雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

田嶋春にはなりたくない

2016-10-07 21:00:00 | 

白河三兎著"田嶋春にはなりたくない"を読みました。
法学部に通う田嶋春はまわりの人々に好かれていません。
曲がったことが嫌い、ルールーは守る、思ったことは
ストレートに言います。
私には田嶋がそれほどおかしな人物には思えません。
むしろ普通に見えます。
まわりの人々の方がねじ曲がっているように感じます。
田嶋は空気が読めないと言われていますが実に深く
人の心がわかっています。
真実が見えています。
法曹界向きの人物ですし、いい仕事をしそうです。
いつか将来には彼女の評価は大きく変わるでしょう。
彼女の周りに素晴らしい人々が寄ってくるような気がします。

読んで楽しい本ではありませんでした。
どんよりした気分になりました。

交番の夜

2016-10-06 21:00:00 | 

名取佐和子著"交番の夜"を読みました。
ほのぼの暖かい気分になります。
交番が舞台で主人公は担当地域の住民のことなら過去から
現在まで知っているカーリーヘアの了津寛子、リョウヒロです。

"師走の花火"
麻由子と佳織は中学時代の同級生です。
二人とも当時住んでいたみそら市から離れて暮らしています。
佳織は夫の不貞で悩んでいます。
真由子からの連絡で、二人は中学時代にやり残したことをするために
戻ってきました。
彼女らの前に了津が現れました。
二十年前の出来事を了津は知っていました。
彼女らをいじめていたクラスメートが連続殺人事件の被害者として
亡くなっています。

"弥生きょうだい"
小学生の陽太は光太の手を引いて家を抜け出しました。
みそら台団地にいるかもしれない母を訪ねてきました。
智矢は路上ミュージシャンをしています。
陽太たちを見つけた智矢は二人の世話をやきます。
光太は自閉症児です。
手がかかるため専門の施設に入ることになって、二人は別々に
されてしまいます。
それが嫌で抜け出してきました。
了津は陽太の話と智矢の話から彼らの秘密を見抜いてしまいますが
自然とわかるまでそっとしておきます。

"さようなら、水無月"
了津は同僚の泉が交番勤務を定年退職する時に、泉が私用に書き留めて
いたノートをすべてもらい受けました。
彼女はすべて読んで頭の中に入れています。
二十年前の連続殺人が起こった時、泉は犯人を追っています。
その日の出来事だけがノートに書かれていません。
了津は毎年その日に泉を訪ね何が起こったか問いただしています。

交番に差し入れを持ってきてくれる香子が行方不明になりました。
認知症が出てきたようです。
犯人を捕まえる直前に犯人を阻止しようとして刺され亡くなった
人がいます。
泉と香子、亡くなった森修仁との間には関係があるようです。
その日のことが明かされます。

了津のような人がいて欲しいですね。
情報を頭の中へ蓄え、それを利用して現代の出来事をいい方向へ
解決していきます。

一番線に謎が到着します

2016-10-05 11:10:53 | 

二宮敦人著"一番線に謎が到着します"を読みました。
蛍川鉄道の藤乃沢駅に働く人々が中心の話です。

"亜矢子の忘れ物"
人気の漫画家の本城和樹は目の病気でもうすぐ描けなくなります。
連載の漫画を閉じることになりました。
最後の原稿を編集者の亜矢子が電車の中に置き忘れて
しまいました。
全駅に連絡し調べ、乗っていた電車も調べましたがみつかりません。
駅員の壮太はこの紛失にはわけがあることに気づきます。

"化けて出たダーリン"
藤乃駅やそのほかの駅に幽霊が出るという噂がでています。
ラップ音やポルターガイストなどで駅員たちの間でも
除霊をしたらと話題になっています。
近所に住み野菜を差し入れてくれるキヨが夫の霊だから
自分が除霊の費用を出すと言い出しました。
キヨの夫は駅舎の建築に関わってきました。

"俊平と、立派な髭の駅長"
雪が降ってきました。
大雪になって電車の運行に関わってきそうで駅員たちは皆
準備に大わらわです。
どんどん降り積もりとうとう山の中で架線が切れ電車が
立ち往生してしまいます。
暖房が切れ乗客は寒さに見舞われます。
乗客の一人が病気で倒れます。
一刻もはやく病院へ運ばなくてはなりません。
電気がなく、止まっているのは山の中、どうしようもない状態
ですが知恵を絞って行ける方法を考えます。

俊平という就職活動中の学生の話がところどごとに挟まれています。
俊平は雪に閉じ込められた電車の中にいました。
蛍川鉄道を受けてみたらという家族の話を一蹴していました。
彼は電車に関わる人たちの姿を見て就職に対する思いは
変わっていきます。

最後に三話に登場した人々が関わりがある人々だったことが
明かされます。
藤乃沢駅には駅長がいるような、いないような人々の態度は
なんだったかもわかります。

ほのぼのとしてくる話でした。

星読島に星は流れた

2016-10-04 11:11:41 | 

久住四季著"星読島に星は流れた"を読みました。
文字通りの孤島ミステリーです。
舞台はアメリカのボストン近くの海に浮かぶセントグレース島です。
日系アメリカ人加藤盤が主人公です。
盤は妻子を事故で亡くし今は訪問医師をしています。
セントグレース島に一軒だけある家に住むのは天文学者のサラです。
隕石が落ちてくるのを観察するため何万人の応募者からから選ばれた
数人が島で数日を過ごします。
この島には数年に一度隕石が落ちてきます。
隕石は集まった人達の誰かに贈られます。
サラは事故で車椅子を使っています。

盤は選ばれて島へ行きます。
島での案内人を兼ねているNASA職員のエリス
美宙という未成年の学者、隕石回収業者のマッカーシー、
金持ちのニートのデイブ、スミソニアン博物館のアレク、
体調の悪そうなサレナが集まりました。
マッカーシーは何回も参加しているようです。

夜に館が揺れました。
島の中を探しに出てボーリング球の3倍ぐらいの隕石を見つけます。
朝になると隕石は消えていました。
マッカーシーの姿も消えています。
やがて彼は海に浮かんでいるのが見つかります。
連絡する装置が壊され迎えの船が来るまで閉じ込められます。

サレナの死体が見つかり犯人は彼女と決着がつきます。
しかし裏に隠された真実がありました。

面白かったです。
でも冷静になってみればこれだけ手のこんだことをする必要が
あったのかと思えてきます。
それを言ってしまえば小説は成り立たないですよね。


パソコン、買った最初からなんか調子悪いです。
最近はまたまたキーボードの入力がおかしくなりました。
こんなにも入力ミスをしているのか悲しくなりましたが、
そうではなくうまく入力されないのです。
今日は突然パソコンが「ね!」ってへんな声で叫びます。
ね!っていわれてもねぇ。
いったい何なのさ。

凪の司祭

2016-10-03 17:07:38 | 

石持浅海著"凪の司祭"を読みました。
須佐達樹は会社に努めながら夜や休日にレストランで
働いています。
いずれ田舎に帰り両親の食堂を継ぐ予定です。
婚約者の篠崎百代も将来に備え喫茶店で働いています。

達樹はゲリラ豪雨に気づかず地下の店に雨がなだれ込み
溺れて亡くなりました。
百代は店の常連に達樹が死んだのは、汐留に建ったビルが
海風を遮ってゲリラ豪雨の原因になったからだと聞きます。
多数の死者を出す事件を起こせばビルは取り壊されるかも
しれないと聞き、百代は決行することにします。

化学工業の研究員の藤間、大学の経営学部の助教の池田、
狙ったショッピングセンターアルバ汐留に出店している
店の社長の冬実、総研の木下、医学生の三枝の五人が
五人委員会となって百代を助けました。
実際に手は出しませんが、体に付いただけで死亡する毒の
作り方、使用の仕方、アルバ汐留の構造などを百代に
指南します。

実行時に五人は現場にはいない予定でしたが木下が殺されて
いるのを見つけて四人は百代を止めようとアルバ汐留に
行きます。
しかし百代はすでに開始しており四人は巻き込まれてしまいます。

こうして百代は二千人以上を殺戮していきます。

百代は恋人を失って心がおかしくなって物の見方が狭くなり
こんな非常識なことを犯してしまうということは
あるかもしれません。
しかし思慮のある五人が後押しすることには疑問が残ります。
中の数人は自分の欲望のために利用したといえます。
残りの人たちは自分の手は汚していませんが、罪深いです。

現実には一人対何万人でみすみすやられてしまうとは思えません。
たぶん数人を殺められるだけでしょう。
しかしこんなことが、できてしまうかもしれないという感じは
受けました。
実行犯が一人でなくグループだったらどうでしょう。

夢の猫 古道具屋皆塵堂

2016-10-02 21:00:00 | 

輪渡颯介著"夢の猫 古道具屋皆塵堂"を読みました。
皆塵堂シリーズの七冊目です。
この本自体にこれでシリーズは終わりだと書かれていませんが、
紹介された物を読むと終わりだと言われています。
今まで皆塵堂で働いたことがある人たち、関わり合いがある
人たちがいっぱい出てきます。

おきみは両親を亡くして一人になってしまいました。
借金が残されました。
父親が根付を残していきました。
古道具屋に行く前に見る夢に黒くて後ろ足の先が白い子猫が
現れます。
おきみが最後に行ったのが皆塵堂です。
題名の夢の猫はこの猫です。

猫好きの魚屋の巳之助の長屋では猫たちが子を産みました。
すぐ側に住む太一郎の家の猫と合わせ12匹の子猫が生まれました。

皆塵堂の隣の米屋に奉公している円九郎は実家を勘当されています。
そろそろ戻りたいのですが一向に許しがでません。
蓮介と空家へ何が憑いているか調べるため泊まることになりました。
奉公先の主の子を宿し、産んだらすぐに子を殺された女が
憑いていました。

太一郎は猫が大嫌いなのに猫の方では好きでまとわりついてきます。
子猫たちから逃れるため旅にでました。
旅先で印籠を買ってくれという男に出会います。
この印籠に幽霊がついていました。
男に印籠を奪われた男です。
そしてもう一人女の幽霊が憑いていました。
太一郎の知り合いの庄三郎の母親です。
男は庄三郎の叔父で彼らをひどいめにあわせた人物です。

巳之助は12匹の子猫のもらわれ先を探して走りまわります。
知り合いを片っ端から訪ね強引に話をつけていきます。
そんな折に別の所に3匹の子猫が見つかります。
この中におきみの夢の中に出てくる子猫がいました。

皆塵堂にはたくさんの人が奉公にきたものですね。
幽霊の見える太一郎、猫好きの巳之助が印象に残っている
登場人物かな。
幽霊付の品物を扱う皆塵堂おもしろかったです。

過ぎ去りし王国の城

2016-10-01 21:00:00 | 

宮部みゆき著"過ぎ去りし王国の城"を読みました。
この本も先日読んだ"はるひのの、はる"と同じように
現実とは違った話です。
中学生の尾垣真は銀行の壁に張ってあったのが床に落ちた
絵を拾いました。
城の絵が描かれていました。
夜に絵をみつめていると絵の中に引き込まれそうになりました。

城田珠美は同じ中学の美術部員です。
他の生徒から無視されていますが毅然としています。
真は絵の中に入りたくて絵にアバターを描いてくれる人を
探していました。
真は珠美に近づきアバターを書いてくれるよう頼みます。

二人は絵の中に入っていきます。
城の中に小さな女の子が閉じ込められているのを見ます。
絵から戻ると体が弱っています。
食べ物をむさぼり食べます。
エネルギーを奪われてしまうようです。

絵の中に入った時に別の人物に出会いました。
漫画家のアシスタントをしている佐々野一郎、パクさんです。
3D化したコンピュータ画像から入ってきました。

パクさんは塔に閉じ込められた少女が誰か知っていました。
10年前に失踪した伊音という子です。
両親に虐待されていて当時殺されたのかもと疑われていました。

彼らは絵を書いて少女を閉じ込めたのは大人になった伊音自身
だと思いました。
少女を助けだしてやりたいと思いますが絵がじゃまをします。

はたしてどのようにして助けの手を差し伸べてやれるのでしょう。

伊音と同じような苦しい現実に生きている珠美です。
珠美の現状は変わっていませんが、彼女なら強く
生きていくだろうと感じます。

世界は一つだけでなくいくつもあるという発想、おもしろいです。
自分を救いたい別の自分、わかるような気がします。