自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★「2023 アレどうなった」⑤ 地球の沸騰化 対策の道筋

2023年12月31日 | ⇒ドキュメント回廊

   さきほど菩提寺で除夜の鐘をついてきた。寺では去年前から門徒や近所の人たちが自由に参加できる「プレ除夜の鐘」というイベントを行っている。勢いをつけて鐘をつくと、鐘の響きが全身を包むように伝わってきて、欲望や執念にかられた煩悩が払われたような気持ちになる=写真・上=。このプレ除夜の鐘は午後2時から2時間ほど行われた。そして本番の除夜の鐘は午後11時半から。大晦日の昼夜に2度鐘が鳴る。

   COP28「化石燃料からの脱却」は合意されたものの

   この1年を振り返ると、まずイメージするのは地球温暖化だ。ことしの夏は異常な暑さだった。8月31日、自宅近くの街路の温度計は37度だった=写真・下=。街を歩くと熱風に煽られた。金沢市の南に位置する小松市では8月10日に観測史上最高の40度を記録した。この日の気象台の石川県内11の観測地点がすべて35度以上の猛暑日となり、「熱中症警戒アラート」が飛び交った。体感したこの猛暑は石川だけでなく、日本全体、そして世界的な傾向だった。

   熱波が世界を襲っている様子をBBCニュースWeb版(7月16日付)は「Europe heatwave: No respite in sight for heat-stricken southern Europe」(ヨーロッパの熱波、暑さに苦しむ南欧にもう猶予はない)の見出しで伝えた。ギリシャでは7月14日に気温が40度以上となり、遺跡「パルテノン神殿」がある観光名所アクロポリスが一時閉鎖された。また、イタリアでは週末にローマ、ボローニャ、フィレンツェを含む16都市にレッドアラート(「死の危険」を意味する)が発令された。イタリアでは去年も熱波が原因で1万8000人の死者が出て、ヨーロッパでは最多だった。

   猛暑や豪雨などの異常気象をもらたしているのが地球温暖化だ。地球環境学者のレスター・ブラウンは著書『プランB3.0』(2008)で警告している。「温暖化がもたらす脅威は何も海面の上昇だけではない。海面温度が上昇すれば、より多くのエネルギーが大気中に広がり、暴風雨の破壊力が増すことになる。破壊力を増した強力な暴風雨と海面の上昇が組み合わされば、大災害につながる恐れがある」

   レスター・ブラウンの警鐘は現実となった。7月の暑さが記録的だったことから、国連のグレーテス事務総長は「the planet is entering an "era of global boiling"」(地球は沸騰化の時代に入った)と述べた。地球温暖化対策や温室効果ガスの削減に向けて世界は動き始めている。「国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)」が11月30日から今月13日までアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催され、「化石燃料からの脱却」という対策の方向性が初めて合意文書に明記された。「脱化石燃料」の実現に向け、各国がどのような目標を作成し、具体策を示すかがこれから焦点になる。

   COP28に出席した岸田総理は、2030年に温室効果ガスの46%削減、2050年までに大気中に排出される二酸化炭素を実質ゼロとするカーボンニュートラルの実現など日本の取り組みについて演説した。岸田政権が打ち出しているのは原発の活用だ。ことし5月に築60年を超える原発の運転を可能とする法律「GX(グリーン・トランスフォーメーション)脱炭素電源法」を成立させている。そして、日本と真逆の政策に舵を切ったのがドイツ。原発をすべて停止し、風力や太陽光、そして石炭火力にシフトしている。

   来年も猛暑になるのか、二酸化炭素の排出は人類の煩悩の象徴ではないのか、などとつらつらと思いのままブログをしたため、2023年は暮れていく。

⇒31日(日)夕・金沢の天気     あめ

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☆「2023 アレどうなった」➃ マスクとワクチンは防衛本能

2023年12月30日 | ⇒ドキュメント回廊

   新型コロナウイルスの感染はことし5月8日に感染症法上の位置づけが「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ扱いの「5類」に移行した。2020年1月から足掛け4年に渡る、人とウイルスの長い戦いだった。

           感染症法「5類」に移行とは言え、マスクは手放せない

   平時に戻って、世の中全体が肩の荷を下ろしたように楽になった。なんと言っても、マスク着用は個人の判断に委ねられるようになった。また、感染症法に基づく外出自粛要請や濃厚接触者の特定などは廃止となった。もちろん、5類に移行したからと言って、コロナ感染が世の中から消えたわけではない。5類以降でコロナに罹った知人から発熱とのどの痛みに悩まされたと聞かされ不安に思ったこともある。

   とりあえずワクチンを打とうと思い、先月11月13日に金沢市内のクリニックで新型コロナワクチンを接種してきた。前回は6月で7回目の接種だった。接種のつい数日前までは感染症法上の位置づけが5類に移行していることだし、「もういいだろう」と接種を止めようと思い、9月に市役所から郵送されてきた接種券をほったらかしにしていた。しかし、間もなく師走。年の瀬ともなれば年末の行事や買い物など忙しくなり、人と会う機会も格段に増える。で、「やっぱり打っておこうか」と接種を申し込んだ次第。コロナ禍で人混みを気にするようになり、自己防衛の本能が働いたようだ。

   コロナ禍で、新たな習慣として一つ身に着いたのはマスクの洗濯かもしれない。マスクは衛生上も使い捨てという概念だったが、それが一変した。生活様式としてマスクを身につけるのであれば、それは衣類と同様に持続可能な使い方をしなけらばならない。それは洗濯である。洗剤で手洗いをする。1枚を2日間使い、2枚か3枚をまとめ洗いをする。そして、ハンガーにつるす=写真=。「5類」移行後は洗濯の回数はずいぶんと減ったが、それでもたまにマスク洗いをしている。時代の変化をマスクで感じたものだ。

   今後、コロナとどう向き合い、そして共生していけばよいか、マスクを手にしながらそんなことを考える。

⇒30日(土)午後・金沢の天気    はれ

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★「2023 アレどうなった」③ バンさんのマジキリとレストラン

2023年12月29日 | ⇒ドキュメント回廊

   ことし5月5日に能登半島の尖端は激震に見舞われた。マグニチュ-ド6.5、震度6強の揺れで、死者1人、負傷者数48人、住宅の全半壊131棟、一部破損581棟など被害が大きかった。最も被災したのは珠洲市だった。さらに、6日から雨が強まり、同市は土砂災害警戒区域にある740世帯1630人に避難指示を出した。激震と非情の雨が続いた。

    環境と人権に配慮した避難所、アートな建築構造

   地震から10日目となる5月15日に被災地を訪ねた。ブルーシートで覆われた家々が並び、神社の鳥居が倒れていた。被害が大きかった正院地区を歩いていると、視察に訪れていた泉谷満寿裕市長から声を掛けられた。「避難所にバンさんのマジキリがあるので見てください」とのこと。「バンさんのマジキリ」の意味を理解しないまま、とりあえず避難所に向った。

   バンさんとは建築家の坂茂(ばん・しげる)氏のこと、マジキリは被災した人々のための避難所用の「間仕切り」のことだった。坂氏は1995年の阪神大震災を契機に世界各地で被災地の支援活動に取り組んでいて、同市にもその間仕切りが寄贈された。間仕切りはプラスティックなどではなく、ダンボール製の簡単な仕組み。個室にはカーテン布が張られているが、プライバシー確保のために透けない=写真・上=。中にあるベッドもダンボールだ。まさに環境と人権に配慮した避難所なのだ。

   その後、珠洲市ではあるテ-マをめぐり議論が沸き起こった。9月に予定している「奥能登国際芸術祭2023」を開催すべきかどうか。市議会では、震災復興を優先して開催経費をこれに充てるべきとの意見が相次いだ。芸術祭は2017年からトリエンナーレで開催されことしで3回目。開催予算は3億円とされていた。泉谷市長は「地域が悲嘆にくれる中、何か目標や希望がないと前を向いて歩けない。芸術祭を復興に向けての光にしたい」と答弁し、予定より3週間遅れで開催にこぎつけた。

   坂氏の建築作品を再び鑑賞したのは芸術祭だった。急な坂道を上り、丘の上に立つと眼下に日本海の絶景が見渡せる。海岸線に沿うように長さ40㍍、幅5㍍の細長い建物「潮騒レストラン」があった。

   このレストランで坂氏の発想と知恵を感じた。一見して鉄骨を感じさせる構造だが、よく見るとすべて木製だ。公式ガイドブックによると、ヒノキの木を圧縮して強度を上げた木材を、鉄骨などで用いられる「トラス構造」で設計した日本初の建造物、とある。日本海の強風に耐えるため本来は鉄骨構造が必要なのかもしれないが、それでは芸術祭にふさわしくない。そこで、鉄骨のような形状をした木製という稀にみる構造体になった。これもアートだ。

   間仕切りは避難者がいなくなり撤去。レストランは芸術祭の期間中だけの営業だったが、オーシャンビューのロケーションと能登の魚介類を使ったパスタの人気が高く、今月8日に営業を再開している。

⇒29日(金)夜・金沢の天気    くもり

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☆「2023 アレどうなった」➁ ドラッグストアのシェア争い

2023年12月28日 | ⇒ドキュメント回廊

   政治の次は、経済のアレ。金沢はドラッグストアのシェア争いの主戦場なのだろう。なにしろ、ドラッグストアがまるで、コンビニのように乱立している。地元・石川県白山市に本社がある東証上場企業の「クスリのアオキ」は、最近自宅近くに1店舗増え=写真・上=、周囲に4店舗もある。同社の公式サイトによると、石川県内のドラッグストアの数は99店舗、北陸3県で246店舗あるようだ(2023年11月30日現在)。

    超高齢化社会のマーケットの主導権を握るか   

   これに挑むかのように店舗数を増やしているのが、同じく上場企業の「スギ薬局」(本社・愛知県大府市)や「ゲンキー」(本社・福井県坂井市)だ。とくに、「スギ薬局」は2020年に金沢に初めて3店舗を開設。2024年2月までに北陸で一気に100店舗を計画している(同社公式サイト)。中でも目立っているのが、片町きらら店だろう=写真・下=。片町通りは金沢の繁華街にあり、多くの市民は「まさかドラッグストアが片町に」と思ったに違いない。ドラッグストアは繁華街ではなく、病院がある住宅街の近くにある店舗というイメージだったので、それが覆された。ちなみに、クスリのアオキは片町通りにはない。

   以下は自身の憶測だが、後発で店舗を構えたスギ薬局にとって、片町きらら店は採算性というよりPR効果を狙ったものなのだろう。と同時に、同業者であるクスリのアオキに対する挑戦状なのかもしれない。というのも、近くにある両店舗はスギ薬局がクスリのアオキに接するように店舗を構え、距離にして200㍍ほど。素人目で見ても、シェア争いに挑んでいるようにも見える。他でも、スギ薬局はクスリのアオキに付きまとうように店舗を配置している。悪い意味ではなく、業界の熾烈なシェア争いを間近に見ているようで迫力ある光景なのだ。コンビニ業界も同じだ。

   さらに、店舗のコンセプトにも工夫がある。クスリのアオキは複数の医療機関から幅広く処方せんを受け付け、「地域のかかりつけ薬局」としての機能を重視している。これに対し、後発のスギ薬局は店舗の多様性をアピールしている。繁華街にある片町きらら店は売り場面積の半分を化粧品やスキンケア、ヘアケア用品をそろえた「ビューティー強化型店」として、「美の拠点」と位置付けている。また、地域の在宅医療における訪問調剤サービスなど行っている。それぞれ個性を打ち出している。

   ドラッグストアチェーンのこうした積極的な経営戦略は超高齢化社会を迎えるマーケットの主導権を握るだろう。ドラッグストアと食品スーパ-、ドラッグストアと介護・診療施設の併設、あるいはドラッグストアと家族葬を中心とした葬儀場もあり、かもしれない。そのくらい勢いのある業界ではないだろうか。何しろ、スギ薬局は2024年2月期の連結売上高を前期比11%増の7425億円、クスリのアオキは2024年5月期の連結売上高を前期比15%増の4350億円と見込んでいる(両社公式サイトより)。

⇒28日(木)夜・金沢の天気   くもり時々あめ

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★「2023 アレどうなった」① 馳知事の不測の発言

2023年12月27日 | ⇒ドキュメント回廊

   ことしも残すところあと4日となった。この一年の世相を振り返ってみると、釈然としない自民党の裏金問題やロシアによるとウクライナ侵攻が続く一方で、大谷翔平選手の大リーグでのMVP満票受賞や7億㌦契約など前例のない快挙もあった。そこで、阪神の岡田監督が使って話題となった「アレ」を自分なりの解釈で、この一年を振り返ってみる。題して、「2023 アレどうなった」。

   一回目は、全国ニュースにもなった、石川県の馳知事の不測の発言。馳氏は11月17日に都内でスポーツ振興の会合で講演し、自身が自民党代議士で東京オリンピック・パラリンピックの招致推進本部長だった当時のことを語った裏話が物議をかもした。

      官房機密費とIOC委員アルバム発言 その始末はお粗末

   「当時、総理だった安倍晋三さんからですね。『国会を代表してオリンピック招致は必ず勝ち取れ』と。ここから、今からしゃべること、メモを取らないようにしてくださいね。『馳、カネはいくらでも出す。官房機密費もあるから』」 「それでね、IOCの委員のアルバムを作ったんです。IOC委員が選手の時に、各競技団体の役員の時に、各大会での活躍の場面を撮った写真があり、105人のIOC委員全員のアルバムを作って、お土産はそれだけ。だけども、そのお土産の額を今から言いますよ。外で言っちゃダメですよ。官房機密費使っているから。1冊20万円するんですよ」(メディア各社の報道)

   秘匿すべき官房機密費の使い道をばらし、さらに、アルバムは買収工作としてIOCの倫理規定に抵触したのではないかとメディアなどで報じられると、馳氏は発言を「事実誤認があった。全面的に撤回する」と口を閉ざした。その後、県議会での質問にも「全面的に撤回している」をひたすら繰り返した。(※写真は石川県庁公式サイト「知事のホームページ 」より)

   発言に変化があったのは、今月に入ってから。県議会予算委員会(15日)の後の記者会見で、アルバムについて問われ、「自民党の予算しか使えないと言われた。私が関知する限り、官房機密費は1円ももらっていない」と述べている(地元メディア各社の報道)。これを今ごろになって言うのは釈明の筋道が違う。「全面的に撤回」を言う前に、「官房機密費ではなく党の予算だった。当方の誤解」とまず釈明すべきだったろう。

   ことしの元旦に東京の日本武道館で開催されたプロレス興行の試合に参戦し、得意技のジャイアントスイグンなどで会場を沸かせた。正月の休暇中だったとはいえ、側近はけがなどの負傷を心配し出場を止めるよう進言したが、それを押し切って、リングに立った。その後、年頭記者会見(1月4日)で問われ、「私は死ぬまでプロレスラー」と述べ、再度登板することに含みを持たせるような発言をした。これも釈明の仕方が異なり、知事職を軽視した発言のようにも聞こえる。「知事が最優先」と明言すべきだったろう。不測の発言は来年も続くのか。

⇒27日(水)午後・金沢の天気    くもり時々はれ

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☆道路への倒木で問われる 山の所有と境界の問題

2023年12月26日 | ⇒ドキュメント回廊

   きょうの金沢は寒気から一転して寒さがやわらぎ、金沢では日中の最高気温が9度だった。あさからときおり雨も降り、積もっていた雪がずいぶんと溶けている。自宅2階からの雪景色が一変している。左の五葉松の枝に積もっていた雪がまったくなく、屋根雪も少なくなった。(※写真は、26日午前7時59分に自宅2階から撮影した近所の雪景色)

   積雪60㌢の記録的な大雪となった能登半島の輪島市では、雪による倒木で道路がふさがれ、一時220世帯余りが孤立状態となっていたが、きのう25日夕方にはすべて解消した。また、停電となっていた2200戸はほとんどが復旧したものの、80戸でまだ停電が続いている。

   雪害に遭われた方々に申し訳ない言い方になるかもしれないが、今回の能登の集落の孤立や停電は過疎高齢化による里山問題の象徴的な事象ではないかと考えている。孤立した集落の市道などは車2台がすれ違うのが精一杯の細い道で、雪の重みで倒れた樹木などが道をふさいだ。輪島など奥能登の中山間地の道路には杉やアテ(能登ヒバ)など常緑樹が多く植林されているが、枝打ちなどがなされず、横に傾いて、道路を覆うようになっている木も多く見かける。本来ならば山の持ち主が枝打ちなどするが、所有者が地域で不在になって、山の木々が荒れ放題になるケースが増えている。

   また、「境界管理」の問題もある。森林には私的所有権が設定されているが、実のところオーナーが健在である場合、その隣地との境界は代々からの言い伝えで分かるが、代を重ねるごとにあいまいになり、分からなくなる。すると、道路沿いの境界にある杉やアテをだれも管理しないということが起きる。こうした木々が今回の大雪で道路に倒れ込む、さらに倒木で電柱の電線を切断することは想像に難くない。また、山道の倒木問題は冬だけでなく、地盤が緩みやすくなる梅雨の時期にも起きる。

   里山の管理の問題はこれまでクマやイノシシなどの獣害でよく指摘されてきたが、今回の倒木による集落の孤立問題をきっかけに、危機管理として所有や境界を超えた対策が必要ではないだろうか。

⇒26日(火)夜・金沢の天気   くもり時々あめ 

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★雪国の環境問題マイクロプラスチック どう対応すべきか

2023年12月25日 | ⇒ドキュメント回廊

   22日、23日と続いた大雪はいったん収束した模様だ。きょうは朝から雨が降り、雪はずいぶん溶けた。連日の雪すかしで少々くたびれた。それと、この雪すかしには環境問題を考えてしまう。このブログで何度か取り上げた、除雪にともなうマイクロプラスチックごみの問題だ。

   雪すかしをしているご近所を見渡すと、スコップの8割がプラスチック製で、2割がアルミ製ではないだろうか。除雪する路面はコンクリートやアスファルトなので、そこで雪すかしをすると、プラスチック樹脂が摩耗する=写真=。この微細なプラスチックの破片は側溝を通じて川に流れ、海に出て漂うことになる。

   粉々に砕けたマイクロプラスチックが海を漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持つとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で最後に人が魚を獲って食べる。

   かつてスコップは鉄製が多かったが、軽量化とともにアルミ製に変化し、最近ではプラスチックなど樹脂製が主流となっている。自身はなるべくステンレス製のスコップを用いるようにしている。ただ、ご近所を見渡すとほとんどがプラスチック製だ。北陸のほか雪国から排出されるマイクロプラスチックは想像を絶する量ではないだろうか。

   この問題を解決する方法はただ一つ。一部には製品化されたものもあるが、スコップのさじ部分の尖端をステンレスなど金属にするしかない。これを法令で措置すべきではないだろうか。

⇒25日(月)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

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☆「顕著な大雪」峠は越えるも 能登で集落の孤立、停電

2023年12月23日 | ⇒ニュース走査

      気象庁は「顕著な大雪」という言葉を何度も使って、北陸地方に大雪に警戒するよう呼びかけている。きょう金沢の自宅周辺は銀世界となった。自宅二階から雪景色をきのうと同じアングルで撮影した。樹木に積もった雪のぶ厚さが顕著な大雪を物語る。(※写真・上は、23日午前7時35分に自宅2階から撮影した近所の雪景色)

   雪による被害が出ているのは能登地方だ。半島尖端部にある輪島市や珠洲市ではきょう午前で50㌢余りの積雪となっている。大雪で倒れた木や電柱が道を塞ぎ、車で行き来できなくなっており、180世帯が孤立化した。また、停電が2200戸余り、凍結による断水なども起きている。地元紙のきょうの朝夕刊によると=写真・下=、道路での倒木の撤去に時間がかかるため復旧の見通しは立っていないところもあり、輪島市などではまだ170世帯余りの孤立状態が続いている。同市は要望に応じ、食糧や毛布といった救援物資を届けている。停電などは一部復旧したものの、2100戸で停電が続いている。

   積雪が多いと交通事故が多発する。金沢市などではスリップ事故がきょう朝までに119件発生した。また、事故にはいたっていないもの、雪で車が動かなくなったりしているケースも相当数あるようだ。

   石川など北陸を襲った「顕著な大雪」は続くのか。金沢地方気象台によると、寒気のピークは過ぎつつあるものの、この後も断続的に雪が降る見込み。24日午前6時までに予想される降雪量は、多いところで、加賀平地10㌢、加賀山地20㌢、能登平地10㌢、能登山地20㌢となっている。「顕著な大雪」は峠は越えたものの、雪は降り続く。

⇒23日(土)夜・金沢の天気    あめ時々ゆき

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★冬将軍が来た さっそく「エンヤコラ」と雪すかし

2023年12月22日 | ⇒ドキュメント回廊

   気象庁の予報通り、金沢は大雪となった。きょう夕方までに自宅周辺では30㌢ほど積もった。そして、朝からさっそく「雪すかし」を行った。「雪かき」という言葉を使う人もいるが、いわゆる除雪のこと。雪の晴れ間をぬって作業を行った。

   町内会でお達しがあったわけではないが、不思議と道路沿いの家々の人たちが一斉に出てきて、雪すかしの作業を行っている。平日の朝、通学路でもあるので児童生徒たちが多く通る。子どもたちから「ごくろうさまです」と声をかけられ、「滑らないように気をつけて」と応える。また、通学路は午前9時まで車が通れないので除雪作業にはタイムリーな時間帯でもある。そして、「よく降りましたね」は、ご近所のみなさんと交わす朝のあいさつとなる。(※写真は、22日午前6時57分に自宅2階から撮影した近所の雪景色)

   金沢の雪すかしにはちょっとした「暗黙のルール」のようなものがある。雪をすかす範囲はその家の道路に面した間口部分となる。角の家の場合は横小路があるが、そこは手をつけなくてもよい。家の正面の間口部分の道路を除雪する。しかも、車道の部分はしなくてよい。登校の児童生徒たちが歩く歩道の部分でよい。すかした雪を家の前の側溝に落とし込み、積み上げていく。冬場の側溝は雪捨て場となる。

   暗黙のルールに従わなかったからと言って、罰則や制裁があるわけではない。雪は溶けて消えるものだ。しかし、町内の細い市道でどこかの家が積雪を放置すれば、交通の往来に支障をきたし雪害となる。もちろん、道路の雪害は住民の責任ではなく、行政にある。一方で道路を使うのは住民なので、公共の意識で出来る範囲で除雪を行う。そんなルールだ。町内の雪すかしは、雪国の住民の「自助・共助」の光景でもある。

   金沢の雪はじっとりと湿っていて重い。その雪を側溝や空きスペースに放り投げる。「エンヤコラ」と『ヨイトマケの唄』を心で歌いながら作業を40分ほど続けた。

⇒22日(金)夜・金沢の天気    くもり時々ゆき

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☆冬将軍が来る 積雪30㌢で続発するスリップ事故

2023年12月21日 | ⇒ニュース走査

   日経平均株価が乱高下している。きょう21日は535円値下がり。きのうまでは2日間で900円強上げて年初来高値を上回る場面もあった。が、利益を確定しようという売り注文が広がったようだ。きょうの経済ニュースも暗い。ダイハツが車両の安全性を確認する試験で不正を行っていた問題は、トヨタ自動車など他社ブランドを含め64車種に広がっている。このためトヨタは世界で112万台をリコールすると発表した(21日付・ロイターWeb版)。トヨタの株価は106円下落、マイナス4.0%だった。自動車産業は日本の基幹産業だけに寒々しい数字だ。

   外の天気も寒々しい。気象庁はきょう午後、「大雪と高波及び雷に関する石川県気象情報」(第5号)を発表した。それによると、23日にかけて冬型の気圧配置が強まり、上空5500㍍に北日本で氷点下39度以下、東日本で氷点下30度以下の真冬並みの寒気が流れ込む。このため、とくに日本海側を中心に大雪となり、能登北部の山地ではきょう夜遅くにかけて警報級の大雪が予想される。22日正午までの降雪量は多い所で加賀平地で30㌢、加賀山地で60㌢、能登平地で35㌢、能登山地で60㌢と予想されている。まさに冬将軍がやって来る。

   金沢の天気もきょう朝から降雪や強風、そして時折、雷がとどろいている。ちなみに、金沢で積雪30㌢はどのような光景になるのか。2017年12月に降った大雪は金沢市内で積雪が30㌢に達した。雪道で交通事故が続発した。12月ではまだスタッドレスタイヤなど雪道用タイヤの取り換えに間に合っていない乗用車やトラックが多いからだ。(※写真は、2017年12月、自宅近くの市道でスリップ事故で電信柱に衝突した貨物トラック)

   一方で気象庁がきょう発表した向こう1か月(12月23日から1月22日)の天候の見通しによると、全国的に気温は高い見込みで、北日本などは2週目(12月30日から1月5日)にあたる年末年始は気温がかなり高くなり、穏やかな天気になりそうだ。

⇒21日(木)夜・金沢の天気    くもり時々ゆき

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