文化財の修復に関して
興味深い話を聞いたことがある。
布でできた文化財の、
ところどころ元の布がぼろぼろになっている部分を
修復する方法についてのことだ。
素人的には、
その部分をしっかりした糸や布で補強し、
二度と破れることのないようにすればいい
と考えがちだが、
実際は逆で、
強い糸や布で修復すると
他の部分に負担がかかり
傷みがよりひどくなっていくのだそうだ。
だから、修復するときは
周りの糸よりもずっと弱い糸を用いるのだそうだ。
具体的には、
電子線を照射して
わざわざ劣化させた
電子線劣化絹
なんかがいいらしい。
そうすることで
本来の部分を
結果的に長持ちさせることになるという。
そういわれればそうなんだよね。
人間も長く生きていると、
あちこち弱ってくる。
そんな時にこのことを当てはめてみよう。
弱ったところを修復しようと
強い力をかけると、
他のところが弱るのに
どこか似てないだろうか。
また、困ったことがあれば
とりあえずじんわり修復し、
人生になじんでくるまで
根気よく待ち続ける。
そうすれば、少しずつ
周りと同化して困っていることも
何となく輪郭がぼやけてくる。
そういった、難儀克服の秘訣
というか示唆に富んだ修復手法ではないかいね。
さらに、文化財の修復でさらにこんなことも聞いた。
修復の際、
最も心がけることは、
対象物を新しいものに
生まれ変わらせることではなく、
古いままで
それをいかに長持ちさせるかだという。
人間、齢を重ねた時に
より若くなろうとするのではなく、
今の齢を保つ努力をする方が長持ち、
すなわち長生きするのかなと
改めて思ったdoironなのであった。フムフム
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