ハブ ア ナイス doi!

いつまで続くのかコロナとの戦い。
全て解放されて、もっと、もっと
心から楽しまないとねえ。

このご時世に

2009年11月13日 21時39分46秒 | 最近の出来事
黒部ダム建設にまつわる事件を題材にした小説
「高熱隧道」や
未曾有のヒグマ被害の事件を題材にした
「羆嵐」などの
秀逸なドキュメンタリ作品を書き上げた吉村昭の
エッセイがある。
タイトルは「蟹の縦ばい」。
たまには横に歩かない蟹のように
日常生活を逸脱してみたい
という思いで綴ったエッセイなんだそうだ。
この作家は食べることと
飲酒が大好きで、
そんな関連の出来事と
出会った様々な人物模様を描いている。
そんな作品の一節に、
関東生まれで罪を犯し
逃亡する犯人は、
何故か東北や北海道に逃げるんだという。
そのことを「逃亡」という小説を書くときに、
老練な刑事から聞いたそうだ。

関東生まれの吉村氏には
その理由がよくわかるそうだ。
関東生まれのヒトはやはり関西が
異郷の地のように思えるからなんだそうだ。

外国人女性の殺害に関与した疑いで逃走していて、
大阪で捕まった市橋容疑者は、
岐阜県出身だとか。
逃走経路が大阪だったり
神戸だったり福岡だったりしたそうだが、
吉村氏の言葉を借りれば、
彼にとって関東は
文化や人柄の異なる異郷の地だったんだな。

かの事件の真相は
これからの取調べで明らかになっていくだろう。
しかし、この事件に関係のない我々にとって、
この事件の真相を知りたい
というのは、やはり好奇心でしかない。
そのために、真実追求をと望む声に、
報道はそんなに応えなくていいんじゃないかと
思うのだ。
仕事上で知り合いの新聞記者は
この事件で振り回されているそうで、
昨日あったときはふらふらの状態でした。
そんなに無理してまで、
報道する使命があるのだろうかね。

ま、それはさておき、
もし自分だったらどこに逃げてたかなと考えてみた
(逃げることの善悪は別にして)。
するとやっぱり、東北や北海道などの地方ではなく、
四国か九州あたりに逃げただろうと思う。
もしくは、和歌山あたりが
意外な穴場なのかもと思ったかもしれない。

吉村氏の言うように、
逃走にはなじみのある土地を選びたくなるんやね。
文化圏の違う東北や
北海道に行けば
関西人は浮き上がってしまうような気もするしね。

2年数ヶ月の間、
彼に気の休まる時はなかっただろう。
常に視線におびえ、
目立った行動は控え、
ひたすらビクビクしながら暮らしていたに違いない。

しかし、しかし、だ。

そんな境遇にもかかわらず、
仕事に就き
一年間で100万円を貯めたことは
まさしく驚嘆に値する。

失業率が高く、
仕事がないのは社会が悪いと
嘆いている人達はいったい何なんだ?
と思ったヒトも多いだろう。

その気になれば殺人容疑者でも
働いて金を稼ぐことができるのである。

これはいったいどういうことだと、言いたくなる。
犯人の逃走経路はこうだとか、
事件の動機はこれだとか、
無理して彼の足跡を追及して
報道するヒマがあるなら、
就職難と叫ばれているこのご時世に
就労に関するこんな実態に
もっと目を向けた報道をしてほしいものだ
とdoironは思うのじゃった。

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