goo blog サービス終了のお知らせ 

空をみながら

 地球規模、宇宙規模で考える。死角のない視野の獲得。憲法9条を守ろう。平和のための最高の武器だと思う。

三島由紀夫の才能

2010年03月25日 07時55分17秒 | 思考試行
散歩のコースに、古本屋をいれることがある。そこで、ドナルド・キーンの「日本の作家」という本を買った。三島由紀夫のことが、多く載っている。拾い読みしていて、急に関心がでてきて、以前から持っていた、日本文学全集の中の、三島由紀夫の巻を取り出してきた。少し読み始めて、才能ということを思い知らされる。感じ方については、明かに、自分とは違うのだが、それを表現する力、明晰さ、に圧倒される。

金閣寺を以前にも読んだことがあるが、全然記憶になかった。今読み始めて、上記の印象が鮮烈である。映画もそうだが、一度見ただけでは、記憶に残らない。理解もしていない。忘れてしまっている。今回もそうなのだが、しかし、作品がせまってくるものを、素直に把握できる実感がある。始めて、作品の魅力、表現にふれる意味を体感した。

それで、三島由紀夫は、すごい作家と言われているのだという実感を、始めて体験した。それでも、時代は変化する。人間は、同じところに留まってはいない。感性も変化する。今や
彼の、この明晰さの意味が理解されるのだろうか。こういう作家は、確かに稀有であり、これを母国語で読めるわけだから、幸せなことである。

この感性を味わってみたいと思う。それにしても、この贅沢な環境のなかで、自分自身がどのように、何を捕まえるのか、楽しみである。材料は、すでにたくさんある。後は、自分次第なのである。これが老齢期に入った者の、特権であろう。