吉野万里子著"思い出あずかります"を読みました。
海岸の崖の下の家には魔女が住んでいて二十歳以下の
子供たちの思い出を質にお金を貸してくれます。
思い出を質に入れてしまうともう思い出すことは
できません。
お金を返せば思い出を返してくれます。
魔女は魔女のイメージから遠いピンクのワンピースを
きた若く見える女性です。
遥斗は小学生、お母さんとうまくいっていません。
思い出を売りにきます。
里華は中学生で新聞部です。
魔女にインタビューを申し込みます。
書きあがった文章は先生に空想の産物だとみなされます。
里華自身は思い出を質入したことはありません。
魔女は遊びにくるだけでもいいといってくれたので
里華はしょっちゅう魔女の家にやってきます。
里華は好きだった雪成と一応付き合っています。
しかし雪成は誠意のある男ではありません。
芽依は里華のクラスメートです。しっかり者に見え
ましたが他のクラスの女子たちのいじめにあっています。
里華が撃退してやって二人は親友になります。
雪成の祖母の交通事故、遥斗の母の交通事故死が
起こります。
遥斗は母の思い出を魔女から返してもらいます。
魔女はずっと生きています。
長い経験があるのに彼女はどう振舞ったらいいか揺れる
ことがあります。
ちょっと人間くさい魔女です。
二十歳の誕生日が来ると魔女と出合ったということを
忘れてしまいます。
普通の子供はずっと早いうちに魔女のことを忘れますが
里華は二十歳まで忘れていません。
二十歳の前の日、里華は魔女の家を訪れます。
明日からは会えません。
子供の成長物語です。
なかなかおもしろかったです。
そんなこともあったなで終わる子供は魔女との出会いも
いいですが、深く関わった里華のようになると別れは
つらいですね。
ルールは魔女が決めているだけですから魔女さえ
変えようと思えばできるのでしょうが決まりを作って
線引きをしているのでしょう。
里華もいずれ忘れて生きていくのでしょうね。