ことし1年はある意味で能登が注目された1年だった。3月31に能登有料道路が「のと里山海道」=写真=として無料化した。全長83㌔は信号機もなく、料金所という停止のバリアもなくなり、時速80㌔での走りは爽快である。ただこの無料化に関しては経緯がある。1982年の全線開通以降、1990年から石川県道路公社が道路を管理。総事業費625億円のうち、県から同公社への貸付金のうち未償還分の135億円を県が債権放棄するかたちで、無料化が実現した。つまり、116万県民が1人当たり1万1600円ほど負担したのである。
「里山海道」から「和食」まで能登の豊富な資源
5月には国連食糧農業機関が主催する世界農業遺産(GIAHS)国際会議が七尾市で開催された。20ヵ国600人が参加する会議では新たに日本から、静岡「茶草場農法」、熊本「阿蘇の草原と持続的農業」、大分「国東半島宇佐の農林漁業循環システム」が認定を受け、能登と佐渡に加えて国内5地域(サイト)となった。会議では「能登コミュニケ」が採択され、先進国と途上国のサイトが交流するという勧告が盛り込まれた。その流れをつかんで、金沢大学ではJICA草の根技術協力事業として、フィリピン・ルソン島のイフガオ棚田に、能登で実施している人材養成プログラムを移出することになった。「能登は一周遅れのトップランナー」と想いながら、毎週のように通っている。
9月、能登から幕内力士が誕生した。穴水町出身の遠藤だ。秋場所の番付で昭和期以降で「最速」と注目を集めた、何しろ、春場所でデビューして、3場所でのスピード出世なのだから無理もない。同じ能登出身の力士に第6代横綱・阿武松緑之助(おうのまつ・みどりのすけ、1791‐1852)がいる。良く言えば慎重、立合いで「待った」が多く、江戸の庶民はじれったいことをすると、「待った、待ったと、阿武松でもあるめぇし…」と相手をなじった、という。遠藤には、こうした郷土の先輩のようにひと癖もふた癖もある関取になってほしい。
12月、ユネスコの無形文化遺産に「和食文化」が登録された。世界の食文化では「フランスの美食術」「地中海料理」「メキシコの伝統料理」「トルコのケシケキ(麦かゆ食)の伝統」がすでに登録されている。和食文化の登録のポイントは、日本人の「自然を尊重する」という精神が和食を形づくったとのコンセプトを挙げている。大きく4つ。1つに多様で豊かな食材を新鮮なまま持ち味を活かす調理技術や道具があること、2つ目に主食のご飯を中心に汁ものを添えて魚や肉、豆腐、野菜を組みあわせた栄養バランスに優れたメニュー構成、3つ目に食器に紅葉の葉などのつまものを添えて季節感や自然の美しさを表現している、4つ目が年中行事とのかかわりで、正月のおせち料理や秋の収穫の祭り料理など家族や地域の人の絆(きずな)を強める食文化だ。手短に、ここで言うことのころ「和食」とは高級料亭のメニューではなく、家庭の、あるいは地域の郷土料理、能登で言うゴッツオ(ごちそう)なのである。そのポイントを能登の人たちはもってPRしてもよいのではないか。
⇒30日(月)午後・金沢の天気 くもり
「里山海道」から「和食」まで能登の豊富な資源
5月には国連食糧農業機関が主催する世界農業遺産(GIAHS)国際会議が七尾市で開催された。20ヵ国600人が参加する会議では新たに日本から、静岡「茶草場農法」、熊本「阿蘇の草原と持続的農業」、大分「国東半島宇佐の農林漁業循環システム」が認定を受け、能登と佐渡に加えて国内5地域(サイト)となった。会議では「能登コミュニケ」が採択され、先進国と途上国のサイトが交流するという勧告が盛り込まれた。その流れをつかんで、金沢大学ではJICA草の根技術協力事業として、フィリピン・ルソン島のイフガオ棚田に、能登で実施している人材養成プログラムを移出することになった。「能登は一周遅れのトップランナー」と想いながら、毎週のように通っている。
9月、能登から幕内力士が誕生した。穴水町出身の遠藤だ。秋場所の番付で昭和期以降で「最速」と注目を集めた、何しろ、春場所でデビューして、3場所でのスピード出世なのだから無理もない。同じ能登出身の力士に第6代横綱・阿武松緑之助(おうのまつ・みどりのすけ、1791‐1852)がいる。良く言えば慎重、立合いで「待った」が多く、江戸の庶民はじれったいことをすると、「待った、待ったと、阿武松でもあるめぇし…」と相手をなじった、という。遠藤には、こうした郷土の先輩のようにひと癖もふた癖もある関取になってほしい。
12月、ユネスコの無形文化遺産に「和食文化」が登録された。世界の食文化では「フランスの美食術」「地中海料理」「メキシコの伝統料理」「トルコのケシケキ(麦かゆ食)の伝統」がすでに登録されている。和食文化の登録のポイントは、日本人の「自然を尊重する」という精神が和食を形づくったとのコンセプトを挙げている。大きく4つ。1つに多様で豊かな食材を新鮮なまま持ち味を活かす調理技術や道具があること、2つ目に主食のご飯を中心に汁ものを添えて魚や肉、豆腐、野菜を組みあわせた栄養バランスに優れたメニュー構成、3つ目に食器に紅葉の葉などのつまものを添えて季節感や自然の美しさを表現している、4つ目が年中行事とのかかわりで、正月のおせち料理や秋の収穫の祭り料理など家族や地域の人の絆(きずな)を強める食文化だ。手短に、ここで言うことのころ「和食」とは高級料亭のメニューではなく、家庭の、あるいは地域の郷土料理、能登で言うゴッツオ(ごちそう)なのである。そのポイントを能登の人たちはもってPRしてもよいのではないか。
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