ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[5月6日(金)~8日(日)]

2011-05-10 21:49:30 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 たとえば「美味しかった」とか「おもしろかった」とか言う時に、「ふつうに美味しかった」「ふつうにおもしろかった」などと「ふつうに」をつける言い方をふつうに聞くようになったのはいつ頃からだったのかなー? とくに感動するほどではないけれど、期待通りorそれ以上だったということなんでしょうか?
 諸映画関係サイトで好評のようなので、「阪急電車 片道15分の奇跡」を今日観てきましたが、「ふつうによかった」ですね。各俳優の好演もあるでしょうが、基本的には原作(有村浩)の力でしょう、って読んでないですけど。読まずに観るのが正解ですよ、ほとんどの場合。いろんなエピソードが盛り込まれている中で、「翔子と翔子の話。泣けました」と書いてるレビューがいくつかあり、私ヌルボも同感! 反対意見にはふつうは気分が悪くなるものですが、例外的ともいえる否定的な感想の→コチラは興味深く読みました。
 「阪急電車~」の予告編6作品中に韓国映画が1つ。6月18日公開の「あなたの初恋探します」。このタイトルについては原題「김종욱 찾기(キム・ジョンウク探し)」じゃどうしようもないからOKでしょう。予告編も、いいフンイキ。日本では<ロマンティック・ラブストーリー>と銘打っていて、そんな作りになってますが、韓国版予告編はもっとコメディっぽくて、ずいぶん印象が異なります。本来はそういう映画のようですが、ターゲットの客層の違いなんでしょうね。


     【ヒロインのイム・スジョンはあまり美人じゃないところがいい。】

 韓国映画情報では、5月7日からシネマート新宿で「昼間から呑む」が始まりました。ヌルボは明日行こうかな、という心づもり。
 それから<トキメキ☆イケメンフェスティバル>というのが始まっているんですね。5月6~19日、全国のワーナー・マイカル・シネマズで上映。「イケメンですね」「トキメキ☆成均館スキャンダル」の各劇場版。前者の内容はよく知らなかったのですが、後者と時代は違っても基本的な設定がここまで似ているかと驚きました。
 そして5月28日~6月17日新宿のK's cinemaで<真!韓国映画祭 2011>。上映作品紹介は→コチラ、スケジュールは→コチラ。とりあえず、今回はそれだけ。
 あっ、6月4日からシネマ・ジャック&ベティ「大韓民国1%」と北朝鮮映画安重根 伊藤博文を撃つ(1979)が上映されます。特に後者はぜひ観ておかなくっちゃ! ・・・とこれは私ヌルボの備忘録。

    ★★★ Daumの人気順位(5月10日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①なくな、トンズ(韓国)  9.6(1077)
②あなたを愛しています(韓国)  9.6(1478)
③茂山日記(韓国)  9.4(20)
④サニー(韓国)  9.3(734)
⑤小さな村の小さなダンサー  9.3(70)
⑥クレヨンしんちゃん  9.3(38)
    超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁(日本)
⑦番人(韓国)  9.2(76)
⑧世界で一番美しい別れ(韓国)  9.1(237)
⑨逮捕王(韓国)  8.9(336)
⑩Source Code  8.9(328)

 初登場は⑥と⑩。④と⑨は先週興業成績の方でランクインしてます。
 ⑥、「クレヨンしんちゃん」は韓国でも人気! ただ、タイトルは「チャングは止められない」(짱구는 못말려)です。この「劇場版:超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁(극장판:초시공! 태풍을 부르는 나의 신부)」は日本では2010年4月公開。
 ⑩は後述。

【専門家による順位】

①トスカーナの贋作  8.3(6)
②Another Year  8.0(6)
③茂山日記  7.9(11)
④番人(韓国)  7.6(6)
⑤ウルトラミラクルラブストーリー(日本)  7.5(2)
⑥豆満江(韓国)  7.4(7)
⑦Source Code  7.4(5)
⑧告白(日本)  7.3(9)
⑨ジェイン・エア  7.2(4)
⑩泣くな、トンズ(韓国)  7.0(1)

 初登場は①と⑦。
 ①、日本では今年2月公開。友人からも薦められましたが、未見。しまったかな? 韓国題は「사랑을 카피하다(愛をコピーする)」です。
 ⑦は後述。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[5月6日(金)~8日(日)] ★★★
         韓国映画「サニー」がトップに

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・封切り日・・・・・・週末観客動員数累計・・・・観客動員数・・・・上映館数

1・・サニー(韓)・・・・・・・・・・・・・・・・5/04・・・・・・・・・338,254・・・・・・・・・・・・・・619,838・・・・・・・・・538
2・・Source Code・・・・・・・・・・・・・5/04・・・・・・・・・292,523・・・・・・・・・・・・・・534,097・・・・・・・・・498
3・・マイティ・ソー・・・・・・・・・・・・・・4/28・・・・・・・・・230,664・・・・・・・・・・・・1,249,629・・・・・・・・・516
4・・逮捕王(韓) ・・・・・・・・・・・・・・・・5/04・・・・・・・・172,519・・・・・・・・・・・・・・383,934・・・・・・・・・497
5・・ワイルド・スピード MEGA MAX・・4/20 ・・・・・140,697 ・・・・・・・・・・・・1,312,902・・・・・・・・・384
6・・クレヨンしんちゃん(日) ・・・・・・5/05 ・・・・・・・・・53,360・・・・・・・・・・・・・・223,176・・・・・・・・・344
     超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁
7・・危険な顔合わせ(韓)・・・・・・・・3/31・・・・・・・・・・38,517・・・・・・・・・・・・2,479,913・・・・・・・・・217
8・・劇場版イナズマイレブン(日)・・5/05 ・・・・・・・・・18,952・・・・・・・・・・・・・・・76,935・・・・・・・・・183
     最強軍団オーガ襲来
9・・怪しい顧客たち(韓) ・・・・・・・・・4/14・・・・・・・・・・18,433・・・・・・・・・・・・1,031,752・・・・・・・・・161
10・・サーカス象に水を・・・・・・・・・・5/04・・・・・・・・・・15,487 ・・・・・・・・・・・・・・33,718・・・・・・・・・215

 2・6・8・10位が新登場。
 2位、列車爆破テロ事件の犯人を捕えるため、犠牲者の死ぬ直前8分間の意識に侵入し、記憶を体感できる装置に乗る兵士の活躍を描くSFサスペンス。「Source Code」とは、政府が開発した、その意識に侵入するシステム。死ぬ間際の8分間を何度も繰り返す、なんてねー・・・。そんなアイディアをひねり出すよりも、アメリカの人たちには、テロと戦っているはずの自分が実はテロリストだった、という平凡なアイディアをちょっとでも思い起こしてほしいものです。(反則的映画紹介?) 韓国題は「소스 코드」とそのまんま。日本公開は未定、かな?
 6位は前述。
 8位。6位同様日本のお得意ジャンルですが、あいにくヌルボにとっては数多い盲点の1つ。ムービーウォーカーのMovie Walkerのレビューによると、主人公・円堂守は「試合が終われば、お互いサッカーを愛する仲間」と言ったりしてるそうですが、ヌルボとしては「オマエの闘争精神はせいぜいそんなレベルか!?」と言ってやりたいです。韓国題は「썬더일레븐 극장판:최강군단 오우거의 습격」。「襲来」が「습격(襲撃)」に変わってますね。日本では昨年12月に公開されました。
 10位、サラ・グルーエンの小説の映画化。日本公開は8月6日の予定だそうで、原題は「Water For Elephants」。日本題はたぶん日本の翻訳本と同じになるだろうとのヌルボの推定。93歳の老人が、大恐慌のさなかの1931年、獣医学の学生だった頃のいろいろ(サーカス列車に飛び乗った等々)を回顧しつつ、70年という時空を行き来しながら進行する物語。・・・これはおもしろそうかも。韓国題はそのまま「워터 포 엘리펀트」ですが、発音は「ウォトゥ・ポ・エルリポントゥ」となります。英語の発音、日韓どっちもどっちの一例。

マッコリをめぐる雑談あれこれ

2011-05-07 23:41:05 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
1週間ほど遅れ気味のネタですが、先月27日発売のチャン・グンソクの日本デビューシングル「Let me cry」が1週目で売り上げ11万9000枚を記録。オリコン週間シングルランキングで初登場首位を獲得することが2日わかった、との報道がありました。デビュー曲が同ランキング初登場首位に入るのは、男性アーティストとしては80年の近藤真彦以来30年4ヵ月ぶりとか。
 もう5ヵ月前になりますが、パシフィコ横浜での彼のファンミーティグには昼夜2回、各5000人のファンが集まったとか・・・。
 その時のようす&グンちゃんのインタビューがYouTubeにありました。
 Q「何がファンの心をつかんだのか?」
 グンちゃん「ボクの魅力と言えるのはこの美貌だけかな」
 Q「ライバルは?」
 グンちゃん「日本でブレーク中のKARAです」・・・と言ってヒップダンスをちょっと披露したり・・・。
 ま、巧まざるサービス精神というか、ま、(たぶん)お茶目なところがカワイイとか、ま、ファンの皆さん、お好きなように・・・。(熱いファンのレポート→コチラ)
 インタビューによると、ふつうのファンだと「グンソク氏~」とか「グンちゃ~ん」と呼ぶところを、数年前からのファンでグンソガ~ッ!と叫ぶ人がいるそうですね。字幕では「グンソクよ」になってますが、おーい、グンソクッ!って感じですかねー、ハハハ。

 最近の話題では、上述のデビューシングルの広告ということで、4月25日から5月1日まで表参道駅構内の柱が彼のポスターで席捲されてたとか。あ、大阪のホワイティうめだも・・・。

 さて(と、ここから本論)そのグンちゃんのCMで注目度が高まっているソウルマッコリ。いやー、スーパーやコンビニの棚に並んでますねー。

 YouTubeに30秒のスポットCMの他に少し長尺(45秒)のバージョンもありました。 【下】



 ソウルマッコリの製造元はソウル醸造。韓国では一番売れている長寿マッコリを造っている所ですが、そこで出している長寿月梅(ウォルメ)マッコリが、ロッテ&サントリーと組んで、日本で「ソウルマッコリ」の名で売り出したということだそうです。

 長寿マッコリの日本語サイトは→コチラで、
韓国でのスポットCMは→コチラ。日本でのCMと雰囲気がぜ~んぜん違います。

 さて、そのソウルマッコリ、私ヌルボも飲んでみましたよ。
 で、飲んでみてちょっと衝撃。炭酸がこんなに強いとは!
 正直なところ、韓国料理や韓国のお酒については、ヌルボは頼りになりません。しかし、今初めてマッコリを飲む、or飲んだという人に一言。ソウルマッコリ(二東でも真露マッコリでもいいが)を飲んで、マッコリとはこういうものだ、と決めてかからないでください。炭酸の強弱、甘みの強弱、サラッとしてるかネットリか、多種多様ですから・・・。

 頼りにならない」とは言いながらそれなりの努力(??)はしているヌルボ、4月14~19日西武池袋店で開かれていた韓国美・味展にも最終日に行って、何種類かのマッコリを試飲したりはしましたけどねー。
しかし、そんな大した記事が書けるほどの味覚&知識&文章力もないので、ここは読んでナールホドと思ったいろんなサイトを紹介します。

 まずは韓食といえばやはりこの方、八田靖史さんです。彼のブログ「韓食日記」を見ると14日から6日間毎日足を運び、連日きっちりとブログに記事を載せてますからねー。
「韓国美・味展」、5月24~29日はそごう横浜店、8月には神戸、9月には千葉のそごうでも開催とのこと。

 そして八田さん、去る2月17日の記事では<2011年マッコリ事情についての考察>と題して、ソウルマッコリ発売にまつわるいろんな情報を記しています。

 韓国のさまざまな文化を手際よく紹介している<コネスト>は、マッコリについても製法や歴史、銘柄等、総合的に説明してくれてます。

 <visitkorea>は、マッコリだけでなく、広く韓国の酒一般を説明してます。

 また、世のマッコリ好きの皆さん、いろんな形で飲み比べをして報告してます。いやー皆さん、ホントに研究熱心! たとえば→コチラ

 <ソウルナビ>では日韓両国人、それも男女に分けて飲み比べ。このチミツさ、遊び心かマジなのか? 問題の長寿月梅マッコリ、これによるとやっぱり日本人好みなのかなー? しかし、韓国の人たち、山イチゴ酒なんて皆さん好きなの??

 番外で、アレレッと思ったのがアシアナ機内サービスの麹醇堂(ククスンダン)マッコリについて。本ブログ2010年3月15日の記事の中で、「ヌルボの知り合いで酒好きのTヒョン(형.兄貴)は、12月の韓国旅行の際さっそく注文。3杯飲んでさらに4杯目をリクエストしたところ「2杯までとなっているんですよ」と断られたとか」と書いたところ、2009年11月24日付のさるブログ「食前・食間・食後と三缶空けてしまい、到着一時間を切った後も個別に「もう一本飲みます?」と声をかけられた」という記述があるのを発見!
 Tヒョンに代わってこの違いはぬわんだっとアシアナには声を大にして説明を求めたい! (ハッハッハッ。)

[付記]3月22日に発売開始した「JINRO CAN マッコリ」は内容量が規定値を下回る商品があるということで回収されたそうですが、その後はどうなってるのかな? 飲み比べたいところですが・・・。
 また「カルピスとマッコリのお酒」というのも飲んでみました。「ソウルマッコリ」等はアルコール分6%ですが、コチラは3%。軽くて甘い、マッコリというより酒かす風味といった印象。
 ところでヌルボ思うに、これらの韓国酒だけでなく、近頃日本でコンビニ等で売られているインスタントのサムゲタンとかチャプチェ系のカップ食品、どれも日本人の好みに合わせてか、口当たりが良くなってるようです。こうなってくると、90年代前半初めて韓国料理を食べた頃の、好きではなかった味や臭いのえぐい感じが逆に懐かしく思えてきます。
 仲間うちでは、日本人に合わせて、というよりも、だんだん韓国の味が洗練されてきてる、ということでは、というの話も出てますが・・・。

孔枝泳の李箱文学賞受賞作のこと、等

2011-05-05 17:23:24 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 ふっふっふ。大本命でも当たればうれしいものです。
 1週間前の記事「申京淑の小説「オンマをお願い」がアメリカで好評」で、「毎日新聞」に連載中の新世紀 世界文学ナビ 韓国編について、「来週も続くとすると、今度は本命=孔枝泳でしょう」と予測しました。
 で、今日の「毎日新聞」を開いたらアタリ!てなわけですよ。ふっふっふ。
 ※記事内容は→コチラ参照。

 先週は「もっと紹介してくれなくっちゃ・・・」と注文をつけた申京淑をちゃんと取り上げてくれたし、この連載、ヌルボの意向と呼応してきましたねー、って単なる偶然か。

 さて、この連載記事ではとくに「私たちの幸せな時間」「楽しい私の家」を詳しく紹介しています。
 そしてその2作品を翻訳した蓮池薫さん。
 本ブログでも「オンマのために」に続くブログ開設2つ目の記事「孔枝泳の最新作「るつぼ」を読む①」の中でもふれましたが、その後刊行された蓮池さんの著書「半島へ、ふたたび」の中で孔枝泳と会った時のことが書かれてましたね。

 「毎日新聞」の記事にもあるように、孔枝泳さんは今年李箱文学賞を受賞しました。。あ、記事では「昨年」とありますが、対象作品は昨年でも受賞年は今年でしょう。韓国ウィキでも「2011年」になってますよ。
 この彼女の李箱文学賞受賞については、本ブログでも今年1月22日の記事で紹介しました。
 ただ、その記事では北朝鮮に拉致され24年ぶりに日本へ帰国した「H」との出会いを振り返りながら、従軍慰安婦やアウシュビッツ収容所のユダヤ人など、歴史や現実のなかで繰り返される人間の暴力について思いを巡らせる」という内容紹介の前半部分は書いてなかったですねー。というか、知りませんでした。
 昨年の李箱文学賞受賞作(朴敃奎(パク・ミンギュ)「朝の門」)はちゃんと読んだんですけどねー、今回は見逃してしまいました。「H」さんとの出会い等が書かれているなら、ぜひ読んでおかなければ・・・。

韓国の人気漫画家カンプルの初期作「日常茶飯事」より②  「チュグルレ?」・・・おーこわ~

2011-05-05 15:15:45 | 韓国の漫画
 別に「漫画で学ぶ韓国語」というのが趣旨ではないですが、今回の漫画のポイントは죽을래?(チュグルレ?)ですね。
 YAHOO知恵袋にはいいかげんな回答も多くて困りますが、この言葉についてのQ&Aは信頼できるとおもいます。
 手抜きしてそのままコピペ。solhoi_gisunさんすみません。

 「チュグルレ?(죽을래?)」は直訳すると「死ぬか?」あたりでしょうか。
 「ルレ?(-ㄹ래?)」という語尾は、聞き手の意思を問う疑問形です。従って、「…するつもりか」、「…したいのか」のようなニュアンスを含んでいますが、無理に日本語に訳出しなくても不自然でないことも少なくありません。
 「モクタ(먹다;食べる)」、「ポダ(보다;見る)」など通常の動詞の場合は、単に聞き手の意思を問うだけですが、「チュクタ(죽다;死ぬ)」、「マッタ(맞다;殴られる)」など不利益な意味の動詞が「ルレ?」形をとると、「話し手がそういう結果に仕向けてやるぞ」という言外のニュアンスが含まれます。


 ・・・ということで、「あんた、死にたいの?」くらいが自然な訳でしょう。映画「猟奇的な彼女」によく出てきたセリフなんだそうです。「야! 너 죽을래?」なんてねー。気がつかなかったなー、8年も前だしなー・・・。

 「つけまつげ」「인조 속눈썹(人造まつげ)」なんですね。NAVERやDAUMの辞典では「인공 속눈썹(人工まつげ)」になってますが、googleのヒット件数では「인조 속눈썹」の方が3倍くらい多いようです。

    

韓国書(小説)のアタリのつけ方  「何を読むか?」の道しるべ

2011-05-04 23:55:01 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 4月28日の記事「申京淑の小説「オンマをお願い」がアメリカで好評」に対して、「韓国の小説を読みたいな~と思っているのですが、何を(誰を)読めばいいのか悩んでいて、ヌルボさんのこの記事にあたりました」というコメントをいただきました。

 で、私ヌルボなりに考えてみました。

 まず一般的に、「何か韓国書を読んでみたい」という方には、小説(とくに純文学)という、内容も表現も難しいジャンルの本よりも読みやすく、充実した読後感を味わえる本は他にたくさんあるので、ソチラをまずお薦めしたいと思います。

 たとえば、漫画ではカンプル)(강풀。韓国で映画がヒット中の「あなたを愛しています(그대를 사랑합니다)」の他「馬鹿(바보)」「26年(26년)」等々がおススメ。
 そしてこれも映画化されたホ・ヨンマン(허영만)「食客(식객)」シリーズ全27巻。韓国の食文化だけでなく、各地の方言も出てきます。
 チョン・ヨンシク(정연식)「月色の靴(달빛구두)」は親子の世代にわたる歴史を背景にした恋愛と友情をテーマにした文学的(?)漫画で、心を打たれました。
 ノンフィクションではハン・ビヤ(한비야)の紀行文。ヌルボが読んだのは「風の娘、わが地に立つ(바람의 딸 우리 땅에 서다)」
 読みやすいといえば子ども向きの本。本ブログ4月7日の記事にも書いたように、ことわざ等々韓国語の勉強になる本もあります。
※ことのついでに、韓国語のなぞなぞの例は→コチラ
 小説でも、少年向きのものは読みやすくてネライ目ですね。最初にすごく感動したのは、国民的同様「故郷の春」の作詞者・李元寿(이원수)「星(별)」という朝鮮戦争関連の短編集。その中の「山越え山(산 너머 산)」という作品はぜひ多くの人たちに読んでほしいです! 小説「モンシル姉さん」や絵本「こいぬのうんち」で有名な権正生(권정생)が書いた李元寿の伝記が「私が住んでた故郷は(내가 살던 고향은)」で、これもお薦め。まさに現代の韓国を描いた金呂鈴(김려령)「ワンドゥギ(완득이)」は爽やかな読後感で、映画化されることになって今撮影中?
 李文烈(이문열)のような韓国を代表する作家も「하늘길(天への道)」という読みやすく、しかも深~い作品を書いてます。韓国サイトの読者評にも「쉬운글! 많은 생각!」とありました。

 ・・・ということで、やっと本題の小説について。実は本格的な小説は、一昨年やっと韓能5級合格というヌルボはまだそんなに多くは読んでなくて、そもそも語る資格があるのか、と自分でも疑問がイッパイ。
 その点を承知していただいて、具体的にヌルボ推薦の作家や作品名を挙げるのではなく、小説を中心に良書を見つけるアタリのつけ方をいくつか挙げてみます。

①まず一番の方法は、実際に手にとって見てみること、・・・って当たり前ですか(笑)。
 実はこのヌルボ、話題になる前に申京淑「オンマのために」孔枝泳「るつぼ(도가니)」を購入したのは、書店(職安通りのコリア・プラザ、ソウルの教保文庫)でとくに裏表紙の惹句を読んで興味を持ったからです。上記の「ワンドゥギ」も同様です。

②韓国の新聞の読書欄から情報を得る。
 ごく一例をあげると→こういう記事とか・・・。2009年12月3日の記事で紹介したカン・ジヨン「新文物検疫所」という超オモシロ本を購入したのは「東亜日報」のパク・ソニ記者の記事を読んだのがきっかけでした。新聞の現物が手近になくても、インターネットで見られます、・・・って、ヌルボもそんなにマメにチェックしてるわけではありませんが・・・。

教保文庫YES24アラディン等の韓国の書籍通販のサイトから情報を得る。
 特にベストセラーとか、推薦書とか。まあ純文学のベストセラーを見ても日本作家とか他の外国作家の作品がやたら多いんですけどね。韓国人作家の作品については、本&著者の紹介に加え、レビューがけっこう役に立ちます。

④韓国文学を紹介している日本のサイトを参考にする。
 たとえば、翻訳家よしはらいくこさんのブログ<韓国ブックカフェ>の中の「韓国の小説」「韓国のエッセイ」等。それから新潟大学の波田野節子先生の運営している「新潟で韓国と北朝鮮の現代小説を読む会」のリスト。
 ヌルボが愛読しているブログ「晴読雨読ときどき韓国語」では、多くの韓国書を読んだ感想が載せられています。
 子ども向きの本なら<韓国朝鮮子どもの文学&オリニネット>が絶対!
 残念なのは、1990年代頃までの韓国の文学史を総合的に叙述したサイトはあっても(例えば三枝壽勝先生関係の→コチラや、→コチラ)、21世紀に入ってからの韓国文学を俯瞰するようなサイトがなさそうなことです。

Innolifeのサイト中の書籍の通販は、各書籍に説明が詳しくついている点がいいです。また、同じInnolifeの「出版会だより」も大いに参考になります。

⑥韓国の文学賞受賞作をチェックする。
 李箱文学賞・東仁文学賞・萬海文学賞など。どんな作家のどんな作品が注目されているか、とりあえず名前や作品名は頭に(なんとなく)入ります。

⑦韓国の現代作家たちについて書かれた本を読んで情報を仕入れる。
 もちろんこんな本は和書にはないです。ヌルボが入手したのは、「詩人ウォン・ジェフン(원재훈)が会ったわれわれの時代の作家21人の幸福論」という副題のついた「私はひたすら文章を書き本を読んでいる間だけ幸福だった(나는 오직 글쓰고 책읽는 동안만 행복했다)」という本。作家21人の内訳は→コチラ参照。
 おっと、この本まだ半分くらいしか読んでないということに今気づいた・・・。

⑧4月21日の記事「韓国の「今」の作家たち」で紹介した、2004年からYES24が実施している「ネチズン推薦 韓国の代表作家・若手作家」などから、今韓国の読者たちに人気の作家を知る。

 上記文中で書名を具体的に挙げた本はどれも★5つですが、実際に購入したもののツンドクになったままの本や、読んだけどイマイチだった本はその倍以上はあるかも・・・。そんなもんでしょ。日本の本と同じで・・・。ま、本といい映画といい、試行錯誤を繰り返して目が肥えていくんですね。と最後に逃げを打って終わりにします。

 あ、もうひとつ、
⑨韓国小説の翻訳書から情報を得る。というのがありましたね。たとえば「いま、私たちの隣りに誰がいるのか」には7人の若手作家の短編と、1991年に始まった日韓作家会議のこと等を記した中沢けいさんの一文も寄せられていて興味深いです。

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[4月29日(金)~5月1日(日)]

2011-05-03 19:29:36 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 「週刊新潮」でGW中の映画30本について白井佳夫等の各氏が評点をつけていますが、そろって高得点というのはないようです。
 先週「生き残るための3つの取引」を観ました。「登場するのが悪人ばかり。予想できない展開でおもしろい」というような感想も多いようですが、私ヌルボがイマイチ乗れなかったのは睡眠不足のためばかりではないと思っています。そもそも、作品の柱は諸悪がはびこっている社会への批判か、いや、悪人同士のせめぎ合いのおもしろさなんだろーなー・・・。それなら同じ脚本家(パク・フンジョン)の「悪魔を見た」のようにもっとキョーレツな描き方をしてもよかったのでは・・・。まあ、観て損をした、ってことはないんですけどね。

    ★★★ Daumの人気順位(5月3日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①なくな、トンズ(韓国)  9.6(1069)
②あなたを愛しています(韓国)  9.6(1433)
③小さな村の小さなダンサー  9.3(63)
④マイ・ネーム・イズ・カーン  9.2(797)
⑤番人(韓国)  9.2(76)\t
⑥世界で一番美しい別れ(韓国)  9.1(223)
⑦ワイルド・スピード MEGA MAX  8.8(347)
⑧Another Year  8.6(29)
⑨怪しい顧客たち(韓国)  8.6(551)
⑩告白(日本)  8.6(246)

 ①、「なくな、トンズ」については昨年9月14日の初登場の時紹介しました。以来34週連続1位。伝えられるところによると、今年2月ヒューストン国際映画祭のドキュメンタリー部門の大賞であるプラチナ賞を受賞したそうです。
 この映画に関して、「준기, 책에서 걸어나오다(ジュンギ、本から歩き出す)」という国軍ラジオ放送のイジュンギ担当番組のシリーズの1つで語られていました。韓国語の学習者の皆さん、聴いてみてください。わからない箇所は→コチラのブログ記事を見ればわかります。



 で、今回の初登場は③だけです。日本では2009年公開。韓国題は原題そのままの「마오의 라스트 댄서(マオエ ラストダンサー)」。「マオ」といっても浅田真央ではなくて毛沢東、なんて言うまでもないですね。

【専門家による順位】

①Another Year  8.0(6)
②茂山日記  7.9(11)
③番人(韓国)  7.6(6)
④ウルトラミラクルラブストーリー(日本)  7.5(2)
⑤豆満江(韓国)  7.4(7)
⑥告白(日本)  7.3(9)
⑦ジェイン・エア  7.2(4)
⑧獣の終わり(韓国)  7.0(4)
⑨泣くな、トンズ(韓国)  7.0(1)
⑩英国王のスピーチ  6.7(8)

 「Lourdes」と「晩秋」の上映が終わって、④以降の順位が少し上にずれただけで、初登場はありません。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[4月29日(金)~5月1日(日)] ★★★
         韓国映画6作品がランクイン
\t
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・封切り日・・・・・・週末観客動員数累計・・・・観客動員数・・・・上映館数

1・・マイティ・ソー ・・・・・・・・・・・・・4/28 ・・・・・・・545,099 ・・・・・・・・・・・・627,004・・・・・・・・・557
2・・ワイルド・スピード MEGA MAX・・4/20 ・・・・・313,234 ・・・・・・・・・・・・・987,335・・・・・・・・・476
3・・怪しい顧客たち(韓)・・・・・・・・4/14・・・・・・・・・138,386 ・・・・・・・・・・・・・954,189・・・・・・・・・371
4・・危険な顔合わせ(韓)・・・・・・・3/31・・・・・・・・・132,423・・・・・・・・・・・・2,371,958・・・・・・・・・355
5・・敵との同衾(韓) ・・・・・・・・・・・4/27・・・・・・・・118,568・・・・・・・・・・・・・・165,127・・・・・・・・・512
6・・世界で一番美しい別れ(韓)・・4/20・・・・・・・・・54,068・・・・・・・・・・・・・・255,363・・・・・・・・・381
7・・サニー(韓)・・・・・・・・・・・・・・・・・5/04・・・・・・・・・52,244・・・・・・・・・・・・・・・61,977・・・・・・・・・256
8・・逮捕王(韓) ・・・・・・・・・・・・・・・・5/04・・・・・・・・・52,076・・・・・・・・・・・・・・・62,661・・・・・・・・・278
9・・小さな村の小さなダンサー ・・4/28・・・・・・・・・19,306・・・・・・・・・・・・・・・29,153・・・・・・・・・204
10・・ノミオとジュリエット ・・・・・・・4/14 ・・・・・・・・・17,959・・・・・・・・・・・・・・171,251 ・・・・・・・・138

 1・5・7・8・9位が新登場です。
 1位、マーベル・コミックを原作としたハリウッド実写映画。「その強大さゆえに傲慢なまでに増長していたソーは、アスガードの神々の王オーディンにより地球に追放されてしまう。地球で出会った若い科学者ジェーン・フォスターと愛し合う仲になったソーだったが、最も危険な邪悪な存在が地球へ侵入をはじめる」とという物語だそうで・・・、ふーん。アカデミー賞女優ナタリー・ポートマンとかの他に浅野忠信も出演しているとか。監督はケネス・ブラナーなのか、ふーん。韓国題は「토르:천둥의 신(トル:雷の神)」。原題の「Thor」をハングルにすると「토르(トル)」。日本公開は7月2日。
 5位、朝鮮戦争(1950~53)年当時、のどかで平和な村に押し寄せた人民軍に対し、ロビー作戦を繰り広げる素朴な村の人々を描いた、笑いと感動を盛り込んだウェルメイド・ヒューマンコメディ映画。というと「トンマッコルへようこそ」を思い起こしますが、こちらは実際に起きたことに基づいているとか・・・。しかし、「ロビー作戦を繰り広げる」という村民たちの策も、どちらが勝つかもわからない当時としては必死の対応で、決して素朴なものではないとヌルボは思うのですが・・・、って観もせずに先入観をもって語ってはいけないか。原題の「적과의 동침(敵との同寝)」の「同寝」は「同床」と訳しているサイトが多いですが、ちょっと違うでしょう。「同衾」は読みも意味もわからない人が増えてるようなので「共寝」とでもする?
 7位、癌になり余命2ヵ月という宣告を受けた友人のために、女子高時代のグループ・メンバーを探しに出たナミ。その過程でいろいろあるのかな? で、かつての仲間7人が25年ぶりに集まる、のかな?  80年代の風景や、当時流行ったポップスや歌謡曲が挿入されて、現在と思い出がオーバーラップされたりして、笑いと感動をよぶ、そうです。監督はカン・ヒョンチョル、って、あの「過速スキャンダル」の!? 急に観たくなってきたゾ! 原題は「써니(ソニ)」。
 8位、麻浦署と西大門署の間で繰り広げられる「逮捕王」の競争をコミカルに描いた映画だそうで、イ・ソンギュンとパク・チュンフンが共演。パク・チュンフンは2人の娘の父親役ですが、下の娘役は実の娘だそうです。原題は「체포왕」。
 9位は上述の通り。

韓国の非識字者の問題(3) 選挙は自書式投票ではなくスタンプを捺す

2011-05-01 23:57:35 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 前の記事で韓国の識字についていろいろ調べてみましたが、今回はその補遺といったテーマです。

 2009年8月の「中央日報」は「非識字率1%未満」自書式投票/日本」という記事を伝えました。
 この記事の日本語版では「非識字率」となっていますが、韓国語版では「문맹률(文盲率)」となっているのは、韓国のマスコミではこの言葉は禁止語にはなっていないということですね。
 この記事では、日本は候補者の名を有権者自身が書く自書式であるという事実を伝えるだけで、コメントは何もつけていません。また「非識字率が高いインドでは投票用紙に政党象徴動物・植物の絵や候補者の名前と写真などを入れている」ともありますが、補足するとインドでは2004年から電子投票が導入され、各政党のシンボルマークのボタンを押して投票する方式になっています。

 日本のように投票用紙に自筆で記入する投票は世界でも非常に珍しい部類に入るようです。
 韓国は選択式で、投票用紙の候補者リストから選んで所定の空欄にスタンプを押すだけという方式です。 【下の写真参照】

     
  【政党・候補者名の右の空欄に、右のようなゴム印を押す。選挙(선거)の頭文字ㅅを○で囲んだ印、かな?】

 <zakzak>のサイト中の<「世界の選挙」ビックリ!白書>という記事によると、投票方法は国によってずいぶん違いがあるようです。インドネシアでは新聞サイズもある投票用紙に釘で穴を開けて投票するとか、フランスでは候補者の名が印刷された用紙(各1枚)全員分を持って投票スペースへ行き、投票したい人の用紙1枚を封筒に入れて投票箱に入れ、残りの全員分はゴミ箱行きとか・・・。

 ところで、「週刊文春」の5月5日・12日GW特大号を見ると、4月に実施した地方選挙よりも現在進行中のAKB48選抜総選挙の方に力が入ってるようですぞ。巻頭カラーの扱いで、諸方面の順位予想なんかも載せてたりして・・・。(あれは自書式なの?)