自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

★荒ぶる神の見えざる手

2018年01月31日 | ⇒トピック往来
  経済学でよく知られたキーワードに「神の見えざる手」がある。市場経済で個々人の利益追求であっても、社会全体の利益となる。アダム・スミスが『国富論』で提唱 したの考察だ。市場原理に重きを置いたこの言葉は、政府が政策的な介入しなくても需要と供給のバランスは自然に調整されるという意味合いでも使われる。

    先日、金沢大学の元留学生と立ち話をした。実家が上海にあり、正月休みでしばらく中国に帰っていた。「中国はネット通販が盛んだね。NHKのニュース特集でも取り上げられていたよ」と水を向けると。彼女は「そう、父も母も必要なとき以外は外出せずに、ネットで野菜や肉など食材を取り寄せている」と。「食品スーパーもネットで宅配、中国はすごいね」と同調すると、彼女は首を横に振った。「ネット通販は利便性ではないんです。PM2.5がすごくて多くの市民が外出を控えている。健康上の問題なんです」「宅配の車がまたオンボロで排気ガスを出しながら走っている。悪循環ですよ」と。

   さらに「でも、それはまもなく解消するんではないですか。だって、中国はEV(電気自動車)の導入では世界をリードしているでしょう。中国の政府はEVなどを自動車メーカーに対して生産や販売台数の10%を義務づけると日本でもニュースになっている。明るい未来じゃないですか」と話すと、彼女は「煤煙を出しているのは自動車だけじゃないんですよ。工場や各家庭だってそう」「それより、EVが電池切れで止まって、交通渋滞を引き起こせば、さらに煤煙が出るじゃないかと思う。その方が心配」と。ちょっと彼女は考え過ぎかもしれないと話題を変えた。

   電子マネーの話にした。「中国では買い物は8割くらいはスマホ払いだってね。これも日本のニュース番組でやっていたよ。日本は現金主義だし、中国の足元にも及ばないよ」と切り出した。すると、「確かにね。一元コインや五元札を数えるのは面倒なので、スマホ支払いが便利。最近は屋台の焼き芋屋さんでもQRコードですよ」「個人的には、中国のお札は汚いし、ニセ札も多いのでスマホで払えるようになってよかったと思う。でも、私の祖母はスマホを持たないので困っている」と。確かに、スマホしか受け付けない時代になると、大量の支払い難民も出てくるだろう。

     需要と供給の絶妙なバランスが「神の見えざる手」とすれば、アダム・スミスのこの言葉は中国経済においては不都合な現象とイノベーション(技術革新)の絶妙なコラボレーション、これは「荒ぶる神の見えざる手」ではないか。少々乱暴な表現か。

⇒31日(水)午前・金沢の天気    ゆき

    
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☆過疎化と断水問題

2018年01月30日 | ⇒ニュース走査
    きのう(29日)能登地方のある首長と立ち話をした。「このところの寒さで断水が起きて、給水車で対応に追われているんです」と。寒さで水道管が破裂するということはままあるので、「それは大変ですね」と言葉を添えた。ところが、きょうの新聞各紙では断水は半端ではない。能登の9市町で1万世帯余りに及ぶという。そして、過疎化という根深い問題が絡まっている。

    報道によると、石川県危機対策課がまとめた断水被害は29日午後7時現在、能登の輪島市と志賀町で3千世帯、能登町で2千世帯、中能登町で1500世帯、穴水町で300世帯、羽咋市で120世帯、宝達志水町で100世帯、珠洲市で90世帯で断水状態となった。断水の原因は水道管の凍結、破裂による。冒頭の首長が言うように、これは地域の危機管理の一環であり、各市町は給水車を出すなど対応に追われている。

    断水はこのところの氷点下の冷え込みが特に能登で厳しかったことに加え、指摘されているのは空き家での断水問題だ。能登地区の場合、集落で共同運営している配水池から水道水をひく場合が多い。空き家で水道管が破裂しても気付かれないため、漏水が続き、配水池の供給が追いつかなくなったことで被害が拡大するのだ。水道業者がメンテに回っても、水道管が雪に埋もれていると漏水している箇所が確認できないという問題もあり復旧は簡単ではない。最近の塩化ビニール管は氷の膨張に強いものの、旧型だと破損しやすいことも指摘されている。

    断水被害が起きないようにするために、行政は住民に対して水道の蛇口から少し水を出し放っぱなしにして水道管の凍結や破裂を防ぐよう有線放送などで呼び掛けているが、空き家ではこうした対策が取られないという現状もあり、断水問題はまさに過疎化問題だ。

    生活インフラでもっとも重要な水道水が出ないとなると、学校や保育所も休まざるを得ない。輪島市では29日、3つの小学校と2つの保育所が休校、休所となったと報じられている。他の自治体でも授業打ち切りなどが相次いだ。また、能登半島だけではなく、同じ日本海の新潟県佐渡島でも全2万4千世帯のうち4割に当たる1万世帯で断水が起き、県は陸上自衛隊に災害出動を求め、陸自が給水車をフェリーで運んでいると全国ニュースになっていた。佐渡では小中学校36校のうち26校が休校となった。断水問題は半島の過疎地や離島を直撃している。(※写真は輪島市門前町の海岸集落、27日撮影)

⇒30日(火)午前・金沢の天気    ゆき

    
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★キレるシニア、なぜ

2018年01月29日 | ⇒ニュース走査
   先日、金沢のドラッグストアに入ると、客が店員にクレームをつけていた。「ここで買ったシャンプーをまた買いに来たのになぜないのか」と。すると店員は「あいにく在庫が切れておりまして」と謝っている。客は「これで2回目や。在庫管理がなっとらん」と大声を上げた。あまりの剣幕だったのでつい後ろを振り向いた。

    昔から「ジシン、カミナリ、カジ、オヤジ」との言葉があるように、親父(おやじ)の怒声は天災のように降りかかる。ドラッグストアで声を張り上げていた客も推定だが70歳半ばだろうか。女性店員は30代に見えた。店員の態度は丁重な感じで、親父が一方的に言いがかりをつけている感じに見えた。在庫管理にクレームをつけるのだったら直接店長に呼べばよいのにと周囲の客は誰もが思っただろう。

   このドラックストアだけではない。数日前にも携帯電話のショップでも親父の怒声を聞いた。「いつまで待たせるんや」と。5人が窓口で並んで待っていたが店員が誰も応対に来ない。店員は忙しそうにしているが、せめて「もう少々お待ちください」との対応があってもいいのに自身もイライラした。すると70代とおぼしき親父が先の怒声を上げた。店にいた客も店員も一斉にこちらを向いた。店長の年配の女性が出てきてその場は収まったが、対応に2時間待ちと言われ、親父はプンプンしながら出て行った。私は翌日に時間予約をして出た。

   このごろキレやすい親父が増えているような気がする。他人の事を言う筋合いではないのだが、親父にとっては現代はストレスがたまる環境なのかもしれない。携帯電話のショップはメールで時間予約ができるようになっている。しかし、親父は携帯に不都合があって、あるいは操作方法を教えてもらおうと店に来たのだろう。それだけでもストレスを感じているのに、待たされ、しかも店の応対も悪いとなるとストレスが怒りに点火する。ドラッグストアにしても、買い求めたい商品がない、しかも同じ言い訳を2度聞かされキレたのだろう。店側の対応も柔軟ではない。

   年配の女性からこんなメールをもらった。「世の中が急速に進み、私はこの情報化の時代に後れを取ってしまい、PCも上手に操作できません。お返事の遅くなった言い訳ですが、歳とともにボォーとしていることが多く、時間ばかりが経っていきます。」と。デジタル化への対応にうまく向き合えないシニア世代にとってこれもストレスだ。

きょう検診を受けに病院に行った。待合室で親父が独り言でブツブツと。「国会のヤジになんで総理が謝らんといかんのや」と。アメリカ軍普天間飛行場のヘリコプター連続事故で、自民党の内閣府副大臣が「それで何人死んだんだ」と野党側にヤジを飛ばしたことが逆に「暴言」と追及され、副大臣を辞したニュース。安倍総理が任命責任を認めたことが親父にとって不満らしい。

   加齢とともにストレスが負債のように積み重なっていく。若い世代のときのように柔軟に対応できなくなるのだろう。まるで空気中の静電気が溜まって落雷となるように。明日のわが身かもしれない。

⇒29日(月)夜・金沢の天気   くもりときどき雪

   
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☆能登の発酵食文化、現場を訪ねる

2018年01月22日 | ⇒ドキュメント回廊
    冬の能登は食材が豊富だ。寒ブリやズワイガニ、タラ、カキといった海の幸のほかに、かぶら寿司(ブリと青カブラのこうじ漬け)や大根寿司、日本酒も今が一番忙しい時節だ。能登の発酵食文化を訪ねるスタディツアー(発醸文化メガロポリス推進活動プロジェクト2017年度研究旅行)が20、21日に両日開催され、案内をかねて参加した。

    このプロジェクトは、日本の食を支えている発酵・醸造の技術や文化を世界に発信し広めようと、醤油メーカー大手「キッコーマン」(千葉県野田市)のOBらが発起人となって立ち上げた。ツアーには日本糀文化協会のメンバーも参加し、総勢15人。羽田空港から能登空港に降りた一行はバスで能登町、珠洲市、輪島市、七尾市、中能登町を1泊2日で巡った。

    最初の発酵食は「なれずし」。魚を塩と米飯で乳酸発酵させたなれずしは琵琶湖産のニゴロブナを使った「ふなずし」が有名だが、能登でも伝統食だ。昼食で能登町にある「かじ旅館」を訪ねると、アジ、ブリ、アユのなれずしを出してくれた。この旅館では、注文を受けた客にしか出さない。というもの、なれずし独特の匂いがあり、なじめない客も多い。ただ、食通にはたまらない味と匂いなのだという。今回出されたアユは5年もの。料理長が「ヒネものです」と説明してくれた。ヒネものとは2年以上漬け込んだもの。昼から地酒とのマッチングも楽しんだ。

    「アンチョビ蔵」。イワシを米糠で漬け込んだ「こんかいわし」も能登では盛んにつくられている。ブルーベリーワインを製造している同町の「柳田食産」は昨年から、廃線となった能登鉄道のトンネルを活用して漬け込んでいる=写真・上=。湿度と温度が一定しているので製造には好条件だ。樽の中で発酵し熟成されたこんかいわしを焼いてほぐしたものや、オリーブ油や香草と合わせたオイルソースはまさにアンチョビだ。これをクラッカーに少し塗り、ワインを飲む。この相性のよさはマリアージュ。そして、廃線のトンネルをアンチョビ蔵として蘇らせたアイデアに脱帽した。

     「広辞苑は間違っています」。こんな話が出たのは同町小木で魚醤油を製造している「ヤマサ商事}を訪ねた時だった。日本の3大魚醤と言えば、秋田の「しょっつる」、香川の「いかなご醤油」、そして能登の「いしる」=写真・下=だ。能登では材料がイワシのものを「いしる」、イカの内臓を「いしり」と呼ぶ。製造担当者は「ところが、広辞苑ではいしりはいしるの別称となっている。別称ではなく、材料が違うんです」と続けた。小木(おぎ)は北海道の函館、青森の八戸と並んで日本海のイカ漁の拠点の一つ。「いしり」の産地でもある。ただ、全国的に商品化すると少々ややこしいので、商品表記を「いしる(いか)」「いしる(いわし)」としているメーカーもある。

     能登杜氏は今が一番忙しい。そんな中、能登を代表する酒蔵の一つである珠洲市の造り酒屋「宗玄」を訪ねた。「試食してみてください」と杜氏が板状になった酒粕を勧めてくれた。まさにチーズの味がした。普段日本酒を飲まない男性参加者が一枚食べ切り、「酒粕ですっかり酔いました」とうれしそうに話した。先月20日に解禁となった純米生原酒をテイスティングした。ジュワッと広がる飲み口がまさに初しぼり。バスに乗り込むと周囲は暗くなっていた。

     2日目は輪島市の醤油蔵「谷川醸造」を見学。代々「サクラ醤油」のブランド名で。輪島は魚介類の水揚げが多い。ちょっと甘めの味が刺身にぴったり。この地で育まれ、花開いた「糀の文化」の印象だ。最近では、能登の地豆である「大浜大豆」と塩田でつくられた塩を原材料にした、こだわりの「能登の丸大豆醤油」をつくっている。

     昼食は七尾湾を望むカキ料理の専門店でフルコースを味わった。焼いて、生で、フライで、釜飯で合わせて10個は食べた。それにしても能登の冬の食材はぜいたく過ぎる。ひょっとして海の食材の豊かさが発酵の食文化も育んているのかもしれないと思った。外に出て駐車場を見渡すと7割は県外ナンバーだった。

     ツアーの締めくくりは「どぶろく」だった。中能登町の天日陰比咩(あまひかげひめ)神社を訪ねる。蒸した酒米に麹、水を混ぜ、熟成するのを待つ。ろ過はしないため白く濁る。「濁り酒」とも呼ばれる。毎年12月5日の新嘗祭で参拝客に振る舞われる。今年はこれまで最高の333㍑を造った。同神社は2千年余りの歴史をもつ延喜式内社でもある。禰宜の方から話を聞き、どぶろくを頂いて、一行が外に出たとたんに大粒の雨がザッと降ってきた。禰宜は「当神社は雨乞い所でして、神様が皆さんの来訪を喜んでおられるのですよ」と目を細めた。

⇒22日(月)朝・金沢の天気     あめ

     
     

    
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★北の漂着船と落雷鉄塔、近い現場

2018年01月17日 | ⇒ニュース走査
    きょう17日朝、全国ニュースになった金沢市内の2ヵ所の現場を歩いた。驚いたことに2つの現場は近く、直線距離にして3㌔ほどだろうか。最初に向かったのは、北朝鮮の漁船が漂着し中から7人の遺体が見つかった同市下安原町の海岸だった。

    車道「しおさいロード」から防風林を抜けて100㍍ほど歩くと砂浜が広がる。警察の捜査で青いビニールシートが覆いかぶさっていたので、すぐ現物と分かった。シートに包まれて船体にハングル文字の表記があるのかはよく分からなかった。船の中は見えた。ハングル文字で書かれた菓子袋などが散乱し、迷彩服もあった。ひょっとして軍人が乗っていたのではないかと勘ぐった。警察発表の報道によると、この船の中から7人の遺体が見つかり、さらに漂着船から15㍍ほど離れたところにさらに1人の遺体があった。もし、同じ乗組員なら計8人となる。船内には北朝鮮の金日成主席と金正日総書記が並んだバッジや漁網が見つかっている。

    昨年から問題となっている北朝鮮の漂着船を現場で見るのは初めてだが、それにしても古い木造船だ。船の舳先部分にはタイヤのゴムが貼りつけてある。他の船と衝突して損傷個所を繕ったのではないかと想像をたくましくした。全長16㍍、幅3㍍ほど。このような船で日本海のイカの好漁場である大和堆(日本のEEZ内)に繰り出し、漁をする。しかし、冬の日本海は荒れやすい。命がけで、なぜそこまでしてイカ漁に固執する必要があったのだろうか。上からの命令だったのか、生活に困ってのことなのか。

    報道では、昨年1年で海上保安庁が確認した木造船の漂着と漂流は104隻、遺体は35人にも上る。日本海で相次いで人命が失われていることに対し、日本は北朝鮮に対して赤十字などを通じて警告を発しているのだろうか。この実態を世界に問いかけるべきではないのか。

    この北朝鮮の木造船が金沢の漂着しているの発見されたのは今月10日のこと。同じ日に起きた事故が金沢市観音堂町にある石川テレビと北陸放送が共用している送信鉄塔での落雷事故だ。通信障害が10日午後7時ごろから翌日午前10時ごろまで続き、実に15時間も放送が中断した。

    木造船の現場の後、5分余りで送信鉄塔の現場に着いた。たまたま近くの人が雪すかしをしていたので、話しかけると中高年の男性は「あの日は地響きがするひどい雷が何回かあった」と。2局が共用している送信鉄塔(160㍍)の高さ130㍍から140㍍の場所で内部のケーブルとアンテナ一部が焦げていた。鉄塔には2系統の配信設備(ケーブル)があり、1系統に問題が生じても、もう1系統を使って放送ができる仕組みになっているが、今回は落雷によって両方とも使用が不能になった、とテレビ局側は説明している。

     偶然なのだが、同じ日の10日の出来事の現場だ。それにしてもこんなに現場が近いとは思わなかった。おそらく、送信鉄塔(160㍍)に上がり海岸を見渡せば、ブルーシートの木造船が見えるのではないか、と思ったくらいだ。

⇒17日(水)午前・金沢の天気     あめ
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☆雪すかしとマイクロプラスチック問題

2018年01月14日 | ⇒ニュース走査
     きょう14日、金沢では久しぶりに青空が広がった。日曜日なので青空の下、のんびりとという訳にはいかない。雪すかし、除雪作業が朝から始まる。「おはようございます。よく積もりましたね」とあいさつをしながら玄関先の道路の雪をスコップでかいて敷地の空きスペースに積み上げていく。冬の金沢では日常的な光景なのだが、最近少しわだかまっていることがある。スコップのことだ。

    実は我が家でもそうなのだが、雪をすくう先端のさじ部がプラスチックなど樹脂製のスコップが増えている。昔は鉄製、ひと昔前はアルミ、そして今は樹脂製とスコップが軽量化しているのだ。が、今では全部が樹脂製かというとそうでもない。氷結した路面の雪を砕く場合は、金属製で先が尖っているケンスコ(剣先スコップ)やカクスコ(角スコップ)でないと使えない。きょう朝、近所のみなさんが使っていたスコップを見ると、10本のうち4本は樹脂製ではなかったかと思う。

     わだかまっていると言ったのは、樹脂製のものはすり減りが速いのだ。路面はコンクリートやアスファルトなので、そこをかくとなると樹脂の方が摩耗する。さじ部の先端にアルミなど金属を被せたものが売られてはいるが、きょう見た限りではそれはなかった。何が言いたいのかというと、我々の日常の雪すかしが意識しないうちに「マイクロプラスチック汚染」を増長しているのではないかということだ。

     最近問題視されているマイクロプラスチック汚染は、粉々に砕けたプラスチックが海に漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニール)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持っているとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で有害物質が濃縮されていく。最後に人が魚を獲って食べる。

     マイクロプラスチック問題に関してはまったくの素人だ。ただ、路上の雪すかしをすることで知らず知らずのうちにマイクロプラスチックを製造し、それが側溝を通じて川に流れ、海に出て漂っている。そう考えると、樹脂製のスコップには製造段階でさじ部分の先端に金属を被せるなどの対策が必要なのではないだろうか、と考えてしまう。

⇒14日(日)夜・金沢の天気     はれ
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★北陸新幹線は銀世界を快走する

2018年01月13日 | ⇒トレンド探査

              この冬最強の寒波だそうだ。金沢など北陸では記録的な大雪になっている。きょうから大学入試センター試験が2日間の日程で始まったが、石川県内7つの大学に設けられた11の会場では受験生たちが足元に気にしながら試験会場に向かったことだろう。「滑らないように気をつけて」と。昼のテレビニュースによると、大雪による在来線列車の遅れで受験生4人が時間をずらし、別の部屋で試験を受けるというトラブルがあったが、そのほか目立った問題は起きなかったようだ。

     それにしても「三八(さんぱち)豪雪」(昭和38年、1963年)を思わせる降り方だ。きょう13日の夕方で能登半島の先端・珠洲市で69㌢、金沢で57㌢の積雪となっている。正直、自宅前の「雪すかし」の作業はきりがない。どんどん積もって来る。交通機関にも影響が出ていて、JR北陸線では午後6時現在、特急列車24本と普通列車29本が運休したほか、小松空港発着の便でも合わせて34便が欠航となっている。

     大雪による交通インフラへの影響が出る中、快走しているのが北陸新幹線だ。きのう12日、大雪の中、東京へ日帰り出張に出かけた。出発は午前7時48分の「かがやき」。10分遅れでの出発となったが、長野までは一面の銀世界を行き、大宮では青空だった。北陸新幹線のどこが雪に強いのか。それはJR西日本とJR東日本と共同開発した新型車両「W7系」「E7系」の先頭車両に「スノープラウ」と呼ばれる雪かきが付いているからだ。また、線路脇に積もった雪を掘り下げて除雪できる機能を備えた新型の除雪作業車23両を配備している。

     帰りもほぼ定刻で東京駅から金沢駅に着いた。雪の季節、こんなに頼れる交通機関は他にない。北陸新幹線の価値を見直した。(※写真は、12日午前6時50分に撮影したJR金沢駅前の雪景色)

⇒13日(土)夜・金沢の天気    ゆき              

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☆続・冬の電磁パルス攻撃

2018年01月11日 | ⇒トピック往来

    放送法施行規則第125、157条では、放送中断が15分以上となった場合には重大な事故として電波監理を管轄する総務省に報告の義務がある。今回の石川テレビと北陸放送の通信障害は10日午後7時ごろから、げさ午前10時ごろまでの応急復旧まで実に15時間におよんだ。

    きょうの地元各紙は今回の雷による放送中断を一面で大きく伝えている。2局が共用している送信鉄塔(160㍍)の高さ130㍍から140㍍の場所で内部のケーブルとアンテナ一部が焦げていた。鉄塔には2系統の配信設備(ケーブル)があり、1系統に問題が生じても、もう1系統を使って放送ができる仕組みになっているが、今回は落雷によって両方とも使用が不能になっていた。きょう午前中、石川テレビは緊急用の仮設アンテナを設置して応急復旧した。しかし、復旧したとは言え、確認のためテレビをつけてみると、画質がザラメ状態で見れたものではなかった=写真・上=。すぐにチャンネルを変えた。

            石川テレビの公式ツイッターでは「【視聴者の皆様へ】この度は、長時間にわたり放送が中断する事態となり、深くお詫び申し上げます。本日の午前10時30分ごろ、仮設アンテナの設置が完了し、地上波放送を再開しましたが、出力の関係で受信環境によっては依然視聴できないことも想定され、完全復旧をめざして全力を挙げております。」と釈明している。

    確かに地元各紙などでは大きく扱われた=写真・下=。問題は視聴者の反応だ。私の仲間内で今回の放送中断のことを話しても、関心度が低い。「そう言えば映ってなかったね」程度なのだ。「あの番組が見れなくて残念」とか「テレビの公共性を考えて、もっとしっかり対応を」などといった声は聞かれなかった。2局同時に放送が15時間も中断したにもかかわらず、である。テレビ局の存在感は一体どこにいってしまったのだろうか。むしろ、放送中断で別の問題が見えてきたようだ。

    それよりも周囲の関心事は今回の大雪だ。上空に強い寒気が来ていて、13日までは降り続くと予報が出ている。一方で、両局は総務省への報告に追われるだろう。また、CMスポンサーに対しどのように弁償するかといった対応もあるはずだ。シンシンと雪は積もっている。焼け焦げたケーブルの復旧作業はこの雪の中、進むのだろうか。他人事ながら、あれやこれやと考えてしまう。

⇒11日(木)夜・金沢の天気      ゆき   

    

     

    

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★冬の電磁パルス攻撃

2018年01月10日 | ⇒トピック往来
   それにしても冬の雷は怖い。空が光ったとたんにバキバキ、ドンと落ちる。よく聞かされてきたことは、冬の落雷のエネルギーは夏のそれより数百倍も強い。また、雷雲は冬の方が夏より低く、必ずしもタテに落ちるのではなくヨコ、ナナメに落ちるものだ、と。幼いころから雷が落ちる様子を見ているが、「慣れる」ということはない。この歳になっても怖いものだ。

    その雷がテレビ局を襲った。10日午後8時ごろ、帰宅してテレビをつけたが、石川テレビ(フジ系)と北陸放送(TBS系)の2局が映らないのだ。ブラックアウトの状態になってる=写真=。エラー表示が出ていて、「放送が受診できません。リモコンで放送切替や選局を確認ください。またはアンテナの調整・接続を確認ください。雨や雪んどの影響で一時的に受診できない場合もあります」。このエラー表示は、雪が降る日にBS放送が視聴できなくなる場合に表示されることがままある。ただし、地上波では見たことがない。

   この日の夕方から雷音が鳴り響いていたので直感した。「ひょっとして雷の電磁パルスが送信鉄塔を襲ったか」と。理由があった。この2局が同時に映らないということは、2局が共用している金沢市観音町の送信鉄塔に異変が起きたとしか考えられなかったからだ。その異変とはやはり雷だろう。送信鉄塔には避雷針は当然ついているだろうが、冒頭述べたように冬の雷は必ずしも垂直に落ちる訳ではない。ヨコ、ナナメに落ちるケースもある。

   そのことが確認できたのは、北陸放送の公式ツイッターだった。「この度は、送信機器の不具合により長時間にわたり県内の広い範囲で放送が中断する事態となり、誠に申し訳ありません。原因は送信鉄塔への雷の直撃が原因と見られますが、調査しているところです。現在、復旧に向け全力で作業に当たっております。」と伝えている。さらに驚いたのは、金沢市消防局の災害情報(ネット)には「19:36 観音堂町[チ]地内で建物火災が発生しています。」と。落雷で送信鉄塔に火災が発生したとなれば、復旧には当然時間がかかるだろう。

   いまでも断続的に雷が鳴っている。現場検証のため、鉄塔に上れば再度雷による二次災害も出る可能性もある。雷が止むまでは停波が状態が続くのか。まさに、冬の電磁パルス攻撃だ。

⇒10日(水)夜・金沢の天気   ゆき
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☆加賀の酔い-下

2018年01月06日 | ⇒ドキュメント回廊
   その新しく最先端の酒蔵、「農口尚彦研究所」は小松市の里山、観音下(かながそ)にあった。この辺りはかつて石切り場として有名で、点在する跡地はまるでギリシャの神殿のような神々しい造形美を感じさせる。パワースポットを訪れたような少し緊張した面持ちで新築の酒蔵に入った。「農口杜氏さんはいらっしゃいませんか。約束はしてあるのですが」。6日午前10時30分ごろだった。

 「酒蔵の科学者」農口杜氏が小松の里山で現場復帰「世界に通用する酒を」

    酒蔵と別棟の杜氏と蔵人(くらんど)の詰め所に案内された。朝の作業が終わり休憩中だった。「よう来てくださった」。張りのある声だった。昭和7年(1932)12月生まれ、85歳だ。杜氏室に案内され、開口一番に「世界に通じる酒を造りたいと、この歳になって頑張っておるんです」と。いきなりカウンターパンチを食らった気がした。グローバルに通じる日本酒をつくる、と。そこで「世界に通じる日本酒とはどんな酒ですか」と突っ込んだ。「のど越し。のど越しのキレと含み香、果実味がある軽やかな酒。そんな酒は和食はもとより洋食に合う。食中酒やね」。整然とした言葉運びに圧倒された。

     農口氏と最後に会ったのは2015年7月。地元紙で能登杜氏の「四天王」が引退すると大きく扱われていて、能登町のご自宅にお邪魔した。当時82歳で「そろそろ潮時」と普通の高齢者の落ち着いた話しぶりだった。その当時に比べ、きょうは身のこなしの軽やかさ、声のテンションも高い。そこで「なぜ現役復帰の決意を」と尋ねた。「家にいても頭にぽっかりと穴が開いたような状態だった。この歳になると片足を棺桶に突っ込んでいるようなものだから、どうせなら酒蔵に戻ろうと。弥助寿司の森田さんも、陶芸の吉田さん(美統、人間国宝)も同じ歳、皆現役で頑張っておられるからね」。酒造り2季のブランクを経て、建物の設計などにかかわり、満を持して昨年暮れに酒造りの現場に復帰した。

     農口氏と初めて会ったのは2009年。金沢大学の共通教育科目「いしかわ新情報書府学」という地域学の講義の非常勤講師として、ひとコマ(90分)能登杜氏の酒造りをテーマに、3年連続で講義をいただいた。必ず自身の日本酒を持参され、講義の終わりには学生にテイスティングしてもらって、学生たちの感想に耳を傾けていた。農口氏自身はまったくの下戸(げこ)で飲めない。その分、飲む人の話をよく聴く。日本酒通だけでなく、女性や学生からの客観的な評価にも率直に耳を傾けるプロとの印象を持っている。

     もう一つ、農口氏の酒造りの特徴、それは客観的なデータづくりだ。1970年代中ごろからいい酒をコンスタントにつくるには数字になるものはすべて記録しなければならないと考え、酒米の種類、精米歩合、麹の品温、酒米を浸水させた時間、水温などのデータを毎日、几帳面にノートに記している。実験と検証を繰り返す「酒蔵の科学者」の雰囲気がある。「農口尚彦研究所」という会社名もそこが由来だ。分析室に酵母の培養装置があり、麹は色別センターで温度管理しているというから本格的な研究所だ。

     もちろん独りで立ち上げたのではなく、小松の財界人や行政が手厚く支援し、ディレクターとして陶芸家の大樋長左衛門氏らが関わり、知恵とチカラが結集されている。また、地域の人たちの理解を得るため、地元の農家の人たちに酒米「五百万石」を栽培してもらい昨秋は300俵購入した。若手を育てるため全国から蔵人を公募すると20人が応募、8人を採用した。営業基盤を固めてグローバル展開するため、大手酒造メーカーのOBを役員に迎えた。

     初年度は1升瓶(1.8㍑)で8万本の出荷を予定し、昨年12月26日に本醸造無濾過生原酒を初めて発売した。アルコール度数19度。帰りがけに、生原酒を手渡された。「(生原酒は)生きていますから、瓶を振らんとおいてください。なるべく寒いところに置いてくださいよ」と。農口氏の人生の決意の1本、ありがたくいただいた。その後、今夜の宿泊先の片山津温泉に車を走らせた。暖房を切って、瓶を揺らさないようにゆっくり運転で。(写真・上は酒蔵のイメージを脱した農口尚彦研究所の外観=小松市観音下町、写真・下は酵母の培養を確かめる農口杜氏)

⇒6日(土)夜・加賀市の天気    くもり
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