自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆Jアラート、そのとき輪島朝市は

2017年08月30日 | ⇒ニュース走査
  けさ(30日)の北朝鮮メディア「朝鮮中央通信」WEB版は、「敬愛する最高指導者、金正恩同志が朝鮮人民軍戦略軍の中距離戦略弾道ロケット発射訓練を指導した」との見出しで、昨日朝に発射した中距離弾道ミサイル「火星12」の解説記事を掲載している。

  記事によると、発射はアメリカと韓国の合同軍事演習「乙支(うるち)フリーダムガーディアン」に対抗する武力デモの一環であると強調。「今回の弾道ロケット発射訓練は、私たちの軍隊が進めている太平洋上の軍事作戦の第一歩であり、侵略の前線基地でるグアム島を牽制する前奏曲になる」と述べ、記事の最後では「朝鮮人民軍戦略軍の全将兵は、107年前の韓日併合という恥辱的な条約が公布された血の8月29日に残虐な日本の島国の国民がぶったまげる大胆な作戦だった」「朝鮮人民の胸に積もって積もったものを解放いただいた絶世の愛国者、民族の英雄である敬愛する最高指導者、金正恩同志に最も熱い感謝を捧げる」と今回のミサイル発射は日本への積年の思いを晴らすものだと強調している。「ぶったまげる大胆な作戦」という表現には思わずのけ反ってしまった。

  きょう午前9時から、能登半島の輪島市河井町で北朝鮮のミサイルが飛来する可能性があるとの想定で避難訓練が行われた。この訓練の様子を見るため朝6時半に自家用車で金沢の自宅を出た。観光客らが多く集まる輪島の朝市通りに着いたのは8時半ごろだった。この時間で観光客は少なかったが9時ごろには徐々に増えてきた。9時ちょうどに防災行政無線の屋外スピーカーから「これは防災訓練です」と前置きして、Jアラート(全国瞬時警報システム)の鈍い警報音が流れた。その後「ミサイルが発射された模様です」「ただちに頑丈な建物や地下に避難してください」とアナウンスが流れた。

  すると通り歩いていた観光客の一部は立ち止まって警報音が響く空を見上げた。「えっ、またミサイルが飛んだの」と店の売り子に尋ねる観光客の姿もあった=写真・上=。その売り子は「いまのはクンレンなんよ」と答えていた。とくに混乱もなく、いつも通りの朝市の風景だった。一つ違っていたのは、数社のローカルテレビ局のリポーターが取材に来ていて、朝市おばさんや観光客にマイクを向けていた=写真・下=。「頑丈な建物に逃げてといっているけど、コンクリの店にゴメンネと言って入るしかないね」「輪島の地下施設ってどこにあるが」「あのサイレンの音、頭が痛くなるね」。朝市おばさんたちの反応はどこか素直に聞こえた。

  防災行政無線による避難の呼びかけは10分間ほど続いた。輪島市文化会館では住民による避難訓練や、市内の小学校では机の下に入り、身をかがめて頭を守る訓練も行われた。商店街で立ち話をした地元の中年男性は「きのうは(航空自衛隊のレーダーサイトがある)高洲山にヘリがバリバリと飛んでいたし、きょうはミサイルの避難訓練や。すごい時代やね」と顔をしかめていた。

⇒30日(水)正午すぎ・輪島の天気   くもり
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★「さらなる圧力」海上封鎖か

2017年08月29日 | ⇒ニュース走査
29日早朝からニュースが行き交う。「北朝鮮が29日午前5時57分、平壌付近から日本海に向けて弾道ミサイルを発射。韓国軍合同参謀部発表」「政府は29日、北朝鮮からミサイルが発射された模様と全国瞬時警報システム(Jアラート)で速報した。ミサイルは上空を通過したもようで、日本政府関係者によると、発射は午前6時前」と。26日朝に続くミサイル発射だ。日本海側に住む者にとっては何とも落ち着かない。

    このニュース速報を受けて、JR東日本は北陸新幹線ほか、東北、上越の各新幹線と在来線の全線で安全確認のため一時運転を見合わせたようだ。今回の北のミサイルは北海道・襟裳岬の上空を通過して、太平洋上に落下したとみられると報じられている。素人ながら、アメリカのアラスカ沖への威嚇とも受け止める。北朝鮮は今月8日、グアム沖に中長距離弾道ミサイル4発の発射を検討中と公表していた。その際は島根、広島、高知各県の上空を通過させる、とも。グラム、アラスカ、どちらにしても、日本上空に弾道ミサイルを飛ばしたという事実に恐怖感を抱く。

    最近の北朝鮮による弾道ミサイル発射では、7月28日は午後11時42分で、北海道西方沖の日本のEEZ(排他的経済水域)内に落としている。今月26日ときょうは早朝だ。夜と朝の意味の何だろう。計り知れない不気味さがある。

    それにしても、北朝鮮によるICBM(大陸間弾道ミサイル)発射を受けて、国連安全保障理事会は今月6日(現地時間5日)、国連憲章「第7章 平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」第41条を基に兵力の使用を伴わない制裁決議案(経済制裁)を全会一致で採択したばかりではないか。その経済制裁が効かないということになれば、今度は第42条による陸海空軍による軍事行動になるだろう。しかし、そこまで一気にいけないだろう。第41条と第42条の中間点「海上封鎖」になるかもしれない。

   「海上封鎖」という文言は国連憲章にはない。海上封鎖の根拠は国連憲章第41条にある「・・航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信の手段の全部又は一部の中断並びに外交関係の断絶を含む・・」、あるいは第42条にある「・・国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる・・」の一文の解釈に基づく措置のことである。

    午前7時57分ごろ、テレビのニュース番組で、安倍総理の記者会見(ライブ)の様子が映った=写真=。その中で総理は「国連安全保障理事会に対し、緊急会合の開催を要請し、国際社会と連携し、北朝鮮に対するさらなる圧力の強化を強く国連の場において求めていく」と述べていた。この「さらなる圧力」とは海上封鎖のことではないのかとピンと来た。

    緊迫感が増す中、あす30日午前9時から、能登半島の輪島市河井地区で、「X国から弾道ミサイルが発射され、我が国に飛来する可能性があると判明」との想定で、防災行政無線による住民への情報伝達や、住民の屋内避難、市内小中学校の児童・生徒、教職員による屋内避難が実施される。リアリティのある避難訓練だ。

⇒29日(火)朝・金沢の天気   はれ
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☆ホワイトハウスの内紛劇

2017年08月20日 | ⇒メディア時評
    北朝鮮の弾道ミサイルの行方もさることながら、アメリカのホワイトハウスの内紛劇もすさまじい様相を呈してきた。19日付(現地時間)のニューヨーク・タイムズのHPをのぞくと、ボストンでの白人至上主義、ネオ・ナチズムに反対する数千人規模のデモの様子が掲載されていた。デモはこのほか、シカゴ、ダラス、ヒューストンでもあったようだ。気になるのはホワイトハウスに関する以下の見出し記事だ。

    With Bannon’s Ouster, Question Remains Whether His Agenda Will Be Erased, Too バロンの追放によって、その政治・政策的な行動予定も取り消されるのか、それにしても問題は残る

    トランプ大統領を誕生させたともいわれるスティーブン・バノン氏(大統領首席戦略官)は更迭され、ホワイトハウスを去った。ニューヨーク・タイムズが問題としているのは、たとえば通商政策。中国とは経済戦争の状態にあるとしてバノン氏は貿易面で中国に圧力をかける政策の主導役だった。そのバロン氏の更迭をホワイトハウスが発表して3時間後、アメリカ通商代表部(USTR)は中国に対する「通商法301条」に基づく調査を開始したと発表している。301条では外国による不公正な貿易慣行に対して、大統領の判断で関税の引き上げが可能になる。

    バノン氏が経済戦争と称したのは、アメリカ企業の技術移転を義務付ける不透明な認可手続きや、中国の民間企業にアメリカ企業の買収を指示、中国政府によるアメリカ企業へのハッカー行為などだ。中国との貿易戦争にバノン氏は裏方で政策的なアジェンダを組み立て、USTRを動かしてきた。バノン氏更迭の後、こうした政策は遂行されるのだろうか。上記の見出しはポスト・バノンの政策には問題が山積している、と問題提起している。

    そして、同紙は更迭後のバノン氏のこの言葉を紹介している。“And anyone who stands in our way, we will go to war with.”

    この言葉を直訳すれば、「(ホワイトハウスを去ったが)同志とはともに戦う」。裏を返せば、中国との経済戦争で柔軟路線に修正するということであれば、その人物とは徹底的に戦う、とも取れる。アメリカ第一主義を押し通すバノン氏は、ホワイトハウスとも一線交える覚悟を表明したのだ。ニューヨーク・タイムズの見出し中の「Question Remains」はまさに「今後のホワイトハウスの火種」とも読める。バノン氏はもともとホワイトハウス入りする前まで、ニュースサイト「Breitbart News Network」の経営者だった。復帰して戦うのだろう。

   もう一つ、バノン氏のセリフを。アメリカのメディアが盛んに週刊誌「THE WEEKLY STANDARD」から引用しているこの言葉だ=写真=。“The Trump presidency that we fought for, and won, is over. ” われわれがともに闘い、勝利をおさめたトランプ政権は終わった

   バロン氏が更迭後に保守系メディアの同誌のインタビューで語ったとされる言葉。捨てセリフと言うより、無念さがにじんでいないだろうか。アメリカの政治史を塗り替えた昨年12月の大統領選挙から8ヵ月余り。日々伝えられるホワイトハウスの内紛はまるで政治ドラマだ。

⇒20日(日)朝・金沢の天気   はれ
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★「平和的な圧力」の裏読み

2017年08月15日 | ⇒メディア時評
   アメリカのトランプ大統領の気持ちは北朝鮮から国内問題にシフトしたようだ。ホワイトハウスのHPに大統領の激しい口調の演説文が紹介されている。
   Racism is evil. And those who cause violence in its name are criminals and thugs, including the KKK, neo-Nazis, white supremacists, and other hate groups that are repugnant to everything we hold dear as Americans. 人種差別は邪悪だ。それを掲げて暴力を振るう者、KKK、ネオナチ、白人優位主義者、他の嫌悪者グループは凶悪犯であり、我々アメリカ人として大切に思うもの全てに矛盾する。

   アメリカの現地時間12日に、バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者たちのデモに参加していた男が反対派グループの列に車で突っ込み、女性1人が死亡し多数が重軽傷を負う事件があった。アメリカの関心事は北朝鮮のICBMから一気にこの事件に耳目が集まった。ところが、トランプ大統領は当初、白人至上主義者たちを明確に非難しなかったことから逆にトランプ批判がわき起こり、14日の演説となった。

   きょう15日の東京株式市場は、アメリカと北朝鮮それぞれの威嚇発言が一服したのを受けて、日経平均株価が5営業日ぶりに値上がり、終値は216円高い1万9753円。逆に、機雷の製造でも知られる防衛関連銘柄、石川製作所(石川県白山市・東証一部)は前日比330円安の1395円、19%も下落した。この株価の背景は、おそらくウオール・ストリート・ジャーナルで掲載された、アメリカのティラーソン国務長官とマティス国防長官による連名の寄稿だろう(現地時間13日)。

   We’re Holding Pyongyang to Account(私たちは、ピョンヤンにアカウントを保持している)の見出しで始まるこの記事では、アメリカの目標は朝鮮半島の非核化であり、北朝鮮の体制転換やアメリカ軍による北朝鮮侵攻を目指していないと訴え、北朝鮮に対する経済制裁や外交による「平和的な圧力」で臨む考えを示した。

なぜ、ウオール・ストリート・ジャーナルに寄稿したのか、すぐに理解できた。それ以前はダウが急激に下がり続けていた。そこで、ホワイトハウスではあえて経済専門紙に国務長官と国防長官が連名で「平和的な圧力」を訴えることで経済に及ぼす影響を和らげたかったのだろう。ダウ工業株平均は上昇し、終値は前週末より135㌦高い2万1993㌦だった。それに連動して前述のように日経平均株価も戻した。

   安倍総理とトランプ大統領は15日午前、電話で30分間会談したと報じられた。北朝鮮が日本上空を越えてグアム周辺海域に弾道ミサイル発射を計画していることを踏まえ、北朝鮮に弾道ミサイル発射を強行させないために、中国やロシアに働きかけを強める方針を確認したという。

   ふと裏読みがしたくなる。この一連の動きが株価を安定させるのが目的だとすると、今度は相手(北朝鮮)に逆手に取られる可能性があるのではないだろうか。激しく威嚇、揺さぶりをかけて、アメリカや中国、韓国、日本の株価をとことん下げて混乱させる戦術に出てくるのではないか。北朝鮮は自国にアメリカの目を向けさせたいのではないだろうか。

⇒15日(火)夜・金沢の天気   くもり
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☆金沢オリジナルな墓参り

2017年08月14日 | ⇒トピック往来
    毎年旧盆には能登の実家に墓参りをするが、今年の幹線道路「のと里山海道」は上下ともにとても混んでいた。そこで下道(国道249号、159号)に降りたが、ここも混んでいた。通常ならば1時間30分ほどの距離だが、ことしは3時間余りかかった。3連休に盆休みが合わさって5連休、帰省と観光の車両がどっと能登に繰り出したのだろう。

    この時節いつも思うことだが、同じ墓参りでも金沢と能登・加賀では参り方に違いがある。金沢の場合は、墓所にキリコをつり下げる棒か紐がかけてあり、墓参した人は箱型キリコあるいは札キリコをかける。キリコには宗派によって、例えば浄土真宗の墓地ならば「南無阿弥陀仏」、曹洞宗ならば「南無釈迦牟尼仏」と書いて、裏の「進上」には墓参した人の名前を記す。このキリコを献上しておくと、その墓の持ち家の人はキリコをチェックすれば誰が墓参に来たのか分かる仕組みになっている。

    これに対し能登・加賀では、キリコを持参する風習はないが、墓参りの後にその家を訪ねて仏壇にも合掌をする。直接顔を見せる能登・加賀と、名前をキリコに書き置きする加賀の違いがある。むしろ、キリコを持参する風習の金沢の方が独特のようだ。「墓参り キリコ」でネット検索をしても金沢関連の事例しか出てこないことを考えると、全国でも金沢ならでのは風習のようだ。

    ではなぜ金沢だけにとの疑問もわく。金沢での言い伝えでは、代々の加賀藩主の墓地に年寄衆や家老・若年寄らがキリコ(切籠)を献上したことが、年月を経て庶民にも広まったとする説がある。では、ほかの藩の大名にはそのような風習はなかったのだろうかとの疑問もわく。

    話を旧盆ののと里山海道に戻す。道路添いのパーキングエリアには売店がある。高松パーキングエリアで飲み物も買うために立ち寄った。ここで、「金沢オリジナル」の商品を見つけた。「金沢カレーコーラ」と「金箔七味」だ。コーラを飲んでみる。少々ソース風味が効いたコーラという感じだ。ご当地グルメの「金沢カレー」に寄り添うコンセンプトでつくられた飲み物だろう。金箔七味は七味唐辛子に純金箔が入ったもの。赤や黒の粉にキラキラと金が輝く。金箔は生産シェアは99%が金沢。金沢観光のちょっとした辛味の効いた土産だろう。念のために金箔は金沢ではうどんに入れたり、お酒に入っていたりと割と身近だ。(※写真=金沢の墓参りにはキリコが欠かせない。写真のキリコは板キリコ)

⇒14日(月)夜・金沢の天気   あめ
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★敏感に反応するマーケット

2017年08月12日 | ⇒メディア時評
   11日付の日経新聞には驚いた。北朝鮮の弾道ミサイルに関連する記事が7ヵ所に掲載されていた。1面「北朝鮮『島根など通過』予告 迎撃ミサイル中四国配備」、2面「米朝 威嚇やまず」「真相深層 北朝鮮への対話提案、返答はICBM 八方美人外交韓国空回り」、3面「きょうのことば PAC3 半径数十㌔、ミサイル迎撃」、8面「止まるか挑発 北朝鮮情勢を聞く 日米韓主導の交渉が有効」、9面「ダイジェスト 韓国NSC、北朝鮮を批判」、21面「日米の防衛関連株物色 北朝鮮リスク高まり思惑」

   確かに北朝鮮情勢は緊迫化している。北朝鮮が今月8日に中距離弾道ミサイル4発をグアム沖に向けて同時に発射させる案を検討中だと予告すれば、アメリカのトランプ大統領が「彼(金正恩朝鮮労働党委員長)がグアムに対し何かすれば、これまで誰も目にしたことがないような出来事になる」と応酬。9日にはマティス国防長官が金正恩政権を軍事的に崩壊させると言及し、ニュースが世界を駆け巡った。さらに、北朝鮮が弾道ミサイル島根、広島、高知3県の上空を通過すると発表したことから、日本政府は中国・四国地方に地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)を配備すると機敏に対応した。ただ、グアムへのミサイルを撃ち落とすのではなく、コースが外れて日本に落ちてきた場合での破壊措置命令のようだが、具体的な自衛隊の行動として展開していることが目を引く。

    こうした「地政学リスク」に株価は敏感だ。「当事者」のアメリカでも10日のダウは200㌦余りの下落。日経平均も3営業日が続落。ただ物色されている銘柄もある。石川県白山市に本社を置く石川製作所(東証一部)は段ボール印刷機や繊維機械が主力商品だが、機雷の製造でも知られる防衛関連銘柄でもある。10日終値は前日比164円値上がり、13%上昇した。

 アメリカのメディアはもっと深刻に伝えている。CNNのHPによると、「Signs of fear creep back on Wall Street」、ウォールストリートの恐怖の兆候だ、と。ダウとS&P500は3月以来の最悪の週に苦しんでおり、ウォールストリートの「恐怖計」はほぼ2年ぶりに上昇した、と。「The big winners? Gold, ultra-safe government bonds and defense contractors.」 勝者は誰、金取引か、超安全な国債か、国防関連銘柄か。

   日本とアメリカのメディアが北朝鮮の弾道ミサイルの動きが取引市場と敏感に連動していることを伝えている。CNNが述べているように、それは「恐慌の前兆」なのか。

⇒12日(土)夜・金沢の天気   くもり

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☆下田、ペリーと龍馬の残影

2017年08月11日 | ⇒ドキュメント回廊
   10日、南伊豆町での研究フォーラムが終わり、「下賀茂熱帯植物園」というハウスで懇親会が開かれた。この施設では、下賀茂温泉の温泉熱を利用して、南国の果実など熱帯の植物が栽培されている。懇親会で勧められた日本酒が「身上起(しんしょうおこし)」という純米吟醸酒だった。町役場の職員の説明によると、明治の初めごろ南伊豆で栽培されていた「身上起」という品種のコメの種もみが宮城県に移出、品種改良されて「愛国米」という明治から昭和にかけて人気を博したブランド米になった。さらに、愛国米がその後のコシヒカリやササニシキといったブランド米になったのだという。

    南伊豆町では日本のコメ文化の発祥となった身上起を品種改良した愛国米を農家が栽培し、静岡県内の酒造メーカーが純米吟醸酒として製造している。職員は「コメが酒になって古里に凱旋したんです」とコップになみなみと注いでくれた。「身上起」の一升瓶をよく見ると、「龍馬にプレゼントしたかった酒」とのレッテルが貼ってあった。坂本龍馬と伊豆の関係が気になって、宿泊した民宿でネット検索を試みた。

    下田市にある宝福寺のホームページに記載があった。土佐藩の脱藩浪人となった龍馬は幕府軍艦奉行だった勝海舟と出会う。1863年(文久3年)1月、海舟が龍馬を船に乗せて大阪から江戸へ帰る途中、時化で下田港に入る。同じとき、土佐藩主の山内容堂が江戸から大阪に向かう途中で下田に立ち寄り、宝福寺に投宿していた。容堂から同寺に招かれた海舟は、容堂に龍馬の脱藩の罪を解き、その身を自分に預けてほしいと懇願し許された、とある。このとき龍馬27歳、下田の別の場所でじっと「朗報」を待っていたと伝えられる。龍馬は晴れて自由の身になり、それからの活躍は目覚ましい。貿易会社と政治組織を兼ねた亀山社中(後に「海援隊」)の設立、薩長同盟の斡旋など明治維新に影響を与える働きをすることになる。

  レッテルの「龍馬にプレゼントしたかった酒」の意味は、海舟と容堂との下田での偶然の出会いで大きなチャンスをつかんだ龍馬におめでとうと言いたいという意味が込められているのだろう。史実を知る地元ならではの時を超えたメッセージのようだ。

    容堂と海舟らが出入りしたであろう下田湾に行くと、「ペリー艦隊来航記念碑」があった。湾をバックにしたペリー提督の胸像が心象的だ=写真=。ペリーは幕府と1854年(嘉永7年)3月に日米和親条約(神奈川条約)を結び、下田と函館の2港を開港させる。2か月後に下田に上陸してさらに細かな付加条約(下田条約)を結んだ。この条約を受けて、1856年(安政3年)に来日したアメリカの初代総領事ハリスが下田で総領事館を開設する。その11年後の1867年(慶応3年)に大政奉還があり、日本は明治という新たな時代に入る。

    下田は歴史が新たに鳴動する時代に人物が行き交った要衝の地だったに違いない。ペリーの胸像はそんな時代の残影のようにも思える。

⇒11日(金)夜・金沢の天気 くもり  
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★伊豆半島のジオ物語

2017年08月10日 | ⇒ドキュメント回廊
   9日夜、伊豆半島・下田市に着いた。金沢から新幹線2本、JRローカル線2本を乗り継いで5時間10分の列車の旅だった。10日、南伊豆町で静岡大学など主催する研究フォーラム「伊豆半島の学習・交流・協働拠点づくり」に参加した。事例報告として、金沢大学が能登半島で実施している能登里山里海マイスター育成プログラムの概要と10年の成果を発表した。個人的に興味を引いたのは静岡大学教育学部の小山真人教授の事例報告「伊豆半島の地域資源と地域課題を考える」だった。語られた地域資源とは壮大なジオ(Geo、大地)のことだ。

   小山氏は理学博士で「伊豆半島ジオパーク推進協議会」の顧問の肩書も持つ。ジオパークは大地の景観や奇観を単に観光として活用するというより、地域独特の地学的な変動を理解して、その大地で展開する自然のシステムや生物の営み、人々の生業(なりわい)、歴史、技術などを総合的に評価するものだ。同協議会はユネスコ(UNESCO、国連教育科学文化機関)が認定する「世界ジオパーク」の加盟を目指す。

   伊豆半島のジオパークのキャッチフレーズは「南から来た火山の贈りもの」だ。伊豆はもともと本州から数百㌔南の海底に沈む火山群だった。それがフィリピン海プレートの北上の動きに連動して隆起して陸地化、さらに本州にドッキングする。本州との衝突で足柄山地や丹沢山地がカタチづくられた。半島化したのは60万年前、現在のカタチになったのは20万年前のことだ(同協議会発行「伊豆ジオMAP」より)。地球の恵みとしての温泉地や自然景観、年間3900万人もの観光客が訪れ、伊豆半島では62万の人々が生業を得て暮らす。小山氏の話はスケール観のあるジオ物語だった。

  下田市の田牛(とうじ)海岸近くの龍宮窟(りゅうぐうくつ)=写真=を見学した。天井が円形状に直径約50㍍空き、天窓が開いたようになっている。洞窟の壁には海底火山から噴出した黄褐色の火山れきが層をなして自然の美しさを描き出している。数十万年の地球の営みが造形した海食洞。まさに、時空を超えた世界がここにある。「お見事」と自然に口ずさんだ。

   南伊豆町の弓ヶ浜海岸を訪れた。ビーチは家族連れなどでにぎわっていた。「日本渚100選」に選ばれているだけあって、まさに白砂青松の景観だ。案内してくれた町役場の職員は「ことしは4年ぶりにウミガメが産卵にきました」と。その言葉だけで伊豆の地域資源の豊かさが実感できた。

⇒10日(木)夜・南伊豆町の天気   はれ
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☆北の「地政学リスク」

2017年08月09日 | ⇒メディア時評
  いよいよ北朝鮮のICBMが株価を左右する事態になってきた。きょう9日の東京株式市場で日経平均株価は前日比257円の大幅安となった。株価にインパクトを与えたのはアメリカのワシントン・ポスト紙(WEB版)だと日経新聞夕刊で解説されていたので、さっそくネット検索。確かにこの記事を読めば、投資家の心理が冷え込むのは無理はない。以下、ワシントン・ポストの記事=写真=を引用する。

  North Korea has successfully produced a miniaturized nuclear warhead that can fit inside its missiles, crossing a key threshold on the path to becoming a full-fledged nuclear power, U.S. intelligence officials have concluded in a confidential assessment. (北朝鮮は、弾道ミサイルの内部に収まる小型の核弾頭の生産に成功し、本格的な核弾道への搭載が可能になったと、アメリカ情報当局は機密分析をまとめた)

    さらに記事を読むと、北朝鮮はすでに最大で60発の核弾道を有していて、多くの専門家の間で予測していたよりもはるかに核開発技術が急速に進んでいることに、軍事的脅威に対する懸念が深まっている、と深刻な内容だ。

  ワシントン・ポストは別の見出しで North Korea threatens Guam, the tiny U.S. territory with big military power(北朝鮮は、大きな軍事力を持つ小さなアメリカ領のグアムを脅している)と。北朝鮮がアメリカに重大な警告を送るとして、ICBMでグアム島付近へ包囲射撃作戦案を検討中と声明を出した(9日・韓国中央日報)。これにアメリカ側が敏感に反応したものだ。

  アメリカ国内のメディアがこれだけ強烈に報じると、当然、世界の投資家も敏感に反応する。ドルを売って円を買う動きが出て円高ドル安(109円)に、さらに「地政学リスク」が高まって国内でも全面的に売りが進んだ(一時330円安)。最近よくメディアに報じられる、この地政学リスクとは、北朝鮮のこうした強硬な出方が近隣諸国の政治的、経済的、社会的な不安を高めさらに、世界経済全体の先行きをも不透明にするリスクと解釈できるだろう。

  日本海側に住んでいると、この地政学リスクという言葉の意味が実感として伝わってくる。表現が適切か定かではないが、このリスク実感を共有できてこそ、恐らく世界史に残るであろう近未来の歴史の一コマも互いに見えてくる。

⇒9日(水)夜・静岡県下田市の天気    くもり
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★避難訓練と制裁決議

2017年08月07日 | ⇒トピック往来

   石川県と輪島市の共同による、北朝鮮による弾道ミサイルの落下を想定した住民参加の避難訓練を今月30日に実施すると4日、記者発表した。「弾道ミサイルを想定した住民避難訓練の実施について」と題した県庁危機対策課による記者発表文の内容は以下となる。

   訓練は今月30日午前9時から、防災行政無線で住民に情報伝達、同市河井町地区で住民が屋内避難を行う。これと連携した訓練として、河井町地区以外の市内小中学校の児童・生徒、教職員が屋内避難等を実施する。行政レベルでも国からのエムネットによる情報伝達を受け、県と各市町・警察本部・各消防本部との情報伝達の訓練を行う。訓練時間そのものは午前9時から10分間の予定、という。

   不可解なこともある。なぜ訓練を実施するのかという点だ。発表内容は以下。「訓練想定 X国から弾道ミサイルが発射され、我が国に飛来する可能性があると判明」とある。どこかの国が弾道ミサイルは発射したという想定だが、「X国」という表現は何とも回りくどいが、外交に配慮した表現なのだろう。

    先月14日、同じ北陸の富山県高岡市でもJR高岡駅や小学校周辺で弾道ミサイルを想定した避難訓練が実施された=写真=。高岡市役所のホームページによると、訓練は、国や県、市の情報伝達系統の確認と居合わせた人それぞれの行動確認を行うことを目的とした。午前9時4分、ミサイル発射情報を携帯電話で受信した人、エムネットを受信した警察や鉄道、バス会社などからの呼びかけで知った人などが身を守るため「地下街に逃げる」「頑丈な建物に逃げる」「乗り物から降りる」など避難行動を取った。

   ちなみに、富山県庁の記者発表文でその目的を見ると、「想定 X国から弾道ミサイルが発射され、我に飛来する可能性あると判明」と石川県とまったく同じ「X国」としている。石川、富山両県とも国の指導での実施なのでこのような同一表現になるのだろう。しかし、訓練を実感を持って訓練を行うというのであれば、「X国」ではなく「北朝鮮」と表現してもよいのではないだろうか。

   グローバルなレベルはもっとリアリティがある。北朝鮮が先月(7月)4日と28日の二度、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験を実施したことをめぐり、今月5日の国連安全保障理事会で新たな制裁決議が全会一致で採択された。報道によると、その主な内容は、北朝鮮の主な外貨獲得の手段となっている石炭、鉄鉱石、海産物の輸出について、上限や例外を設けることなく一切禁止するとした。また、北朝鮮労働者の新たな受け入れも原則禁止とした。これによって、北朝鮮の総輸出額の3分の1に相当する10億㌦が減る。採択にはロシアと中国も賛成に回った。現実感のある制裁決議だ。

(※写真は高岡市役所HPより。高岡駅で屋内避難を呼びかける)

⇒7日(月)朝・金沢の天気    くもり

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