自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★ウイルス猛威 「三寒四温」を待つ

2020年02月29日 | ⇒メディア時評

   韓国でも新型コロナウイルスの感染が急速に拡大している。29日に感染者数が594人増え、合わせて2931人となった(29日付・朝鮮日報日本語版)。発生源の中国では感染者が新たに427人増えて、合わせて7万9251人となり、死亡者も47人増えて2835人になった(29日付・NHKニュースWeb版)。北京では今後、出稼ぎ労働者が地方から戻ることに備えて、感染拡大の防止策を改めて周知するなど、対策に追われているという(同)。

   WHOがまとめた28日付の状況報告では、感染者は55ヵ国・地域の8万3652人に上り、うち死者は2858人となった。南半球のニュージーランドやアフリカのナイジェリアなど感染国も5ヵ国増えた。世界各地での増加傾向が顕著となっている(29日付・共同通信Web版)。

   きょう午前のNHKニュースは、WHOのテドロス事務局長が28日の記者会見で「世界中で感染の拡大が広がり続けていることを懸念している。危険性の評価を世界的に『非常に高い』に引き上げたと述べた」と報じていた。そこで、テドロス氏の詳細なコメントをチェックするためWHO公式サイトにアクセスした。ところが、事務局長の28日の会見(media briefing)のページは、何度アクセスしても「This page cannot be found」になってしまう(29日午後0時25分現在)。その他のページは閲覧できるが、このページだけがアクセスできない。憶測だが、世界からテドロス氏に対して批判のコメントが殺到しているのではないか。「なぜこのような事態になっても、パンデミックと宣言しないのか。WHOの失態ではないか。いつまで中国に忖度(guesswork)しているのか」と。そこでやむなく一時閉鎖しているのではないか。

   その声は株式市場でも聞こえる。28日のニューヨーク・ダウは7営業日連続で続落し、前日比357㌦安の2万5409㌦で取引を終えた。この1週間で3600㌦下がり、下落率は12%。リーマンショックの2008年10月以来の大きさになった(29日付・共同通信Web版)。感染拡大により世界的な景気後退懸念が強まったことが、投資家の心理を冷やしていることは想像に難くない。「これは誰のせいだ。WHOはウイルスが世界経済に与える影響を予見できなかったのか」と投資家の怨嗟の声が聞こえる。

   けさ庭先を見ると、ヒメリュウキンカ(姫立金花)が咲き始めていた=写真・上=。艶のあるその黄色い花は、冬を超えて春を告げるように咲く。花言葉は「会える喜び」だとか。先日(27日)もカンシャクヤク(寒芍薬)があられの降る中、赤紫の花を咲かせていた=写真・下=。この時節に楽しませてくれる花に「三寒四温」という言葉が浮かぶ。寒さに耐えながらも春の気配が日に日に高まる。新型コロナウイルスの猛威も三寒四温のように徐々に治まってほしいと願うばかりだ。

⇒29日(土)午後・金沢の天気   くもり

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☆学校閉鎖、NHK-Eテレの出番だ

2020年02月28日 | ⇒ニュース走査

   突然の「学校封鎖」という決断は誰のアイデアなのだろうか。きのう安倍総理が記者会見で、来月2日から全国すべての小・中学校と高校、特別支援学校に対して春休みに入るまで臨時休校とする要請を行うと発表した。保育所や幼稚園、子どもたちを放課後に預かる学童保育は含まれていない。

  確かに、学校は互いに近い距離の中で生活をともにするため、感染しやすい環境の一つだ。学校で感染した子どもが家庭に戻ると今度は同居する家族、特に祖父母にうつすリスクがある。学校はある意味でもっとも警戒を要する場所であることは間違いない。それにしても、この突然の学校封鎖は大胆な政治判断ではなのだろうか。専門家会議が議論し下した方針ではないようだ。

  学校の教育現場が閉鎖されるということは教育の時間損失にもつながる。この事態を受けてNHK活用を提案をした人がいる。きょういただいたメールマガジンでなるほどと思ったので紹介したい。発信者は『月刊ニューメディア』の吉井勇編集長。以下引用する。

            ◇

 NHKにはEテレがあります。しかも3月1日から「NHKプラス」というスマホやタブレット、PCで視聴できるサービスが始まるわけで、放送の視聴だけでなく、見逃した番組を自分の都合で視聴できるものです。この放送と通信の両方ができることを、自宅で待機する子どもたちの学校教育のサポートとして展開することを考えられませんか。Wi-Fiの普及もあり、スマホも多く、パソコンもあります。もちろん放送を見るテレビもあります。しかも、一定の地域対応も可能な仕組みもあります。

   また、子どもたち同士が連携するインタラクティブな機能を生かすこともできそうです。ですから、今のEテレを「ウチでみんなと勉強」というチャンネルを用意してはどうか。地デジは1chでHD放送していますが、SD画質で3ch、HDでも2chの放送ができます。ですから、低学年や高学年、中学生とか、年代別とかの番組を放送・配信する体制を一気に用意することはできませんか。

   すぐに3月2日から、子どもたちはどう過ごすのか。外へ遊びにも行けない。この子どもたちが抱える空白をどうするのか、に直面するのです。ただ、テレビを通じた教育は、単なる教室の黒板授業を映しているだけでは飽きてしまいます。NHKにはチコちゃんのように、子どもから大人まで楽しめる番組のノウハウがあり、Eテレにはユニークなテーマづくりや内容の番組も多くあります。優れたノウハウのあるプロデューサーやディレクターがいらっしゃいます。

   全国で生まれる時間を持て余す子どもや家庭へ、NHKの持つリーチ力、NHKプラスの時間を越え、自分でいつでも何度でも楽しめる自在性を生かしていくことはできないのでしょうか。まさに、NHKの出番だと思ったのです。

             ◇

  タイミングよく、来月1日からNHKは放送と通信の同時配信の試験配信をスタートさせる。同時配信では見逃した番組も見ることができる。NHKが子どもたち向けに教育効果が高い番組(過去の番組など)を特集して、それを子どもたちが選んで視聴する。その感想文を学校の担任にメールで送る。感想文は学年ごとたとえば、1年生は50字前後、2年生は100字前後、など。担任はレスポンスを返信する。それだけでも教育効果があるのではないか。テレビを教育に活かすチャンスでもある。受信料問題は別として、NHKにとっても同時配信を国民にアピールするチャンスでもあると考えるのだが。

⇒28日(金)午前・金沢の天気    はれ時々くもり

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★「団子まき」まで中止とは

2020年02月27日 | ⇒ドキュメント回廊

  「団子(だんご)まき」をご存じだろうか。金沢市などの寺では、釈迦をしのぶ涅槃会(ねはんえ)の法要がこの時節に営まれる。釈迦の遺骨に見立てた団子は僧侶らが米粉で作る。法要の後に団子がまかれ、参拝者は無病息災のご利益があるとされる団子を一生懸命に拾い集める。参拝者の中には、お守りとして身につける人もいる。子どものころ、競うように拾い集めたことを思い出す。

  懐かしい心の風景でもある団子まきが中止されると、きょう菩提寺からはがきが届いた。「恒例の涅槃会法要は3月22日とご案内致しましたが、昨今の新型コロナウイルス事情に鑑み、特に県内でも複数の患者が発生した事を重く受け止めて、今回は開催を自粛する方が良いと判断致しました。誠に残念ではありますが、予防と安心のためです。」と。確かに毎年境内には何十人と近所や檀家の人が集まるので、「やむなく中止」とせざるを得なかった和尚の苦渋の決断が伝わる。

  さらに別の行事の中止のお知らせもメールで届いた。茶道の利休忌の中止の案内だ。お茶の社中で3月29日に予定されていた。茶道を大成した千利休の遺徳をしので毎年営まれる。床の間に利休が描かれた掛け軸をかけ、茶を供え、一同で薄茶をいただく。利休忌ではしのぶだけではなく、「廻り花」「茶カブキ」などといった茶の湯の修練に励む大切な行事でもある。それをあえて中止するとなると、主宰者は相当の決断を要したはずだ。

   きょう石川県で5人目となる感染確認が発表された。5人とは言え、会を催す主宰者にとってナーバスにならざるを得ないだろう。勤め先の大学ではきょうも学術イベントの中止の知らせが相次ぎ届いた。新型コロナウイルスが日常の暮らしや職場環境、そして伝統文化や行事にまで暗い影を落としている。いま金沢はそんな状態だ。

⇒27日(木)夜・金沢の天気   くもり

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☆いよいよ「自分ごと」に

2020年02月26日 | ⇒ドキュメント回廊

   新型コロナウイルス問題がいよいよ「自分ごと」になってきた。来月24日に金沢市内のホテルで予定していたある報告会を中止にすることにした。自身が事業の総括報告、そしてパネルディスカッションの司会をつとめる予定だった。8つの大学の事業関係者に出席を呼びかけた矢先だった。

   中止を決断したきっかけとなったのは大学からの通達だった。きょう午後、「新型コロナウイルス対応」という書面が教職員全員にメールで届いた。「新型コロナウイルス感染症の発生状況が落ち着くまでの間は、以下の対応を実施する。」との書き出しで、「・できるだけ人込みの多い場所を避ける」「・不要不急の出張は中止する」「・イベントについては、可能な範囲で中止、延期又は規模縮小を行う」と。この通達をもとにスタッフと相談し、中止することを決めた。

   やってやれないことはない。ただ、スタッフからの意見は「通達が来ているのに、なぜあえて実施するのかという風当りも強まるのではないか」と。事業の報告書を作成中なので、後日関係者に郵送することで報告会に代えることにした。この通達の直後から学内イベントの中止の知らせが次々とメールで届いている。

   さらにショックだったのは能登に住む関係者からのメールだ。今月29日に能登で研究発表の審査会があり、出席を予定している。その審査会の主催者あてにコメントがメールで届いた。「大変申し訳ないと思うが、金沢市及び、感染経路内で活動されている方々の奥能登再訪は現在慎んで戴きたい」と。金沢市内では4人の感染者が出ている。「金沢の人間には能登に来てほしくない」という警戒心が能登の人々の心に広がっているのだろう。自分自身が警戒されているのだが、ある意味、当然と言えば当然かもしれない。

   冒頭で「自分ごと」と述べたが、中国・武漢からクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」へ。そして、日本各地から金沢での4人の感染者と事態が接近してきた。きょうは自らイベント中止の決断をし、そして能登の在住者からは「金沢の人間は能登に来てほしくない」のメールが届いた。コロナウイルス問題は、実に濃厚な自分ごとになった。

⇒26日(水)夜・金沢の天気    あめ

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★黄砂が運んでくるもの

2020年02月25日 | ⇒ニュース走査

           共同通信Web版によると、週明け24日のニューヨーク株式のダウは急落し、1031㌦安い2万7960㌦で取引を終えた。1000㌦の下げは2018年2月以来の大きさだ。このときは、アメリカの金利上昇による株価急落と各国の連鎖的な株安が原因だった。ところが、今回は新型コロナウイルスという、見えない恐怖に世界が身構え始めたということだろうか。さてこの後、午前9時から始まる東京株式はどうなるのか。

   昨日(24日)自身が不気味さを感じたことがある。JR金沢駅周辺の駐車場で一晩停めていた自家用車のフロントガラスが黄砂で白くなっていた。黄砂は中国大陸から飛来する。飛んでくるのは砂だけではない。微生物なども混じっている。「黄砂バイオエアロゾル」ではないかと。

   金沢大学でも能登半島の先端で大気観測の拠点づくりを2008年から始め、無人の気球を上げて上空の大気の採取などを行っている。その現場を見せてもらったことがある。重さ2㌔の採取機器をビニール製の気球に取り付けて、上空850㍍から1㌔でおよそ1時間にわたって粉塵などを採取する=写真=。その中で発見される大気中微生物、つまりバイオエアロゾルは数千種類も及ぶという。

   黄砂は日本から4000㌔も離れた中国大陸のタクラマカン砂漠や、そしてゴビ砂漠から偏西風に乗ってやってくる。金沢大学の研究者の中には、食品発酵に関連する微生物が多いこと気づき、大気中で採取したバチルス菌で実際に納豆を商品化した研究者もいる。その納豆の試食会でご相伴に預かったが、日本の納豆文化はひょっとして黄砂が運んできたのではないかとの解説に妙に納得した。

   しかし最近は、黄砂の飛散と同時にPM2.5(微小粒子状物質)の日本での濃度が高くなったりと環境問題がクローズアップされている。加えて今回、偏西風に乗って湖北省武漢市の空気も運ばれてくるかもしれないと思うと、複雑な思いに駆られる。国境を越えて新型コロナウイルスも運ばれて来るかもしれない、と。こうなると防ぎようがない。ひたすらマスクをするしかない、のだろうか。

⇒25日(火)朝・金沢の天気   あめ

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☆コロナショック 中国政治を揺さぶる

2020年02月24日 | ⇒ニュース走査

   共同通信Web版(24日付)によると、中国政府は新型コロナウイルスの感染で23日に新たに150人が死亡し、中国全体で死者は計2592人になったと発表した。感染者も新たに409人増え全体で計7万7150人となった。中国メディアの報道によると、WHOによる調査チームが23日までの2日間、湖北省武漢市を訪れ、現地の病院のほか、体育施設に設置された「野戦病院」方式の臨時病院などを視察したという。

   さらに、きょう24日午前中から北京で国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の常務委員会が開かれ、日程などについて審議している。全人代は来月5日から始まる予定だったが延期を正式に決める模様だ。こうなれば、4月上旬で日程調整が進めている習近平国家主席の国賓来日も延期が不可避となるだろう。一連の政治日程の延期が正式に決まれば、コロナウイルスが中国経済だけでなく、いよいよ政治にも打撃を与えたと世界のメディアは喧伝するだろう。

   その次にくる中国の動きは、政治リーダーである習氏の責任問題ではないだろうか。2018年3月の全人代では、国家主席の任期を「2期10年」までとする規制を撤廃する憲法改正案を採択している。習氏は2期目が終わる2023年以降も続投できるようになっている。自分で決めた規制の撤廃なので、踏ん張って続投しなければならない。政治的には盤石さを増したかもしれないが、それが裏目に出ているのが現状だ。

   逃亡犯条例改定案をめぐって学生や民主派が台頭した香港。2019年11月に実施された区議会議員選挙で、政府に批判的な立場の民主派が議席の3分の2にあたる300議席を超える圧勝だった。ことし1月11日の台湾の総統選挙は現職で与党、民進党の蔡英文氏が最大野党の候補者に圧勝した。台湾の民意は、中国との統一を拒否する蔡氏に大きく傾いた。そして今回の新型コロナウイルス問題である。2500人を上回る死亡者を出している。この逆風続きで問われているのは政治的なリーダーシップではないだろうか。

   リーダーがカリスマであればあるほど、いったん逆風が吹きだすと民意も荒れる。踏ん張らざるを得ない習氏にとって、任期撤廃は薬なのか、毒なのか。

⇒24日(月・振休)午前・金沢の天気    はれ

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★コロナショック 「このご時世」

2020年02月22日 | ⇒ニュース走査

  コロナウイルスが身近に迫ってきた。きのう21日、石川県知事が記者会見を開き、50歳の県庁マンにウイルス感染が見つかったと公表した。男性は金沢市在住で現在、市内の病院に入院している。県内では初めての感染者となる。

  報道によると、男性は今月12日から14日に東京出張、16日に38.3度の発熱やせきなどの症状を訴えて病院に出向いた。17日に別の病院で受診し、解熱剤で一時熱が下がったが、再発して19日にさらに別の病院に行った。20日に倦怠感があり、さらに別の病院で検査を受けたところ肺炎と診断された。この時点でコロナウイルスの可能性が指摘され、21日の遺伝子検査で陽性と判明した。記事を読んで、4つの病院を経て陽性判明にたどりついた男性の執念を感じる。診察に納得いかなかったのだろう。

  石川県の新型コロナウイルス感染の第一号となった男性はどこで感染したのか。東京出張中なのか、新幹線の中での感染なのか。せきやくしゃみで飛び散る飛沫感染なのか、あるいは、空気中を漂う微生物に乗ってうつるバイオエアロゾル感染なのか。

   県内感のニュースが流れたせいか、きょう午前中に小松市で開催されたシンポジウムの参加者はマスク姿が目立った。自身も今季初めてマスク姿で参加した。今月29日から家族の一人が京都へ研修旅行に行く予定だったが、主催者側からきょう中止の連絡があった。念入りに準備をしていただけに、主催者側に「今度はいつあるのですか」と問いかけたが、「このご時世ですので、何とも申し上げられません」とつれない返事だったようだ。

   遠くの出来事だと考えていたコロナウイルスがこのように身近に迫って来ると、なんだか落ち着かない。「このご時世」と浮足立つ世の中で、自らはいったい何をすべきなのか焦燥の念にかられる。思考停止状態と言ってよいかもしれない。まったく不思議な感覚だ。

⇒22日(土)夜・金沢の天気    あめ

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☆次なる世界の目線は「TOKYO」に

2020年02月21日 | ⇒メディア時評

           イギリスBBCテレビは新型コロナウイルスが及ぼす東京オリンピックへの影響について特集している(18日付・Web版)。見出しは「Coronavirus: What could it mean for the 2020 Olympics in Tokyo」(コロナウイルス:2020年の東京オリンピックに何をもたらすのか)。

   特集によると、五輪開催の2、3ヵ月前に出場選手は日本に入るので4月や5月には終息宣言が出されるのかと不安視する選手をインタビューなどを紹介している。IOC(国際オリンピック委員会)で東京オリンピックを担当するコーツ調整委員長が、東京都内で行った記者会見(今月14日)で、オリンピックは予定どおり、東京で開催する考えを強調したことも紹介している。

   印象的な記事の一文。「No Olympics has ever been cancelled or postponed due to anything other than war. To do so for a virus would be unprecedented.」(戦争以外でオリンピックがキャンセルまたは延期されたことはない。したがって、ウイルスでキャンセルや延期は前例のない)。確かに、2016年のリオ五輪でも、ジカウイルスの発生という問題はあったが予定通り実施さた。

   この記事を読めば東京オリンピックは予定通り開催と読めるのだが、イギリスでは政治利用もされているようだ。5月に行われるロンドン市長選挙の2人の候補者が、コロナウイルスの感染の拡大でオリンピックが東京で開催できない場合、代わりにロンドンで開くことが可能だとアピールしているようだ(21日付・NHKニュースWeb版)。

   以下、記事の要約。与党の保守党からの候補者はツイッターで「我々にはインフラと経験がある」としたうえで、「ロンドンは、求めがあればオリンピックを再び開催する用意はできている」と述べている。最大野党の労働党で、再選を目指す現職側も、NHKの取材に対し、東京五輪が中止になる可能性は低いとしながらも、「ロンドンには経験があり、仮に求められることがあれば開催に向けて最善を尽くす」とコメントしたという。

   候補者2人のコメントは東京オリンピックがコロナウイルスの危機にさらされているのではないかという有権者の関心事を巧みにとらえたものだろう。それにしても、選挙アピールの材料になるというのは、それはそれで日本の有権者としては心穏やかではない。

   さらに、アメリカのCNNニュース日本語版(21日付)は同国の疾病対策センター(CDC)が、日本への渡航に関する注意情報を出したと伝えている。中国本土以外の国や地域を対象とする注意情報の発令は香港に続いて2度目。警戒レベルは3段階で最も低い「レベル1」だが、今後さらに上げていく可能性もある。東京オリンピックの開催の可否はCDCに握られてしまったのではないか。CDCはWHOのように手加減はしない。

⇒21日(金)朝・金沢の天気    はれ

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★ウイルス感染、とめどない波及

2020年02月19日 | ⇒ニュース走査

       日本は世界で第2位のコロナウイルス感染国だ。報道によると、日本での感染者は中国からの旅行者を含め70人、クルーズ船の乗客乗員が621人、チャーター機での帰国者が14人と、合計705人となった。世界は過敏になっている。そろそろ「日本に行くな、日本から来るな」の大号令がかかるのも間近ではないだろうか。 

   知人からきのう届いたメール。「コロナウイルスのために、孫の中学生の修学旅行が延期になったようだ。こんなことじゃ、日本の経済は危ないよ」と。知人は石川県加賀市に住む。修学旅行は5月に2泊3日で京都や大阪、広島に行く予定だったが、9月以降に延期されたようだ。知人が言うには、ウイルス感染を極度に恐れて、国民全体の消費マインドも急速にしぼんでいると案じている。

   これは元同級生の知人の話。来月8日に能登半島の七尾市で予定されていたマラソン大会が中止となった。知人は10㌔コ-スに応募していた。本人にとって、今回は10回連続の「記念出場」だったので、「しかたないのかな。でも、他では実施に踏み切った大会もある」とぼやく。

   私の職場でもある金沢大学でもウイルス感染に対する措置が取られた。ホームページで今月25日から始まる前期日程の試験について、受験生がウイルス感染した場合、ほかの受験生の感染を防ぐことを最優先にするため受験を認めない方針を決め、ホームページで発表した(18日付)=写真=。

   「一般入試(前期日程・後期日程)受験者 各位」と題したページにこのように説明している。「令和2年2月1日に、新型コロナウイルス感染症は、政令により『指定感染症』及び『検疫感染症』に指定され、学校保健安全法施行規則が規定する第一種の感染症とみなされました。本学では、新型コロナウイルス感染症等に罹患し治癒していない者は、他の受験者への感染の恐れがあるため、本学の入学試験を受験できませんので、御注意ください。なお、追試験等の特別措置は現時点では予定しておりません。」

   今月3日付で文科省は各国公立大学と私立大学に対し、受験生の進学の機会の確保を図る観点から、振り替え受験の実施や大学入試センター試験を参考にして合否を判定するなど、柔軟な対応をとるよう通達している。しかし、来週に迫る国公立の入試では日程的に、そして公平性の観点からもそのような措置が現実に取れないのが実情だろう。

   一方で、受験生の気持ちになって考えると、この日のために努力してきたので、少々熱があっても病院に行くことなく試験会場に行くのではないだろうか。

   このとめどないウイルス感染の余波、経済や暮らしに影響が出始めている。

⇒19日(水)夜・金沢の天気    くもり

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☆コロナウイルス 「利と理の勘定」

2020年02月18日 | ⇒ニュース走査

   新型コロナウイルスの感染拡大の影響は多方面に及んでいる。きのう17日に届いたメールだ。ある証券会社が主催するセミナーの案内が中止という連絡だった。

   「お世話になっております。昨今の新型コロナウイルスの影響で本社で検討の結果、2月29日(土)の弊社、金沢支店での渋澤健氏のセミナーを中止しなければならないことになってしまいました。人数も100名を超え、楽しみにしているとのお声をたくさんいただき、私も入社以来の興奮で楽しみにしておりました。断腸の思いでございます。しかしお客様を守る観点から中止という決定になりました。大変なご迷惑をお掛けする結果となってしまい大変申し訳ございません。」

    渋澤健氏は、2024年度から福沢諭吉に代わって一万円札に登場する、日本資本主義の父といわれた渋沢栄一の子孫にあたる投資家。今月29日の金沢でのセミナーで「SDGs持続可能な地域を子どもたちへ~『起業家』による価値創造と『投資家』の役割~」と題して講演する予定だった。100人以上の申し込みがあったというから、楽しみにしていた人たちも多かったのだろう。ところがコロナウイルスによって、その楽しみが砕かれた。  

   この証券会社は金沢支店だけでなく、17日以降は個人の顧客を集めて各地の支店などで開いている株式や投資信託、それに資産形成をテーマにしたセミナーを中止する。来月末までに200件近いセミナーを予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大が収まる見通しになるまで、開催を見送ることにした(17日付・NHKニュースWeb版)。このほか、他の金融機関も来月末まで個人向けの投資セミナーの開催を見送ることを決めている。

   このメールでの知らせを読んで、さすがに証券会社は計算高いとの印象だった。開くことの利よりも中止するという理の方が勘定にあっているのだ。お客さまにはいっさいのリスクはとらせません、それはコロナウイルスも投資も同じです、と。

⇒18日(火)朝・金沢の天気     くもり時々ゆき

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