自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★2014ミサ・ソレニムス~7

2014年12月30日 | ⇒ドキュメント回廊
  このシリーズの締めくくりに家族のことを記す。ことし2月11日に妻・良恵(享年55歳)が逝去した。10歳のころより茶道(表千家流)をたしなんでおり、その立ち居振る舞いに凛としたものがあった。2012年6月ごろ、右の胸に「しこり」があると言い、金沢市内の乳腺クリニックに行き、抗がん剤治療をした。同年11月に右胸の切除と再建手術を行った。しかし、翌2013年9月に肺への転移が見つかった。切除したものの、10月にはさらに脳への転移が見つかり、転移が拡散したのだった。

  亡くなった後に我が家を改めて見渡すと、種々のお茶花が庭にあり、想いを込めて完成させた茶室があった。私は草むしりをしていると心が落ち着くので、季節を通じて土と向き合う。ただ、お茶花に造詣がないので、うっかりと妻が丹精込めたものを根ごと抜いてしまい、よくしかられものだ。今後同じ轍を踏むまいと、これまでの罪滅ぼしの意味も込めてフラワーマップをつくっている。四季がめぐるたびに、その可憐な花を愛でてやりたいと思っている。

  ことし12月7日、我が家の茶室=写真=で、妻の追善茶会を開いた。招いたのは金沢大学の文化資源学の研究者と留学生(修士課程)たちだった。実は昨年の11月に、同じく研究者と留学生を招き茶会を開き、妻が日本の茶道について英語で解説した。妻は「来年も留学生のみなさんのために茶会が開けたら」と楽しみにしていた。今回、妻の追悼の意味を込めて、昨年の参加者を招いて追善茶会を開いた。茶会には3人の協力を得た。妻の親友で茶人の稲垣操さん、山本泉さん、そして北陸大学の英語の講師をされて自らもお茶をたしなんでおられる小川慶太さん。今回、小川さんに茶道に関する通訳をお願いした。参加者にお点前をしてもらい、シャカシャカという茶筅(ちゃせん)の感触も楽しんでもらった。昨年と同様和やかな雰囲気の茶会となった。亡き妻の願えかなえることが何よりの供養だとおもった。

  2月の妻の臨終に立ち合うことができた。脈拍、心拍数がどんどん落ちていく。臨終を告げられたのは午後8時50分だった。そのとき、左目から涙がひとしずく流れた。死の生理現象なのかもしれないが、その涙の意味をそれからずっと考えていた。若くして逝った悔し涙だったのか、などと。以前読んだ、ジャーナリスト・ノンフィクション作家の立花隆氏の『臨死体験』『証言・臨死体験』(文藝春秋社)が書斎にあるのを思い出し、ページを再度めくった。数々の臨死体験の中で、光の輪に入り、無上の幸福感に包まれるという臨死体験者の証言がある。立花氏は著書の中で「死にかけるのではなく本当に死ぬときも、大部分の人は、臨死体験と同じイメージ体験をしながら死んでいくのではないか」と推定している。もしそうであれば、あのときの妻の涙は光の輪の幸福に包まれ流した涙ではなかったのかと最近思うようになってきた。いや、そうであってほしいと思っている。

⇒30日(火)午前・金沢の天気    くもり
  

  
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☆2014ミサ・ソレニムス~6

2014年12月29日 | ⇒ドキュメント回廊
  フィリピンのルソン島、マニラから北へ車で8時間ほどでイフガオに着く。ことしは2度訪れた。3月と11月。JICA草の根技術協力事業「世界農業遺産(GIAHS)『イフガオの棚田』の持続的発展のための人材養成プログラムの構築支援事業」(通称:イフガオ里山マイスター養成プログラム)。イフガオの棚田は、ユネスコの世界文化遺産(1995年登録)、そして世界農業遺産(2005年認定)にもなっているが、若者の農業離れや都市部への流出により、耕作放棄地の増加が懸念され、独自の生活・文化を継承していく人材の養成が急務となっている。

  ~ フィリピンのイフガオと能登から発信する若者と里山の未来 ~

  そのため、金沢大学がフィリピン大学オープン・ユニバーシティ、ならびにイフガオ州大学と連携し、能登で実践している人材育成のノウハウを「イフガオ里山マイスター養成プログラム」として、現地の実情に応じた、魅力ある農業を実践する若手人材を養成するプログラムを実施している。地域での問題解決をソフト事業として移出するモデルとしても注目されている。

  3月25日にイフガオ州大学で、受講生20人を迎え開講式を執り行った。受講生は、棚田が広がるバナウエ、ホンデュワン、マユヤオの3つの町の20代から40代の社会人。職業は、農業を中心に環境ボランティア、大学教員、家事手伝いなど。20人のうち、15人が女性となっている。応募者は59人で書類選考と面接で選ばれた。

  受講した動機について何人かにインタビューした。ジェニファ・ランナオさん(38)=女性・農業=は、「最近は若い人たちだけでなく、中高年の人も棚田から離れていっています。そのため田んぼの水の分配も難しくなっています。どうしたら村のみんなが少しでも豊かになれるか学びたいと思って受講を希望しました」と話す。インフマン・レイノス・ジョシュスさん(24)=男性・環境ボランティア=は、「これから学ぶことをバナウエの棚田の保全に役立てたいと思います。そして、1年後に学んだことを周囲に広めたいと思います」と期待を込めた。ビッキー・マダギムさん(40)=女性・大学教員=は、「イフガオの伝統文化にとても興味があります。それは農業の歴史そのものでもあります。そして、イフガオに残るスキル(農業技術)を紹介していきたいと考えています」と意欲を見せた。

  9月には受講生のうち10人が能登で研修を受けにやってきた。ツアー前半のハイライトは能登見学だった。輪島市の千枚田では、棚田のオーナー田を管理する白米千枚田愛耕会の堂前助之新さんがオーナー制度の仕組みを説明。イフガオ受講生は愛耕会のメンバーの手ほどきで稲刈りを体験した。イフガオの稲は背丈が高く、カミソリのような道具で稲穂の部分のみ刈り取っており、カマを使って根元から刈る伝統的な日本式の稲刈りは初めて。イフガオの民族衣装を着た受講生たちは、収穫に感謝する歌と踊りを披露した。歌声は田んぼに響き、楽しく、そして美しいと感じる稲刈りとなった=写真・上=。

  能登ツアーの後半のハイライトは、能登のマイスター受講生やOBとの交流である。20日と21日は能登里山里海マイスター育成プログラムの2期生の修了課題発表会(22人発表、通訳・早川芳子氏)に参加し、能登マイスターの受講生の環境に配慮した米作りや、土地の食材を活かしたフレンチレストラン、古民家の活用などついて耳を傾けた。21日午後からはイフガオ里山マイスターの受講生5人が現在取り組んでいる「ドジョウの水田養殖」や「外来の巨大ミミズの駆除・管 理」などについて発表した。これに能登の受講生やOBがコメントするなど、研究課題の突き合わせを通じて、相互の理解を深めた。

  11月、イフガオを訪れて受講生のプレゼンに磨きがかかっているのに驚いた。受講生たちの研究の中間発表がイフガオ州知事らを前に開かれた。アマラ・ダーエンさん=民間事務職員=の研究テーマは「伝統的な薬用植物」。イフガオの集落の多くは人里離れており、伝統的な薬用植物を自前で調達してきた。咳止めや糖尿病に効くといわれる薬用植物を10種類採取し、専門家の意見を聞きデータ収集。市販も視野に。ジェネリン・リモングさん=自治体職員(農業)=の研究テーマ「市販飼料と有機飼料による養豚の比較」。市販の飼料による 養豚より、伝統の有機飼料の養豚の方がコストも発育も優れていることをデータにより示した。マリヤ・ナユサンさん=保育士=の研究テーマは「離乳食に活用する伝統のコメ品種」。保育士の立場から、離乳食の歴史を調べる。乳児の発育によいイフガオ伝統コメ品種を比較調査している。マイラ・ワチャイナさん=家事手伝い・主婦=の研究テーマは「伝統品種米の醸造加工」。親族が遺した伝統のライス・ワイン製造器を活用し、イネ品種や、イースト菌の違いによる酒味やコクを調査。売上の一部を棚田保全に役立てる販売システムを検討している。発表は理路整然として、そして熱意があった。イフガオ州知事のハバウエル氏=写真・下=が「州の発展に役立つものばかりだ。ぜひ実行してほしい。予算を考えたい」と賛辞を送った。

 イフガオの棚田で若者たちの取り組みの姿がほのかに見え始めた。若者の農業離れは、日本だけでなく、東アジア、さらにアメリカやヨーロッパでも起きていることだ。一方で、農業に目を向ける都会の若者たちもいる。パーマネント・アグリカルチャー(パーマカルチャー=持続型農業)を学びたいと農村へ移住してくる若者たち。ただ農業の伝統を守るだけではなく、伝統の上に21世紀の農業をどう創り上げていくか、その取り組みが能登とイフガでも始まったのである。

⇒29日(月)朝・金沢の天気   ゆき
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★2014ミサ・ソレニムス~5

2014年12月28日 | ⇒ドキュメント回廊
  金沢大学では地域連携推進センターに身を置いて、よく珠洲市に通っている。知人や友人にそのことを話すと、「能登半島の先端で何をしているのか」とよく問われる。きょうはそのことを述べたい。金沢大学が三崎町の旧・小泊小学校の施設を珠洲市から借りて、「能登学舎」=写真・上=を開設して来年で9年目となる。2006年6月、生物多様性調査プログラム「能登半島 里山里海自然学校」を奥能登でスタートさせるための拠点を探していた。当時、珠洲市から紹介された旧校舎の背後に田畑や山林があり、3階の教室の窓からは海が眺望でき、「この場所こそ里山里海を学ぶ環境にふさわしい」と直感したものだった。

    ~ なぜ能登に通っているのか、能登にはすべきことが多様にあるから ~

 金沢大学では角間キャンパスの丘陵地に「角間の里山自然学校」(開設1999年)を設け、教育と研究、社会貢献を推進する「里山里海プロジェクト」(研究代表・中村浩二特任教授)を進めてきた。「能登半島 里山里海自然学校」は能登半島への第一歩だった。里山里海自然学校で実施したことは、生物多様性(植物・昆虫・鳥類・水生生物・キノコなど)の調査を市民と常駐する研究スタッフ(博士研究員)がいっしょになって調査するオープンリサーチ(協働調査)という手法だった。休耕田を利用した水辺ビオトープづくりや、雑木林を整備するキノコの山づくりを、地元のみなさんと進めてきた。このほか、トキやコウノトリが舞う能登の里山復興を目指した基礎研究や、「旅する蝶」アサギマダラの調査を通じた子供たちへ環境教育、郷土料理を通じた食育活動など多岐にわたった。こうした珠洲市の市民の協働活動の実績を踏まえて、NPO法人能登半島おらっちゃの里山里海が2008年に設立された。

 能登は里山里海の自然資源、多様な生業(なりわい)とそれに伴う伝統行事や文化に恵まれているが、一方で過疎・高齢化などの問題に直面している。こうした地域の課題に対応し、地域活性化や再生に活かす地域人材を育てる事業が、2007年に能登学舎でスタートした「能登里山マイスター養成プログラム」だった。養成対象は社会人(45歳以下)で、5人の教員スタッフが駐在して指導している。2年間のカリキュラムで講義と実習を通し、環境配慮の農業や農産物に付加価値をつけて販売する「6次化」のノウハウや、地域の伝統文化や海や山の自然資源をツーリズムへと事業展開する方法などを学ぶ。2012年3月までの5年間で62人が修了、うち14人が県外からの移住者だった。地元自治体(珠洲市、輪島市、穴水町、能登町)から事業継続の要望があり、2012年10月から後継事業として「能登里山里海マイスター育成プログラム」を実施している。首都圏から能登空港を経由して通う受講生や金沢方面からの受講生も増えたため、濃縮したカリキュラムに工夫して月2回・1年間のコースに改編した。2014年9月まで7年間通算して107人の修了生が能登学舎を巣立った。

 ほかにも、里山里海の「いきもの」と人々の繋がりを伝える「能登いきものマイスター養成講座」や、3年間で1000人の学生や研究者を能登に呼び込む調査交流を目的とした「のと半島里山里海アクティビティの創出」などの事業を実施した。こうした人材養成や交流活動の実績が、能登の里山里海とその文化を「SATOYAMA、SATOUMI」として世界に発信する事業活動へと展開している。

 能登学舎を訪れた2人の国連関係者の方を紹介する。まず、アフメド・ジョグラフ氏。2010年の国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10、名古屋市)の事務局長を務められた方で、2008年9月に能登半島を視察された折に、能登学舎で「能登里山マイスター養成プログラム」の自然と共生する人材養成の取り組みに耳を傾け、「里山里海自然学校」が造成したビオトープを視察した=写真・下=。続いて、国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産(世界重要農業遺産システム=GIAHS)の創始者で事務総長だったパルビス・クーハフカーン氏は2010年6月視察に訪れた。COP10では、日本からの提案で「SATOYAMAイニシアティブ」が採択され、日本の里山が注目されるようになった。2011年6月、FAOの世界農業遺産に「能登の里山里海」が日本で初めて佐渡とともに認定さた。認定に先立つFAOからの現地視察で、生物多様性など自然との調和を掲げた農業人材の育成に取り組む「能登里山マイスター養成プログラム」が、GIAHSコンセプトである持続可能な地域社会づくりに寄与するとして、高い評価を受けた。

 こうした流れを受け、2010年より、国際協力機構(JICA)の研修「持続可能な自然資源管理による生物多様性保全と地域振興~SATOYAMAイニシアティブの推進~」が石川県で実施され、能登学舎は受け入れ拠点の一つとなっている。里山里海プロジェクトの活動の評価と実績が認められ、2013年度からのJICA草の根技術協力事業として、「フィリピン『イフガオの棚田』の持続的発展のための人材養成プログラムの構築支援」事業が採択され、能登で培われた人材養成の手法が海外へ移出展開することになるきっかけとなった。

 2014年8月、能登学舎を拠点に「学長と行く能登合宿」が実施された。2泊3日で学生40人余りが能登学舎周辺の小泊地区を中心としたお宅に民泊をさせていただきながら、山崎光悦学長と学生が珠洲市の山林で草刈りなど保全活動を体験した。山に入り作業を行うのはほとんどの学生たちにとって初めての経験だったが、チャレンジする心、精神力というものをこの場で得たようだ。能登の里山里海のフィールドを学生たちの「人間力」を鍛錬する場としても今後とも活用していく計画。これは「COC(地<知>の拠点整備事業)と呼ばれるプロジェクトの一環で、学生たちが地域に学び、地域のニーズと大学の研究を結ぶことで地域の課題解決を目指す、また、社会人の生涯教育を充実させる、3つのプログラムが成っている。珠洲市役所に隣接してCOC事業のサテライトプラザが新たに開設された。今後、金沢大学の学生・研究者が珠洲に行き交う光景がさらに増えることになる。

 2014年10月、珠洲市により寄付された「能登里山里海研究部門」が新たに金沢大学に設けられ、特任准教授と特任助教が能登学舎に着任した。これまでも、能登の里山里海研究を推進してきたが、これらの成果を活かし、さらに多様な専門性をもつ研究者の参画を得て、「能登の里山里海」の学際的評価を行うことになる。とくに、地域の自然や文化資源の調査活動などを通して、地域社会の活性化や自然共生型のライフスタイル、持続可能な地域社会と人づくり、里山里海をテーマとした国際的なネットワークの構築、地域課題の解決に向けた政策の提言などを目指す。こうした研究の成果をシンポジウムなど通じて、市民や行政に還元していく。

 能登学舎から見える里山里海の風景が心なしか明るくなっているように思えます。それは人の往来が少しづつではあるが、にぎやかになっているからだ。県内外、国内外の人々が能登を目指して、学びにやってきている。もうしばらくは能登通いが続く。

⇒28日(日)正午・金沢の天気  くもり
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☆2014ミサ・ソレニムス~4

2014年12月27日 | ⇒ドキュメント回廊
ニュースの仕入れ先は新聞やテレビという時代は確実に終わったようだ。ただ問題がある。先のブログでも紹介した、11月18日に実施した金沢大学の学生131人の意識調査の話にもう一度戻る。

   ~ ニュースなど情報の仕入れ先はインターネットだが、その信用度は別物 ~

 
 「ニュースの情報は主に何を使って収集していますか」という質問に対しては、「テレビ」が50.4%、「インターネット」が43.5%。この2つで9割を超え、新聞は6.1%だった。インターネットでニュースを仕入れる人のうち、「検索サイト(Yahoo!、Googleなど)」を使うのは82.1%、「ツイッター」を使うのは10.4%だった。さらに、「複数のメディアを使ってニュース情報を収集していますか」との問いには、77.9%が「はい」と答えたが、その組み合わせはやはり「テレビとインターネット」が最多で72.5%と圧倒的だった。

 ところで、「新聞を購読していますか」という質問に「はい」と答えたのは30.5%で、そのうち自分で購読している学生は30.0%、家族が購読している学生は62.5%だった。購読しない理由は、「お金の問題」が43.2%を占め、「他のメディアで十分」「時間がない」がそれぞれ19.3%だった。しかし、「もっとも信頼できるメディアは何だと思いますか」という問いには「新聞」との答えが43.1%と最多だった。続いて「テレビ」が35.4%で、「インターネット」は10.8%だった。玉石混交の情報がある中で信憑性も見分けれないという状態に陥っている。

  若者はインターネットという便利な百科事典を持っているようなものだ。携帯電話などの通信費が毎月かかり、その携帯電話でニュースを読めるならわざわざ新聞は購読しないだろう。しかし、その情報の信用性については学生も悩んでいるのではないかと推察する。便利だけれど、どこまで信じればよいのか。だから、新聞社のクレジットがついているニュースを読む傾向もある。

  では、テレビに対する学生の意識はどうか。「1日のテレビの視聴時間は」という質問には、「1時間以上3時間未満」が40.5%、「1時間未満」が37.4%で、「ゼロ」という学生も15.3%いた。「今のテレビについてどう思いますか」(回答は自由記述方式)という質問には、「図などを作ってわかりやすくなっていると思う」「情報をいち早く伝えている」などの肯定的な意見は少なく、「似たような番組ばかりで多様性がない」「つまらない」「意見の偏りを感じることがある」など否定的意見が実に多数を占めた。

  文字情報より映像情報が分かりやすいというのがテレビの魅力だろう。しかし、その時間にリモコンのボタンを押さなければならないし、ダビング(録画)も面倒で結構忘れる。一長一短だ。しかも、番組に多様性が感じられない。どのチャンネルも同じような内容だ。そう感じる学生たちのテレビへのスタンスは厳しいものがある。テレビ番組がインターネット化でも自由に視聴できるように、アーカイブ化の取り組みなどこれからが勝負どころだろう。もちろん、ライツ(著作権)という大きなハ-ドルがある。

⇒27日(土)夜・能登地方の天気    はれ
 
 
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★2014ミサ・ソレニムス~3

2014年12月26日 | ⇒ドキュメント回廊
  東洋英和女学院大4年の学生22歳が、ホステスのアルバイト経験を理由に日本テレビからアナウンサーの内定を取り消され、採用を求めた民事訴訟できょう26日、東京地裁で和解勧告が行われたと報じられた。

   ~ テレビ局の力量が問われる、アナウンサー内定取り消し問題 ~

 和解協議は非公開で、詳しい内容は不明だが、双方の代理人が出席し、日テレ側から学生側に和解案が提示されたとみられる。学生は来年4月のアナウンス職での入社を求め、日テレも徹底抗戦の構えを見せていたが、入社もしくは金銭での補償を含んだ提案で、強硬姿勢を崩したかっこうだ。第2回の口頭弁論は予定通り、来年1月15日となっているが、年明けにも引き続き和解協議が行われる予定だという。

  そもそもなぜ内定が取り消されたのか、その理由が理解できない。ホステスのアルバイトがよくないというのならば、募集段階からホステスなど風俗のアルバト経験者は不可と明示すべきだろう。もちろん、日テレが内定を取り消したのは、採用後に週刊誌などでスキャンダルとして掲載されることを恐れたのだろうことは想像に難くない。それだったら、アナウンス職での採用であっても、しばらくは表(画面)に出さなければよい。人事の裁量権でなんとでもなる。要は、筆記試験、社員面接、重役面接、社長面接など難関を突破したのだから、つまり会社が見込んだのだからアルバイト経験だけで切り捨てることは無理がある。逆に、そうした経験をキャラとして使いこなせばよい。それがテレビ局の技量というものだ。

  さらに話を総合すると、学生は2015年度入社のアナウンサーとしの採用内定通知を渡され、ことし3月に、人事担当者に以前、母親の知り合い筋の銀座のクラブで短期間アルバイトをしていたことがあるとを告げた。すると、4月に入り、クラブでホステスをしていた経歴は、アナウンサーに求められる清廉性に相応しくないとの理由で、内定辞退を求める文書が送られて来たという。学生が辞退しないと答えたところ、5月末に内定取り消しの通知が届いた。

  一部のメディアで紹介されていたが、フジテレビの亀山千広社長が11月28日の定例記者会見で、今回の日テレの内定取り消し問題について、「(フジの場合は)内定を出した以上は採用すると思う」と独自の見解を話し、清廉性については視聴者がどう見るかに委ねたいと語ったという。これが本筋の話しだろう。

⇒26日(金)夜・金沢の天気     あめ


  
  
  

  

  
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☆2014ミサ・ソレニムス~2

2014年12月25日 | ⇒ドキュメント回廊
  11月18日に実施した金沢大学の学生131人の意識調査では、メディアや政治に関する内容も問うた。とくに最近の近隣国との緊張した関係を学生たちはどう感じているのだろうかと気になったからだ。「尖閣諸島や竹島など領土問題で、日本と中国・韓国との関係悪化が指摘されていますが、中国に親しみを感じますか」という問いには、「まったく感じない」または「あまり感じない」を選んだ学生が合わせて54.9%だった。「とても感じる」「やや感じる」の15.3%を大きく上回った。「韓国に親しみを感じますか」との質問でも、「まったく感じない」「あまり感じない」が51.9%で、「とても感じる」「やや感じる」は24.4%だった。つまり、学生たちの半数以上は近隣国とに親しみを感じないというのだ。

  ~ 近隣国に親しみ感じない学生半数、しかし、「外交努力で友好」望む73% ~

  一方で、「安倍総理や現役閣僚の靖国神社参拝が、中国や韓国の反発を招いていますが、靖国問題をどう思いますか」という質問には、回答した125人のうち、「戦争犠牲者を弔うのは当然」など肯定的と判断される意見が73件、「他国を刺激するので参拝すべきでない」など否定的とみられる意見の20件を上回った。「亡くなった人をお参りして周囲が騒ぐのはおかしい。でも他国の反応は想像がつくので考えて行動すべきだ」など中立的と判断される意見は19件あった。以上の数字だけでを読めば、大方の学生たちは日本にいろいろと干渉する隣国に随分と不快感を持っているようにも思える。

  別の角度から数字を眺めてみる。いわゆる「ヘイトスピーチ」が問題になっている在日特権を許さない市民の会(在特会)の主張をどう思うか聞くと、「反対」「どちらかというと反対」との答えが33.6%で、「賛成」「どちらかというと賛成」は29.8%。「わからない」が36.6%だった。

  学生たちに近隣国との在り様を尋ねた。「近隣諸国との緊張状態が続く東アジアのなかで、日本はこれからどうすべきだと思いますか」という質問には、「外交努力で友好に務める」を選んだ学生が73.1%を占めた。「外交的圧力をかける」は13.8%、「軍備を増強して備える」は4.6%だった。つまり、近隣諸国とぎくしゃくし、親しみを感じられない学生が半数をしめながらも、外交努力すべきだという人が多く、冷静でバランスのとれた考え方の学生が多いのである。

  そして、「日中戦争の発端となった満州事変以来の戦争は侵略だったと思いますか」との質問には、「思う」「やや思う」が57.7%、「思わない」「あまり思わない」は17.5%だった。25.2%が「わからない」と答えた。戦争を引き起こしたことには日本に非があると思っている学生が半数以上だ。これは上記の「外交努力で友好に務める」73.1%の意識のバックにあるように推察できる。

  ジャーナリズム論を履修している学生に対する意識調査ということで、学生のスタンスを勘案しなければならないが、若者の政治や世の中への関心は決して低くない。消費増税など身近な話題から国際問題まで幅広く関心があると感じた。

⇒25日(木)午後の金沢の天気  ゆき  
 
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★2014ミサ・ソレニムス~1

2014年12月24日 | ⇒ドキュメント回廊
  昨夜(23日)金沢市の石川県立音楽堂コンサートホールで催された、荘厳ミサ曲(ミサ・ソレムニス)の演奏に聴き入った。石川県音楽文化協会などの主催で、もう52回目となり、県内では季節の恒例のイベントとして定着している。「キリエ (Kyrie)憐れみの讃歌」、「グロリア (Gloria)栄光の讃歌」、「クレド (Credo)信仰宣言」、「サンクトゥス (Sanctus)感謝の讃歌」、「アニュス・デイ (Agnus Dei)平和の讃歌」と進むちうちに心が高まった。80分の演奏時間は、決して「長い」とは感じなかった。むしろこの一年の出来事が思い出され、脳裏が高揚感と清明感にあふれたのは私だけだろうか。今回のコンサートを聴きながら2014年を振り返るよいチャンスにもなった。「2014ミサ・ソレニムス」と題して、この1年を回顧したい。

      ~ 学生たちは総選挙に何を思ったのか、意識調査から推察したこと ~

  ことし1年の世情のニュースで衝撃だったのは、年の瀬の予期せぬ衆院選挙が。安倍内閣の支持率が下がっていたこのタイミングで、消費税増税の延期を国民に問うというシナリオで描かれた選挙だった。自民単独で290議席を確保した。民主党がアベノミクス(安倍政権の経済政策)の破たんを訴えたが、代案が見えてこないので国民は現政権をある意味で冷静に支持したのだろう。ただし、投票率は戦後最低に下がり52%だった。

  大学で学生たちに授業(メディア論)を行ったいて、いつも気になっているのが若者の政治参加のことだ。若者たちに政治参加する意欲や気持ちが失われれば、民主主義も早晩危ういと日頃感じているからだ。そんな折、12月14日の投開票の衆院選を、大学生はどう考えているのだろうかと調査する機会に恵まれた。朝日新聞社と北陸朝日放送の協力を得て、11月18日に金沢大の学生に、メディアや政治に関する意識調査を実施した。その中から、衆院選に関する質問についての回答を今回紹介する。回答者は私が担当する「ジャーナリズム論」の受講生131人。

  授業で選択式や自由記述の質問に答えてもらった。131人のうち男性は105人、女性26人で、18歳と19歳が112人を占め、文系が43人、理系が88人だった。

  「最近、気になるニュースは何ですか?(複数回答可)」という質問(回答は記述式)に対しては、「消費増税」の問題を30人が挙げ、最も多かった。続くのが「衆院の解散総選挙」に関する19人だ。このほか、「GDP(国内総生産)のマイナス成長」や赤サンゴ密漁をはじめ日中や日韓関係に関する問題が挙がった。「消費増税の先送りについて民意を問うという安倍総理の衆院解散について、党利党略という指摘がありますが、あなたは今回の衆院解散をどう思いますか」と聞くと(回答は選択式)、「賛成」または「どちらかといえば賛成」が計29.0%で、「反対」と「どちらかといえば反対」の計26.7%を上回った。ただし、44.3%は「わからない」と答えた。「党利党略という指摘」との説明がなければ賛成がもっと多かった可能性がある。質問の仕方が違うが、朝日新聞社の11月の世論調査では、「この時期の解散、総選挙」について「賛成」は18%、「反対」が62%だった。つまり、意識調査に参加した多くの学生たちには選挙権はないが選挙に賛成する傾向があった。その理由とは何だったのか。

 「選挙の最大の争点は何だと思いますか」という問い(記述式)では、回答した117人のうち55人が「消費増税」関連を書いた。続いて「アベノミクス」についての16人。このほか「憲法改正」「女性議員の登用」などが挙がり、「わからない」が26人だった。上記の数字から以下推察した。

 解散賛成が反対を上回った点について。円安で食料品を中心に値上がりしており、仕送りで生活する学生にとって消費増税はダブルパンチだ。そこで、増税延期への民意を問うというのだから選挙には賛成が多いのだろう推測した。気になるニュースや争点の質問でも増税やアベノミクスへの関心が高い。学生のアルバイトの時給がこのところ値上がり傾向で、アベノミクスを実感しているのは学生かもしれない。

  学生たちは自民や民主ほかの政治的な主張には耳を傾ける傾向は薄い。ただ、現実問題として政治が学生たちの生活にどうかかわるのかといった点では関心があるだろう。調査後に学生たちに感想を聞くと、「衆院選の争点が何かという設問が書きづらかった」(男性)、「政治に関する質問は、普段考えないので難しかった」(女性)という声があった。おそらく学生たちにとってこの意識調査が政治への関心の入り口になってほしいと個人的に期待したい。

⇒24日(水)朝・金沢の天気    くもり


  

  
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☆上空に寒気の投票日

2014年12月14日 | ⇒トピック往来
  上空に寒気が流れ込んでいるせいかみ、14日朝から金沢の平野部でも10数㌢ほどの積雪となった。朝7時40分に自宅を自家用車で出発して、輪島市に向かった。途中、大学の関係者を乗せるため、小立野台と呼んでいる高台を走ると積雪が一気に30㌢ほどにも増えた。同じ市内でも高低差などでこれほど違う。そんな金沢の積雪差を指してこう言う。「香林坊は雨でも、小立野台はみぞれ、湯涌は雪」と。

  金沢から輪島に向かう縦貫道「のと里山海道」(全長83㌔)を走る。金沢から向かうので当然、積雪は金沢よりも多いと判断しがちだが、そうではない。「金沢が大雪でも。能登は小雪」ということもままある。そこで、9時ごろに目的地に電話を入れた。輪島市内の山間部でさぞかし大雪と思いきや、「20数㌢ほど。軽四でも大丈夫」との返事。「チェーンもスコップもいらない。スノータイヤで大丈夫」と安心し、車を走らせた。雪国に住んでいると日常的にそんなことをついつい考える。

  10時すぎに、目的地の輪島市三井町に到着した。「あえのこと」を撮影するためだ。ユネスコの無形文化遺産に登録されている「奥能登のあえのこと」は、田の神に感謝して、もてなす農耕儀礼として知られている。毎年12月5日、その家の主(あるじ)は田んぼに神様を迎えに行く。あたかもそこに神がいるがごとく身振り手振りで迎え、自宅に招き入れる。お風呂に入ってもらい、座敷でご馳走でもてなす。田の神は目が不自由であるとの設定になっていて、ピタリティ(もてなし)が行き届く丁寧な所作が特徴だ。

  こうした伝統的な農耕儀礼を踏襲しつつも、新しいスタイルで「あえのこと」を行っているグループがある。デザイナーの萩野由紀さんが主宰し、金沢大学の生物研究者たちが加わる生物多様性調査グループ「まるやま組」だ。毎月の田んぼや周囲の生物調査をベースに、調査で見つかった生き物の名前を記した「依り代(よりしろ)」をつくっている。この依り代を広げてみると、ことし確認された300種の植物と123種の水生生物、合わせて423種の名前と学名が記され、絶命危惧種は赤字、外来種は青字で示している。この依り代を手に田んぼで神様を呼び寄せて家に招き入れ、食の安全と豊作に感謝する。田の神という伝統的な概念を自然の恵みとも解釈し、生物多様性の保全と結びつけてる。

  解釈だけではない。田の神に感謝するのは生産者だけでなく、コメを食べる消費者も同じ視点でこの「あえのこと」の儀式に参加しようとグループでは呼びかけている。14日、関心を寄せて集まった人数は50人がそれぞれ田の神に捧げるお酒、甘酒、お菓子、煮物、漬物、ご飯、野菜など持ち寄った。これを輪島塗の赤御膳に並べて供し、そのほかは「お下がり」と称して、儀式の後、参加者全員でいただくのである。まるやま組の伝統儀礼と現代解釈の取り組みは、「国連生物多様性の10年日本委員会」が主催する「生物多様性アクション大賞2014」でアクション対象に選ばれた(11月30日)。日本の文化を大切にする、食べることを通じて生物多様性、自然のめぐみに感謝するといった、日本人の忘れかけている大切なことを今に伝えている、高く評価された。

  まるやま組の「あえのこと」を里山の新たな動きとして取材するため、カメラマンと金沢大学里山里海プロジェクトの研究代表、中村浩二特任教授に赴いたのだった。中村教授が現地でリポート(英語)、そしてインタビューした。昔取った杵柄(きねづか)で、収録ディレクターというのが私の役回りだ。一連の取材が終わって金沢に戻ったのは19時ごろだった。夕方からさらに風雪が強くなってきた。

  きょうは衆院選挙の投票日だ。いったん自宅戻り、近くの投票所(中学校体育館)に入ったのはギリギリの19時58分。ラストの投票者だった。一票を投じた瞬間に「ちょうど午後8時になりましたので投票所を閉鎖します」と係員の声が響いた。自宅に戻ると、テレビ各社の選挙特番が始まっていた。もうすでに出口調査で、自民は230議席と報じられている。まだ、開票前なのに、である。

  この日、もう一つ仕事が残っていた。21時30分、金沢市の開票作業始まるのに合わせて、金沢市営中央市民体育館(同市長町3丁目)に出かけた。学生たちを激励するためだった。新聞社からの依頼で、学生たち何人かに開披台調査の選挙アルバイトを勧めた。この調査は、双眼鏡で開票者(自治体職員)の手元を覗きながら、小選挙区の候補者名をチェックしていく。投開票日のその日には、テレビ新聞メディアは投票所では出口調査が、開票所では開披台調査を実施する。出口調査で大差がついていれば、20時からの選挙特番で「当選確実」の予想は打てるのだが、小差ならば開披台調査で当落を判断することがある。

  21時30分、新聞社の調査を勧めた学生たちが一人もいない。開票所に新聞社の連絡員がいたので、「どうなっているのか」と問うと、急きょ石川3区(能登地区)の開票所に学生たちが派遣された、とのこと。出口調査の段階で1区(金沢市)の自民と民主の候補者の間で12ポイントの差がついていた。3区では自民と民主の候補者の差が7.1ポイントの差だった。当然、開披台調査の主力部隊は3区に注がれる。3区の七尾市の開票所に向かおうかと一瞬考えたが、夜間なので路面の凍結(アイスバーン)のことが頭をよぎって、向かうのをためらった。上空の寒気に朝から夜まで惑われた一日だった…。

※写真・上は輪島市で執り行われた「まるやま組」の農耕儀礼「あえのこと」の様子。手前はダイコン、無効に押し花が飾られている。写真・下は金沢市中央市民体育館の衆院選石川1区の開票作業の様子(午後9時32分)

⇒14日(日)夜・金沢の天気  ゆき     
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★初雪と衆院選挙

2014年12月03日 | ⇒メディア時評
  いよいよ来た、という感じだ。しかも、いっしょに来た、である。雪の訪れと衆院選挙。衆院選挙は昨日(2日)に公示され、雪はきょう3日が初雪である。この初雪と衆院選挙のホットな身の回りの動きをいくつか。

  昨日、私の総合科目授業「ジャーナリズム論」「マスメディアと現代を読み解く」を履修してくれている学生たちにメールで呼びかけた。「メディアと選挙に関心のある学生のみなさんへ きょう2日は衆院選挙の公示日です。14日(日)に投票と開票が実施されます。「争点がみえにくい」と言われますが、安倍政権の中間評価が問われる選挙です。メディアもフルに動いています。そのピークはもちろん14日です。当落をいち早く予想するのです。朝日新聞金沢総局と北陸朝日放送では、選挙速報のための調査を14日夜、実施します。14日の当日19時から23時半まで、金沢市長町3丁目の同市中央市民体育館ほか石川県内の各開票場で実施します。もちろんバイト代やタクシー代は出ます。メディアによる選挙取材の裏ワザを勉強するよい機会ですので、参加希望者はメールで申し込んでください。5日(金)18時10分から地域連携推進センター2Fで説明会を開催します。メディアと選挙の勉強にきてください。」と。

  この調査はジャーナリズム論で提携している朝日新聞からの選挙調査の学生バイトの依頼だが、学生たちが選挙調査に関わることでメディアと選挙の在り様を学んだり、それより何より、選挙に関心を持ってもらうよい機会になればと思い協力している。この選挙調査は開披台(かいひだい)調査といって、開票場で作業を行う自治体職員の手元を双眼鏡でウオッチし、候補者の得票を数え、メディアの選挙報道センターにリアルタイムに伝えるもの。バードウオッチングのような手法だ。新聞社とテレビ局では、こうしたデータを総合的に分析し、当選確実の速報を打っていく。双眼鏡で手元をのぞき見する訳で違法ではないかと思われるが、各メディアが自治体の選挙管理委員会に事前に届けて行う、認知された行為である。

  昨日午後は少々慌てた。風雨が吹き荒れ、真冬の寒波並みだった。沿道に旗がバタバタと音をたててなびいている。よく見ると、「アベノミクス前進」「景気回復優先」などと書かれてある。このテの旗は野党の得意技だと思っていたが、自民が先手を打っているという印象を受けた。事前に綿密に計算された「選挙運動」ではある。

  昨日夕方、自宅に戻り、ノーマルタイヤからスノータイヤに交換するため予約を入れようとなじみのディーラーに電話した。すると、「今週はムリです」と素気ない。来週に予約を入れたが、路面の凍結を気にしながらの運転が続く。電話の後、しばらくして固定電話が鳴った。受話器を取ると、地元の新聞社からで選挙に関するアンケート調査に協力してほしい、という。「協力しますよ」と返事すると、「お宅に20代から30代の方がおられたら、電話を代わってもらえないか」と問うてきたので、「今はいません」と返事すると、「それでしたら結構です」と電話の向こうから謝絶してきた。20代や30代の声がなかなか集まっていないようだ。

  2014年師走の選挙はどう動くのか。14日までの選挙の動き、ランダムに記載したい。

⇒3日(水)朝・金沢の天気   みぞれ

  
  


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