   しかし、これまでの歌や映画によって誘われる旅情というはもう通用しないかもしれない。次世代の観光はこれまで旅行会社が取り上げなかった、あるいは観光地図にもなかった辺地、隠れた文化度の高い地域などが観光の対象となっていくのではないだろうか。「本当の田舎を見てみたい」や「何か体験をしてみたい」という要求が高まっている。いわばマス型からプライベイト型観光へとシフトが進んでいるように思える。

   新たな観光地は、個人を納得させる文化や歴史、伝統、農法、漁法、景観、人々の立ち居振る舞い、生業(なりわい)、自然・生態系といった地域資源をどれほど有するかがバロメーターとなるだろう。この点を踏まえれば、平成23年(2011)に「能登の里山里海」が国連機関である食糧農業機関(FAO)によって世界農業遺産、正式には「世界重要農業資産システム(Globally Important Agricultural Heritage Systems=GIAHS)」に認定された意義は大きい。

   世界農業遺産は次世代に継承すべき農法や生物多様性などを持つ地域の保存を目指していて、持続可能な伝統農法を見直すよう世界に求めている。家族や人の営みをベースにしていて、プライベイトな探訪型観光になじむ。国際的な評価を得た「能登の里山里海」の地域資源をいかにして活用してツーリズムへとつなげていけばよいのか、次なる能登観光のテーマでもある。

⇒21日(火)午後・金沢の天気    はれ

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★トークンエコノミーって何だ

2019年04月29日 | ⇒トレンド探査

   トークンエコノミーという言葉を最近よく耳にする。英語で「token」はもともと「しるし」「象徴」と習った。それが「記念品」「証拠品」の意味になり、最近では硬貨の代わりに用いられる代用貨幣のこととして言葉が進化している。新しい経済概念として、トークンエコミーは「デジタル通貨による新しい経済圏」を指すようだ。今月20日に「能登SDGsラボ 第1回トークンエコノミーと奥能登国際芸術祭」という勉強会(講師:石田貢、大野沙和子の両氏)が石川県珠洲市であった。残念ながら参加はかなわなかったが、レジュメが手に入った。それをもとに自分なりに読み込んでみる。

   トークンエコノミーはもともと心理学の世界で生まれたとされる。望ましい行動を取った場合に「トークン」が付与され、トークンを有形無形の価値と交換できるようにすることで特定の人やグループに対し望ましい行動を推奨するという考えだ。たとえば、消費税増税前の駆け込み需要を地域に取り込み、域内の経済活性化を図る目的で、行政が単独で発行する「プレミアム付き商品券」(1万円で1万2千円分など)もトークンの一種といえる。つまり、プレミアム付き商品券というトークンが外部に流出せず、域内で循環する仕組みとなる。

   このトークンの仕組みを、ユーザーがスマートフォン上の電子ウォレット(財布アプリ)を利用することでさらに利便性が広がる。紙の地域商品券では、所有者に対して利用できる場所の情報を送付するといったコミュニケーション
を取ることは難しいが、スマホだとユーザーに情報を送ることができ、継続的なコミュニケーションの接点となる。また、売れ筋商品の開発や事業展開など消費データを収集できるなど多面的な活用ができる。

   ここで出てくるあらたなキーワードが「ブロックチェーン」だ。データのかたまり(ブロック)が連なっていく(チェーン)、これがブロックチェーンと呼ばれる。現在多くのネットユーザーは特定のサーバーにアクセスし、データのやり取りを行っている。ブロックチェーンは「ピアツーピア(Peer to Peer)」という通信方式でデータのやり取りを行う。ピアツーピアは、サーバー頼みの通信方式ではなく、ネットワークの参加者が個別、平等にデータのやり取りを行う方法のこと。

    このブロックチェーンでトークンを発行することで、データの消失や改ざんといったリスクが軽減されるため、金融庁は新たな法的な枠組みづくりを検討している。今年度中に法案が成立の見込み。スペインのバルセロナでは、ブロックチェーンを基盤とした地域通貨「Rec」の発行を昨年2018年から実証実験の段階に入っている。1Recは1Euroに該当し、スマホで市内の店舗で利用すれば、特別な特典が受けることができ、域内での資金循環に寄与しているという。

     勉強会では、トークンエコノミーを2020年秋に珠洲市で実施される奥能登芸術祭で特典が得られる参加券(電子チケット)の購入や国内外へのプロモーション活動、アートへの市民参加などに活用してはどうかとの提案が具体的にあった。プラン化が決まったわけではない。しかし、新しい概念を地域で分かりやすく説明し、トークンを使ってみたいという来場者の心をくすぐるイベントにしてほしいと願う。

⇒29日(昭和の日)夜・金沢の天気    くもり

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☆外国籍児童から「大競争時代の雲」を測る

2019年02月01日 | ⇒トレンド探査

        金沢市内の教育者の方からメールをいただいた。「…来年度は、外国籍児童が35名になる予定で、学校としても対応に苦慮しております。学習内容の面でも生活指導面でも、日本語が通じず、かなり大変です。学生ボランティアや通訳などの人材がいてくださると助かるのですが・・。ドラえもんの『翻訳コンニャク』があればなぁと夢のようなことを考えてしまいます。良いアイデアがあれば、教えてください。」

   この教育者が所属する小学校は6学年で500人の児童がいる。その中に外国籍の児童が新年度から35人になると、言語の問題から学習や生活指導面での教育現場の指導が行き届かなくなり、せめてドラえもんの『翻訳コンニャク』があればと願う気持ちがひしひしと伝わってくる。ちなみに、翻訳コンニャクはドラえもんのひみつ道具で、これを食べると、自分の発する言葉が相手に合わせた言語に翻訳される。相手に食べてもらえば相手の発する言葉が自分の言語に翻訳される。いわば多言語コミュケーションツールだ。言語だけに止まらない。宗教上の価値観の違いから給食の食材の制限などがあったりと教育現場では多様な対応が求められる。

   「海外からの有能な技術者を受け入れるチャンスがめぐってきた」。石川県内の自治体の首長の言葉が印象的だった。この地域にはすでに3700人の外国人労働者が働いていて、今後そのニーズはさらに強まる。外国人労働者の受け入れ拡大に向けた改正出入国管理法(入管法)が今年4月から施行される。人手不足に悩む14業種、(介護、農業、材料産業、産業機械、エレクトロニクスおよび電気機器、建設、自動車整備、空港の地上処理・航空機のメンテナンスなど)を対象に、日常会話の日本語と簡単な技能試験に合格すれば、単純労働でも最長5年間の就労を認める(特定技能1号)。さらに高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人は長期就労も可能になり、家族の帯同も認める(同2号)。地域産業の発展させるためにどう有能な外国人労働者を受け入れ、そして定住してもらうか、首長は次ぎの一手を考えているのだという。

   個人的に尋ねた。「その秘策は何ですか」と。有能な外国人労働者を雇用すると妻子を伴ってくるケースが多くなるのは予想される。その子どもたちの教育環境を整えることで、地域企業は海外からの優秀な技術者をスカウトしやすくなり、それを売りにもできるというのだ。海外から技術者を呼び込むことはすでに、国際的な大競争の時代に入っている、その決め手の一つが子どもたちの教育環境だという。さらに、「どのような教育環境ですか、もっと具体的に」と問うと。「そうですね、インターナショナルスクールのような」と。なるほどと腑に落ちた。

    教育者からのメール、そして首長の話はつい先日のことである。それぞれのテーマは異なるが、外国籍児童をめぐる現状と可能性という点でテーマが一直線でつながった。外国籍児童をどう扱うかは、地域のサバイバルをかけた大競争時代のテーマとして広がる、ということだ。新たなキーワードは「地域にインターナショナルスクールを」ということか。(※写真は、金沢21世紀美術館の「雲を測る男」)

⇒1日(金)夜・金沢の天気     くもり

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★「2019」を読む~下

2019年01月03日 | ⇒トレンド探査

  自宅の庭にロウバイの花がささやかに咲いている。薄黄色のロウバイと白ツバキを生けて床に飾る=写真・上=。花の少ないこの時期、心を和ませてくれる。ロウバイの漢字表記は蝋梅。旧暦12月は蝋月(ろうげつ)とも称され、冬に咲く梅に似た花であることから蝋梅と呼ばれるようになった。小寒(1月6日ごろ)から立春(2月3日ごろ)にかけての季語でもある。「生物文化多様性」という言葉がある。植物や動物などの生物に文化的な価値付けをすることで生物の多様性を守り、文化的な深まりや広がりを人々も享受できるという意味だと自分なりに解釈している。国連大学やUNESCOなど国際機関が使い始めた言葉だ。

  花を愛でる価値共有と移民政策、生物文化多様性の視点から      

  花の価値を共有できる国の一つはベトナムではないかと思っている。2017年11月、旅したハノイ市内の路上では移動の花店=写真・下=や夜の花市場があり、女性や男性がバイクや軽トラックで次々と花の束を持ち込んで、とても活気があった。ベトナム航空のロゴマークは蓮(はす)の花をデザインしたもの。蓮は日本では仏花を代表する花だが、ベトナムでもシンボリックな花だ。ベトナムは社会主義の国だが仏教が主流だ。そして、ベトナムで仏教を信仰する多くの人々は月2回(1日と15日)に精進料理を食べることも習慣となっている。文化的な価値感を共有できる国ではないだろうか。

  外国人労働者の受け入れ拡大に向けた改正出入国管理法(入管法)が今年4月から施行される。人手不足に悩む14業種、介護、ビルクリーニング、農業、釣り漁業、食品・飲料製造(シーフード加工を含む)、レストラン(飲食サービス)、材料産業、産業機械、エレクトロニクスおよび電気機器、建設、船舶・海洋産業、自動車整備、航空(空港の地上処理、航空機のメンテナンス)、宿泊・もてなしを対象に、日常会話の日本語と簡単な技能試験に合格すれば、単純労働でも最長5年間の就労を認める(特定技能1号)。さらに高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人は長期就労も可能になり、家族の帯同も認める(同2号)。

   日本、ベトナムなど11ヵ国が参加し先月30日に発効したするTPP(環太平洋パートナーシップ協定)では動労者の国境を超えた移動の自由化や、単純労働者の受け入れは対象ではない。しかし、少子高齢化の最先進国である日本は、長期的な視野に立って外国人労働者の受け入れに本腰を入れるしかないだろう。これは思い付きだが、改正入管法の日本語と技能のほかに「文化価値共有度」という尺度があれば、日本で働くと同時に暮らしの中で日本に溶け込み、永住者(移民)として受け入れやすくなるのではないだろうか。TPPの発効と改正入管法の施行は「移民政策」を正面から議論するチャンスだと考える。生物文化多様性という言葉の意味はそこまで広がる。

⇒3日(木)午後・金沢の天気   あめ

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☆「2019」を読む~中

2019年01月02日 | ⇒トレンド探査

   元旦に個性的な賀状を多くいただいた。その賀状からは人生の在り様や経営への想いなどを読むことができる。何枚か紹介したい。著作物を勝手に流用することに少々気も引けるが、正月ということで作者の方にはお許しいただきたい。

            「風のスタシオン」、賀状に込められた経営への想い

       東京の出版社の友人は将棋が趣味。 ✒ 「将来の名人(明治)」と皆が唱和(昭和)し、将棋が大勝(大正)続きでも、本人は常に平静(平成)でいる。ホントに凄い! そうだ(聡太)、新元号は「藤井」にしよう! 

   今年84歳になる人生の大先輩、能登在住。 ✒  干支七回目の目標五項目 ◇複式呼吸法で健康管理と心おだやかに ◇話に明るさ、深さ、広さがあるように ◇常に相手方の長所に学ぶこと ◇「ほめ言葉」と「感謝の言葉」を忘れぬ様 ◇日々、「誠心誠意発露の場」とする精進努力を

   金沢のホテル支配人から。 ✒ 「風土」の語源は土地の生命力とか。「風」と「土」が造る気象、景観や文化、歴史。「土」はこの地に生を受けた私たちなら「風」は旅の人たち。延伸5年目を迎える北陸新幹線は、多くの観光客を連れてきただけでなく、「観光公害」なる言葉も生み出しました。この嫌なフレーズを耳にする時に金沢のおもてなしの力について考えさせられます。「今年は”風のスタシオン”になる」 多くの旅人がこのホテルに集まり散じていく、ひとときの心地よい「駅」でありたいと思います。

   プランニング会社の社長から。 ✒  風の言葉を聴き、土の力を知る。風土から学び、風土へ帰る。これが私たちの普通のコンセプトであり、その核をなすのは人と人のつながりです。新しい年もつながりを深める年となるよう務めていきます。

   最後に自身の賀状を。 ✒ 「平成最後の正月」をみなさまいかがお過ごしでしょうか。本年もどうぞよろしくお願いいたします。プライベートで書き続けているブログ『自在コラム』を始めて今月5日で5000日になります。本数は1360本です。3日か4日に1本のゆったりしたペースですが、日々のニュースや身の回りの出来事に視線を注ぎ、「これはブログのネタになるかもしれない」などと思いを巡らしてきた5000日でした。2017年には中間的なまとめの意味を込めて、新書『実装的ブログ論』(幻冬舎)を上梓しました。これまで、SNSのお誘いを何人かの方々から受けたのですが、かたくなにブログ一本で通す、不器用な人生です。平成から次の時代に変わりましても、引き続き人生のよきお付き合いをいただければ幸いです。

⇒2日(水)朝・金沢の天気   くもり時々はれ 

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★「2019」を読む~上

2019年01月01日 | ⇒トレンド探査

    それにしても見事な初日の出だった。写真は午前7時55分、金沢の自宅の2階から撮影したもの。青空に朝日が映えて、眼にも心にも光が差す。長らく北陸に住んでいて、快晴の元旦というのは珍しい。さて、2019年は好天に恵まれるのだろうか、この年を読み解いてみたい。

    年末31日のニューヨークのダウは前週末比265㌦高い2万3327㌦で終えた。アメリカと中国の「貿易戦争」とまでいわれる関税のつばぜり合いで、中国が軟化してきたとの分析が出始め、また、トランプ大統領と習国家主席による電話協議(29日)も前向きにとらえられ、買いが優勢になったようだ。日経平均の2018年終値は2万14円となんとか2万円台を保ったが、1年間で2750円安となった。「アベノミクス」の限界が見えてきたとこのブログでも触れた。では、日本の経済は今年停滞するのかとの思いもよぎるが、むしろ堅調なのではないだろうか。

     不透明感が高まる近隣諸国とどう向き合うか

    先月30日にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)が発効して、日本、カナダ、メキシコ、シンガポール、ニュージーランド、オーストラリア、ベトナム、チリ、マレーシア、ペルー、ブルネイの11ヵ国が参加したGDP10兆㌦の経済圏が構築される。さらに、日本にとって来月1日からEUとの経済連携協定(EPA)も発効する。多国間での自由貿易エリアが誕生することで、国民の経済へのマイナスイメージは当面和らぐのではないか。日本企業の業績もおおむね好調だ。ただ、10月から消費税率アップされるので楽観視はしていない。

   問題は近隣の中国、韓国の経済と外交の在り様ではないだろうか。中国は「一帯一路」を掲げ、アジアやアフリカの各国に融資し、港湾や鉄道などのインフラ開発を積極的に展開してきたが、ここにきて開発計画のずさんさや債務の膨張が表面化してきた。シルクロード経済ベルト(一帯)と21世紀海上シルクロード(一路)の壮大な構想が最近では、債権国(中国)と債務国の在り様がむしろニュ-スとして目立つ。さらに、中国通信機器メーカー「ファーウェイ」の製品を締め出す動きが、世界で広がっている。アメリカは国防権限法を昨年8月発効させ、政府機関や軍の情報が中国当局に流れる危険性があるとし、ファーウェイなど中国通信機器メーカーの製品を政府機関が使うことを禁止している。アメリカは日本など関係国にも働きかけを強め、オーストラリア、ドイツなどヨーロッパ各国、そして日本でも通信インフラを担う企業を含め中国製品をボイコットする流れだ。

   韓国経済も不況感が漂う。先月28日に韓国統計局が発表した11月の産業活動動向(鉱工業やサービスなどの生産動向)によると、鉱工業生産は前月比1.7%減と2ヵ月ぶりの減少となった。製造業生産は前月比1.9%減と2ヵ月ぶりに減少。内訳は前月比で「自動車・トレーラー」(マイナス2.3%)が3ヵ月連続の減少、「半導体・通信機器他」(マイナス4.7%)や「精密・光学機器他」(マイナス3.0%)など韓国の主力産業といわれる分野でマイナス幅が大きくなっている。朝鮮日報(12月31日付Web版)は「韓国の上場企業による営業利益の半分(49.59%)を占めるサムスン電子とSKハイニックスの業績低下が予想よりも深刻で、両社の株価は今年下半期にそれぞれ20%以上下落し、年初来安値を記録した。世界経済が過去10年間の好況から停滞局面に入ったことに加え、中国の攻勢もますます強まっているからだ」と分析している。

  韓国は直近で言えばレーダー照射問題など次々と日本との間で事を起こしている。今後ひと波乱もふた波乱もあるだろう。不透明感が高まる近隣諸国とどう向き合うのか、2019年の日本の最大の課題ではないだろうか。

⇒1日(元旦)午前・金沢の天気    はれ後くもり

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☆自然「災」害と人「災」と

2018年12月13日 | ⇒トレンド探査

    日本漢字能力検定協会は毎年年末にその年の世相を表す漢字一字とその理由を全国から募集していて、最も応募数の多かった漢字を京都・清水寺の貫主の揮毫により発表している。協会のホームページによると、ことしも11月1日から12月5日までの期間で19万3214票の応募があり、「災」が2万858票(10.8%)を集めて1位となった。

  きのう12日午後2時から清水寺で森清範貫主が揮毫する様子を民放だけでなくNHKも実況生中継で報じていた。確かにことしは災害ラッシュだった。自然災害では、年初めの豪雪に始まり、西日本豪雨、記録的な猛暑、北海道・大阪・島根での地震、大型台風の到来など。大規模な自然災害により多くの人が被災した。

  個人的には豪雪に恐怖感を味わった。自宅周辺の道路は30㌢ほどの高さの氷のように堅くなった雪道となっていて、ガレージから車が出せない状態が続いた。デイケアなどの福祉車両も通るため、町内会では人海戦術で道路の一斉除雪を行った。路上の雪は金属スコップで突いてもびくともしない硬さで、ツルハシを振り上げて下に勢いよく降ろして砕いた。学生時代にアルバイトで工事現場でツルハシを使った経験が生きた。

   もう一つ印象的なのは人「災」かもしれない。日本大学アメフトによる反則タックルに端を発した、いわゆるスポーツ界のパワハラ問題。オリンピック4連覇を達成して、国民栄誉賞を受賞した伊調馨選手と監督の間の問題もパワハラとされた。指導者が選手を育てる場合、それが教育なのか師弟関係なのか、難しいケースだ。オリンピック金メダリスト6人を育て上げた監督は日本レスリング協会強化本部長だった。指導する側に尊敬に値する人格というものがなければ、教育であっても師弟関係であっても人「災」、パワハラとみなされる。そのような判断の流れを一連の騒動を通じて考えさせられた。

   話は日大アメフト問題に戻るが、いまでも疑問に思っていることがある。動画を見れば、一目瞭然なのだが、試合開始の早々に日大のDL選手がパスをし終わった関学大のQB選手に真後ろからタックルを浴びせて倒している。QBが球を投げ終えて少し間を置いてから、わざわざ方向を変えて突進しているので、意図的なラフプレーだ。3プレー目でも不必要な乱暴な行為があり、5プレー目で退場となった。では、審判は1回目のラフプレーでDL選手をなぜ退場にしなかったのか。明らかに「レッドカード」ではないのか。単なる見逃しであるならば、審判に対してなぜ責任が問われなかったのだろうか。(※写真は清水寺のHPより)

⇒13日(木)朝・金沢の天気    はれ

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☆4K8K、テレビの未来か

2018年11月17日 | ⇒トレンド探査

      「マスメディアと現代を読み解く」という講義の中で、学生にマスメディアとの接触度を尋ねた。アンケート(2018年6月)の設問は「あなたは新聞を読みますか 1・毎日読む 2・週に2、3度 3・まったく読まない」「あなたはテレビを見ますか 1・毎日見る 2・週に2、3度 3・まったく見ない」の単純な設問だ。回答は102人で、新聞を「まったく読まない」75%、テレビを「まったく見ない」17%の結果だった。3年間同じ設問でアンケートをしている。推移をみると「新聞離れ」は下げ止まり。ところが、テレビは2016年12%、17年15%、18年17%と「まったく見ない」が増えている。「毎日見る」も16年65%、17年56%、18年49%と如実に減少している。「テレビ離れ」は加速しているのだ。

    テレビに未来はあるのだろうか。メディア論を講義しながら、そんなことを考えたりすることがある。ただ、上記のような数字にとらわれると暗いイメージになるのだが、テレビとは何だと問いかけると、まった別次元のイメージもわいてくる。それは、テレビの技術が新たな文化を生み出すということだ。

          1953年に日本でテレビ放送が始まり、白黒画面から相撲や野球の面白さを知るスポーツの大衆化という文化が始まる。1964年の東京オリンピックでは画面がカラー化し、スローVTR、そして通信衛星を通じて競技画像が世界へと配信され、放送のグローバル化が拓けていく。画質の高精彩化によって、家庭にシアター文化がもたらされ、CS放送やBS放送で多チャンネルが進展する。報道現場でもSNG(Satellite News Gathering) 車によって、災害現場からの生中継が可能になり、速報性がさらに高まった。

    次なるテレビの技術文化は何か。それは来月12月から始まる「4K」「8K」放送だろう。現在のフルハイビジョン(2K)と比べ、4Kはその4倍、8Kは16倍の画素数なので高精彩画像だ。4K8K放送は衛星放送で始まるが、手を挙げいるのがテレビショッピングの「QVC」だ。去年1月にBS4Kの基幹放送事業者の免許を取得し、来月から「4K QVCチャンネル」で24時間365日の放送をスタートさせる。同社のホームページでは「見つかるうれしさ、新次元」というキャッチコピー=写真=でPRしている。「4K QVC、それは想像を超えた、全く新しいショッピング体験。鮮やかでリアル。テレビをつけた瞬間、お部屋は一気に、新次元のショッピング空間に」と。

     では、4K8Kが生み出す文化とは何なのか。手短に表現するならば、「バーチャルリアリティ」ということになるだろうか。これまで距離感があった、映像空間とリアリティ空間の差が限りなく縮まる。人間の感性や購買意欲をさらに刺激する新領域の番組に踏み込むかもしれない。テレビ局側は「バーチャルなフィールド=映像」をリアリティ空間に見せる新たな技術(演出)開発に突き進むだろう。たとえば、テレショップだったら、「いいですよ。お安いですよ」の従来の演出よりも、対面型、あるいは対話型による追体験型の絵構成が主になるかもしれない。これは想像だが。

         4K8Kが生み出す新たな番組づくり、お手並み拝見である。一方で、放送局の番組を送り出すバックヤードでは「映像伝送のIP化」という革新が起きている。放送は時間的なディレイ(遅延)が許されないため、通信回線を使うことに抵抗感があった。それが技術革新で光ファイバーで遅延なく伝送できるようになった。4K8Kは番組だけでなく、技術革新をももたらしている。これが2020年に本格化していく、放送と通信による同時配信への技術インフラへと展開していく。

⇒17日(土)夜・金沢の天気   はれ

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