雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

春秋の檻 獄医立花登手控え

2012-02-28 18:39:46 | 

藤沢周平著"春秋の檻 獄医立花登手控え"を読みました。
最初のうちはなんか重苦しい話だなぁと感じましたが
すぐにそんなことはなくなりさらっと読めました。
読み進むにつれ知っているような感じがしました。
テレビドラマでこのような話を見たような記憶が
あります。検索してみるとありました。
1982年にNHKで放映されています。
中井貴一が立花登、宮崎美子が小牧ちえ役だそうです。
ちえがいじわるく登にあたる場面をおぼろげに思い
出しました。
時代小説の事件物です。

医者になった登は江戸に住む叔父を頼って出てきました。
叔父ははやらない医者で副業に獄医をしていました。
登が獄医を手伝うことになります。
連作短編集です。

"雨上がり"
腹が痛いという獄中の男に頼まれ事をします。
仕事の分け前をもらってきて女に渡して欲しいと
いうものです。
男は女に手を出した男を殺して島流しに決まりました。
登は頼まれ事を果たすため仲間に会いに行きます。
分け前を出したくない仲間とひと悶着の末に手にした
お金を渡しに行くとその女は仲間といっしょにいた
女でした。

"善人長屋"
目が見えない娘を持つ吉兵衛が人を殺したと捕まりました。
無実だと登に訴えます。
吉兵衛の知り合いの源六と与五郎が娘の面倒をみています。
だんだんと真相が見えてきます。
三人で人を殺してお金を盗む事件を起こしています。
さらに昔にもう一人加えて4人で強盗をして大金を盗みました。
お金を隠した男が捕まって島流しになっています。
娘はその男の子供です。娘の面倒をみながら男が
島から帰ってくるのを待っています。

"女牢"
女牢を見回った時知った人に出会いました。
彼女の夫が怪我を見てやりに家に通ったことがありました。
その女房が夫を殺しました。
理由を言いません。
夫はばくちで大きな借金を作りました。
借金の方に女房を借金の相手の自由にさせました。
それで夫を殺したのです。
死罪になることが決まった女は昔心魅かれた登に抱かれ
たいと願い、牢名主が力を貸し登を牢の中にひっぱり
込みます。

"返り花"
ご家人の小沼が妻が差し入れた餅菓子を食べて死にかけました。
登は妻の登和を調べ始めます。
餅菓子は小沼の同僚の松波から渡されたものです。
登和は昔馴染みの井崎に松波に会ってくれるよう頼みます。
井崎は松波を強請ったため殺されてしまいます。
小沼の疑いは松波の罪だということがわかって解き放ちに
決まります。
井崎が死んで残念そうな登和というのがなんとも言え
ない話です。

"落ち葉降る"
平助が捕まり入牢しています。
盗みぐせがある男ですが娘のおしんのためにやめよう
としていました。
今回ははめられたようだというのです。
娘には恋人がいます。清吉というその男は親方の
娘との縁談があっておしんと別れたがっていました。
おしんを陥れるため父親をはめました。
おしんは清吉を刺してしまいます。

"風の道"
鶴吉はどんなに攻められても口をわろうとはしません
でした。
口を割れば女房の命が危なくなるからです。
牢内に入り込んだ仲間に鶴吉は殺されてしまいます。

"牢破り"
叔父の娘のおちえがかどわかされました。
登は牢破りの道具を牢内に持ち込むよう脅されます。
おちえは奔放な娘で叔母も手を焼いています。
おちえを救出するため登の知り合いたちが協力してくれます。