自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

☆衝突映像、公開のタイミング

2019年10月20日 | ⇒ニュース走査

   ビデオの3分29秒で「ガシャーン」という衝突音が響く。映像は今月7日、能登半島沖の350㌔の日本の排他的経済水域(EEZ)で、水産庁の取締船「おおくに」と北朝鮮の漁船が衝突したときの動画だ。18日夜、水産庁がホームページで公開した。

   動画(12分54秒)は「退去警告に従わないため、撮影を開始する」とコメントが入り、撮影が始まっている。漁船の船体には北朝鮮の国旗が描かれ、漁の網を引き揚げている様子が映る。違法操業と確認できたため、取締船が漁船に向けて放水を開始する。EEZから退去するよう警告アナウンスを何度も伝える。放水するため取締船が漁船に併走している。「石を投げる様子ないか」と取締船は漁船の様子を確認しながら並走を続ける。すると、漁船が左に方向を変えて急接近、漁船の左の側面が取締船の船首に衝突する「ガシャーン」という音が響く。同時に「ガイセンが本船とぶつかった」と撮影者の声が入っている。ガイセンは「該船」のこと、取り締まる対象の船のことを指す。

   ビデオでは、衝突の後、漁船が取締船を追い越すように離れていく様子が映っている。しばらくして、漁船が傾き始め沈没する。海に飛び込み脱出する乗組員の様子が生々しく映っている。取締船は救助ボートを出し、救命いかだを現場に投げて救助に当たる。ビデオの12分00秒には、別の北朝鮮の船が来て、救助された船員たちが次々と乗り移っていく様子が映っている。「救命いかだからNK公船に全員が乗り移った模様」「救命いかだからNK公船が離れていく」のコメントを最後に映像は終了する。

   北朝鮮外務省の報道官は12日の声明で、「日本側が故意に衝突した犯罪的な行為だ」と指摘、日本に対し漁船沈没の損害賠償を強く求めた。漁船が急旋回したため衝突したとの日本の主張に対して、声明では通常の航行状態だったと反論し、「日本は意図的な行為を正当化しようとしている」とも非難した。

   北朝鮮が声明を出したとき、水産庁ははやく映像を公開し事実関係を明らかにすべきではないか、何をもたもたしているのかと不信感すら抱いた。水産庁が公表した映像を見る限り、声明にある「日本側が故意に衝突した犯罪的な行為」との指摘は論外ではあることは言うまでもない。むしろ遅れたタイミングの映像公開によって、北朝鮮の声明の論拠を崩したことにもなる。仮に、この映像が先に公開されていたらどうか。それでも、声明は「映像は捏造」と主張していたかもしれない。
(※写真は、北朝鮮の漁船が水産庁の取締船に衝突する様子=水産庁ホームページの動画より)

⇒20日(日)午後・金沢の天気    はれ

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★「オープンイノベーション」って何だ

2019年10月18日 | ⇒ニュース走査

       「人生百年時代」という言葉に戸惑っている。これまでの人生観は、60歳定年で再就職し、65歳まで頑張り、後は年金をもらって泰然自若として余生を送る、だった。ところが、「人生百年時代」の言葉の裏には年金制度の下心が見えてくる。高齢者はリタイアせずそのまま働き、年金保険料や税金を納めてもらい、年金の受給開始をできるだけ待ってもらうという、時代の要請を感じる。これに背いて、時の政権を恨んで生きようとは思わない。問題は、65歳の人生観から人生百年時代へとライフスタイルを延ばすために、求められる能力・スキルをどう身につけるかである。

   キャリアの単なる延長では意味がない。有している技術やノウハウはもう時代についていけない。キャリアアップやキャリアチェンジが必要なのだ。自虐的な発想だが、65歳から身につける、能力・スキルには限界がある。せめて50歳で会社を辞しキャリアチェンジに進む、あるいは会社に兼業を認めてもらい、キャリアアップを図るといった自己開発が必要なのだ。これは、個人のキャリアもさることながら、会社組織にとっても必要ではないかと考えている。老舗企業として生き残るのはそう楽ではない。

   「オープンイノベーション」という言葉がある。これまでの自前主義(クローズドイノベーション)に代わって、会社の外にある知識や技術を積極的に取り込むという意味で使われる。もちろん、それぞれの企業内には秘密保持契約があり、自ら創った壁に風穴を空けて、既存のベンチャー企業やIT企業から技術導入するというのはそう簡単ではないだろう。「スタートアップ」と称される、新規サービス・ビジネスモデルの確立を目指すメンバーを取り込み、 イノベーションの創出を求める大企業の間で盛んに言われているのが、オープンイノベーションだ。 一方で、成功事例は少なく、失敗に終わる事例が多いことから、「オープンイノベーションごっこ。そう簡単ではない」と自虐的に言う人もいる。

   オープンイノベーションを起こすべきはむしろ政府だろう。厚生労働省の統計によると、ことし1-7月の出生数は前年同期に比べて5.9%減の51万8590人となり、ショックが走った。2016年に100万人を割り、わずか3年で90万人を割る公算が大になってきた。「団塊ジュニア」と称されてきた世代の女性が45歳以上になり、20代と30代の女性が減少している。つまり、人口減は構造的な問題なのだ。

   この問題に対応するには事実婚というオープンイノベーションを導入するしかないだろう。日本には戸籍の問題があり、事実婚を阻害しているが、結婚をしないで子供を出産する許容さ、その支援制度を政府が前向きに示すことではないか。事実婚のオープンイノベーションに踏み切れば、高齢化した社会の変革も促されるのではないだろうか。

⇒18日(金)夜・珠洲市の天気     くもり

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☆仕込みか、やらせか

2019年10月17日 | ⇒メディア時評

   ニュースを見ていて、「おかしなことになっている」とぶつやいた記事を2つ。16日午前10時10分ごろ、能登半島沖320㌔の日本のEEZ(排他的経済水域)の大和堆で「北朝鮮籍と見られる漁船が転覆し、乗組員が転落した」と水産庁から海上保安庁に通報があった。海上保安庁は救助活動のため巡視船や航空機を現場に向かわせた。水産庁の取締船が、北朝鮮籍とみられる漁船から「ほかの漁船が転覆した」との情報を得て、それを海保に通報した(17日付・日経新聞)。

   現場は今月7日、違法操業の取り締り中だった水産庁の取締船と北朝鮮漁船が衝突し、漁船が沈没する事故があったところだ。今回違法操業をしていたであろう北朝鮮の漁船が水産庁取締船に発信した「漁船が転覆した」という情報はどこまで信用できるのか。水産庁の取り締まりをかく乱し、惑わすためにわざと偽の情報を流したと勘ぐることもできる。偽情報によって、水産庁から通報を受けた海保が巡視船や航空機を出して捜索しているとしたら、と考えると虚脱感も漂う。7日の衝突事故では北の乗組員60人を全員救助して、事情聴取もせずにそのまま帰した。北朝鮮は12日、日本側が故意に衝突した犯罪的な行為だとして、沈没船の損害賠償を求めた。「日本人は騙しやすい」と北朝鮮は笑っているかもしれない。何とも、おかしなことになっている。

   テレビ朝日は16日夜に会見を開き、夕方の報道・情報番組「スーパーJチャンネル」で3月15日に放送した「業務用スーパーの意外な利用法」という企画コーナーで、スーパーを利用する一般の客などとして取り上げた男女5人は、実際には番組の契約ディレクターの知人で初対面のように偽っていたと発表した。テレビ朝日は「信用を著しく毀損する重大な問題」「仕込み、やらせと言われても否定できない」として謝罪した(17日付・朝日新聞)。

   49歳男性の契約ディレクターは俳優養成教室の講師も務めていて、男女5人のうち4人はこの教室の生徒だった。「出演」のギャラを払わなくても、「テレビに出演できるよ」というだけで生徒たちは喜んで集まっただろう。想像するに、初対面を装う演技はとても自然な仕草で、視聴する側にも違和感のない、見事な演技だった。契約ディレクターも「最高の演技だったよ」と俳優の卵たちをほめていたに違いない。「テレビ局は騙しやすい」と契約ディレクターは笑っていたかもしれない。何とも、おかしなことになっている。(※写真はローマのバチカン宮殿「ラフェエロの間」にある「アテネの学堂」)

⇒17日(木)夜・金沢の天気    はれ

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★インターネットの巨大隕石論、その後

2019年10月15日 | ⇒ドキュメント回廊

   自宅近くにあった大型書店が閉店し、コンビニエンスストアになった=写真=。これまで利用してきた書店だけに、「長い間のご愛顧に感謝しますとともに、皆様にご不便ご迷惑をおかけしますこと、心よりお詫び申し上げます。」と書かれた貼り紙が心寂しい。76年の老舗デパートの閉店も最近あった。既存の販売システムがインターネット通販などに押されて姿を消す現象が北陸でも顕著になってきた。

   「インターネットの巨大隕石論」は、ソニーの元会長、出井伸之氏が20年も前に述べたたとえだ。6500万年前、メキシコのユカタン半島に落ちた巨大隕石が地球上の恐竜を絶滅させたといわれるように、インターネットを現代の産業社会に落ちた隕石にたとえた。ネットが流通やメディアなど既存産業にも打撃を与え、ネット社会に対応した改革が出来なければ、いずれ絶滅する。出井氏のたとえをそのように解釈している。冒頭で述べた大型書店の閉店はその光景をイメージさせる。    

   新聞・テレビのマスメディアも同じ光景になるのか。アメリカの現状は想像を超える。アメリカではネットへの広告費のシフトが急速に進み、2008年のリーマン・ショック以降、212の新聞が廃刊になっている。新聞記者も激減した。1990年代に5万6千人とされたが2014年には3万8千人に減った(アメリカ連邦通信委員会=FCC)。「取材の空白域」や「メディアの過疎地化」といった現象がアメリカ各地で起きている。2010年7月、カリフォルニア州ベル市の不正給与問題は「空白域」で起きた事例として知られる。新聞だけでなく、ネット動画配信が普及したアメリカでは視聴者によるコードカッティング(Cord Cutting)と呼ばれる「テレビ離れ」が深刻で、テレビ業界の経営が危ぶまれている。

   FCCは2017年7月、地域におけるテレビ局と新聞社の兼業を禁止するメディア法の規制緩和に踏み切った。これによりテレビ局と新聞社のM&A(合併・買収)で、取材網の共通化やネット事業への投資など多様なメディア展開が可能となった。アメリカにおける既存メディアは生き残りへ必死の戦いを繰り広げている。

   日本のメディアの現状はどうか。元毎日新聞役員の河内孝氏が2007年に日本外国特派員協会で講演した「Lonesome Dinosaurs(ロンサム・ダイナソーズ=寂しげな恐竜たち)」をネットで知り、著書『新聞社-破綻したビジネスモデル』(新潮社、2007)を購入した。部数至上主義で走ってきた新聞ビジネスがネットの時代に立ち行かなくなる理由を克明なデータをもとに解析したものだった。12年経って現状はどうか。確かに、新聞各社は広告収入も部数も徐々に落ちてはいるが、宅配によって新聞の販売収入でなんとか経営的には維持している。

   ネットで読むニュースの情報源の多くは新聞とテレビの既存メディアだ。既存のメディアがなくなれば、フェイクニュースがあふれる、まさに暗黒の世界になる。アメリカが先行している、新聞社とテレビ局とのM&Aへの動きを日本でも始めるべきではないだろうか。民放テレビでは、系列のテレビ各局を傘下に入れる放送持株会社があるが、共倒れになる可能性もある。生き残りをかけた取材網の共通化やネット事業への共同参画といった点で、テレビ局と新聞社のM&Aが必要ではないだろうか。

⇒15日(火)夜・金沢の天気     くもり

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☆「焚きつけ」の任命責任はどうなのか

2019年10月14日 | ⇒メディア時評

     台風19号の被害が日を追うごとに拡大している。北陸に住む自身にとっては、千曲川の堤防決壊で長野市にある新幹線車両センターの北陸新幹線の車両が水に浸かった画像はショックだった=写真・上=。豪雪にも強いと頼っていた北陸新幹線だけに、10編成、120車両が並んで水に浸かっている様子は痛々しい。13日始発から金沢―東京間がすべて運休。浸水が床上に及んでいる場合は電子機械や変圧器の取り換えが不可能となり、廃車となる可能性もあると指摘されている。今後金沢への観光客が激減するだろう。さまざな後遺症が出てきそうだ。

  話はがらりと変わる。このニュースに接して、任命責任はどうなのか、と問いたい。韓国の文在寅大統領の側近で、家族を含めてさまざまな疑惑が出ている曺国(チョ・グク)法務部長官がきょう14日付で辞任することを明らかにしたとメディア各社が伝えている。韓国の聯合ニュースWeb版=写真・下=にアクセスすると、「조국, 취임 35일만에 사의 "檢개혁 불쏘시개 역할은 여기까지" 」(法相、35日で辞意表明 “検察改革焚きつけ役割はここまで”=グーグル翻訳)との見出しで詳細に報じている。以下、要約する。 

  曺法務部長官は14日、電撃的に辞意を明らかにした。先月9日に就任して35日目となる同日午後2時に「検察改革のための焚きつけ役割はここまでです」という声明文を出して辞意を明らかにした。長官は「検察改革は学者や知識人としての私のライフワークの使命であり、長い間悩んで追求してきた目標であった」としながらも、家族をめぐるいくつかの疑惑と検察の捜査があり、「これ以上大統領と政府に負担をかけてはならないと判断した」と述べた。さらに、検察改革の完遂が近づいてきたと明らかにし、「私は検察改革のための『焚きつけ』に過ぎない。その役割はここまで」と声明文で述べた。

  曺氏の辞意表明を受けて、文大統領は「結果的に国民の間に多くの葛藤を引き起こしたことについて非常に遺憾に思う」と謝罪し、「検察改革は最も重要な国政目標であり、完全な実現のために最後までやり遂げる」とのコメントを発表している。

  今月3日、ソウルでは文大統領に退陣を要求する大規模なデモがあり、「法務部長官、辞退を」と叫ぶ数十万人が光化門からソウル駅の2.1㌔㍍を埋め尽くした(韓国・中央日報)。9月28日に行われた大統領支持派のデモと同規模で、まさに「国民の間に葛藤」を起こす大問題になっていた。

  そもそも「玉ねぎ」ように次から次と疑惑は曺国氏の長官就任前から出ていた。曺氏の妻が娘の大学院進学に有利になるよう東洋大総長名義の表彰状を偽造したとされる事件。妻はその後、私文書偽造の罪で在宅起訴されている。不正入学疑惑では、すでに娘や息子も聴取するなど異例の捜査展開となっている。

  曺氏の長官就任直後の大統領支持率は韓国ギャラップによると、9月第3週の調査では支持率が40%(前回43%)、不支持率53%(同49%)で、支持率は落ち込んでいた。支持しない主な理由はやはり曺国氏を法務部長官に任命した人事問題だった。世論を甘く見て、長官任命を押し切ったことに、その任命責任は問われないのだろうか。曺氏の辞任で政権の求心力は再び高まるとはとても思えない。

⇒14日(祝)午後・金沢の天気    くもり

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★被害者権利「日本が故意に衝突、損害賠償を」

2019年10月13日 | ⇒ニュース走査

  数十年に一度の重大な災害が予想される特別警報が出された台風19号。各地で爪痕を残し、13日朝、台風の中心部は東北三陸沖の太平洋側に抜けた。ネットニュ-スで被害状況をチェックしているが、長野県の千曲川の堤防が一部決壊し住宅地が浸水。また、長野市のJR新幹線車両センターも水没して、北陸新幹線の車両が水に浸かっている状態で終日運休が決まった。時間が経つにつれ、さまざまな被害状況が確認され、今回の台風のすさまじさが見えてくる。

  もう一つ「北の台風」が吹き始めた。12日付のロイター通信Web板(日本語)は「北朝鮮が日本に賠償要求、故意に沈没漁船に衝突と主張」との見出しで、今月7日に起きた能登半島沖の日本のEEZ(排他的経済水域)内での北朝鮮漁船と水産庁取締船との衝突について、北朝鮮側の発表を報じている。

   ニュースを以下要約する。朝鮮中央通信社(KCNA)が12日に報じた内容として、北朝鮮外務省の報道官は声明で、日本側が故意に衝突した犯罪的な行為だと指摘、将来このような事案が発生しないよう日本は対応すべきだと主張。さらに「日本政府に沈没船の損害補償を強く求める。このような事態が再び起これば日本は望ましくない結果に直面することになる」と指摘。漁船が急旋回したため衝突したとの日本の主張に対して、通常の航行状態だったと反論し、「日本は意図的な行為を正当化しようとしている」と非難した。

   なぜこれほど北は強気に出てくるのか。衝突から損害補償の請求まで仕掛けられたワナではないか。領海の基線から200㌋(370㌔)までのEEZでは、水産資源は沿岸国に管理権があると国連海洋法条約で定められている。ところが、北朝鮮は条約に加盟していないし、日本と漁業協定も結んでいない。北朝鮮は衝突があったEEZは自国の領海であると以前から主張している。日本側が領海を侵犯した上、公船が漁船に体当たりしたと自らの立場を正当化する戦略として仕立てたのだろう。これからことあるごとに「北朝鮮の領海での日本側の意図的な衝突、損害賠償を請求する」と高いボルテージで言い続けるだろう、北朝鮮は被害国だという「権利」の主張だ。

   北朝鮮では近海の漁業権を中国に売却したため、漁民が危険を冒して大和堆などの沖合に出ざるをえない事情があると言われている。ロシアのEEZに入り拿捕が相次ぎ、日本のEEZの方が拿捕されないので「安全」と見くびっている。おそらく北による違法操業は今後も当面止むことはないだろう。日本は水産庁が撮っている今回の衝突映像を国際社会に公開すべきだ。衝突が単なる事故なのか、故意に衝突した「事件」なのか。厄介なボールが日本に撃ち込まれた。(※写真は、日本のEEZで違法操業する北朝鮮の漁船=海上保安庁の動画から)

⇒13日(日)午前・金沢の天気     くもり

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☆台風の最中、正常化の偏見

2019年10月12日 | ⇒ドキュメント回廊

    きょうは朝から雨風が絶え間なく吹き寄せている。金沢では午後から相当荒れそうだとTVニュースで報じているので、緊張する。午前中に7都県の140万人以上に避難指示や勧告が出され、9月の台風15号の被害を受けた千葉県市原市では竜巻によって住宅が倒壊するなどの被害が出ているようだ。窓から外庭を見つめていると、ムクゲの花が一輪咲いているのに気がついた。風で花が散ってはもったいないとの衝動にかられ、ハサミをもって風雨の庭に出て、小枝ごと切ってきた。

    ムクゲは、白の一重花に中心が赤い、いわゆる底紅(そこべに)という種類だ。茶道の三千家(表、裏、武者小路)の祖とされる千宗旦が好んだことから、「宗丹木槿(そうたんむくげ)」とも呼ばれる。アカジクミズヒキとともに活け、和室の床の間に飾る=写真=。ムクゲは早朝に咲き、一日でしぼんで落ちてしまうことから、花の命は短く、「ムクゲ花、一日の栄」と茶席では言ったりもする。私自身はムクゲはたくましい花だと感心している。花一輪は短命でも、次から次と咲き続け花期が長い。ただ、きょう摘んだ花は最後の一輪かもしれない。

    以下は勝手な解釈だ。千宗旦が好んだとされる底紅はそのたくましさにあるのではないか。宗旦は千利休の孫にあたる。利休が豊臣秀吉から切腹を命ぜられ、利休の先妻の子・道庵と後妻の子・小庵は地方に逃れる。京に戻ったのは数年後で、徳川家康や前田利家らが取りなした。小庵は秀吉から利休の遺品を下賜され、京の千家の後を継ぐ。道庵も京に戻り、利休の出身地である堺の千家を継ぐが、道庵の没後に絶えてしまう。秀吉の没後、小庵は家康に仕えて、その後、小庵の子・宗旦に千家を譲る。それぞれは短命ながら、必死に茶道を継いできた。そうしたファミリー・ヒストリーを宗旦は底紅にイメージを重ねたのかもしれない。

   ブログを綴っているうちに風雨がさらに強くなってきた。ニュースでもよく使われるようになった防災用語に「正常化の偏見」や「正常性バイアス」という言葉がある。目の前に危険が迫ってくるまで、その危険を認めようとしない人間の心理傾向、あるいは危険を無視する心理のことを指すようだ。ということは、台風の最中に庭に出て、花をめでようとする行為はまさに正常化の偏見の極みか。

⇒12日(土)午後・金沢の天気   あめ

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★迫る台風19号、茜色の夕空

2019年10月11日 | ⇒ニュース走査

  見事な茜(あかね)色の風景だった。きょう午後5時37分、金沢の外環状道路を車で走っていて西の空に見えた=写真=。暴風雨の前のつかの間の和みの光景か。非常に強い台風19号が迫っている。あす12日は北陸も大荒れとなる見込みだ。自身が講義を予定をしていた金沢大学の人材養成事業「能登里山里海SDGsマイスタープログラム」も次週に延期となった。紙面ではラグビーのワールドカップもニュージランドvsイタリア(愛知・豊田市)、イングランドvsフランス(横浜市)が中止となり、試合はドロー(引き分け)扱いとなると報じられている。確かにこの2会場は19号の直撃コースだ。

  それにしてもラグビーW杯の盛り上がりはだれが予想していただろうか。W杯の開催ついての功労者は、かつて「神の国」発言で物議をかもした森喜朗元総理であることは選挙地盤でもあった石川県民が地元紙を通じてよく知っている。森氏が日本ラグビーフットボール協会の会長を務めていた2009年に今回の第9回W杯の日本招致に成功した。 当時は衆議員在任中でもあったので、「趣味のラグビーのために国費を使うのか」などと冷ややかな声も地元ではあった。政界引退後は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長を務める。ラグビーW杯と東京オリンピック・パラリンピックが成功裏に終われば、「スポーツ界の神様」と称されるかも。

  森元総理のことはさておき、ラグビーについて知るとなんとグローバルなスポーツかと実感する。その国に3年以上滞在していれば、その国の選手として国籍に関係なく出場できるのだ。日本チームのメンバーはニュージーランドのトンプソンルーク、南アフリカのピーター・ラブスカフニ、オーストラリアのジェームス・ムーア、韓国の具智元ら。多国籍を超えて、日本チームとして結束しているところが見事だ。国歌斉唱では外国人選手も「君が代」を歌い、むしろグローバルさを感じさせる。

  このラグビーの在り様は、日本が取るべき将来の進路ではないかと考える。急速に進む少子高齢化で働き手や担い手が不足する中、日本の多国籍化を進めていく。国際化と述べると共通の理念が求められるが、目標に向かって結束する場合は多国籍化でよいのではないか。多国籍化が求められるのは、スポーツだけでなく、研究開発やマーケット戦略、生産性や教育分野など幅広い。市民生活でもあえて日本人の社会に溶け込む必要はない。たとえば、金沢に「ニュージーランド村」や「南アフリカ村」があってもいい。日本の法律の下でお互いに暮らし安さを追求すればそれでよいのではないか。茜色の夕空を見てそんなことを考えた。

⇒11日(金)夜・金沢の天気    はれ
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☆学生たちのメディア接触度

2019年10月09日 | ⇒キャンパス見聞

    金沢大学の共通教育科目「マスメディアと現代を読み解く」「ジャーナリズム論」では履修学生を対象にマスメディアとの接触度についてアンケート調査を行っている。2016年から実施し、今回で4回目となる。インターネットやSNSの普及し、若者の「メディア離れ」が言われて久しいが、その実態を学生の協力で調査している。

    新聞との接触度では「毎日読む」が4年間で4%から10%で推移している。これに対し「読まない」は75%から81%となっている。金沢大学の学生調査(20Ⅰ7年)によると、学生の自宅からの通学は17%で、自宅外のアパートや学生寮からの通学が圧倒的に多いことも新聞に触れる機会が少ない原因とみられる。金沢大学はもともと自宅外通学の学生が多いが、ネットやスマホの普及でこの傾向に拍車がかかったといえる。

    テレビとの接触度では「毎日見る」が2016年は65%だったが以降は漸減し、2018年と2019年は50%を前後している。「見ない」は2016年の12%から、2019年は21%に増えている。テレビには位置の固定と時間の固定があり、帰宅しないと視聴できない。「毎日見る」は50%前後だが、学生からは「帰宅すると一人でさみしいのでテレビは付けているが、見たい番組がない」との意見も聞く。テレビ離れはコンテンツ離れともいえるのではないか。ネットによる動画配信サービスが定着しつつある中、テレビは放送と通信の当時配信を始める。

    アンケート調査結果だが、この科目を履修する学生はもともとメディアに関心を持っている学生がいることも調査には加味しなければならないことは言うまでもない。

⇒9日(水)夜・金沢の天気     くもり

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★猛烈な台風接近、北の漁船は

2019年10月08日 | ⇒ニュース走査

   能登半島沖の日本のEEZ(排他的経済水域)できのう(7日)、水産庁の漁業取締船と北朝鮮の漁船が衝突した事故で、沈没した漁船の乗組員60人が救助され、別の北朝鮮の船に引き取られた。これで一件落着なのだろうか。事故の原因は、取締船が北の漁船に放水して退去するよう警告したところ、漁船が急旋回して取締船の左側から衝突してきたと報じられている(8日付・NHKニュースWeb版)。通常、船同士がぶつかりそうな場合、左側の船が衝突をよけるルールとなっているが、避けることなく衝突し沈没した。

   日本側への威嚇による故意の事故なのか、単なる操縦ミスなのか、伝えられていない。水産庁が撮影しているであろう衝突映像を国際社会に公開すべきだ。衝突が単なる事故なのか、故意に衝突した「事件」なのか。それにしても不可解なのは、なぜ、救助した60人全員を帰すことになったのか、だ。本来ならば北の船長や機関士らから事情聴取すべきだろう。水産庁の目的は違法操業をさせないことで事故原因の調査ではないとするならば、海上保安庁にバトンタッチすべきだろう。

   日本海のスルメイカの漁期は6月から12月だ。これからの日本海は荒れやすい。大型で猛烈な台風19号も接近している。能登半島や金沢の海岸線に打ち上げれた北の漂着船をこれまで何度か目撃した。2018年1月10日朝、金沢市下安原海岸に北朝鮮の漁船が漂着し、船内から7人の遺体が見つかった。現場に足を運んだ。船の中には、ハングル文字で書かれた菓子袋などが散乱し、迷彩服もあった。ひょっとして軍人が乗っていたのではないかと勘繰った。小型船で日本海の大和堆に繰り出して漁をする。荒れる日本海に命がけで、なぜそこまでしてイカ漁に固執する必要があったのだろうか。上からの命令なのか。

      海上保安庁によると、昨年1年で北朝鮮からとみられる木造船の漂着は201件で前年の2倍。問題はこうした漂着船の解体処分や遺体の火葬をするのは自治体だ。石川県に漂着した木造船などの処分費用21件880万円。最終的に国が全額負担している。猛烈な台風19号の接近で難破する北の漁船も増えるだろう。無謀で不合理な光景がまた繰り返されるのか。(※写真・上は水産庁の取締船と北朝鮮の漁船の衝突を報じる石川県の地元紙、写真・下は2018年1月に金沢市下安原海岸に漂着した北朝鮮の漁船)

⇒8日(火)朝・金沢の天気      あめ

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☆能登半島沖、北の漁船と衝突の衝撃

2019年10月07日 | ⇒ニュース走査

   これは起こるべくして起きた「事故」ではないだろうか。報道によると、きょう7日午前9時10分ごろ、能登半島の北西、350㌔の沖合で、水産庁の漁業取締船「おおくに」と北朝鮮の大型漁船が衝突した。北朝鮮の漁船は浸水、乗組員が海に投げ出され、水産庁の漁業取締船が救助にあたり、夕方までに漁船の乗員60人を救助した(読売新聞Web版)。衝突した現場は日本のEEZ(排他的経済水域)内だった。北朝鮮は2日朝、東部の元山付近から弾道ミサイル1発を発射し、島根県隠岐諸島の北約350㌔㍍の日本のEEZ内に撃ち込んでいる。

   現場は日本有数のスルメイカの漁場で知られる「大和堆」。ここ数年6月から12月にかけて北朝鮮のイカ網漁船による違法操業が繰り返されている。ことし8月23日午前9時半ごろ、同じ大和堆で北朝鮮海軍らしき旗を掲げた小型高速艇と北朝鮮の国旗が船体に描かれた船の不審船2隻を水産庁の取締船が見つけ、連絡を受けた海上保安庁の巡視船が駆け付けた。高速艇には小銃を持った船員がいた。周辺には日本のイカ釣り漁船が操業していて、水産庁は漁船に対し安全確保のため海域を離れるよう指示した。

   言うまでもないが、領海の基線から200㌋(370㌔)までのEEZでは、水産資源は沿岸国に管理権があると国連海洋法条約で定められている。ところが、北朝鮮は条約に加盟していないし、日本と漁業協定も結んでいない。そのような北朝鮮の漁船に排除行動を仕掛けると、北朝鮮が非批准国であることを逆手にとって自らの立場を正当化してくる可能性がある。おそらくそこが取り締まる側としては悩ましいところなのだろう。うがった見方をすれば、今回の衝突事故は北から仕掛けれた可能性もある。8月23日の接近問題では北の船が水産庁の巡視船に30㍍にまで近寄ってきた。相手を威嚇するためだろう。

   同じ日本海でロシアと「事件」も起こしている。先月9月17日にロシア国境警備隊が、日本海のロシアのEEZで北朝鮮の密漁船2隻をだ捕し、乗組員80人以上を拘束したと発表している。このとき、北の密漁船1隻から武力攻撃を受け、国境警備隊3人が負傷した。ロシア側は、同月12日にもロシアのEEZでイカを密漁していた北の漁船16隻を拿捕し、250人以上を拘束している。

   なぜこれほど北は強気に出てくるのか。北朝鮮では海軍が水産事業所を所有し、漁船は各部隊の傘下に所属して漁に出ているとされる。昨年12月には、金正恩党委員長が日本海側にある軍の水産事業所3ヵ所を視察し、軍の幹部らに漁業活動に力を入れるよう指示を出したとされる。また、北朝鮮では近海の漁業権を中国に売却したため、漁民が危険を冒して大和堆などの沖合に出ざるをえない事情があるとも言われている。北にすれば、ロシアのEEZより、日本のEEZの方が拿捕されないので「安全」と見くびっているかもしれない。

   おそらく北による違法操業は当面止むことはないだろう。日本は水産庁が撮っているであろう今回の映像を国際社会に公開すべきだ。衝突が単なる事故なのか、故意に衝突した「事件」なのか。

        夕方の報道によると、北朝鮮籍の漁船は漁業の準備をしようとしていたため、水産庁が退去させようと警告した。しかし、船は止まることなく水産庁の船に左側から衝突してきた。通常、船同士がぶつかりそうな場合、左側の船が衝突をよけるルールとなっているが、よけることなく衝突し沈没したという。関係者は日本側への威嚇ではなく船の操作ミスではないかとの見方を示している(日テレNEWS24)。

⇒7日(月)夜・金沢の天気      くもり

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★マーラー交響曲『巨人』、闇と光の相克

2019年10月06日 | ⇒ニュース走査

   きょう(6日)午後、久しぶりに石川県立音楽堂に出かけた。バイオリンを弾く知人が出演する「石川フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会」=写真・上=。ジョン・ウィリアムズの『スターウォーズ』組曲では、「帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)で指揮者がライトセイバーを持ち出して指揮したのには思わず笑い。グスタフ・マーラーの交響曲『巨人』では、ウトウトと眠りかけていたのに第4楽章の冒頭でシンバルの強烈な一撃をくらってビックリ。勝利感に満ちたフィナーレで、ブラボー屋たちも思わず叫んでいた。アンコールの同『花の章』は最後にハープがポロリンと演奏をしめたのが印象的だった。

   この演奏を聴いていて、さまざまなニュースが脳裏に浮かんできた。『スターウォーズ』では、アメリカの配車大手「ウーバー・テクノロジーズ」が「空飛ぶタクシー」をアメリカ・テキサス州ダラスとロサンゼルスでの試験飛行するのに続いて、オーストラリアのメルボルでも始めるというニュース(6月)を思い出した。垂直着陸が可能な電気小型航空機を活用する空飛ぶタクシーは、無人機ではなくパイロットが操縦する。空のライドシェアの先駆けでもある。「Uber Air」のホームページにあるPR動画=写真・下=は、空を飛ぶというイメージよりも、高層ビルを宇宙船に見立てて、その空間をつなぐというモビリティ(移動)の発想が映画『スターウォーズ』をイメージさせるのだ。

  『巨人』の演奏を聴いていて、揺れる香港をイメージした。今月1日のニュースでは、中国建国70年の軍事パレードよりも、香港の若者たちの必死の主張に耳を傾けた。マーラーが思い描いて作曲したのは、まさに生きる希望ではなかったと感じる。自由な言論、自由な議論、自由な社会活動、自由な経済、自由な学問研究など、香港が一国二制度という枠組みで守ってきた歴史を絶対に揺るがせないという若者の熱意と、マーラーの激しく情熱的な全楽器による演奏(第4楽章「嵐のように激しく揺れ動いて」)が実に響き合う。 

   一方で、『巨人』の同じ第4楽章には混沌とした「闇」を連想させる部分もある。関西電力と行政の原発立地の闇というイメージが膨らむ。エネルギーという公共性の高い事業なのだが、現在の科学では核廃棄物を処理が不可能である。原発にはそうした社会的な負の部分がどうしてもつきまとう。「闇金」を回し合いながらお互いを慰め合っているとしか思えない。マーラーの曲は、深く濃い「闇」をクライマックスの凄まじい「光」でその「闇」を打ち消して終わりを告げる。名曲である。

⇒6日(日)夜・金沢の天気     くもり時々はれ

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☆韓国の荒れた日

2019年10月04日 | ⇒メディア時評

    台風18号から温帯低気圧に変わり、金沢でも今朝から非常に激しい雨が降っている。台風18号をネットで調べると、AFP通信(日本語版)が「韓国の行政安全省は3日、豪雨と強風を伴って同国に上陸した台風18号により、少なくとも9人が死亡、さらに数人が行方不明になっていると発表した。」と伝えている。この台風は2日夜に韓国に上陸し、洪水警報が発令された。同省によると、これまでに家屋1000戸以上が損壊したという。

    同じAFP通信によると、同日、ソウルでは文在寅大統領に退陣を要求するデモが開かれたと、写真(21枚)を掲載している=写真・上=。韓国の中央日報も「『チョ・グク法務部長官、辞退を』光化門~ソウル駅の2.1㌔㍍を埋め尽くした」との見出しで空撮映像を掲載している=写真・下=。産経新聞Web版によると、ソウル中心部で文氏退陣を求めるデモは数十万人規模。先月28日に行われた文大統領の支持デモと同規模で、「国論の二分が鮮明になった」と報じている。

    また、この日は疑惑の渦中にある曺国法相の妻である韓国東洋大教授のチョン・ギョンシム被告=先月23日に起訴=が検察に出頭し事情聴取が行われたとNHKなど日本のメディア各社も伝えている。チョン被告は、娘の大学進学に有利になるよう東洋大総長名義の表彰状を偽造したとし、私文書偽造の罪で在宅起訴された。韓国では逮捕状の請求に至るかどうかが注目されている。不正入学疑惑では、すでに娘や息子も聴取するなど異例の捜査展開となっている。検察改革を掲げる曺国法相との対立が増々深まっているようだ。

    文在寅大統領に退陣を要求するデモもこの国民不信によるものだろうか。韓国ギャラップのホームページをチェックすると、文大統領の支持率(9月第3週の調査)は支持率が40%(前回43%)、不支持率53%(同49%)で、支持率は落ち込んでいる。支持しない主な理由はやはり曺国氏を法相に任命した人事問題だった。

    3日は「開天節」と呼ばれる韓国の祝日で、建国記念日に相当するめでたい日だが、大荒れの日になったようだ。

⇒4日(金)朝・金沢の天気     あめ

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★今ここにある朝鮮半島の夢と現実

2019年10月03日 | ⇒ニュース走査

  北朝鮮はきのう(2日)朝、東部の元山付近から弾道ミサイル1発を発射し、島根県隠岐諸島の北約350㌔㍍の日本のEEZ(排他的経済水域)内に着水した。防衛省ホームページによると、河野防衛大臣=写真=はきょう3日午後5時45分から5分間の臨時記者会見を行った。北朝鮮が発射した弾道ミサイルが新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられ、打ち上げ角度を高くするロフテッド軌道での発射でなければ射程が2500㌔㍍に達するもので、準中距離弾道ミサイルとの見解を示した。陸上ではなく、沖合で発射されたが、実際に潜水艦が使われたかどうかは、さらなる分析が必要と述べた。記者との質疑は以下。

記者:今回の北朝鮮のミサイルの飛距離が2500㌔㍍におよぶSLBMということで、トランプ大統領は、短距離については問題にしないということで発言をしていたと思いますが、これは明らかに、問題になるような弾道ミサイルだと思いますが、その点はいかがでしょうか。
河野大臣:日米間では、短距離のミサイルであっても安保理決議に違反をしているということは問題であるという認識は、これまでも共有しております。当然に、このミサイルについても、そうした考え方は共有しております。トランプ大統領は、この米朝プロセスを進めるために、様々、発言をされ、あるいは、ツイートされておりますが、そういう目的でやられているということで、日米ともに了解しております。

記者:SLBMと断定するに至った、何か新しい情報はあるのでしょうか。差し支えない範囲で、どのような根拠でそうだと言えるのかを説明していただけますか。
河野大臣:分析の中身は申し上げられません。

記者:日韓の情報共有についてですが、昨日、日本政府は当初、2発発射というところから、その後1発が分離した可能性があると修正されていると思いますが、GSOMIAを含め、日韓での情報共有に支障を来たしているということはあるのでしょうか。
河野大臣:そのようなことはありません。

記者:潜水艦かどうかはともかく、中距離弾道ミサイルを発射するという北朝鮮の軍事行動が、日本の安全保障、あるいは、地域の安全保障にとって、どのような脅威になるとお考えでしょうか。
河野大臣:日本の安全保障にとって、深刻な脅威であるということは間違いないことでありますし、国際社会にとっても非常に大きな課題であるという認識は、広く国際社会で共有されていると思います。

記者:2段式ということですか。
河野大臣:2つに分離している可能性はあると思います。

   北は今年に入って弾道ミサイルを含む飛翔体を11回も発射していて、ミサイル技術の高度化が進んでいる。一方の韓国の文在寅大統領は8月15日の「光復節」で「2032年ソウル-ピョンヤン共同オリンピックを成功裏に開催し、2045年の光復100周年までには平和と統一で一つになった国(One Korea)として世界の中でしっかりと立つことができるように、その基盤をしっかりと固めると約束する」(8月15日付、韓国・中央日報Web版)と述べた。これが今ここにある夢と現実なのだろう。

⇒3日(木)夜・金沢の天気     あめ

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☆新聞の価値、フェイクニュースと戦うこと

2019年10月01日 | ⇒トピック往来

   金沢大学で担当している共通教育科目 「マスメディアと現代を読み解く」(1単位)の授業(全8回)の学生たち75人にマスメディアとの接触度を尋ねるアンケートを行った。アンケートの設問は「あなたは新聞を読みますか 1・毎日読む 2・週に2、3度 3・まったく読まない」。その結果(回答者68人)は「まったく読まない」68%、「週に2、3度」22%、「毎日読む」10%だった。調査を始めた2016年から「まったく読まない」は漸減し、3年間で10ポイント減った。逆に「週に2、3度」は16%から22%に推移して、6ポイント増えている。「毎日読む」も6%から10%だ。数字で見る限り、下げ止まりから反転傾向は浮かんでくる。
 
   とは言え、若い世代で新聞は生活必需品となってはいないのが現状だ。きょうから始まった「消費税10%」だが、新聞は軽減税率が適応され、8%で据え置かれた。軽減税率の対象には「酒類・外食を除く飲食料品」のほかに、「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」が含まれている(国税庁ホームページ)。ただ、同じ新聞でも電子版での購読料は10%になる。アナログが軽減税率で、デジタルが増税、この違いはなぜだ。

   善意に解釈する。活字文化は単なる消費財ではなく「思索のための食料」という考え方がヨーロッパにはあり、新聞に税を課さない国(イギリス、ベルギー、デンマーク、ノルウェー)もある。EU加盟国では標準税率が20%を超えるが、新聞に対する税率を10%以下にしている国は多い。フランスは付加価値税が20%に対し、新聞は2.1%、ドイツは同19%、新聞は7%、イタリアは同22%、新聞は4%だ。

   日本新聞協会はきょう1日付で「消費税軽減税率の適用にあたって」と題して以下のような見解を発表している。以下要約。 

   私たちは報道・言論により民主主義を支え、国民に知識・教養を広く伝える公共財としての新聞の役割が認められたと受け止めています。民主主義の主役である国民が正しい判断を下すには、信頼できる情報を手軽に入手できる環境が必要です。私たちはそう考え、新聞の購読料への課税を最小限にするよう求めてきました。最近では、不確かでゆがめられたフェイクニュースがインターネットを通じて拡散し、世論に影響するようになっています。そうした中で、しっかりとした取材に基づく新聞の正確な記事と責任ある論評の意義は一段と大きくなってい ます。「知識に課税しない」という考えが定着する欧州各国では、新聞、書籍、雑誌の税率を軽減またはゼロにしています。電子新聞に適用する国も相次いでいます。私たちは軽減税率の対象が欧州と同等に拡大されるように、今後も求めてい きます。

   ネット世代の若者たちが読めば、なんとアナログな文脈と思うだろう。「知識に課税しない」はむしろインターネットに適用すべきだと思うのではないか。個人的に言えば、「軽減税率を機に新聞はフェイクニュースと戦う」と宣言してほしい。新聞はフェイクニュースと戦ってこそ存在価値を高めることができる。また、新聞しか戦えないと思う。軽減税率であることの意義をそこに込めたい。(※写真は「Finance Monthly」ホームペ-ジより)

⇒1日(火)夜・金沢の天気      はれ

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