自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

☆拉致問題、先読み-3

2014年06月17日 | ⇒メディア時評
  北朝鮮は孤立すると日本に接近してくるようだ。中国との経済のパイプ役だった張成沢処刑以後、中国と北朝鮮は急速に悪化し北朝鮮側に打撃を与えているとも伝えられている。中国から北朝鮮への生活物資や軍の戦略物資が突然、禁輸になるなど、中国も恣意的に北朝鮮に圧力をかけているようだ。中国はまた、核を保有する金正恩体制の強権体質に不信感を募らせているとも言われる。もともと外交の道筋が読みにくい両国だが、その国同士の関係性となるとさらに読みにくい。

 今回の拉致をめぐる日朝交渉でいろいろとイメージが膨らむ。「安倍総理の電撃的な訪朝はあるのか」。つい先日も、マスメディアの友人たちと雑談を交わした。「ある」「ない」と意見は二手に分かれる。「ある」とする方は、安倍総理の外交の柱の一つであり、ある意味で悲願でもあるので、「訪朝するくらいの覚悟はできているだろう」と。今月8日で放送されたNHK「日曜討論」で、自民党の高村副総裁は「(安倍総理が訪朝する可能性は)ゼロでない」と語っていた。おそらく総理訪朝のメリット、デメリットなど当然検討されているのだろう。

 「ない」とする意見。アメリカは現在、北朝鮮が非核化に向けた具体的な動きを先に見せない限り、協議に応じない姿勢を崩していない。そこで、今回の北朝鮮の拉致をめぐる交渉で日本が独自に経済封鎖の解除に踏み切れば、それだけで日本とアメリカの協調にひびが入る。ましてや、安倍総理が電撃的に訪朝してパフォーマンを演じれば、「ただでさえ、ひび割れしちがちな日米関係にそれこそ亀裂が入る。安倍総理はそんなことはしないだろう」と。

 日本が拉致問題を優先すれば、核やミサイル問題を重視するアメリカや韓国からの反発を招くの必至だろう。経済封鎖の解除にしても、拉致被害者の実情がつかみにくい中で安易に譲歩すれば、協議は北朝鮮ペースで進む恐れもある。安倍総理はそこらあたりをわきまえていて、参院予算委員会(3月19日)で「北朝鮮という国は外交的な工作を巧みだ。善意が利用される危険性がある」とも述べていた。

 結局、総理の電撃訪朝は「ある」「ない」のどちらか。これはまったく根も葉もない個人的な意見だが、「ある」と読む。安倍総理は昨年12月26日に総理就任1年を迎えたその日、念願の靖国神社に参拝した。中国、韓国、そしてアメリカの反発・非難・懸念を見据えての参拝だった。特定秘密保法案、集団的自衛権など周囲が反対しても、リスクがあっても、自らの思いを通す。2002年9月、当時の小泉総理の訪朝に同行したのは安倍氏だった。その小泉の美学を見た。その拉致問題を完結させたいという思いは強いだろう。小泉とタイプは異なるが、安倍晋三という人もまた「政治家として美学」を求めているのかもしれない。だから「ある」の可能性がある。

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