自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆「ノドグロ」と「かに面」の話 ~下

2022年11月30日 | ⇒トピック往来

   この時季、庶民の味から遠ざかっているのはノドグロだけではない。「かに面」も、だ。かに面は雌の香箱ガニの身と内子、外子などを一度甲羅から外して詰め直したものを蒸し上げておでんのだし汁で味付けするという、かなり手の込んだものだ=写真=。もともと金沢の季節限定の味でもある。

   それが、このところ価格が跳ね上がっている。なにしろ、金沢のおでん屋に入ると、品書きにはこれだけが値段記されておらず、「時価」とある。香箱ガニの大きさや、日々の仕入れ値で値段が異なるのだろう。今季はまだおでん屋で食べてはいなが、ことし1月におでん屋で食したかに面は2800円だった。それまで何度か同じ店に入ったことがあるが、数年前に比べ1000円ほどアップしていた。

   資源保護政策で香箱ガニの漁期は11月6日から12月29日に短縮された。そこで、値段は徐々に上がってはいたものの、それが急騰したのは2015年3月の北陸新幹線の金沢開業だった。金沢おでんが観光客の評判を呼び、季節メニューのかに面は人気の的となり、おでんの店には行列ができるようになった。

   ノドグロにしてもかに面にしても値段が急騰した背景の一つには北陸新幹線の金沢開業がある。極端に言えば、「オーバーツーリズム」なのかもしれない。この現象で戸惑っているのは金沢の人たちだけではない。能登や加賀もだ。金沢おでんが観光客の評判を呼び、季節メニューのかに面は人気の的となった。すると水揚げされた香箱ガニは高値で売れる金沢に集中するようになる。それまで能登や加賀で水揚げされたものは地元で消費されていたが、かに面ブームで金沢に直送されるようになった。

   食べる話ばかりしてきたが、問題は資源管理だ。富山県以西から島根県の海域にかけて、2007年には5000㌧だった漁獲量が2020年には2700㌧に減っている(水産研究・教育機構「令和2年度ズワイガニ日本海系群 A 海域の資源評価」)。今季は幸いなことに、2013年度から始まった卵を産む雌ガニの漁期を短縮が奏功して、漁獲量が増えているようだ。しかし、持続可能に資源量を回復させるには、さらに雌の漁獲をさらに制限することも想定される。はやい話が「かに面ストップ」ができるか、どうか。

⇒30日(水)夜・金沢の天気     あめ

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★「ノドグロ」と「かに面」の話 ~上

2022年11月29日 | ⇒トピック往来

        久しぶりにノドグロの塩焼きが食べたくなり、近所のス-パーに行く。鮮魚売り場ではブリやアジ、サンマなどの塩焼きパックは並んでいるが、ノドグロが見当たらない。調理場にいた店員に「ノドグロはないですか」と尋ねると、「このところ入荷そものがないんですよ」と返事が返ってきた。「入荷そのものがない」とは、どういうことなのか。

   身はやわらかく、脂がのった魚で、刺身や煮つけ、塩焼き、干物などどれも絶品だ。ノドグロが有名になったのは、2014年9月のテニスの全米オープンで準優勝した錦織圭選手が帰国後の記者会見で、何が食べたいかとの問いに、「ノドグロが食べたい」と答えたことがきっかけだった、と記憶している。それまで金沢に住んでいてノドグロという名前を知らなかった。アカムツのことと地元メディアなどで紹介されて初めて、錦織選手の出身地・島根県ではノドグロと呼んでいるのかと分かった。それ以降、金沢の居酒屋ではお勧めの料理の貼り紙にに「ノドグロあります」が目につくようになった。

   さらにノドグロがブームになったのが、翌2015年3月の北陸新幹線の金沢開業だった。観光客が急激に増え、金沢での食べ歩きや土産の需要として、ノドグロ人気が一気に高まった。まるで、「ノドグロ新幹線か」と思うほどに。この背景には、関東から観光客にとっては、北陸と山陰は同じロケーションで、金沢に行けばノドグロが食えると思われたに違いない。当時、知人らと「あのアカムツがノドグロに化けて、えらい人気やな」と笑っていた。ところが、値段も高騰して、いつの間にか「超高級魚」の様相になってきた。

   ブリのように成長するにつれて名が変わる魚のことを「出世魚」と言うが、人気が高まって値段が上がる魚も、現代風「出世魚」なのかもしれない。いつの間にか金沢ではアカムツではなくノドグロと呼ぶのが普通になっている。

   冒頭の話に戻る。ノドグロは能登半島付近では8月から10月にかけてが漁期なので、いまは水揚げ量も少ない。そして、政府の全国旅行支援もあって旅行への機運が回復したせいか、金沢も観光客でずいぶんとにぎわってる。おそらく、スーパーにノドグロは回ってこないのだろう。スーパーの棚をふと見ると、「のどぐろ」の文字が飛び込んできた。よく見ると、「のどぐろの煮付風味ふりかけ」とあった=写真=。まぎらわしい。それにしても、「ノドグロが食べたい」。

⇒29日(火)夜・金沢の天気     くもり

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☆ドーハの戦い一喜一憂、勝とうが負けようがごみ拾い

2022年11月28日 | ⇒ニュース走査

   前日の紙面までは勝利の喜びに沸いていたのに、きょう付の紙面は一転して、「痛恨の黒星」としょげた見出しに=写真・上=。サッカーのワールドカップ・カタール大会、一次リーグE組の第2戦(27日)。4度の優勝経験を誇る強豪のドイツに逆転勝ちして勢いに乗る日本は、スペインに0-7で大敗していたコスタリカと対戦した。自身も日本は勢いに乗ってイケイケに違いないと思っていた。

   テレビ中継を視聴していたが、日本はドイツ戦からスタメンを5人入れ替え、堂安選手や相馬選手らを起用して臨んで、前半は無得点で折り返し。後半36分、日本は先制ゴールを奪われた。以下、サッカーに詳しい知人の分析。

   「前半は明らかに相手チームが守りを固めながら、ゆっくりとゲームを支配するというペースでした。それに日本チームの人の良さからか、合わせてしまったのです。前線の動きは乏しく、ボールを簡単に失うシーンを繰り返す日本チームによって、コスタリカはスペインとの0対7の悪夢から自信を取り戻していったという前半でした。それを日本チームは0対0で終えたから狙い通りと判断していました」「ここですね。前半のゲームづくりの甘さが後々まで苦しむことになりました。監督からの指示がないと、ゲームの流れを選手自身、チームとしてプレーの質を変えられないという、指示待ちの悪癖が今回もありました」(28日付・「月刊ニューメディア」編集部ゼネラルエディターの吉井勇氏)

   海外メディアの分析はどうか。BBCWeb版(27日付)はその敗因を、「Japan boss Hajime Moriyasu opted for rotation over continuity, making five changes, and that resulted in a subdued performance and a scoreline that blew the group wide open.」と記している。森保監督が継続性よりもローテーションを選択したことから5人の変更を行い、その結果、抑えられたパフォーマンスとなった、と。

   一喜一憂するドーハの戦い。ちなみにドイツとスペイン戦は1-1の引き分けだったので、スペインが勝ち点4、日本が3、コスタリカが3、ドイツが1となり、最終戦にもつれ込む。スペインは日本戦に一層集中してくるだろう。そして、ドイツはスペイン戦で得たプレーの質を高めてコスタリカ戦に臨む。日本が勝てばE組のトップ通過となるが、引き分けになれば、ドイツがコスタリカに勝った場合、得失点差の争いになる。日本の差は0、ドイツはマイナス1なので僅差だ。コスタリカもドイツ戦に勝てば勝ち点6となり、通過の可能性もある。さまさに混戦、サッカーの醍醐味ではある。

   日本時間で12月2日の早朝4時から、日本対スペイン戦、ドイツ対コスタリカ戦が同時刻にキックオフする。

   そして、サポーターのごみ清掃はどうだったのか。「FOX Sports」公式ツイッターは、「Win or lose、Japan fans are all class 」(勝とうが負けようが、日本のファンは一流)と伝え、ごみ袋を手にスタンドに落ちているごみを拾い集めている画像で掲載している=写真・下=。

⇒28日(月)夜・金沢の天気   はれ

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★どぶろくを飲み、カニを味わう 「時代食感」の楽しみ

2022年11月27日 | ⇒ドキュメント回廊

   庶民にとってカニの季節が訪れた。きのう午後、近くのスーパーに行くと、地元産のズワイガニがずらりと並んでいた。雄のズワイガニ(加能ガニ)はゆでたものをカットしたもので大パックで5800円、中パックで3800円の値段だった。今月6日に漁が解禁となり、上旬はご祝儀相場もあり、大パックは9000円ほどだったが、下旬に入って5000円台に。雌の香箱(こうばこ)ガニは大きめのもので1500円ほどだったが、いまは800から900円ほどで値が落ち着いている。今季で香箱ガニは2、3度食したが、今回は思い切って加能ガニに手を伸ばした。

   例年、カニは地酒の辛口吟醸酒で味わう。今回はちょっと趣向を変えて、能登産の「どぶろく」で味わうことにした。能登半島の中ほどに位置する中能登町には、連綿とどぶろくを造り続けている神社が3社ある。五穀豊穣を祈願するに供えるお神酒で、お下がりとして氏子に振る舞われる。同町ではこの伝統を活かして2014年に「どぶろく特区」の認定を受け、いまでは農家レストランなど営む農業者が税務署の製造免許を得て醸造している。

   蒸した酒米に麹(こうじ)、水を混ぜ、熟成するのを待つ。ろ過はしないため白く濁り、「濁り酒」とも呼ばれる。もともと、どぶろくは各家々で造る庶民の味だった。明治政府は国家財源の柱の一つとして酒造税を定め、日清や日露といった戦争のたびに増税を繰り返し、並行してどぶろくの自家醸造を禁止した。

   そして、ズワイガニもかつては庶民も味だった。能登半島で生まれた自身の記憶だが、子どものころにコウバコガニをおやつ代わりに食べ、カニ足をパキパキと折って身を吸い出して食べる「カニ食い競争」に興じたものだ。そのころ、乱獲などで漁獲量が減り、石川県から島根県の漁業者らが昭和39年(1964)に「日本海ズワイガニ採捕に関する協定」を結び、漁期や漁獲量を取り決めた。そのころから、カニは高嶺の花となっていく。

   今回ふと、いにしえの人々のように、どぶろくを飲みながらカニを食べるとどのような風味になるのだろうかと思い立った。そこで、中能登町へ行き、本場のどぶろくを手に入れ、今季初の加能ガニに挑んだ。ぴっちりと締まったカニの身を、とろりとしたどぶろくが包み込むような食感で、実にのど越しがいい。さらに、カニみそ(内臓)としっくりなじみ、満足度が高い。どぶろくとカニを味わっていた昔の人々と時代を超えて食感が共有できたひと時でもあった。

⇒27日(日)午後・金沢の天気    はれ

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☆ドーハの美徳「来た時よりも美しく」

2022年11月25日 | ⇒メディア時評

   サッカーのワールドカップ・カタール大会で23日、日本代表がこれまで4度の優勝経験を誇る強豪のドイツ代表に逆転で勝利を治めた。「ドーハの奇跡」とまで称され歓喜に沸いた。アメリカのスポーツ中継メディア「CBS Sports」は公式サイトで「Japanese fans help clean up trash at stadium following Japan's upset win over Germany」の見出し=写真=で、ドイツに逆転勝利の後、日本人サポーターたちが勝利を祝う前にハリーファ国際スタジアムのごみ掃除を行ったと伝えている。

   CBSは詳細に伝えている。日本人サポーターたちは、開幕戦(現地時間11月20日)のカタール対エクアドル戦が行われた後、自分たちの国が参加する試合でもないにもかかわらず、スタジアムのスタンド席に置き去りにされていたボトルや食べ残しを拾い、ごみ袋に入れる姿が見られた。バーレーンのあるインフルエンサー氏が、サポーターの行いを映像で記録し、自身のインスタグラムで共有した。インフルエンサー氏はこのサポ-ターになぜごみを片付けるのを手伝ったのかと尋ねた。すると、そのサポーターは 「私たちは日本人で、ごみを残さないし、この場所を尊敬している」 と語った、と伝えている。

   この記事の反響として、SNSでは「You can’t hate on countries like japan. Wonderful people and beautiful country.」(日本のような国を憎むことはできない。素晴らしい人々と美しい国)と称賛している。

   小学生のころに、「来た時よりも美しく」という言葉を習う。遠足に行き、帰る際にはごみ拾いなど清掃をする。日常でも帰りに教室を清掃する。最初は道徳を実践的に習っているのだが、この精神は年を重ねると社会の課題解決や付加価値の高いモノづくりのモチベーションへとつながる。そして、大人社会では古くから伝えられる近江商人の心得「三方よし」という言葉を習う。売り手、買い手、作り手・社会がそれぞれが納得して利を得る。これが横つながりの共生社会や公共の福祉の理念へと結びつく。

   「来た時よりも美しく」の精神は世界のスポーツの場でも輝きを放つ。

⇒25日(金)午前・金沢の天気     はれ

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★日本「ドーハの逆転劇」、ドイツ「ロシアの幽霊」再び

2022年11月24日 | ⇒ニュース走査

   閣僚の辞任ドミノ、旧統一教会問題、物価高、そしてコロナ第8波の到来と、このところ暗い話題ばかりだったが、このニュースには気分が晴れた。サッカーのワールドカップで、世界ランキング24位の日本代表が同11位のドイツ代表に逆転勝ち。ドイツはこれまで4度の優勝経験を誇る強豪だ。そのチームに勝ったとなれば大金星、サムライブルーがまばゆい。

   昨夜のドイツ戦は中継で視聴できなかったが、けさダイジェスト版で見た。前半を1点でしのぎ、1点を追う後半は堂安選手や浅野選手、三笘薫選手といった攻撃的な選手を森保監督が次々と投入して徐々に主導権を握り、30分にゴール前のこぼれ球を堂安が押し込んで同点に。38分にはロングパスを受けた浅野がそのままドリブルで持ち込み右足でシュートを決めて勝ち越した。このあとはドイツの反撃をかわし、2対1で勝って、勝ち点3を獲得した。前回2018年のロシア大会に続く白星スタートだ。

   日本サッカー界の育ての親はドイツ人のデットマール・クラマー氏(故人)。同氏は日本サッカー界初の外国人コーチであり、サッカー日本代表の基礎をつくり、日本サッカーリーグの創設にも尽力したことから「日本サッカーの父」と称された人だ(Wikipedia「デットマール・クラマー」)。

   ふと気になったのは、ではドイツのメディアはどう伝えているのか。国営メディア「ドイチェ・ヴェレ (Deutsche Welle) 」は「Germany haunted by ghosts of Russia in opening-game defeat」の見出しで、「ロシアの幽霊に悩まされる」と。前回ロシア大会のときも、ドイツは初戦メキシコを相手に0-1で敗れた。2戦目のスウェーデン戦は2-1の勝利をおさめ、グループステージ突破の可能性を残したものの、3戦目の韓国戦で0-2の敗戦を喫し、まさかの最下位で敗退している。その悪夢がよみがえることを「ロシアの幽霊」と称しているようだ。

   日本は今月27日、1次リーグの第2戦で世界31位のコスタリカと対戦する。

⇒24日(木)夜・金沢の天気    はれ

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☆コロナワクチン接種 打つか打たないかの自分事

2022年11月23日 | ⇒メディア時評

   前回ブログで、自身のコロナワクチン接種4回目(8月)の副反応のことを記した。接種の翌日に小刻みに体が震える症状が出て、キードボードを打つことさえできなくなった。数分して震えが治まったものの、それ以来、「アナフィラキシー症状だったのか」と気になっていて、5回目接種の案内が市役所から届いたものの、万が一のことを考えて接種を控えることにした。

   たまたまブログをチェックしてくれた知人からは「医者と相談して決めたら」とメールが届いた。また、ブログでは「ベクルリー等の治療薬が在りますので医師に相談して接種した方が良いですよ」とコメントが寄せられた。ブログでそのように「意思表明」をしたので、後には引けないと思っている。しかし、接種しなかったことから、感染しやすくなるのではないかとの不安もよぎる。そして、夜にコロナ治療薬に関するニュースが入った。

   加藤厚労大臣は午後7時すぎの記者会見で塩野義製薬が開発したコロナ治療薬「ゾコーバ」について、国内での製造販売を緊急承認したと発表した。 承認されたのは、口から飲む錠剤タイプの抗ウイルス薬で、国産初の軽症者向けの新型コロナ治療薬となる。

   メディア各社によると、ゾコーバは北海道大学と塩野義製薬の共同研究でつくられ、コロナウイルスが増殖するのに必要な「3CLプロテアーゼ」という酵素を阻害することで、コロナウイルスの増殖を抑える効果がある。重症化リスクを抱えた患者や軽症・中等症患者を対象に実施した臨床試験で改善効果があった。

   このニュースに前のめりになったのは、ワクチン接種の有無にかかわらず効果があるということだった。5回目ワイチンを打たないと決めた自身にとっては、「もし、コロナに罹ったら、これだ」と励まされた気分になった。

   ただ、緊急承認は感染症などの際に医薬品を迅速に使えるようにするための制度なので、いわゆる「仮免許」のようなもの。承認期限は1年で、再審議で有効性を「確認」できなければ取り消される。また、塩野義は今後も有効性と安全性のデータを集める必要がある。

   これまでコロナ感染はワクチンを打てば大丈夫とまるで他人事のような感覚でいたが、5回目接種をどうすべきかと思慮するうちに自分事のように実感がわいてきた。

⇒23日(水・祝)午後・金沢の天気    くもり時々あめ  

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★コロナワクチン接種5回目 迷った末に

2022年11月22日 | ⇒ドキュメント回廊

   おそらく迷っている人が相当数いるのではないか。先日郵送で金沢市役所の新型コロナワクチン接種推進室から5回目のワクチン接種の案内が届いた。接種費用はこれまでと同様に無料であり、ありがたいのだが、接種すべきかどうか。

   じつは、8月9日に4回目のワクチン接種を市内の病院で受けた。去年の2回(6月、7月)はファイザーで、3回目(ことし3月)と4回目はモデルナだった。3回目とのときは、接種した右腕の付け根の部分に痛みが1週間ほど残った。4回目では右腕の付け根だけでなく、左腕のほぼ同じ個所にもじんわりとした痛みが続いた。そして、恐怖を感じたのは2日目の午後、小刻みに体が震える症状が出た。しばらくキードボードを打つことができなかった。数分して震えが治まった。

   それ以来、「アナフィラキシー症状だったのか」と気になっている。この症状は、薬や食物が身体に入ってから起きることのあるアレルギー反応で、じんま疹などの皮膚症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状が急に起こる(厚労省公式サイト「新型コロナワクチンQ&A」)。じんま疹などの皮膚症状はなく、震えだったので呼吸器症状ではなかったか、と。(※イラストは厚労省公式サイトより)

   後日、知人にこの症状を話すと、「接種後にじんま疹などの副反応が出てしばらく病院で待機したという話は聞いたことがあるが、翌日の震えは初めて聞いた」とのことだった。病院に行くことを勧められたが、その後は症状がないので行ってはいない。ネットで調べると、アナフィラキシーの症状は実にさまざまなケースがあり、中でも恐ろしいのは気道閉塞(喉の奥の空気の通り道が塞がれること)や不整脈、ショックなどで、死に至る事例もあるという。

   以下は憶測だが、副反応を一度でも経験した人は次回の接種をためらうのではないか。これは全国的な傾向のようだが、たとえば石川県内のワクチン接種率は、1回目終了者は82.4%、2回目の終了者は81.5%、3回目の終了者は67.7%、そして4回目終了者は38.6%と激減する。11月に始まった5回目の終了者は3.9%に過ぎない(NHK公式サイト「ワクチン接種 日本国内の状況は」より)。

   アナフィラキシーなどの副反応を覚悟して接種するか、あの経験をもう二度としたくないと辞退するか。冒頭で述べたように迷っている人は多いのではないか。自身は万が一のことを考え、控えることにした。

⇒22日(火)午前・金沢の天気    くもり

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☆辞任ドミノ、外遊・・・果てに総理は疲れて言い間違え

2022年11月21日 | ⇒ニュース走査

   この1ゕ月の間で閣僚が3人も辞任するという、異例な事態だ。先月24日に世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)と深い関係性が指摘されていた山際経済再生担当大臣(自民党麻生派、衆院神奈川18区)が辞任している。旧統一教会との関係が国会で何度も追及され、さらに教団本部の総裁と一緒に映っている証拠写真を突きつけられても、山際氏は「資料がない」「記憶が定かではない」などとあいまいな発言を繰り返していた。

   そして今月、葉梨法務大臣(自民党岸田派、衆院茨城3区)が派閥の国会議員のパーティー(今月9日)に出席し、死刑執行命令書に署名する自らの大臣職務について、「朝、死刑のはんこを押して、昼のニュースのトップになるのはそういう時だけという地味な役職だ」などと発言した。この発言に批判が集まり、翌10日の国会で謝罪して発言を撤回した。ところが、派閥や地元・茨城での会合でこれまで4回以上も同様の発言を繰り返していたことが発覚。本人は11日付で辞表を岸田総理に提出した。

   きのう20日、寺田総務大臣(自民党岸田派、衆院広島5区)も辞表を提出した。後援会の収支報告書の会計責任者がすでに亡くなっていた人物だったことや、記載漏れなど「政治とカネ」をめぐる問題が相次いで発覚。第2次補正予算案などの審議への悪影響を懸念する声が与党内でも高まっていた。

   こうした内閣の異例な事態は最新の世論調査にも反映していて、テレビ朝日系のANN世論調査(今月19、20日)の内閣支持率では、「支持する」が30.5%と前回調査(10月15、16日)より2.6ポイント下落、「支持しない」が44.7%で前回より3.8ポイント上昇している。NHKの世論調査(今月11-13日)でも、「支持する」は33%で前回調査(10月8-10日)より5ポイント下がり、「支持しない」は46%と前回より3ポイント上がっている。

   岸田総理は今月12日から第25回ASEAN+日中韓3首脳会議(カンボジア・プノンペン)、G20バリ・サミット(インドネシア・バリ)、APEC首脳会議(タイ・バンコク)に出席し、19日深夜に外遊から帰国。20日に寺田大臣の交代を決めて、きょう衆院本会議での国会審議に臨んだ。時事通信Web版(21日付)によると、岸田総理は国会審議で、寺田大臣の辞任を陳謝した際に「寺田大臣」を「タケダ大臣」と言い間違えた。これより先の総理官邸でも記者団に寺田氏の後任を説明した際、同様に間違えていた。

   岸田総理は疲れ切っているのではないだろうか。この蓄積疲労は相当なものだろう。

⇒21日(月)夜・金沢の天気    はれ 

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★憶測呼ぶ「娘との手つなぎ」

2022年11月20日 | ⇒ニュース走査

   この画像を見ていろいろ憶測をめぐらした。メディア各社は北朝鮮の国営メディアである「朝鮮中央テレビ」や「労働新聞」の映像として、18日に金正恩総書記がICBM「火星17型」の発射を視察する際に同行する娘の写真を掲載したと伝えている。白の防寒ジャケットに身を包んだ娘が金総書記と手をつないで兵器の前を歩く姿が写っている(※写真は19日付・CNNニュースWeb版日本語より)。

   メディア各社は娘の同行は伝えているが、その理由についての解説がない。冒頭の憶測とは、家族を守りの盾に使おうとの意図があるのではないか、ということだ。金総書記は今月17日まで「空白期間」が30日間と、ことしに入って最も長くなっていた(18日付・NHKニュースWeb版)。

   動静報道のブランクには、アメリカの斬首(ピンポイント)作戦を恐れていたのではないだろうか。ことし7月30日、アメリカは同時多発テロ事件「9・11」の首謀者の一人とされていたアイマン・アル・ザワヒリを潜伏先のアフガンのカブール近郊のダウンタウンで、無人攻撃機に搭載した2発のヘルファイアミサイル(空からの対戦車ミサイル)で攻撃し殺害している。「テロ支援国家」や「ならずもの国家」などとアメリカから敵視されている北朝鮮の金氏にとっては気が気ではない。

   さらに、米韓の合同軍事訓練が長く続いた。野外機動訓練(8月)が4年ぶりに再開され、9月と10月には米原子力空母「ロナルド・レーガン」などが参加した海上機動訓練、11月にはステルス戦闘機と称されるアメリカの戦略爆撃機「B1B」が朝鮮半島周辺の上空で空中訓練を実施した。この間での斬首作戦を金氏は恐れていたのではないか。

   が、金氏は気が付いた、家族といっしょにいるならばアメリカの斬首作戦は実行されないのではないか、と。先に述べたアイマン・アル・ザワヒリ、そして、2011年5月1日、パキスタンのイスラマバードから60㌔ほど離れたところに潜伏していたオサマ・ビン・ラディンも一人でいるところを、ステルスヘリコプターなどで奇襲されている。

   そこで、家族を盾にすることを考えた。手をつないで家族といれば、奇襲攻撃を受けることはない。まったく根拠のない憶測にすぎない。ただ、そう思わせるほど娘との手つなぎは唐突なイメージなのだ。

⇒20日(日)夜・金沢の天気    あめ  

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