自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆叱り声「プーチンよ 大志を抱け」

2022年03月06日 | ⇒キャンパス見聞

   大学に勤めていたころの知り合いからメールをもらった。前回のブログを読んだ感想だった。その中で「北海道大学は学長名でロシアのウクライナ侵攻に抗議声明を出している。さすがアンビシャスな大学だね」と。知人は北大の関係者ではないが、ロシアの大学とつながりが深い北大だけでに、大学関係者の間で話題になっていたようだ。北大の公式ホームページをチェックする。「重要なお知らせ」のページに掲載されていた。以下。

「2022年2月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵攻は、紛争の平和的解決という国際的、普遍的合意を無視したものであり、許容されないものです。北海道大学は、ウクライナに対するロシアの軍事介入の即時終結と紛争の平和的解決を強く求めます。これまで、北海道大学は、日露大学協会・日露学長会議など日露間の大学間交流に深く関わってきており、現状を深く憂慮するものです。アカデミアの連携については、これまでの成果を尊重します。一方で、ロシアのアカデミアにおいても、今回の紛争に対する平和的解決に関する議論がなされることを期待します。なお、本学におけるウクライナ、およびロシアの教職員・学生については、彼らの平穏な職務遂行並びに教育・研究環境が維持されるように万全の取組を行います。」

   日付は2月28日で、発信者は「総長 寳金清博」。日本語だけでなく、英語、ロシア語、ウクライナ語でのメッセージも掲載されている。北大の抗議声明が評価されるのは、その行動の早さだ。ロシアに即時の攻撃停止と軍隊撤収を要求する非難決議が衆院本会議で採択されたのは今月1日、参院は2日だった。こうした国際問題については国を動きを見ながら大学は行動を起こすというイメージだったが、今回は異例だ。

   さらに他の大学もチェックすると、北大よりさらに早く、東京大学は総長名で2月25日に、広島大学も当日のホームペ-ジで抗議声明を発している。では、大学がロシアの侵攻に敏感に反応したのなぜか。それは北大の抗議声明に記載されているように、ロシアと日本の大学の「アカデミアの連携」がある。双方に行き来しながら医学や化学、工学など広い分野に及んでいる。このままウクライナ侵攻が続けば、そうした連携研究をストップせざるを得なくなると危惧しているのではないか。世界各国のノーベル賞受賞者160人がロシアのウクライナからの撤退を求める公開書簡を発表している(3月2日付・共同通信Web版)。平和を求めるとともに、アカデミアの立場からの憂慮の表れだろう。

   北大のHPに「Be ambitious」というページがあった=写真=。北大の前身でもある札幌農学校であのクラーク博士が残した言葉「少年よ大志を抱け」だ。それにしても、ロシアのプーチン大統領は「NATOはウクライナの民族主義者とネオナチを支援している」「ウクライナでジェノサイドが起きている」と繰り返し述べている。プーチン氏は大局観に立ち戻って事態を治めるべきだ。「プーチンよ 大志を抱け」とクラーク博士の叱り声が聞こえそうだ。

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