自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★なぜ審判が問われないのか

2018年05月29日 | ⇒ニュース走査
   今月6日に行われたアメリカンフットボールの日本大学と関西学院大学の定期戦。日大学のDL(ディフェンスライン)の選手が関学大の司令塔のQB(クォーターバック)の選手に悪質なタックルをして負傷させた問題。今月21日に被害届が大阪府警に出され、刑事事件になる可能性がある。一連のニュースを視聴して腑に落ちないのは、競技中の悪質なタックルに対し、なぜ審判員は即刻退場を命じなかったのか、ということだ。

   動画を見れば、一目瞭然だ。試合開始の早々に、日大のDL選手がパスをし終わった関学大のQB選手に真後ろからタックルを浴びせて倒している。QBが球を投げ終えて少し間を置いてから、わざわざ方向を変えて突進しているので、意図的なラフプレーだ。3プレー目でも不必要な乱暴な行為があり、5プレー目で退場となった。ここで疑問なのは、1回目のラフプレーでDL選手をなぜ退場にしなかったのか。明らかに「レッドカード」ではないのか。単なる見逃しであるならば、審判員に対してなぜ責任が問われないのだろうか。

   これはあくまでも「スポーツの世界」であり、審判員が試合を適切に判断できないのであればスポーツは成り立たなくなる。監督が「つぶせ」と指示したとしても、審判員がそれを見逃さずに早々と退場にしていれば、よかったのではないか。それがスポーツの世界だろう。単なる見逃しだったのか、その判断を聞きたい。審判員としての釈明がなければ、逆に日大と審判員の関係性を勘ぐってしまう。

   では、関東学生アメリカンフットボール連盟の見解はどうなのか。今月10日に、DL選手の1回目のプレーについて「試合中に審判クルーが下した『アンネセサリーラフネス(不必要な乱暴行為)』を超えるものである」と発表し、「追加的な処分の内容が確定するまでは、当該選手(DL選手)の対外試合の出場を禁止する」と処分を決めた。しかし、即退場としなかった当時の審判の差配は適正なものだったのかについては述べていない。関東学生アメリカンフットボール連盟は月内に臨時理事会を開き、日大の処分などを判断する方針だというが、審判の在り様の問題もぜひ説明してほしい。

   今回の悪質なタックルの問題は、日大の「不誠実」とも取れる対応で、連日のようにニュースになり、いっこうに収束の気配が見えない。それよりなにより、スポーツがこのように刑事事件になるのは筋が違うのではないか。

⇒29日(火)朝・金沢の天気     はれ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆金正恩氏の心理面を読む

2018年05月27日 | ⇒ニュース走査
   前回のブログで防衛関連株として値動きを注目している石川製作所(本社・石川県白山市)の株価が、今回の米朝首脳会談の中止を受けてどのように動くのかと述べた。26日の終値は前日比125円高の2385円、率にして5.53%アップだ。高値の要因はおそらく、トランプ大統領が金正恩党委員長に送った会談中止の書簡のこの一文にその理由がある。

You talk about your nuclear capabilities, but ours are so massive and powerfu1l that I pray to God they will never have to be used.(貴方は自国の核能力について語っているが、我々の核能力は大規模かつ強大であり、使わなければならない時が来ないよう祈っている)

   トランプ流交渉の「脅しのタックル」だ。すると金正恩氏は実にスピード感のある対応に出た。その日(26日)に韓国の文在寅大統領と板門店で会談。前回の首脳会談は4月27日だったので、1ヵ月足らずでの再会談は異例だろう。このニュースを視聴した人は誰しも「トランプの揺さぶりに金正恩はうろたえた」との印象を持ったことだろう。特に今回は板門店の北朝鮮側の施設での会談なので、金正恩氏からの一方的な要請によるものだったと推測できる。

   表向きは、文在寅文氏が今月22日にワシントンでトランプ氏と会談したので、米朝首脳会談を前にして、北朝鮮の非核化に関するトランプ氏やアメリカ政府の考え方など聞き、米朝首脳会談の落としどころ(妥協点)を探ることだったのかもしれない。それにしても、文在寅氏、中国の習近平国家主席とそれぞれ2回の会談。急速な会談の連発に別のことを勘ぐってしまう。金正恩氏の心理面についてだ。

   昨年の今ごろのニュースは、北朝鮮が弾道ミサイルを異常なペースで連射させたことだった。国連安全保障理事会が「最大限の懸念」を表明し、強く非難・警告したにもかかわらず収まらなかった。当時、これは偏執型、あるいは妄想型の性格であるパラノイア(Paranoia)ではないかと報じられた。パラノイアの特徴はいくつかり、異常な支配欲や激しい攻撃性がともなうものの、思考論理は一貫していて、行動や思考にブレがないとされる。一方で、自己中心的な性格(ナルシシズム)が出てくると、今回のように相手(文在寅氏)の迷惑を顧みず「電撃的な会談」を一方的に申し入れたりする。

   では仮にトランプ氏との首脳会談が実現したとして、次にどのようなことがパラノイアの現象として起きるのか想像してみる。おそらく、トランプ氏はビジネスで鍛え上げた交渉術で、金正恩氏に向かって先の言葉「You talk about your nuclear capabilities, but ours are so massive and powerfu1l that I pray to God they will never have to be used.」を呪いをかけるように言い浴びせるに違いない。アジア的な文在寅氏や習近平氏のキャラクターとは違い、金正恩氏はトランプ氏の内面に西欧の悪魔的な魅力を見出すかもしれない。すると、今度はサタニズム(Satanism)に陥る。サタン崇拝、つまり熱狂的なトランプファンになるのではないか。

   両者の会談が実現することを期待している。非核化の進展とあわせて、金正恩氏に果たしてサタニズムが出るか。偏執・妄想、自己中心、そしてサタニズムの3点セットがそろえば、歴史上まれな「パラノイア型リーダー」として世界の心理学者たちが注目するに違いない。これまで述べたことは言葉の遊びにすぎないが。(※写真は27日付・韓国「聯合ニュース」Web版より)

⇒27日(日)朝・金沢の天気   はれ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

★トランプ流タックル

2018年05月25日 | ⇒ニュース走査
    私は株主でも株式投資家でもないが、居住地である石川県に本社を置く石川製作所の株価を時折チェックしている。昨日(24日)は開始の9時過ぎに見て、日経平均が全体が軟調だったのに、石川製作所は100円も上がっていた。どれだけ上げるのかと思いながらパソコンを離れ、2時間ほど後にチェックすると前日の終値(2365円)付近に戻っていた。それからは下がり続け、終値は前日比105円安だった。損得の感情は一切ないが、これまで同株価をウオッチしてきた経験から「何か起きる」と少々予感があった。

    同社は追尾型の機雷を製造する、いわゆる防衛関連株だ。昨年9月にアメリカのトランプ大統領が国連総会の演説で金正恩・朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と呼び、双方の言葉の応酬が過熱した10月にかけては最高値4205円(10月16日)を記録した。が、平昌オリリンピックへの北朝鮮の参加による平和ムードが広がり、徐々に株価は下がり、3月29日に韓国と北朝鮮による南北首脳会談(4月27日)が決定すると1943円に落ちた。その後は、「平   和の演出」のにおいが感じられるようになり、最近では米朝首脳会談の「中止」「延期」のメッセージが発せられ同株価は上向きに転じた。日本の防衛関連株は朝鮮半島をめぐる国際政治や外交のホットな動きと連動していて、目を逸らせない。

    完全に潮目が変わった。昨日、トランプ氏が金正恩党委員長に会談中止の書簡を送ったと発表し、その書簡の全文を公開した=写真=。ポイントはここだろう。

I was very much looking forward to being there with you. Sadly, based on the tremendous anger and open hostility displayed in your most recent statement, I feel it is inappropriate, at this time, to have this long-planned meeting. Therefore, please let this letter serve to represent that the Singapore summit, for the good of both parties, but to the detriment of the world, will not take place. You talk about your nuclear capabilities, but ours are so massive and powerfu1l that I pray to God they will never have to be used.(私はシンガポールで貴方と会うことを楽しみにしていた。残念なことに、貴方の直近の声明にあった強い憤りとむき出しの敵意を鑑みると、長い間計画していた会談を今開くことは不適当だと、私は考えている。そのため、この手紙をもって、双方(アメリカと北朝鮮)にとっては良いことで、世界にとっては不利益ではあるが、シンガポール会談は行わないことをお知らせする。貴方は自国の核能力について語っているが、我々の核能力は大規模かつ強大であり、使わなければならない時が来ないよう祈っている)

    米朝会談の開催は即決だったが、中止もこれまた実にスピード感がある。アメリカンフットボールのような試合運びだ。そして、前文を読めば、決定的な乖離を感じさせるが、最後の締めくくりには期待感も感じさせる。

If you change your mind having to do with this most important summit, please do not hesitate to call me or write. The world, and North Korea in particular, has lost a great opportunity for lasting peace and great prosperity and wealth. This missed opportunity is a truly sad moment in history.(もし貴方の考えが変わり、この重要な会談をしようと思うなら、遠慮なく私に電話をするか、手紙を書いてほしい。世界、とくに北朝鮮は、恒久平和や大いなる繁栄、裕福さを得る素晴らしい機会を失った。こうして失われた機会は歴史上、非常に悲しい時である)

    要は相手側の司令塔であるQB(クォーターバック)の判断力や戦略に揺さぶりをかけるトランプ流タックルではないか。脅し、誉め、叩(はた)く。これまで韓国の文在寅大統領や中国の習近平国家主席と会うなど機動力を見せてきた金委員長は次にどのような一手を打ってくるのか。きょうの石川製作所の株価の値動きが見ものだ。

⇒25日(金)朝・金沢の天気     はれ 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆音楽文化を守るブラックジョーク

2018年05月22日 | ⇒ランダム書評
    良い意味でも、悪い意味でも我々日本人は真面目過ぎる、と思うことがままある。その「悪い意味」の典型的な事例が、物事を徹底してやるということではないだろうか。先日(今月18日)東京で開催された「JASRACの音楽教室問題と最新の著作権事情」と題する勉強会(主催・株式会社ニューメディア)に参加した。音楽教室から使用料を徴収する背景とは一体何だろうかと疑問に感じていたからだ。

   講師は城所岩生(きどころ・いわお)氏。もともとNTTの社員だったが、ニューヨーク駐在になり、アメリカでは通信法専門の弁護士がいるのを知り、一念発起して働きながらロー・スクールで学位を取得、米国弁護士となった。城所氏の近著が『JASRACと著作権、これでいいのか ~強硬路線に100万人が異議~』(発行:ポエムピース、2018年3月)。刺激的なタイトルだが、「Q&A」で構成する実に読みやすい内容だ。

     一部を紹介する。「Q:なぜ音楽教室からも使用料を徴収しようとしている?」に対して、「A:フィットネスクラブやカルチャーセンターなど、他の施設からも徴収してきたから!」が返答。「Point」として解説がつく。その中で、JASRACが音楽教室への徴収に踏み切る背景として、CDなどの売上が減少する中で、過去5年間の使用料等徴収額が維持できたのは、フィットネスクラブ(2011年)、カルチャーセンター(2012年)、社交ダンス以外のダンス教授所(2015年)、カラオケ教室・ボーカルレッスンを含む歌謡教室と順に使用料徴収を始めたからだと指摘している。つまり、JASRACは時代の逆風の中、徴収先を開拓し、なんとか使用料等徴収額を維持してきた。結果的に廻りを固めて、最後に残ったのが子どもたちの音楽教室というわけだ。

     講演の中で城所氏は、「今までの使用料徴収施設の主な顧客は大人だった。しかし、音楽教室には多くの子どもたちが通う。音楽教室は学校ではないが、いわば公教育を補完している。レッスン料を上げることは、音楽文化のさまたげになるのではないか。なんでも一律で徴収するというのは疑問だ」と問題提起をした。

     さらに話はパロディに及んだ。日本はパロディという言葉はよく使われるが、要は、元作品を題材として新たな作品をつくる二次的著作物のこと。著作権上では合法化されていない。合法にならない理由として、1980年に最高裁が非合法の判決を下した、パロディモンタージュ事件がある。雪の斜面をシュプールを描いて滑降する6名のスキーヤーを俯瞰するプロ写真家の作品。滑降跡がタイヤ痕跡と似ていることから、元の作品の山頂部にタイヤを置いて合成したもの。パロディを合法化するには最高裁が新たな判断をしない限り難しい。著作権法の改正ではなくても、著作権の解釈・運用の変更ということもあるが、その場合も著作権者の「お目こぼし」が前提となる。

     著作権法を「岩盤規制」として使用料徴収に邁進していくのか、インターネットの創作環境の中で新たなイノベーションの切り札として活用していくのか。それにしても、JASRACが音楽文化を守るために使用料等徴収額を維持しようと頑張り、子どもたちが通う音楽教室が最後に残って、他の業界と扱いを不公平したくないと徴収を迫るのであれば、これは大いなるブラックジョークではないだろうか。

⇒22日(火)午前・金沢の天気   はれ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

★「米粉 金時豆パン」の話

2018年05月21日 | ⇒トピック往来

    金沢市内のスーパーで見つけた、最近お気に入りのパンがある。「米粉 金時豆パン」=写真=。金時豆はほの甘く、米粉のしっとり感となんともマッチしていて、つい、2、3個と買ってしまう。1個180円。還暦を過ぎて「豆パン」に入れ込むとは思ってもみなかった。では、これが米粉ではなく、小麦粉だったらどうだろうと考えてみる。

    小麦粉にはタンパク質のグルテンがあるので、出来上がりにはふっくら感がある。でも、金時豆との帳合い(バランス)を考えると米粉のしっとり感が味覚的にはあっているだろう。小麦粉パンだったら、レーズンの方が合っているような気がする。「米粉 金時豆パン」はあんパンほど甘くなく、金時豆の存在感を引き立てている。そんなストーリーを描いている。個人的な好みかもしれないが。

    米粉と言えば、以前、大学で講義をしていただいたパテシエの辻口博啓氏からこんな話を聞いたことがある。辻口氏の米粉を使ったスイーツは定評がある。当初、職人仲間から「スイーツは小麦粉でつくるもので、米粉は邪道だよ」と言われたそうだ。それでも米粉のスイーツにこだわったのは、小麦アレルギーのためにスイーツを食べたくても食べれない人が大勢いること気が付いたからだ。高齢者やあごに障害があり、噛むことができない人たちのためのスイーツもつくっている。辻口氏は能登半島の七尾市生まれ。実家はもともと和菓子屋を営んでいて、抵抗感もなくスイーツの業界に入った。

    辻口氏のエピソードと似た話をもう一つ。洋食のオムライスの発祥の地は大阪・浪速と言われる。1925年、通天閣が見える繁華街で洋食屋を開業した20代の料理人が、オムレツと白ご飯をよく注文する客がいることに気が付いた。客は胃の具合が悪いのだという。そこで、同じいつもメニューではかわいそうだと、マッシュルームと玉ねぎを炒めて、トマトケチャップライスにしたものを薄焼の卵でくるんで「特製料理」として提供した。すると客は喜んで「オムレツとライスを合わせて、オムライスでんな」と。これがきっかけで「オムライス」をメニュー化したのだという(「宝達志水町ホームページ」より)。料理人は北橋茂男氏(故人)、能登の人だった。生まれ故郷の宝達志水町では毎月23日を「オムライスの日」と定め、「オムライスの郷」プロジェクトを進めている。

   能登には人に気遣いをする文化風土があり、「能登はやさしや土までも」との言葉が江戸時代からある。ユネスコの無形文化遺産にも登録されている能登の農耕儀礼「あえのこと」は、目が不自由な田の神様を食でもてなす行事だ。そう考えると、食文化は「うまさ」というより、作り手の「やさしさ」から生まれるのかもしれない。

⇒21日(月)朝・金沢の天気     はれ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆社会的な罪と法律的な罪

2018年05月18日 | ⇒ニュース走査

         森友学園への国有地売却に関する決裁文書の改ざん問題で国会の証人喚問をテレビ中継で視聴できたのは、循環器系のカテーテル検査で入院していたおかげだった。3月27日午前中、点滴を受けながら前国税庁長官の佐川宣寿氏に対する参院予算委員会での証人喚問をじっくりと。

    証人喚問の様子はテレビを見ながらメモを取っていた。自民の丸川珠代氏が、森友学園との国有地取引に安倍総理や夫人の影響があったかを尋ねた。その中で、丸川氏は国有地取引に関する決裁文書では書き換え前に「特例的」とか「特殊性」といった表現が記載されていたことについて「総理夫人の関与を意味しているか」と質問した。佐川氏は「通常は国有財産は売却するが、貸し付ける場合の期間は通達に3年間と書いており、その期間は特例承認をもらって変えることができる。特例とはそういう意味だ」と述べ、「本件の特殊性」という記述は政治家の関与を意味しているものではないとした。点滴が一滴一滴落ちる様子を見ていると、なぜか心が落ち着き、物事に集中できる。「特殊性とはこういう意味か。でも、後付けの逃げ口上ではないか」(当時のメモ)

     その後、佐川氏の発言で気になったのが、「告発されている身なので答弁は控える」「刑事訴追のおそれがあるので答弁は控えたい」と繰り返し答弁を拒んだことだった。佐川氏は補佐人の弁護士にたびたび助言を求め、「刑事訴追の恐れ」を繰り返し証言を拒否する場面が印象に残った。市民団体が昨年10月、虚偽公文書作成容疑での告発状を出している。国家公務員の場合、刑事訴追が現実になれば、退職金がゼロになることもあるので、「必死に予防線を張っているのだろうか」(当時のメモ)と。

    この日の証人喚問では、森友学園への国有地売却に関する決裁文書の改ざん問題が「忖度」する役人のシンボリックな行為との印象は個人的には消えなかった。ところで、肝心の「刑事訴追」の件はどうなっているのか。きょう18日付の読売新聞Web版によると、「大阪地検特捜部は、虚偽公文書作成容疑で告発状が出ている佐川氏らを不起訴(嫌疑不十分)にする方針を固めた」と。

    掲載記事によると、改ざんされたのは国有地売却などに関する14の決裁文書で、交渉経過のほか、安倍総理夫人や複数の国会議員の名前などが削除された。改ざんは昨年2-4月に、財務省理財局が財務局に指示して行われた。当時、理財局長だった佐川氏の国会答弁との整合性を取るためだったとされている。不起訴の理由として、「虚偽公文書作成罪の成立には、作成や決裁権限を持つ者が文書の趣旨を大幅に変える必要がある」と。公文書の一部削除では趣旨の大幅変更に相当せず、虚偽公文書作成とは言えない、と。

    記事はおそらく抜きネタ(スクープ)で、検察サイドへの裏取りをしてのことだろう。言葉として少々語弊があるかも知れないが、これで佐川氏は名実ともに逃げ切った。記事を読んで、ではあの国会証人の意義は何だったのだろうか、と。証人喚問の中継では視聴者の改ざん疑惑を膨らませた。しかし、検察サイドは不起訴。これだったら、果たして証人喚問は必要だったのか、との世論も出てくるだろう。「改ざん」という言葉のイメージから起きる罪の連想、そして法律的には虚偽公文書作成とは言えないという判断。「セクハラ罪という罪はない」(5月4日・麻生太郎財務大臣)と状況は似ている。社会的に罪として解釈されても、法律的な罪として適合しない。最近この社会的な罪と法律的な罪の乖(かい)離が広がっているようにも感じる。マスメディアが煽り過ぎるのか、あるいは法律が旧態依然としているのか。

⇒18日(金)朝・金沢の天気    くもり

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

★「テレビ広告」終わりの始まりなのか

2018年05月16日 | ⇒トピック往来

    「テレビ局は果たしていつまでもつのか」「護送船団方式と言われた時代が懐かしい」「テレビの広告収入はあと数年でネットに抜かれる」・・・。最近テレビ業界の関係者から、憂いなのか愚痴なのかこんな話をよく聞く。どうやらその「震源」は広告代理店「電通」が発表している調査リポート「2017年 日本の広告費」にあるようだ。

    遅ればせながら、2月に発表された調査リポートを読んでみる。日本の広告費は景気の上向きを反映して6年連続でプラス成長、総広告費は6兆3907億円(前年比101.6%)なのだ。ところが、テレビ業界の人たちが危惧するように、地上波テレビへの広告費は1兆8178億円と昨年比98.9%となっている。とくにスポット広告(同98.8%)は勢いはなく、一部の業種では増加したものの、全体としては低調。地域別では全32地区中27地区が前年実績を下回った。名古屋と福岡、長崎、熊本、大分の九州4地区の除けば、ローカル局の下落が顕著になっている。全体として「西高東低」の状況で、各地ばらつきはあるものの、長野県(民放4局)の場合は前年比マイナス5ポイント、当地の石川県(同)ではマイナス3.5ポイントだ。

    それに比べ、インターネット広告費は勢いがある。媒体費と広告制作費は1兆5094億円で前年比115.2%だ。調査リポートは「前年に続き、動画広告が拡大。生活者のモバイルシフトが進み、メディアやプラットフォーマー側で動画広告メニューの拡充が行われた結果、市場が順調に拡大した。特に、運用型広告領域においては、モバイル向け動画広告が活況を呈し、成長をけん引した」と分析している。つまり、スマホの普及で手元で動画が見れるようになったトレンドを背景に、特定のユーザーに絞って広告を配信する「ターゲティング広告」の機能が向上し、広告主は効率的な広告運用が可能になっている。最近では、AIを活用して自動入札を行う広告主や代理店もいる。テクノロジーの進化が、ネットの広告市場を押し上げているのだ。冒頭の「テレビの広告収入はあと数年でネットに抜かれる」も間近になってきた。

           地上波テレビへの広告費は1兆8000億円と、広告全体のシェア28%を誇る、ある意味で最強のマスメディアとも言える。視聴率が正確性や公平性を担保するカタチで各テレビ局への分配の目安を担ってきた。ところが、広告媒体としてネットによる動画配信サービスなどが急成長している。これまでの広告宣伝は、マス(視聴者全体)へのアピールだけで役割が事足りてきた。AIなどのイノベーションにより、ネットでは一人ひとりのユーザーの特性に応じた「ターゲティング広告」が普通になってきた。さらに最近では消費者行動がシップス(SIPS)と称される、Sympathize(共感する)、Identify(確認する)、Participate(参加する) Share&Spread(共有・拡散する)のSNS時代を象徴するような動きが広がっている。マス広告からターゲティング広告へと加速する中で、地上波テレビ、とくにローカル局の経営戦略はどこに向かっているのだろうか。

    ちなみに、マス広告のさきがけである新聞広告費は5147億円(前年比94.8%)。新聞社は最近、ニュースをいち早くWeb版にアップロードするなどデジタルコンテンツにシフトする「デジタルファースト」の動きを加速させている。テレビ局も放送とネットの同時配信を加速、深化させるのか。マスメディアは大転換の時代に入ってきた。

⇒16日(水)朝・金沢の天気    はれ

    

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆「加賀百万石」いつまで通用するか

2018年05月13日 | ⇒キャンパス見聞

   先日、大学の留学生たちと話す機会があった。インドネシアからの女性は流ちょうな日本語で「金沢はストーン(石)の王国なんですね」と。「そうだね、石川県というくらいだからね。確かに石の王国だね」と返事をし、「でも、なんでそんなストーン王国なんて言うのか」と逆に尋ねると、「だって加賀百万石って言うでしょう」と。「ええっ」と一瞬言葉に詰まった。

    留学生は以前、兼六園を散策に行き、そのときインバウンド観光客の団体を案内していた日本人のガイドが「カガ・ワン・ミリオン・ストーンズ」と言っていたのを聞いて、「加賀百万石」のことかとガイドの案内に耳をそばだて納得したようだ。そのとき、ガイドは金沢城の石垣を指さして説明していたので、とても腑に落ちたという。「百万個もの石を使って、お城を造り、そして金沢に用水をはりめぐらせた加賀のお殿様はとても有能な方だったのですね」と留学生。

   「加賀百万石」は土木工事のことだと誤解されていると考え、「石(こく)はストーンではなく、昔はコメ(米)の容量のことを意味していて、180㍑分のコメの容量のことを表現しているので、それは誤解だよ」と説明した。留学生はけげんそうな顔つきで質問してきた。「だって石と漢字で書いてあるでしょう。よく分かりません」と。確かにそうだ。今の日本では「石」を容量として教えてはいない。一石や一升といった、いわゆる尺貫法は戦後の計量法により使われなくなった。今一般で使われているのはせいぜいが土地の広さを表す「坪」ぐらいではないだろうか、あるいは、農家が田んぼの面積を「町(ちょう)」「反(たん)」と使うくらいだ。

    「加賀百万石」と聞くと、日本人は「コメの石高が高い、裕福なお殿様」というイメージがなんとなくわくが、「石」が容量なのか重さなのかを説明できる人がどれだけいるだろうか。ましてや海外の人に「石」はコメの容量を表現するものだと説明しても理解されないだろう。さらに「一石は昔の人が1年間に食べるコメの容量の目安」と説明しても、さらに話がややこしくなるだけだ。

    ところが、石川県や金沢市の観光パンフレットには「加賀百万石の歴史と文化」を強調する内容が多々ある。このキャッチフレーズはインバウンド観光には使えないのではないかと、懸念する。日本人であっても、おそらく次の世代には「加賀百万石」の観光キャッチは通用しなくなるのではないか。

⇒13日(日)夜・金沢の天気     あめ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

★勉強になった過剰反応

2018年05月08日 | ⇒キャンパス見聞

    けさ(8日)大学当局から教員はじめ、職員に注意喚起のメールが届いた。「【文部科学省・周知】 Twitter利用におけるパスワード変更について(注意喚起)」とある。先月もイギリスのデータ分析企業がフェイスブックのユーザー情報を不正に入手していたことが世界的に問題となって、ついにツイッタ-もかと胸騒ぎを覚えた。メールの内容はこうだ。

                  ◇

  米Twitter社より、利用者のパスワードが米Twitter社のシステムの内部ログに暗号化されないまま保存されていたため、パスワードの変更を求める発表がされましたのでご連絡いたします。ご多忙の折恐縮ですが、情報発信等のため業務上でTwitterを用いている場合には、以下の対策を講じるようお願いいたします。

① Twitterで利用しているパスワードを変更すること。
② Twitterで利用しているパスワードと同じパスワードを使用している他の全てのシステムやサービスのパスワードを変更すること。

また、下記のような対応も、パスワード流出を防ぐ有効な手段となりますので、合わせてご確認よろしくお願い致します。 ■数字やアルファベットを織り交ぜた複雑な文字列など、他人が推測しにくいパスワード設定をする ■ブラウザでTwitterなどのサービスにアクセスする際に、パスワードを覚えさせない設定にする

            ◇

   いきなりツイッターのパスワードを替えろとの指示だ。私はツイッターをやっていなので、その切迫度は分からない。ただ、ツイッターと言えば、トランプ大統領はじめ3億人余りが利用しているSNSだ。大変なことになっているのでないかと思い、ツイッターを楽しんでいる友人に電話で尋ねた。「こんなメールが当局から来たんだけど、ツイッター愛好者は大混乱になっているんじゃないの」と。

          すると友人は「利用者にはもうツイッター社から案内があったよ。利用者が入力したパスワードにはマスク技術で文字が分からないようにしているのに、一部でマスクがかからない状態でパスワードが保管されているのが見つかったそうだ。別に外部にログ自体が流出したわけではない。できれば念のためパスワードの変更をお願いしますという程度の内容だったよ」と平然とした声で。「パスワードが外部に漏れたわけではないし、バグがあったということか」と念のため聞き質すと、「そうだよ。大した話ではないよ。むしろツイッターは親切だなと思うよ。それよりウノちゃんもツイッターやらないか」と友人。

    少々拍子抜けした。確かに大学からのメールをよく読むと、「情報発信等のため業務上でTwitterを用いている場合・・」とある。大学の関係者が個人的に利用しているツイッターのパスワードにまで変更を指示していわけではない。単なる私の過剰反応だったようだ。友人には朝から電話で迷惑だったかもしれないが、とても勉強になった。

⇒8日(火)朝・金沢の天気   くもり
    

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆続・解せないニュース

2018年05月07日 | ⇒メディア時評
  それにしても、被害者とは示談も成立し、謝罪会見を行い、そして起訴猶予となった。さらに、事務所の社長もお詫びのコメントを出した。あとは本人の再起を期すだけではないのか。ところが、6日付で契約解除、つまり解雇である。一連のニュースをウオッチして、演出されるステージの華やかさとは裏腹に、ジャーニズ事務所の「暗さ」を感じる。

    下された「審判」、自らを啓発するチャンスに
   
 「TOKIO」の公式サイトをのぞいてみると、すでに山口達也の写真やプロフィルは削除されている。事件が発覚して間もなく同サイトを検索したときには、メンバー5人の写真と名前が掲示されていた。どうやら、4人が記者会見した2日に削除されたようだ。その後、6日付で契約解除ということは、勘ぐるに2日の時点ですでに、事務所の役員の腹は「解雇」で決まっていたのかもしれない。

     会見ではリーダーの城島茂が、山口の辞表を預かっていると述べていた。その後、事務所側に辞表が託され、正式に受理されたということだろう。山口は2月に自宅マンションの部屋に女子高生を呼び出し、無理やりキスをするなどのわいせつな行為をしたとして、警視庁から強制わいせつの疑いで書類送検されていた。示談が成立していたので、東京地検は起訴猶予にした。本来ならば、ここからが再起のステップになるのだが、役員は見限ったのだろう。

   彼はこれで社会的には事実上「孤立無援」の状態になった。前回ブログでも述べたが、自ら断酒を宣言し、俗世間とのかかわりを絶ち、ある意味で自己啓発の道を進むべきだと思う。まだ、46歳だ。いっそう海外にボランティアに出かけてはどうだろうか。アフリカの難民キャンプで飢えた子どもたちの医療サポートをする。その現実を目の当たりにすることで、まったく違った世界が見えてくる。それが自己啓発だ。自分を追いつめることではない、自分をまったく違う世界に目覚めさせることだ。

   6日に4人が事務所を通じて、コメントを出している。「自分たちに変えられるものがあるとすれば、それは明日であり、目の前にあることからです。」と。いい言葉だ、いい仲間たちだ。5人が相互に高め合うチャンスになるかもしれない。

⇒7日(月)朝・金沢の天気   あめ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする