雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

思い出あずかります

2012-01-17 19:45:17 | 
吉野 万理子
新潮社
発売日:2011-05

吉野万里子著"思い出あずかります"を読みました。
海岸の崖の下の家には魔女が住んでいて二十歳以下の
子供たちの思い出を質にお金を貸してくれます。
思い出を質に入れてしまうともう思い出すことは
できません。
お金を返せば思い出を返してくれます。
魔女は魔女のイメージから遠いピンクのワンピースを
きた若く見える女性です。
遥斗は小学生、お母さんとうまくいっていません。
思い出を売りにきます。
里華は中学生で新聞部です。
魔女にインタビューを申し込みます。
書きあがった文章は先生に空想の産物だとみなされます。
里華自身は思い出を質入したことはありません。
魔女は遊びにくるだけでもいいといってくれたので
里華はしょっちゅう魔女の家にやってきます。
里華は好きだった雪成と一応付き合っています。
しかし雪成は誠意のある男ではありません。
芽依は里華のクラスメートです。しっかり者に見え
ましたが他のクラスの女子たちのいじめにあっています。
里華が撃退してやって二人は親友になります。
雪成の祖母の交通事故、遥斗の母の交通事故死が
起こります。
遥斗は母の思い出を魔女から返してもらいます。

魔女はずっと生きています。
長い経験があるのに彼女はどう振舞ったらいいか揺れる
ことがあります。
ちょっと人間くさい魔女です。

二十歳の誕生日が来ると魔女と出合ったということを
忘れてしまいます。
普通の子供はずっと早いうちに魔女のことを忘れますが
里華は二十歳まで忘れていません。
二十歳の前の日、里華は魔女の家を訪れます。
明日からは会えません。

子供の成長物語です。
なかなかおもしろかったです。
そんなこともあったなで終わる子供は魔女との出会いも
いいですが、深く関わった里華のようになると別れは
つらいですね。
ルールは魔女が決めているだけですから魔女さえ
変えようと思えばできるのでしょうが決まりを作って
線引きをしているのでしょう。
里華もいずれ忘れて生きていくのでしょうね。

階段途中のビッグノイズ

2012-01-16 21:26:30 | 

越谷オサム著"階段途中のビッグノイズ"を読みました。
ロックに熱中する高校生を描いた青春小説です。
神山啓人は大宮本田高校の軽音楽部の部員です。
先輩二人と三人だけでした。
先輩は活動を何もせず、それどころか軽音楽部なのに
音を出すなと命令します。
その二人が覚醒剤の使用で警察に逮捕されました。
軽音楽部は廃部と決まりました。
九十九伸太郎は入部二週間でこなくなった部員です。
今まで出てこなかったのに先輩がいなくなって廃部と
決まったら、軽音楽部の存続のため校長に掛け合いに
行きます。
存続は条件付きで認められました。
一つには顧問の先生がいなければ練習してはいけないこと。
もう一つは半年以内に成果を出すことです。
顧問には誰もなってくれません。
カトセンと呼ばれるきのこ頭の国語教師がいます。
何を考えているのかわからなくて生徒に敬遠されています。
カトセンにお願いしたところあっさり引き受けてくれました。
ベースは伸太郎、ギターは啓人、もう一人嶋本勇作
というギターのうまい人が加わります。
吹奏楽部で打楽器をやっていた岡崎徹が指導教師の
横暴に耐えかねて吹奏楽部を辞めて、軽音楽部のドラマー
として加わります。
ボーカルは啓人です。

練習場所は屋上へ続く階段です。
屋上のドアは開けてもらえません。
カトセンは机と椅子を持ち込み口出しすることなく
彼ら4人に黙って付き合っています。
下の階からうるさいといわれ古毛布で壁をこさえて
夏の暑さに耐え練習を続けます。

はじめは不祥事を起こした部と顧みられなかった軽音部
ですが、だんだんとまわりの態度が変ってきます。
もれ聞こえてくる音楽を聴いてくれています。

田原マニアという学園祭で演奏することになります。
ところがその数日前に勇作が交通事故で腕を骨折
してしまいます。
一人抜けた三人でどうするか悩みます。
出場することにした彼らです。
当日の会場は満員です。
勇作の替わりに突然登場したのはあの人でした。
熱狂的な聴衆を前に演奏します。

階段で練習する彼らですがみんなの心をつかむ
演奏が出来て一生の宝となるものが得られました。
楽しい話です。わくわくします。

それにしても階段が練習場所だなんてと思ったけど
毎日タダで音が出せる場所があれば充分ですね。

金融探偵

2012-01-15 19:49:15 | 
池井戸 潤
徳間書店
発売日:2004-06-20


池井戸潤著"金融探偵"を読みました。
金融とありますから難しい言葉や数字の羅列ではないかと
思いましたがそんなことはありません。
難しいことはありませんでした。
大原次郎は勤めていた銀行が閉鎖されて失業中です。
再就職先を探す毎日です。
アパートの大家の宮尾幹二は銭湯の経営者です。
銀行に融資をたのみましたが融資どころか貸はがしを
ほのめかされます。
アパートの店子に元銀行員がいることに気が付いて
対策を聞きにきます。
次郎がうまく解決してやったことから大家の娘の梨香に
金融探偵になることを勧められます。
連作短編集です。

"銀行はやめたけれど"
大家さんと銀行との間の問題の話しです。

"プラスチック"
次郎が交通事故を起こします。
飛び出してきた女性を撥ねてしまいます。
病院へ担ぎ込まれた女性は記憶障害を起こしています。
彼女の告げた名前、住所には住んでいません。
夫の会社は倒産しています。
もう一組行方不明な夫婦がいます。
火事で一組の夫婦が死んでいます。
交通課の藤村という警察官がこの話しから時々
登場してきます。

"眼"
橘田有一は眼の病気で角膜移植を受けています。
しょっちゅう同じ幻覚を見るようになります。
元の角膜の持ち主が見たものではないかと
相談に来ます。
幻覚に出て来る場所がわかり移植前にその場所で
強盗に会って亡くなった人がわかりました。
幻覚に出て来る写真の女性も現実にいました。
その死の真相にせまります。

"誰のノート"
祖父が買い取った三冊のノートが父親から孫である
戸川耀子へと引き継がれてきました。
ノートを持ち主の家族へ返したいと相談がありました。
ノートの内容から書き手を突き止めていきます。
年代とパリへ渡航して貧乏暮らしをしていた文筆業
らしい人ということから島崎藤村のものではないかと
判断します。

"藤村の家計簿"
前の話の続きになります。
ノートを鑑定に出してみると贋作だとわかりました。
祖父戸川画伯も当時パリにいました。
贋作作りに協力していたのではないかとの噂が
流れています。
はたしてこのノートは何なのか。

"人事を尽くして"
川崎商業銀行への就職は手ごたえがありました。
同じ頃中小企業の塗装会社の社長が相談にきました。
銀行にうまく騙されたので計画倒産をしたいので
手伝って欲しいということです。
その銀行が就職したいと思っている川崎商業銀行です。
その話しを持ってきた社長の死体が見つかります。
しかも次郎のところへやってきた人物ではありません。
近所の企業の社長と銀行員が関わった事件です。

"常連客"
次郎は尾身鍼灸治療院へ通うようになりました。
尾身は目が見えません。
治療は約1時間です。
予約制です。
次郎の後の女性は予約より30分も早くきています。
治療院の向かいの銀行の輸送車がおそわれお金を
奪われました。
自動車ディーラの経営者からゆすられていると相談が
持ち込まれます。
銀行強盗とゆすり、どんな関係があるのでしょう。

次郎は新しい就職先が本の最後でも決まっていません。
かといって金融探偵としてやっていこうと腰を据えて
いるわけでもありません。
なんだか中途半端です。
でも結構おもしろかったです。
交通課なのに事件のたび引っ張り出されている藤村も
なかなかいいキャラクタです。

カラスの親指

2012-01-14 18:35:47 | 

道尾秀介著"カラスの親指"を読みました。
おもしろかったです。
何回も話しが覆されます。
いつもねたばれで書いていますがこの本ばかりは書いて
しまったら恨まれそうです。

始まりは保証人になったりお金を借りたことです。
武沢竹男は同僚について賭博に行き雰囲気に呑まれて
同僚の借金の保証人になりました。
同僚は逃げてしまいました。
妻は病死し小さな娘がいました。
借金の取立てに悩まされ、ついにはその組織の取立てを
することになりました。
激しい取立てのため女性を自殺に追い込んでしまいます。
後悔にさいなまれ悪事の証拠の資料を組織から持ち出し
警察に提出します。
そのせいで家に火を点けられ娘は死んでしまいます。

武沢は詐欺師になりました。
鍵に接着剤を注いで鍵の交換をさせようとした鍵屋の
入川鉄也と知り合い仲間になりました。
入川は武沢の家に転がり込んできて二人は協同生活を
送ることになります。
入川は妻が覚醒剤に溺れあげく自殺したと告白します。

町で掏りを働く若い女に出会い助けてやります。
彼女は河合まひろです。
武沢が自殺に追い込んだ女性の娘でした。
家を追い出されかけていると聞き自分達の家に来ても
いいと言ってやります。
本当にまひろはやってきます。
しばらくして姉がいるのだといい、姉のやひろとその
恋人の石屋貫太郎がやってきて住みつき5人の生活が
始まります。

武沢は裏切った組織に見つかることをおそれています。
またしても家に火を点けられ引越した先でもいやがらせを
されるようになりました。

同じ組織に恨みがある5人が協力して反撃を開始します。
ここから先はあっと驚く展開です。
ご自分で読んでください。

今は法律が改正されサラ金の取立ても以前ほどでなく
なったようです。
それでも何かの拍子にお金を借りたらどんなことに
なるかわかりません。
軽い気持ちで借りてはいけませんね。

カラスとは玄人という意味だそうです。
親指は父親指であり、親指だけが他の指と向き合える
指だそうです。そう言われればそうですね。

ストーリー・ガール 上

2012-01-13 18:30:51 | 
モンゴメリ
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2010-01-23


L. M. モンゴメリ著"ストーリー・ガール 上"を読みました。
ずいぶん前ですが"アボンリーへの道"というテレビドラマが
ありました。その原作にあたります。
ドラマはとてもいい作品でした。でも所々を見ただけです。
全部を通して見たかったです。
そう思っていたらこの間の新聞広告にDVDが発売されて
いると広告が出ていました。約2万円か、ちょっと高い。
モンゴメリーはご存知のとおり赤毛のアンの作者です。
この本はアンと雰囲気が似た作品です。

13歳のべバリーと弟のフェリックスは父親が仕事でリオへ
行くことになり、カナダのプリンス・エドワード島の
アレックおじとジャネットおばに預けられることになりました。
ダン13歳、フェリシティ12歳、セシリー11歳の
いとこがいます。
近所に住むオリビアおばとロジャーおじの家にはやはり
いとこのセアラ・スタンリーが預けられています。
彼女がストーリー・ガールです。
近所に遊び友達のセアラ・レイという同名の子がいるため
そう呼ばれています。
ロジャーおじの手伝いに雇われているピーターという
男の子がいます。頭がいい子ですが働いているため
あまり学校へは行っていません。

ストーリー・ガールはお話がとてもじょうずです。
親戚の昔から語り伝えられてきた逸話や近所の人たちの
出来事などとてもじょうずに語って聞かせます。
みんなが彼女のお話を聞きたがります。

いとこたちや、近所の子、雇われている子が集まっては
楽しく時を過ごします。
とても仲良くたのしそうです。
フェリシティはとても美人で料理じょうずです。
セシリーはしっかり者です。
いろんな出来事が語られます。
毒だから食べてはいけないと言われている果物を妹の
フェリシティに食べてはいけないと注意され、ダンは
意地になって食べてしまいます。
ダンは腹痛で一晩苦しみ、セシリーがしっかりと手当て
してやります。

アレックスおじ、ジャネットおば、オリビアおばが
親戚の家に出かけていき、ロジャーおじ、ストーリ・
ガールが家に来ていっしょに過ごします。
ストーリー・ガールは料理は得意ではありません。
プディングを作ってみんなに食べさせます。
おいしくありません。
あとでわかったことは針山を分解して針を抜き出した後の
おがくずをトウモロコシ粉だと思って使用したことです。
ロジャーおじはからかって針を食べてしまった、お腹が
痛いと騒ぎ立てます。
子供達は人にしゃべらないと約束してくれますがロジャー
おじはことあるごとにしゃべりまわってストーリ・ガール
を苦しめました。

下巻があります。これから大人になっていくのでしょうね。
おがくずの話しは読みながらけらけら笑ってしまいました。
幸せな子供時代です。

寿フォーエバー

2012-01-12 20:05:52 | 
山本 幸久
河出書房新社
発売日:2011-08-23
山本幸久著"寿フォーエバー"を読みました。
ブライダルコーディネータを主人公にした仕事小説です。
"本日は大安なり"も同じくブライダルコーディネータが
主人公でした。
続けてブライダルコーディネータのお仕事小説を
読みました。
昔はブライダルコーディネータという仕事があるなんて
知りませんでした。最近はよく聞きます。

井倉靖子は結婚式場の寿樹殿に勤めています。
亀チームに属しており多々良課長、カニ平さんこと
小久保平蔵、若大将ことバツ3男の中島忠の4人で
仕事をしています。

靖子が現在担当しているのはハリー&メロロンの30
過ぎのカップルです。
来賓者が三百人を越えるめったにない大きな式を
予定しています。
二人は何回打ち合わせをしても式の決め事を決められ
なくて靖子はほとほとあきれています。

寿樹殿は大きな古い式場です。近所に現代的な
ル・ボウ・マリアージュという商売敵が現れました。
なにか対抗策を取らなければと危機感を抱いています。

結婚式場ではお客さんを獲得するため擬似結婚式を
行ったり食事の下見ということを頻繁に行って
いるのですね。本を読んでそうなんだと知りました。
あちらこちらの式場をめくり歩くのを楽しみにして
いる人たちも多いとか。

ハリー&メロロンの結婚はハリーの会社の倒産を期に
破談となります。
ハリーはメロロンの家の資産を目当てにしていた
男でした。
メロロンはお金持ちのお嬢さんですが本来はもっと
しっかりした女性です。
ハリーに合わせるため無理して優柔不断な女性を
演じていました。
保母さんの資格を持っていて以前は保母として
働いていました。
靖子の寿樹殿に幼児を預かる部屋を持ちたいという
計画に加わってくれます。

もう一つの結婚式が高校生の男の子が依頼したものです。
アルバイトで稼いだお金で両親の結婚式を挙げて
やりたいというものです。
再婚で父は義理の父です。
両親は結婚式をあげていません。
二人に内緒で話しを進めていきます。

"本日は大安なり"に較べると現実感は乏しいのですが
いっしょうけんめい働く人たちが気持ちいいです。
グループで働く楽しさも伝わってきます。

結婚相手は抽選で

2012-01-11 19:56:40 | 
垣谷 美雨
双葉社
発売日:2010-07-14

柿谷美雨著"結婚相手は抽選で"を読みました。
人が結婚をしなくなり子供が減少してきたことを憂い、
抽選見合い結婚法が可決されました。
抽選で見合いをして断れるのは2回、3回目に断ったら
テロ撲滅隊での二年間の厳しい訓練が待っています。
断られる方はいくら断られてもいいです。
鈴掛好美は看護師です。DVの父親を持って苦労しました。
母親が好美にべったりです。
冬村奈々はラジオ局勤めです。
銀林嵐望と結婚するつもりでした。
共に仕事を持ち共同で生きていきたい嵐望と専業主婦
願望の奈々と意見が食い違い別れました。
宮坂龍彦はシステムエンジニアです。
女性とつきあったことがありません。

抽選見合いをめぐる彼、彼女たちの顛末気です。
無理やり結婚させようとは無謀な試みです。
でも何十年か前は写真だけで会いもせず結婚した
なんて話しを聞きますからあながち無謀とは
言えないかもしれません。

嵐望は好美に好意を持ち、好美も嵐望が気に入りました。
娘にべったりの母には自立して欲しいと思っています。
嵐望に昔親に反対された恋人がいて子供がいることを
告げられます。彼女はすでに亡くなっています。
好美はその話しを聞いて嵐望と別れ、お見合いも3回
断り、看護師であるため過疎の島に派遣されます。
ついてきた母親はこの島の暮らしで知らず知らずに
自立していきました。

奈々は二人を断って三人目に龍彦と会います。
相手に断らせたくて龍彦にきつくあたります。
女性が苦手な龍彦ですが奈々と本音で言い合います。
結局断って欲しいという奈々の要望を受け入れて
断ってやります。

龍彦の知り合いの女性に縁のない男性たちは何度も何度も
断られ続けます。
しかし中には結婚して幸せになった人がいます。
結婚に至らなくても何人もの女性と出合って女性との
つき合い方がわかってきます。

好美は嵐望の子を出産します。
月1回嵐望はメールで近況を報告してきます。
好美は返事を出していません。
最期のメールだという嵐望のメールに対して好美は・・・

結局抽選見合い法は数年で廃案となります。
奈々は龍彦に連絡を取ります。

抽選見合い法という法律に振舞わされる男女です。
でもみんな何か変って、結果からみるとこういう
のも悪くないかもと思わせる話しでした。

寒さ談義

2012-01-10 20:20:25 | 最近の話題
お昼に食堂に行きました。
半分ぐらい食べたところで隣に男性の二人連れがやって
きました。
え、と驚く早さで食べ終わりました。
きっと食べるのではなく飲み込んだのでしょう。
そして二人で寒さ談義を始めました。
「ひざ掛けをしているけど立ち上がる時ひざ掛けを
外すと寒いんだ。」
「ひざ掛けがだんだんずり落ちていってしまうのが
嫌なんだ。」
「それなら前掛けにひざ掛けを縫い付けて紐で
しばっておいたらどうだ。」
「ああ、それいいね。」
「セーターを腰に巻いている人がいるだろ。セーターを
膝がわにして後ろで結んでおくか。立ち上がった時は
後ろにまわしておけばいいだろ。」

顔にはださずに心の中でにやにやして聞いていました。
よほど寒い職場なんでしょうね。
私のいる建物は築ナン十年の古いものです。北側の
窓の近くですきま風が入ってくるなんていうところ
だったら悲劇です。
幸い私は南側にいて暖房もきいていてそれほど
寒くありません。
朝のうち寒いと感じる時はたまにあります。
中には板一枚で外界と仕切られている建物もあります
から彼らはそんなところにいるのかもしれません。

国府宮神社へ参拝

2012-01-09 19:00:08 | 日常の出来事
毎年1月の初めの休日に母と上の弟といっしょに
一宮の国府宮でお払いをしてもらって、それから
下の弟の家を訪問するようになりました。
今日行って来ました。
いつもの年より今日は暖かい様に感じます。
昔より人出が少なくなったようですが、それでも
沢山の人がお払いを受けに来ています。
全員の住所、氏名と何を願うのかを神主さんが
読み上げるのですが厄払い祈願の人が多かったです。
厄年を気にするんですね。



国府宮の境内を1羽だけ歩いていた鶏です。こういう色の
鶏を見たことがありません。
1羽だけではさみしいね。他にもいるのかな。




下の弟の庭で育てている大根とねぎを抜いてもらって
帰りました。

腕貫探偵、残業中

2012-01-08 20:07:04 | 
西澤 保彦
実業之日本社
発売日:2008-04-18
西澤保彦著"腕貫(うでぬき)探偵、残業中"を読みました。
ミステリーです。
探偵役は名前がどこかに書かれていたかな。
本の中では腕貫男などと呼ばれています。彼は市役所の
職員で"何でも相談にのります"と看板を出してあちら
こちらで話を聞く仕事をしています。
この本には前作があります。まだ読んでいません。
そちらも読んでみたいと思います。
相談にのりますといっても市役所の仕事としての相談で
事件の相談ではないのですが、彼の元へ事件の相談が
持ち込まれます。
連作短編集です。最初の話だけは彼が実際に事件に
巻き込まれます。あとは安楽椅子探偵物です。
目だたなく物静かで、食べ物についてはうるさく
いろんなおいしい店を知っています。
最初の事件で知り合った大学生のユリエが次からの
話で登場してきますが、彼女は美人でとても明るく
活発で対照的な存在です。

"体験の後"
レストランテアトロで食事中に強盗が押し入り客が
人質になります。
その中に腕貫男と学生のユリエとマオがいます。
事件は強盗事件と思われましたが意外な方向に
向かいます。

"雪のなかの、ひとりとふたり"
二月のバレンタインデーのころ、ユリエは去年の
年末の雪が降った日の朝にマンションの窓から撮った
写真に写っている車を見ておかしいと感じます。
車は夫が妻を口げんかが元でスタンガンを押し付けて
死なせてしまった人の物です。
その当日の朝の写真でした。
雪が積もりずっとそこにあったことを思わせ夫の
話の内容と状況と違います。
ユカリは腕貫(こう呼びます)が食事をしている店を
見つけ出し相談を持ちかけます。

"夢の通い路"
父親が亡くなり遺品の整理をしていて高校時代の
自分の写真を見つけます。
あこがれていた梨紗といっしょに写っています。
まったく覚えがない写真です。
彼は高校時代を過ごした櫃洗市へ行くことになりました。
高校時代の友人に話しを聞いたり梨紗に出会って話しを
聞きますが記憶がありません。
当時火事で家が焼けその時の記憶を失っています。
たまたま出会った腕貫に話しを聞いてもらいます。

"青い空が落ちる"
長年独身で高校の先生をしていた松島が病死している
のが見つかりました。
身寄りがなく遺産は町内会に寄付する遺言を残して
いました。町内会の人たちが調べると五千万円が
引き出され何に使われたかわかりません。
警察に調査依頼があった話しが刑事から腕貫に
伝わります。
この話しは犯罪ではないのですが人の心を操って
破滅へと導いてしまいました。
破滅した人自身の問題ではあるのですがきっかけを
与えた先生はちょっと残酷な人です。

"流血ロミオ"
中学三年生の直紀と真美子の家は隣り合っています。
窓を開けると話しができます。
二人はそうやって家族に内緒で会話を楽しんでいました。
窓を飛び越え部屋へくるように誘われた日の翌日に
真美子が首を絞められ殺され直紀は頭を打って意識を
失くしているのが見つかります。
家に泊まっていた真美子の叔父は家を抜け出して
車で真美子の友人を轢き殺し自分も事故を起こし
亡くなりました。
叔父の犯行と思われました。事実は・・・

"人生、いろいろ。"
大学生の健介は同棲している佐和子をもてあまして
います。別に付き合っている珠美と共謀して
佐和子を殺す計画を立てます。
綿密な計画を立てましたが計画だおれで失敗して
殺せませんでした。
同じ時に実家に泥棒が入ります。
認知症が進んだ祖母は家族に内緒で現金を仏壇に
隠していました。
健介は聞いて知っていました。そのお金が消えました。
そこにあることを知っているのはいっしょに実家に
来たことがある珠美しか考えられません。
佐和子と珠美が共謀して泥棒に入ったと知り呆然と
します。
しかしこの話しのもっとおもしろいところは・・・
健介は人を殺さなくて幸いでした。

ちょっとずるいと思うのは記憶喪失になった人が
出て来る話しが二つあることです。
でも腕貫さんいいです。

包丁人轟桃次郎

2012-01-07 20:29:19 | 
鯨統一郎著"包丁人轟桃次郎"を読みました。
内容はかなりえげつない話です。
そのわりにはさらっと読み進めます。
7編の連作短編集です。
桃次郎30歳はふく嶋という小料理店で板前をしています。
オーナーで女将は彩乃33歳です。
老舗の料亭加賀屋のオーナーの加賀屋善三に店を売るよう
迫られています。
桃次郎が加賀屋の板前7人と料理対決をして負ければ
出て行く、勝てばあきらめるということになりました。
それで7話です。

まずむごい殺され方をした事件の状況が書かれています。
現実に何の理由もなく無残にも殺される人たちがたくさん
います。
新聞やテレビで取り上げられますが起こったことを淡々と
伝えられるだけでそれほど残酷さは伝わってこないのですが
この本は生々しいです。その場に居合わせたような気分に
させられます。理不尽な場面です。
犯人は捕まっても子供だからとかその時の精神状態から
反省することなく普通に暮しています。

そんな犯人たちが包丁で鮮やかに殺されていきます。
そして体のどこかが切り取られています。

料理対決の審判はたまたまやって来た事件担当の刑事
二人がずっと努めることになります。

桃次郎の作ったものには不思議な食材が使われています。
桃次郎が勝ち進んでいきます。
最期の話はもっともグロテスクです。

本の中では何も語られません。
全てはこうなんだろうと匂わせているだけです。
だからたぶん読んでいられるのだろうと思います。
あまりにもグロテスクな内容です。

最期の話では今までの読者の予想を覆してくれる
どんでん返しを期待していました。
なにもありませんでした。最悪の結末です。

福家警部補の挨拶

2012-01-06 21:12:50 | 

大倉崇裕著"福家警部補の挨拶"を読みました。
福家警部補は152センチ、三十過ぎの幼く見える女性です。
この本は刑事コロンボや、古畑任三郎と同じ手法を
取っています。
犯人は最初からわかっています。
事件の説明があり福家が登場し、犯人を見抜き追い詰めて
いきます。
コロンボも古畑も好きです。でもこの本はなんか疲れます。
最初の犯行の部分から読んでいると犯人側に感情移入しています。
福家は特に個性的というわけではありません。
人の中にぐいぐい入り込んできます。

会った人が女性の警察官ということで交通課の婦警や
事務員に間違えます。
でももうこういうの止めてほしいです。
女性は補助的な仕事をしているもので重要な仕事には
つかないのだというのは時代遅れもはなはだしいと
感じます。

"最後の一冊"
図書館を売り払おうとしているオーナーを図書館を
愛している館長が殺します。

"オッカムの剃刀"
大学で犯罪の研究をしている助教授が殺されます。
殺したのは元警察の科警研科学捜査部にいて現在
同じ大学で講師をしている人物です。

"愛情のシナリオ"
女優が女優を殺しました。
一つの役を取り合っての犯行だと見えましたが
実はまったく別の理由がありました。

"月の雫"
乗っ取りを企む大手酒造業の社長を昔ながらの
作り方で丁寧に酒を作っている会社の社長が
殺しました。

あとの2つの話がいいです。

カササギたちの四季

2012-01-05 21:19:42 | 
道尾秀介著"カササギたちの四季"を読みました。
四季とあるように4つの話から成ります。
華沙々木(かささぎ)と日暮の二人は28歳、リサイクル
ショップカササギを経営していています。
店の二階を住居としています。
毎日のようにやってくるのが中学生の南見菜美です。
彼女との出会いは3つ目の話に書かれています。
赤字続きのカササギです。
どの話にも黄豊寺の住職が登場します。
日暮はどうしようもない品を高い値段で買い取らされ
てきます。
なんで住職ともあろう人がそんな理不尽なことする
のだろうとそういう気にさせられます。
ミステリーというほどのものではないのですがちょっと
した出来事の真実を見いだします。
本当の探偵役は日暮ですが、華沙々木のとんちんかんな
意見にいいところをそっと譲ってやってます。
これって華沙々木を立てているようで傍からみると
華沙々木があわれに見えてしまって逆効果です。
華沙々木はずぶとい神経の持ち主ですから本当の
ことを知ってもそうだったのか、と笑って済ませる
でしょうけど何かすっきりしません。

"春 鵲の橋”
倉庫にある鳥の形の像が放火にあって焦げました。
像には買い手がついていました。
それでも焦げた像を買って行きました。
後をつけていくと加賀田銅器へ入っていきました。
足の不自由な店の経営者の婦人、世話をしているお嫁さん
とその小学生の息子、義理の弟が住んでいました。
像はその家から盗まれたものでした。
秘密がありそうな像です。
窮地に陥っているお嫁さんを日暮が救ってやります。

"夏 蜩の川"
沼澤木工店から弟子のための生活道具一式の大量の
注文を受けました。
品物を届けにいきます。
女性の仮弟子の田中早知子が正式に弟子に昇格して
部屋をもらえることになりその品物です。
二年間修業して腕を認められました。
木工店では神木へのいやがらせがあり早知子は
父親に無理やる家に連れ戻されていきます。
でも真実は別にありました。
ある時期に真実これをやりたいと思い、能力を発揮でき
てもそれは自分がやりたいことではないと気づいて
しまうことがあります。
それはわかるようでわかりません。そんな贅沢な悩みを
持ったことありませんから。

"秋 南の絆"
南見と出合った出来事です。
南見の母親からの依頼で夫の使っていた品物を格安の
値段で買い取ることになります。
仲が良かった両親でしたが夫が一方的に出て行って
しまいました。
家に侵入者があり猫がいなくなりました。
猫は翌日返されてきました。
向かいの空き家に住んでいるよう装っていた男は誰?
家族の幸せを思う男の嘘を日暮が見抜きます。

"冬 橘の寺"
前の3つの話でがらくたを法外な値段で買い取らせた
住職が今回は高い値段で品物を買ってくれました。
本当はうんと値段が安いものだとばらしてしまいました。
数日後裏庭の蜜柑狩りにくるよう住職からお誘いが
ありました。
華沙々木と日暮と菜美と出かけていきます。
寺には中学生の宗珍という小坊主の息子がいます。
全然似ていません。
奥さんは美人で結婚してすぐ20代で亡くなっています。
宗珍は養子です。
蜜柑狩りは無料ということでしたが案の定料金をふっかけ
られます。
雪が強くなり3人は泊めてもらうことになります。
住職が大事にしていた奥さんの手紙が入っていた貯金箱が
壊されているのが発見されます。
宗珍の心にあった悲しみが表に出ます。
この話では住職は案外いい人じゃないと今までの感想を
変えさせてくれるものです。

さらっと読めて悪くはないのですがでもなんか物足りません。

真夏の方程式

2012-01-04 18:54:45 | 
東野 圭吾
文藝春秋
発売日:2011-06-06

東野圭吾著"真夏の方程式"を読みました。
この本は去年の6月の発行です。
発行されてすぐ図書館に予約しました。
本がまだ入庫されてない時はインターネット予約はできません。
図書館へ行って用紙に記入して依頼します。
本が入庫されインターネットで状況が見られるように
なってびっくりです。
早く予約しておけばすぐに読めると目論んでいたのですが
考えることはみんな同じ様ですでに360番目ぐらいでした。
予約をキャンセルしようかと思ったのですが待ち行列の最後は
650番ぐらいで真ん中ぐらいにいるとわかったらふんきりが
つかずそのままになって日が過ぎました。
2,3ヶ月過ぎてこの調子だと読めるのは大晦日かお正月
あたりと漠然と予測しましたがぴったり当たりました。
図書館が開館している最期の日に借りてきて大晦日、お正月に
読みました。

湯川准教授が登場するガリレオシリーズの一冊です。
海底鉱石発掘の開発をしようとして賛成派、反対派で
玻璃ヶ浦は揺れています。
湯川はそこへ調査のアドバイスに行きます。
小学5年の柄崎恭平は両親が仕事で家を空けることになり
夏休みを父の姉が経営する玻璃ヶ浦の民宿緑岩荘で過ごす
ことになりました。
湯川と恭平は玻璃ヶ浦へ行く電車の中で知り合います。

事件は湯川が緑岩荘へ泊まった翌日に緑岩荘の宿泊者の
塚原正次が崖から転落しているのが見つかったことから
始まります。
今までとは違って湯川は最初から事件の中にいます。
積極的に関わってどうにかしてやろうとはしません。

塚原が元刑事で昔の事件にこだわっていたことが
わかります。
東京にいる草薙と内藤が過去の事件を調べます。
塚原は16年前に三宅伸子が殺された事件の犯人と
して服役した仙波英俊が冤罪ではないかと思って
調べていました。

過去の事件、現在の事件と二つの事件の関わりがある
のか調べは続きます。
でも現地の警察と東京の警察とは別々の動きをしていて
東京側が真実に近づいています。

湯川は子供嫌いということでしたが今回は恭平と積極的に
関わっています。
勉強を見てやり海底を見る実験もいっしょに行います。

過去の事件があって現在の事件が起こっています。
そして今回の事件はまったく起こす必要がなかったものです。
二つの事件はこのままにしておいたらきっとたいへんな
不幸がおそってくるに違いないとの恐れから起きたものです。

なんか読んでいてすっきりしません。
気持ち良くないのです。
何もかもあきらかにするより偽の結末でもその方がいい
結果になると判断したということでしょうがはたして
それでよいのでしょうか。
今回の事件が起きたのも過去に偽りの結末をつけた
ことで起きたことです。
恭平はずっとこの夏の出来事を引きずって生きていか
なければいけません。
湯川がその苦しみの一片を担ってやりますがかわいそう
なことです。
この事件に関わった当事者たちの心がおだやかになる
日は来るのでしょうか。

今までの湯川とはちょっと雰囲気が変っていました。

レイジ

2012-01-03 20:53:07 | 
誉田 哲也
文藝春秋
発売日:2011-07-13
誉田哲也著"レイジ"を読みました。
なかなかいい話でした。
いつものようにねたばれで書いてしまいますので読む
予定の方はお気をつけください。

中学三年で組んだバンドで講堂でステージに上がりました。
リーダーのベースのワタルこと春日航、ドラムの川島均、
ギターの谷垣友哉、ボーカルの三田村礼二のメンバーです。
演奏は好評でした。
次は何をやろうと話していたところ礼二が突然止めると
言い出します。
礼二の歌は人を引きつけます。コピーではなく自分で
作り出したいと思っていますがそれを言ってもわかって
もらえないだろうと黙って仲間から抜けます。
この本は中学生の時初めてバンドを組んだ仲間が高校、
大学、卒業後にわたってどのように生きたかが書かれて
います。
おもにワタルと礼二の話が中心で交互に書かれています。
世渡り上手なワタル。孤独に苦しみ続ける礼二。と
帯に書かれています。

礼二は高校時代は一人だけで音楽と向き合います。
他の仲間はそれぞれ別の仲間と音楽をやっています。
ワタルはある程度人に知られたバンドに入れてもらい
活動をします。
礼二も仲間を募集してはバンドを組みますがなかなか
分かり合える仲間に出会いません。

ワタルのバンドでは仲間割れが起き、新しいボーカルを
入れますが人気は落ちていき最期は解散してしまいます。

礼二は中学の仲間の友哉と川島と再会してバンドを
組むことになります。礼二は初めて自分の思う通りに
演奏できる仲間を得ました。

ワタルは音楽関係の仕事についています。
礼二のバンドがうまく行きそうなときに友哉が暴力団と
いざこざを起こし逃げ出すはめになります。
礼二も逃亡して行方不明になり数年が経ちます。

ワタルが仕事を通じて礼二の昔の歌を世の中へ出します。
この歌が受け入れられ人気が爆発しました。
礼二を探します。歌を歌っているのを見たという連絡から
礼二を見つけ出します。
礼二は音楽から離れ絶望的な状態で生きていました。
礼二、ワタル、川島とメンバーの一部が違いますが
再結成してバンドRAGEは活動を始めます。
礼二は共に音楽を楽しめる仲間をやっと手にします。

そんなおり行方不明だった友哉から元気な様子の連絡が
入ります。

礼二の孤独さが伝わってきます。
バンド活動は仲間の活動の方向の一致がむずかしいもの
なんですね。
長くずっと続いているグループって少ないですものね。
分裂してからそれぞれが前と同じように活躍しているかと
いうとそうでもなくて、なんで前のグループでうまく
やっていけなかったのだろうと部外者は思うのですが
当事者にとっては無理だということなのでしょうね。
大学時代の話には就職をどうするのだという部分が
あって、あれこの話どこかで聞いたような、という
気持ちになりました。
思い出してみるとつい先日読んだ"1000ヘクトパスカルの
主人公
"の中でも大学生の就職活動が描かれていました。
大学卒業時の1回きりのチャンス、これでいいのかとの
疑問がこの本でも語られています。

礼二、めぐりめぐって昔の仲間と再会です。
楽しんでこれからは音楽をやっていけるでしょう。
他の仕事を持っている他のメンバーたちがこれから
音楽とどう向き合っていくかはわかりませんが、いい
方向に向いていくことでしょう。