グッチーの日本寸評

「わが日本を少しでもいい国、住みたい国にしたい」との思いから日本の政治、経済、世相を自由気ままに評論する。

1酒造業者の意見広告に思う

2021年06月09日 | 経済

長らくコロナ禍で巷の飲食業は疲弊しきっている。

昨日もよく行っていた中華料理店が6月20日まで休業との張り紙を見て思わず同情したものだった。

決してアルコール主体の業態ではないが団体利用も多かったので経営インパクトはいかばかりか、と考えさせられた。

そしてふと先日の1地方(とはいえ超有名ブランドをかかえる)酒造業の意見広告を思い起こした。

酒造業は直接ダメージを受けているわけではないが間接的に大きな影響を受けていることは間違いない。

全国の飲食業の窮状に居ても立ってもいられない思いで政治に一石を投じたものと理解している。

政府の経済対策はたしかにあまりにも画一的であまりにスローペースなのだ。

例の休業協力金についても途中で1社あたりから1店舗当たりに支給基準は改善されたがこれが「焼け石に水」状態であることはポリシーメーカー自身が重々分かり切っているハズだと思う。

もう第1次の緊急事態宣言から1年以上も経っている。

経済支援ももっときめ細かく、例えば過去の納税申告データなども(元に何も100%補償して欲しいとは言わないが)そこそこリーズナブルな支援策を確立すべきだ。

感染防止策も経済支援策も100かゼロかではなく中間レベルを重視したい。

1酒造業の意を決した心からの叫びを政治は軽視してはいけない。

 


2020年度のGDP4.6%減に思う

2021年05月18日 | 経済

内閣府が2020年度のGDPについて前年比4.6%減になることを発表した。

落込み幅は戦後最大であのリーマンショック時(3.5%減)を上回るものになった。

たしかにリーマンショック時は株価こそ凄いダメージを受けたが大幅な消費抑制を強いられた記憶はない。

さらに今回のコロナ禍は航空、鉄道、外食など特定業種を狙い撃ちにしている。

これらの業種の経営陣は本格的な回復時期は22年度以降になるものとみているようにコロナ不況からの脱出は時間がかかりそうだ。

本来だったら景気回復の起爆剤となるはずだった東京オリ・パラも開催が危ぶまれ風前の灯だ。

今から思うとリーマンショックなどなんてことはなかったねぇ・・・。

巷はコロナワクチン接種騒動でてんやわんやだがGDPがもとに戻るのはいつになるのだろうか。

 


アイリスオーヤマの岡山工場新設計画に思う

2021年05月13日 | 経済

アイリスオーヤマが岡山県に新工場を建設することを発表していた。

アイリスオーヤマと言えば元々は家庭用の雑貨や園芸用品などいわゆるローテク製品の会社のイメージが強かった。

しかしいつ頃だったか、家電業界の不況時にメーカーのリストラに遭った技術者を大挙受入れ言わばゼロから家電という同社にとってはニュービジネスの立上げを図った。

そこからは同社のトップダウンによる商品開発力と開発スピードの独壇場である。

家電メーカーのようなフルラインはないが逆に1点集中型、ムダの少ない商品戦略でいち早く勝負できるようになった。

それが今日の同社の地位を築いたのではないかと思う。

そしてこのたびの岡山新工場建設である。

他方かって家電御三家と言われたパナソニック、三洋電機(のちにパナソニックに吸収)、シャープなどの影は薄い。

総合電機メーカーを誇った日立、東芝、三菱も家電部門はあまり元気がない。

アイリスオーヤマとのあまりのコントラストに栄枯盛衰、経営の巧拙を感じてしまうのである。

 

 

 


コロナ禍の企業業績インパクトに思う

2021年04月29日 | 経済

東京ディズニーランドを経営するオリエンタルランドの21年3月期連結決算は541億円の損失に終わりそうだ。

通期最終赤字は1996年の上場以来初めてだという。

東京ディズニーランドと言えばテーマパーク事業の優等生で来場者数は常に右肩上がり、変な言い方だが入場料金も上げ放題の体だったから昨今の経営環境には本当に驚きだ。

しかも足元でも入場者数は制限中というから今期の業績予想も予断を許さない状況だ。

今年度、来年度の業績見通しも結局入場者数次第ということだろう。

消費者との対面が事業の主体の百貨店業界も例外ではない。

21年2月期に17年ぶりの赤字決算となった高島屋も今期以降の業績に危機感を持っている。

休業要請に見合う協力金が「1店舗20万円」は随分話題になった。

インバウンド需要は戻ってくる気配さえ見えないし・・・。

多くの顧客対面ビジネス事業者は「コロナ禍の影響は2,3年続く」と覚悟しているようだが政治はどう受け止めているのだろうか。

 

 

 

 

 

 


サイボウズの取締役17人選任に思う

2021年03月28日 | 経済

グループウェア大手のサイボウズが本日行われた株主総会で新たに17人の取締役を選出した。

この17人というのはたしか社員からの自薦組であって中には新卒1、2年生も含まれている。

ふと「取締役って何だろう」と考えてしまった。

取締役というのは商法上の責任が生じるものと理解しているがそれに見合う権限が付与されるのだろうか。

経営組織というのはいくらフラット化が進んでいるとはいえ最低限の上下関係はあるだろう。

恐らく今回の新任取締役は組織管理とは別物で報酬関係もほとんど考慮されないものと勝手に理解している。

もしも日常の業務管理と取締役の職掌を絡ませるようなことになればこういう組織は決してうまくいかないと思うからだ。

つまり新任取締役の多くは日常業務とは別に会社全体の執行に関わりその責任権限範囲の中で責任を負うというものだ。

取締役というのは多くのビジネスマンにとって夢のポストだろうから社員のモラルアップには有効だと思うが本制度の継続には①株主の承認②一年後の役員改選のやり方、がカギを握るのではないか。

壮大な社会実験の答えは来年の今頃に見えてくる。

 


帝国ホテルの超大型投資に思う

2021年03月26日 | 経済

帝国ホテルが旗艦・帝国ホテル東京の建て替えを発表した。

その投資金額が2500億円、直近の売上高の5年分と聞いて驚いた。

筆者が育った製造業とは業態が異なるのでそのまま比較はできないがザックリ言えば原価ゼロで営業を続けても投下資本の回収に5年掛かる、原価率50%であればその2倍、原価率90%であればその10倍掛かるということになるのだろう。

さらにもう一つ考えなければならないことにコロナ禍の影響がいつまで残るのか、がある。

コロナ対策専門家によれば「終息までまだ数年かかる」という見方もあるようだからホテルの基本営業指標である稼働率もなかなか見通しが難しい。

という訳で今回の意思決定は相当重大なものだったに違いない。

かといって先送りすればいいというものでもない。

ライバルのホテルオークラも建替えた、新たに外資系高級ホテルも上陸してくる、・・・これで日比谷一帯も大きく変わるかもしれない。

現在のホテルがなくなるのも寂しいがどんなホテルに生まれ変わるのか、が楽しみでもある。

そして経営者にとって「大きな意思決定はするもしないのもリスクが一杯」である。

 

 


コンビニ業界に諸行無常を思う

2021年03月17日 | 経済

コンビニにも定義はいろいろあるので一概には言えないがほぼ今の形でスタートしたのは1970年代のことだ。

以来約半世紀、コンビニ業界は一貫して成長し続けてきた。

何と言っても取り扱いサービスの拡充が尋常ではない。

思いつくだけでも公共料金の収納代行、銀行ATM設置、コピーFAX機設置、宅配便の取次などがあり地域によっては住民票など行政サービスまで拡大しているところもある。

むろん販売商品だって負けてはいない。

酒類や医薬品(処方薬を除く)などの商品ラインアップ拡充もさることながら店内調理商品、例えばおでんや揚げ物、100円コーヒーなどが印象に残っている。

節分の定番になった恵方巻もコンビニが生み出したヒット商品と言っていいのではないか。

その結果としてコンビニが百貨店の売り上げを凌駕したことはまさに象徴的な出来事だった。

ところが、ところが、ここにきてコンビニの(既存店)売上がわずかながら減少に転じるようになった。

背景にはコンビニ店舗の飽和化、労働力不足、働き方改革のあり方、24時間営業の是非論がある。

前述したようにコンビニは過去半世紀にわたって成長し続けてきたのだがどうやらその限界が見えてきた。

まさにこの世は諸行無常、盛者必衰はこの世の倣いなんだということを思い知った次第だった。

 


日経平均一時900円超下落に思う

2021年02月26日 | 経済

本日の東証における日経平均株価は一時前日比900円超の下落となり荒っぽい動きを見せている。

昨日は500円近く上昇したのだがたしかその前日は相当下げていたように思う。

30年ぶりの3万円相場をはさんで株価は乱高下しており、個人投資家も機関投資家も落ち着かない毎日が続くようだ。

ちょっと気になるのはこのところ一般雑誌等で盛んに投資話が喧伝されていることだ。

「億り人」や「1億円」なんて見出しが躍っているが100万円やそこらの元手で1億円の資産を築くのは100%不可能とは言わないが余程の幸甚に恵まれないと実現しないだろう。

いくら経済学を学んだとしても株価理論を研究したとしても必ず得られるというものではない。

いやそれどころか「高値づかみ」というリスクの方が心配だ。

低金利時代のカネ余り対策として最近株式投資を始めたという層が増えている聞くが常に安全面にも十分留意して意思決定をしてほしい。

やはり株式投資は自らがリスクを意識する自己責任モノだと考えているからだ。


奏功しなかったロイヤルHDの多角化政策に思う

2021年02月22日 | 経済

外食大手のロイヤルHDが総合商社の双日と資本業務提携を結んだとのことだ。

外食産業はこのコロナ禍の中で最も影響を受けた産業の1つだろう。

ロイヤルHDはコロナウィルスが上陸するはるか以前から経営リスク軽減戦略として機内食、ホテル、空港・高速道路・百貨店等の施設内レストランなどの多角化を進めてきた。

しかしながら不運なことにロイヤルHDのこの戦略は結果的に奏功しなかった。

このコロナ禍で本業のファミリーレストランだけでなく人々の移動に伴うビジネス全てが一時的とはいえ「超不振」に陥ってしまった。

多角化というのは難しいものだ。

いくらリスク分散とはいえ企業の持っている技術・ノウハウと顧客市場のどちらからも離れた事業分野に進出することはリーズナブルではない。

ゆえにロイヤルHDが採った多角化戦略は決して間違っていなかったと思うがコロナ禍の影響が前例がないほど広範囲に及んだということなのだろう。

ロイヤルHDが今後双日からの協力を得てどんな業務提携効果を生み出していくのか、・・・もしかしたら他企業なども参考になるのかもしれないと思うのである。


医薬品メーカーの社会的責任は大きい

2021年02月10日 | 経済

福井県の医薬品メーカーが品質管理上のミスで116日とかの業務停止処分を受けていた。

なんでも水虫の経口治療薬に睡眠導入剤が混入し服用者200名以上が被害を受けたとのことだ。

福井県の立ち入り調査によれば法令違反は数知れず、経営陣も黙認状態だったというから驚きだ。

品質チェックより製品の安全供給を優先したというが医薬品メーカーにあるまじきマネージメント不在である。

現社長は引責辞任するとのことだがそれにしても116日の営業停止処分で杜撰な製造プロセスが完全に是正されるのか甚だ疑問である。

被害者の中からも更なる厳罰を求める声が上がっているが当然だろう。

116日の営業停止は異例の長さだというが要は期限ではなく業務改善計画の立案と生産管理・品質検査体制の再構築を第三者の目でキチンと確認することだ。

それにしてもこんないい加減な医薬品メーカーが長年存在していたなんてとても信じられない。

被害者はこの怒りをどこにどうぶつけたらいいのだろうか・・・。