自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★花火ミュージックスターマイン デジタル技術で魅せる

2023年11月27日 | ⇒トレンド探査

   最近、花火は夏だけでなく、春、秋、冬と季節を問わずイベントとして打ち上げられるようになった。先日、能登半島のつけ根にある宝達志水町で花火会社「能登煙火」を経営する嵯峨井大民(さがい・ひろたみ)氏の講演があり、聴きに行った。演題は「能登花火のルーツと最新の花火演出」。興味が沸いたのは、「花火が進化している」との話を聞いたからだ。

   嵯峨井氏は神社の宮司でもある。会社は同じく宮司だった祖父が1933年に創業した。当時、花火は神社に奉納するものだったが、最近では地域の祭りやイベントなど幅広く花火が打ち上げられるようになった。(※写真・上は、花火の打ち上げで必ずヘルメットを着用すると説明する嵯峨井氏)

   花火といえば、かつては「打上げ花火」が主流だった。1発1発をじっくり楽しむ。菊や牡丹の花、柳の枝葉などいろいろ種類がカタチが楽しめる。さらに、「スターマイン」の花火は、さまざまな種類の花火を連続で打上げたり、多数の花火を同時に打上げたりして、​豪華さと迫力がある。

   その花火がさらに進化を遂げている。「音楽スターマイン」だ。ミュージックと花火をシンクロさせて打ち上げる。同町でことし10月7日で催された花火大会で披露された「音楽スターマイン」の曲は、ロッシーニ作曲・歌劇『ウィリアム・テル』序曲だった。講演ではそのときの動画が上映された。あのリズミカルな曲に合わせて、花火玉の種類や大きさ、色合いの組み合わせでストーリーが描かれる=写真・下=。ビデオながら感動がダイレクトに伝わってきた。

   さらに驚いたことに、この演出にはデジタル技術がある。音楽に合わせて打ち上げのタイミングを決定し、コンピューターのプログラミングによって花火と音楽をシンクロさせて打ち上げる。夜空に描かれる光のアートはデジタル技術で可能になったと聞き、花火はアナログとのこれまでのイメ-ジがひっくり返った。

   同町では来年もミュージックスターマインを開催する。ぜひこの目と耳で夜空の光と音楽のアートを楽しみ、打ち上げ現場もぜひ見学し、花火の進化を確認したいと思った次第。もちろんヘルメット持参で。

⇒27日(月)夜・金沢の天気   くもり

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★待ってたズワイガニ初物 「蟹-1グランプリ」300万円

2023年11月10日 | ⇒トレンド探査

   今月6日にズワイガニ漁が解禁だったが、海が大しけで漁獲は遅れて8日から始まり、きのう9日夜に金沢港などで初競りが行われた。この初競りは毎年ニュースになる。各漁船が選んだカニの最高価格を競う「蟹-1(かにわん)グランプリ」では、重さ1.52㌔、甲羅幅15.9㌢の雄の「加能ガニ」が最高級ブランド「輝(かがやき)」に選ばれ、300万円で競り落とされた。雌の「香箱ガニ」の最高級ブランド「輝姫(かがやきひめ)」は甲羅幅9.9㌢のものが7万円で落札された。きょうも朝から地元のテレビ・新聞メディアは、ようやく訪れたズワイガニの話題で盛り上がっている。

   きょう午前中、金沢の台所でもある近江町市場に行ってきた。ズワイガニの初物が並ぶとあって、鮮魚店の店先では店員の威勢のよいかけ声が響いていた。店先をいくつか回って値札を見る。加能ガニはサイズによって1杯2000円から2万7000円が相場=写真・上=、香箱ガニは1杯800円から3500円ほどだ。去年も初物を見に行ったが、去年並みの価格だろうか。

   店先に並んでいるものでもっとも高かったのは、重さ1.42㌔、甲羅幅14.9㌢の加能ガニで7万5000円=写真・下=。グランプリに輝いたものに比べ、サイズ的に重さで100㌘、甲羅幅で1㌢それぞれ足りない。それで、300万円と7万5000円の価格差になるとは、ズワイガニの世界もなかなか厳しいものがある。とは言え、きょうは初物なので、買い手も売り手も気持ちが盛り上がっていて高値だが、あすから徐々に値下がりして庶民価格に落ち着いていく。それが「カニ相場」というものだ。

   鮮魚売り場の一角で人だかりができていた。「この場で食べれます」「すぐ食べられます」との看板が掛かっている。香箱ガニの身をほどいて甲羅にまとめて入れた「カニ面」や、生ガキがこの場で食べることができる。鮮魚店の店頭での立ち食いなのだが、鮮度の高いカニやカキ、エビなどが食べられる=写真・下=。ちなみに、品代はカニ面が高いもので1個1800円、生ガキ1個1000円だ。市場の雰囲気がモチベーションを高めるのか、隣にいた数人の男性グループは「サイコー」「サイコー」と言い合いながら、次々注文していた。

⇒10日(金)夜・金沢の天気   あめ

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☆きょうから11月 日常・政治・経済に漂う妙な胸騒ぎ

2023年11月01日 | ⇒トレンド探査

   きょうから11月、とは言え金沢の最高気温はきょう23度、あす2日は24度、あさって3日は27度が予想され、5日まで夏日が続く。庭もちょっといつもの風景とは違う。6月から夏にかけてピンク色の花を咲かせるツモツケが、先日から再び花をつけている=写真・上=。ことしの冬はエルニーニョ現象で暖冬と長期予報が出ていたが、季節感が失われるのではないかと、妙な胸騒ぎがする。

          妙な胸騒ぎと言えば、きょうの各紙の一面トップもそうだ。「日銀 長期金利1%超容認 大規模緩和策を再修正」=写真・下=。住宅ローンを抱える身とすれば、日銀の政策修正は家計に跳ね返る。7月に上限を0.5%から1%に修正した後に固定金利の引き上げの動きが出て、今回の決定でさらに引き上げにつながるのはないか、と。変動金利への乗り換えも選択肢だが、日銀が短期金利に適用しているマイナス金利の解除も近いのか。

   そしてきょうの株式は午前中、前日比600円余り高くなっている。外国為替市場で1㌦=151円台まで円安にシフトしていて、輸出関連企業への買いが広がっているようだ。

   さらに気になるのは政治。メディア各社の10月の岸田内閣の支持率は過去最低となっている。読売の調査(10月13-15日)では支持するが34%で、支持しないが49%。朝日の調査(14、15日)は支持するが29%で前回9月調査から8ポイントも下落している。支持しないは60%だった。直近の日経の調査(27-29日)で支持するは33%で前回より9ポイントも下落している。支持しないは59%で8ポイント上昇した。

   岸田総理は先月26日の政府与党政策懇談会で所得税と住民税の定額減税を表明したものの、その直後に行われた日経の調査で大幅にダウンしている。物価高対策としての所得税減税を「適切だとは思わない」は65%で「適切だと思う」の24%を大きく上回った。防衛や少子化対策の財源が足りてないと言っていたのに、なぜ総理がいまごろになって「減税、減税」と言っているのか。有権者には不可解というか、妙な胸騒ぎを感じるのだ。

⇒1日(水)午後・金沢の天気    はれ

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★処理水放出めぐる中国の動き 福沢諭吉ならどう語る

2023年08月28日 | ⇒トレンド探査

   やはりあのシーンが印象的だ。夏の全国高校野球で慶応高校が、連覇を目指した仙台育英高校に8対2で勝って、107年ぶりに優勝を果たした。テレビの生中継を視聴していたが、慶応大学のOB・OGがいっしょになってスクラムを組んで応援歌『若き血』を歌う、あの応援ぶりは今でも耳目に焼きついている。OBの一人なのでそう思うのかもしれないが。

   甲子園で決勝を観戦した大学時代の友人からSMSメールが届いた。「ひさしぶりに若き血を歌って、盛り上がった。これも福沢センセイのおかげ、引退を前に福業ですな」と。後半の「引退」と「福業」という文字が気になって、何度かメールを交わした。

   福沢センセイは慶応の創設者である福沢諭吉のこと。引退の意味は、2024年度から1万円札のデザインが福沢諭吉から渋沢栄一になるとのことのようだ。そして、「福業」とは神業をもじったもので、福沢諭吉のオーラがこの決勝戦にはあふれていたとの意味を込めていた。

   なるほど。1984年に1万円札のデザインが聖徳太子から福沢諭吉になったので、40年を経て来年「引退」だ。引退前に大正時代の第2回大会以来、107年ぶり2回目の優勝に導いてくれたという、少々スピリチュアルなスト-リーだ。

   話は変えて、では、もし福沢センセイが生きておられたら、このニュースについてどう語るだろうか。東京電力福島第1原発の処理水の放出をめぐり、中国で抗議や嫌がらせが相次いでいる一連の動きだ。もともと福沢諭吉は隣国に対する憤りの念を持っていた。主宰する日刊紙「時事新報」(明治18年3月16日付)の1面社説にこう記した。「我れは心に於て亜細亜東方の悪友を謝絶するものなり」と。

   社説は福沢の「脱亜論」で知られる。福沢の執筆の背景は、当時の清国、李氏朝鮮は近代化を拒否して儒教などの旧態依然とした体制に固執していた。そこで福沢は政治的な縁切り(国交断絶)ではなく、「謝絶」と表現した。要求には謝りつつ応じない、と。当時の福沢の気持ちが現代にも通じるのではないか。そして、福沢センセイは「中国は昔も今も変わりませんな。放っておきなさい」と苦笑いするかもしれない。

(※写真は、慶応義塾大学三田キャンパスの福沢諭吉像)

⇒28日(月)午前・金沢の天気    はれ

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★デフレからインフレへ 日本経済の新たなステージへ

2023年08月09日 | ⇒トレンド探査

    自宅近くのガソリンスタンドの会員価格が1㍑181円(一般価格183円)となった=写真=。これまでの最高価格ではないだろうか。この店では先月31日に会員価格177円だったので、10日間で4円の値上げだ。政府は石油の元売り会社に支給している補助金を徐々にカットしていて、9月には補助金がなくなる言われているので、さらに高くなる。ガソリンだけでなく、物価が全体的に上がり出している。インフレの時代に突入か。

   日銀は先月28日の金融政策決定会合で10年来続けてきた「異次元緩和」を柔軟にすると決めた。長短金利の操作(イールドカーブ・コントロール)で長期金利を「0.5%程度」としてきたが、1.0%へと事実上、引き上げることに修正した。少々、違和感を感じたのが、「消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続します」との発言だった。庶民感覚ではすでに「2%」は超えている。日銀と庶民の物価に関する感じ方に乖離があるのではないか。もちろん、日銀は政策決定会合なので何か政策的な裏読みもあるのではと考えてしまう。

   賃金は今後さらに上がるのか。厚労省の審議会は先月28日に今年度の最低賃金を目安を全国平均で現在の961円から41円上げて、時給1002円にすると決めている。今後は各都道府県の審議会がそれぞれの地域の実額を決めていくことになるが、石川県の場合は42円アップして、最低賃金は933円となる。最低賃金の上昇は喜ばしいことだが、国際的なレベルではどうなのか。

   たとえば隣国の韓国。JETRO公式サイト「韓国の賃金水準、日本並みに」(2022年9月5日付)によると、2023年の韓国の最低賃金は前年比5.0%増の9620ウォン(約1010円)にすることが決定されている。他方、日本の最低賃金時間額は全国加重平均で、2021年度(2021年10月~2022年9月)930円、2022年度は961円で、既に韓国が日本を上回っている。これは、バブル経済の崩壊後に長年に及んだ日本のデフレの後遺症ではないだろうか。

   話は横に逸れたが、内閣府は先月20日、2024年度の名目国内総生産(GDP)の見通しを「601.3兆円」と発表した。物価が上がり出したことで、名目GDPが押し上げられる。日本経済は長期にわたるデフレ不況を克服し、インフレの下で新たな成長に向いつつある。当然、経済活動に伴う賃金も上がる。「600兆円の経済」が動き出す。

⇒9日(水)夜・金沢の天気  はれ

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☆磨かれた禅の永平寺 掃除修行の雲水が減るとどうなる

2023年08月06日 | ⇒トレンド探査

   20年前の2003年12月に家族で福井県の永平寺を訪れた。寺院の建物「伽藍(がらん)」をガイドしてくれた雲水の説明に「寝るのも修行、食べるのも修行、掃除も修行」との言葉があった。そこで、スリッパを履き忘れていた息子の白い靴下をチェックしてみると、確かに汚れはまったくなかった。雲水はあの長い伽藍の廊下を毎日のように掃除して清め、それが修行へと気持ちを昇華させているのだと教えられたことを覚えている。

   その永平寺を久しぶりに見学に訪れた(今月3日)。寛元2年(1244)に道元によって開かれた坐禅修行の道場というだけあって、凛としたたたずまいと風格が漂う。これ以上の言葉ではなかなか言い表すことができない。「七堂伽藍」をめぐるだけでも相当に時間がかかる。すると、木魚の音と読経が聞こえてきた。「祠堂殿(しどうでん)」に向かうと、法要が営まれていた。祠堂殿では宗派を問わず、一般の家々の納骨や供養などの法要が毎日営まれているという。7人の僧がときに立ち上がり、動きのある読経だ。これを見た人の中には、「納骨の法要は永平寺で」と遺言を残す人も多いかもしれない。

   それにしも七堂伽藍のほか相当数の建物がある。冒頭で述べた廻廊の雑巾がけなどの「作務」は、修行の一つとはいえ、これだけ数多くの建物群で毎日こなせるのかどうか。作務をこなすには雲水の人数が相当必要なのではないか。そこで、永平寺門前観光協会の事務局に尋ねた。現在130人の雲水が修行をしていて、中には数人の外国人もいる。女性はいない。雲水の人数は減っていて、5、6年前までは200人の雲水がいた。理由を尋ねると、「お寺も少子化なんですよ」と。

   以下は憶測だ。雲水の多くは曹洞宗の寺の跡継ぎではないだろうか。日本創成会議(座長・増田寛也元岩手県知事)が2014年に発表したリポート「消滅可能性都市」では、2040年の段階で49.8%の自治体が消滅するという。地方の自治体が減っていくとなれば、全国に1万4200の曹洞宗の寺院も人口減少で減っていくと推測できる。永平寺の雲水の人数も今後さらに減っていくのでないか。七堂伽藍ほか広大な寺院施設の雑巾がけはいまも大変だ。そうなると、雲水の人数が先細る中で永平寺の作務はこれからどうなるのか。ふと考えてしまった。

⇒6日(日)夜・金沢の天気   くもり

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☆ボケ封じの特効薬「レカネマブ」いよいよ承認か

2023年08月02日 | ⇒トレンド探査

   ようやくか、とも思う。メディア各社の報道によると、早期アルツハイマー病の新薬として期待されている「LEQEMBI(レカネマブ)」が日本でも今月21日に厚労省の専門部会で承認するかどうかの判断をする見通しとなった。日本のエーザイが主導し、アメリカの医薬品バイオジェンが共同開発した。冒頭に「ようやくか」と述べたのも、アメリカでは食品医薬品局(FDA)がことし1月により早く治療を提供する「迅速承認」というカタチでこの薬を承認し、先月6日には正式に承認している。

   アルツハイマー病は、脳内に異常なタンパク質「アミロイドβ 」が蓄積することで神経細胞が傷つき、記憶力や判断力などが低下するとされる。これまでの治療薬は症状の一時的な改善を促すものだが、レカネマブは脳内のアミロイドβ そのものを除去することで病気の進行を長期的に遅らせる。臨床試験でこの新薬を投与したグループと偽薬のグループを比較し、レカネマブのグループでは記憶や判断力などの症状の悪化が27%抑制された。両社は日米欧州、中国、韓国などで承認申請を行っている(エーザイ公式サイト)。

   これがアルツハイマー病の画期的な治療薬になるとすれば、問題は治療費だ。2週間に1回、体重に応じた点滴を施すことになる。価格は、体重75㌔の患者に換算して1人当たり年間2万6500㌦ と設定している(同)。きょうの為替相場は1㌦143円なので、ざっと380万円だ。仮に承認されれば、レカネマブ投与による治療は保険適応が可能か、といった問題が浮上するに違いない。ちなみに、アメリカでは高齢者向け公的医療保険「メディケア」は保険適用の対象とし、患者負担を2割程度に抑える見込みという(7月7日・東京新聞Web版)。

   国内のアルツハイマー型認知症の医療や介護に要するコストは、家族による無償の介護を金額に換算した額を含めると、最大で年間12兆6000億円を超えるとの推計値の報告がある(2021年3月・「Journal of Alzheimer's Disease」国際医療福祉大学医学部公衆衛生学の池田俊也氏らの研究)。国内の認知症患者は800万人にも及ぶと言われ、今回の話題はある意味で明るいニュースだ。

   ただ、保険適応となれば財政コストなど新たな問題が発生する。余談だが、アメリカでレカネマブが正式承認され、最近「ボケぶり」が何かと報道されるバイデン大統領は愛用しているのだろうか。

⇒2日(水)午後・金沢の天気   くもり

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★夏の甲子園「沸騰対策」は大丈夫なのか

2023年08月01日 | ⇒トレンド探査

   きょうから8月。6日から高校野球、夏の甲子園大会が始まる。どこからとなく聴こえてくるカーンという打球音や「栄冠は君に輝く」のメロディは夏の風物詩ではないだろうか。レジェンドもある。1992年8月16日、第74回大会の2回戦、星稜(石川)と明徳義塾(高知)戦。星稜の4番・松井秀喜選手に対しては5打席連続の敬遠だった。松井選手は春夏含め4回甲子園出場で、高校時代の公式試合でホームラン60本を放っていた「怪物」だった。朝日放送の実況アナウンサーが「勝負はしません」と何度も声を張り上げた。連続5敬遠が松井の名を一躍全国区に押し上げた。

   国民のモチベーションを上げてくれる甲子園大会なのだが、このところの「地球沸騰」の暑さが気になる。石川県の馳知事は先月28日の記者会見で、27日に行われた全国高校野球選手権記念石川大会の決勝について、「この暑い中、午後0時半の開始はおかしい」と疑問を呈した。馳氏は「朝8時試合開始とするなど、健康の観点から時間帯に配慮があっていい。生徒諸君が頑張っているという美談で終わらせてはいけない」と述べた(29日付・読売新聞Web版)。

   ちなみに、27日の最高気温は33.5度だった。これは以前から言われていることだが、真夏日のマウンドは気温より10度以上高いと。と言うことは、投手の体感温度は44度余りで、その状況下で投げ続けなければならなかった。大変な環境下だったろうと想像する。

   そう考えると、馳氏が「朝8時試合開始とするなど、健康の観点から時間帯に配慮があっていい。生徒諸君が頑張っているという美談で終わらせてはいけない」と記者会見で述べた意味がよく理解できる。

   甲子園大会は6日から始まるが、天気予報によると6日の神戸市の最高気温は36度、以降も35度など厳しい暑さが続く。なるべく日中は避けて、朝夕の二部制導入や、ナイターなど工夫すべきときが来たのではないか。確かに、高野連は高野連は夏の甲子園の暑さ対策として、朝夕の二部制導入を検討してきたものの、この夏は導入を見送り、一方で、5回終了後に休息をとれるよう「クーリングタイム」を導入することを決めている(2月1日付・NHKニュ-スWeb版) 。

          以下は憶測だが、二部制導入となると、放送する側にとってはゴールデンタイム(午後7時-10時)の時間を割かれることになる。NHK・民放含めてテレビ局側の抵抗があり、高野連側が押し切られたのではないだろうか。

⇒1日(火)夜・金沢の天気     はれ

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★ハス田の中に、その蕎麦屋はあった

2023年07月22日 | ⇒トレンド探査

   金沢の北部にある小坂地区はレンコンの産地で知られる。先日行くと、一面にハス田が広がり、白く大きなハスの花が咲き誇っていた。花を眺めていると心が洗われるというか、霊験あらたかな想いに浸るから不思議だ。

   友人たちと入った蕎麦屋は周囲をハス田に囲まれた、趣きのあるたたずまいだった。家屋は旧加賀藩の農家の特徴といわれた「東造り(あずまづくり)」の建築様式だ。切妻型の瓦屋根は、建物の上に大きな本を開いて覆いかぶせたようなカタチをしている。黒瓦と白壁のコントラスを見上げながら、玄関を入る。店内には簾戸(すど)が並んでいて、これもどこか懐かしい雰囲気が漂う。

   案内された席に座り、せいろ、天ぷら、さば寿司を注文する。待つ間に、中庭を眺める。枯山水の庭だが、じつによく手入れされていると感心した。なにしろ、雑草一つ生えていない。店員に尋ねると、毎朝、庭の清掃から一日の作業が始まるのだとか。そんな話を聴くと、妙に禅寺の雰囲気が漂う。

       蕎麦が出てきた。福井県今庄町のソバ生産農家から仕入れている。この店のを蕎麦はソバ粉を9割の配合で打つ、いわゆる「九割そば」。風味と香りが楽しめる。つゆも醤油味が濃いめで独特の甘みがある。(※写真2枚は「穂乃香」公式ホームページより)

   話は冒頭のハス田に戻る。「蓮(はす)は泥より出でて泥に染まらず」という教訓めいた言葉がある。水面下はドロ沼ではあるが、清らかで美しく咲く姿に、いにしえより人々は自らの人生を想いながら、苦境であっても人生の花を咲かせたいと願ってきたのだろう。

   「黎明の雨はらはらと蓮の花」(高浜虚子)。明け方に雨が降り、蓮の池からパラパラと葉を打つ音がした。蓮を見ると花が咲いていた。花を見に来いと蓮が伝えてくれたのだろう。泥中の蓮の奥深い魅力ではある。

⇒22日(土)夕・金沢の天気   はれ

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☆月面に第一歩の記念茶会 大雨呼ぶ馳知事のチャレンジ

2023年07月09日 | ⇒トレンド探査

   きょう金沢市で開かれた「月印(げついん)茶会」に出席した。表千家同門会石川県支部が主催したこの茶会。1969年7月21日(日本時間)、アポロ11号のアームストロング船長が月面に第一歩を記したことを記念して開かれている茶会で、新型コロナウイルスの期間を除き、今回で53回目となる。

   茶道と宇宙のつながりはどこにあるのか。茶席には円相(えんそう)の掛け軸がよく用いられる=写真・上=。禅宗の教えの一つとされる。円は欠けることのない無限を表現する、つまり宇宙を表している、とされる。茶の道も同じで、物事にとらわれず、純粋に精進することが茶の湯の道である、と。その心の宇宙の象徴が満月、円なのである。

   ひたむきにチャレンジするこの人の心の宇宙も円なのかもしれない。きのう8日、たまたま訪れた能登半島の千里浜海岸で水上バイクの全国大会「オールジャパンジェットスポーツシリーズ2023」が開催されていた。開会式で、石川県の馳浩知事が「千里浜を水上バイクの聖地にしたい」と大会にエールを送っていた。その後、馳氏は水上バイクにチャレンジした。世界チャンピオンになったこともある選手の運転する水上バイクの後部座席に乗り、数分間海上を滑走した=写真・中=。

   上陸してメディア各社のインタビューに答えていた。「初めて乗ったが最高だね。もっと速くても大丈夫だ」と初試乗の感想を語っていた。チャレンジ精神が旺盛な元プロレスラー馳氏らしいコメントだと思いながら横で聞いていた。まもなくして雨が降ってきた。気象情報によると、北陸地方は11日にかけて断続的に雷を伴った激しい雨や局地的に非常に激しい雨が降る恐れがあると予報している。このニュースを聞いて、「馳の大雨か」と脳裏をよぎった。

   馳氏がチャレンジすると大雨に。前例がある。去年8月3日、馳氏は国立公園に指定されて60周年の白山をPRするため、白山の登山にチャレンジした。翌日、豪雨のために一本道の県道・白山公園線が通行止めになっている影響で移動できず、登山道の入り口に足止め状態になった。このときは、24時間の降水量が金沢・加賀地方で200㍉の豪雨に見舞われた。

   金沢市内は大荒れだった。中心部を流れる犀川では濁流が波打って流れていた=写真・下=。金沢出身の詩人で小説家の室生犀星が「美しき川は流れたり」と讃えた犀川だが、氾濫の一歩手前で、このような犀川は見たことがなかった。このとき、「馳の大雨」という言葉が浮かんだ次第。もちろん、何の関連性もなく、思い付きの言葉だ。

⇒9日(日)夜・金沢の天気     あめ

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