ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国作家・金薫(キム・フン)62歳、第一線で活躍中!

2011-05-12 22:31:50 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 「毎日新聞」で4月4日から木曜日ごとに連載している「新世紀 世界文学ナビ」韓国編、まだ続いてますね。今日の6回目は金薫(김훈.キム・フン)です。
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 今までの6人の年齢の若い順になってるのかなと思って1回目から振り返ってみました。
1回目・金愛爛(キム・エラン)=1980年生。
2回目・金英夏(キム・ヨンハ)=1968年生。
3回目・金衍洙(キム・ヨンス)=1970年生。
4回目・申京淑(シン・ギョンスク)=1963年生。
5回目・孔枝泳(コン・ジヨン)=1963年生。
6回目・金薫(キム・フン)=1948年生。

 ・・・ということで、大体年齢順ですね。
 ただ金薫の場合は、年配の作家といっても、過去の名声で地位を保っているのでは全然なく、現在も、というより、むしろ今次々とベストセラーを生み出している活躍中の作家です。蓮池薫さんが訳して(一部で?)注目された「孤将」(新潮文庫)が今のところ唯一の翻訳書ですが、原作「칼의 노래(刀の歌)」は2001年刊行。以後、長編だけでも「현의 노래(弦の歌)」(2004)・「개(犬)」(2005)・「남한산성(南漢山城)」(2007)・「공무도하(公無渡河)」(2009)とコンスタントに出していて、今も韓国人作家による小説のベストセラー中にこれらの作品があげられています。

 私ヌルボは、彼の小説は「孤将」を翻訳で読んだだけなんですけどね。歴史物を原文で読むのはキツイと思って・・・。(現代物でもキツイですけどね。)

     
【金薫(&朴来富)のロングセラー「文学紀行」。】

 しかし、「毎日新聞」の記事中でも紹介されていた「文学紀行-名作の舞台」は少しだけ読みました。
 原題は「김훈 박래부의 문학기행(金薫、朴来富の文学紀行)」という2巻本。1986年から2004年まで20年間文学の現場を踏査して作品を批評した文を集めたもので、第1巻には朴景利「土地」黄皙暎「張吉山」等々の26編の小説、第2巻には李清俊「あなた方の天国」崔仁浩「広場」趙廷来「太白山脈」等々の25編の小説が取り上げられています。
 ヌルボとしては、金薫の本だからというよりも、韓国のこの数十年の代表的な小説を(読まないにしても)概観しておこうと思ってとりあえず1巻だけ購入したわけです。・・・と言いながらも、目を通したのは実際読んだ作品(全部日本語訳)の金承「霧津紀行」李文烈「皇帝のために」権正生「モンシル姉さん」等について書かれた部分だけなので、全体の2割程度ってとこですね。

 あ、金薫といえば、現在韓国MBCテレビで放映中のドラマキラキラ輝く(반짝반짝 빛나는)」で、キム・ソクフンが演じている主人公の「文学と人生」社編集長ソン・スンジュンという人物が、この金薫をモチーフにしているのだそうです。・・・という情報の出所は今年1月の「朝鮮日報」の<キム・ソクフン、「キラキラ輝く」で2年ぶりにドラマ復帰>という記事。また、この月曜日(9日)のInnolifeの<本格的な三角恋模様に、自己最高視聴率…19.1%>という記事によると視聴率も好調のようで・・・。しかしどこまで金薫と重なってるのかなー?

 さて、「新世紀 世界文学ナビ」韓国編が来週も続くとすると、いよいよ大御所李文烈の登場? 彼も金薫と同じ1948年生まれ。(金薫は5月5日、李文烈は5月18日。)
 ただ、李文烈はこのところ保守派の論客としての政治的な発言はしばしば報道されるものの、文学史的には1990年代までの作家になっちゃってますからねー。
 三枝壽勝先生も<現代文学 読書案内>の中で、
 「普段は本を読まない人でも絶対に読むという本がある。それは「水滸誌(水滸伝)」と「三国志(三国志演義)」である。なぜか韓国でこのニつを読んだことがないという人に出会うのは非常に難しい。男女共にこの二つは愛好されている。おかげで作品の売れ行きが芳しくない作家はこの二つの作品を翻案して出版することで一息つくのが慣例となっている。売れっ子に見える李文烈も例外ではない」
 「ある有名な出版社の売り上げの半分は李文烈の本だという。ところがその本とは「三国志」と「水滸誌」、すなわち「三国志演義」と「水滸伝」の翻案なのである。大衆的な読者が有名作家に求めるのが周知の物語の焼き直しで、作者も名声維持のためそれに応じるなどというわけで、百年以上も変わらぬ伝統の根強さを感じるのである。」

 ・・・と、もろ書いちゃってるくらいですからねー。

 ・・・ということで、来週も注目。

※「毎日新聞」の過去記事は1ヵ月で<毎日jp>から消され、以後は<日経テレコン21>で見出し&記事で計105円で見るくらいしかないようですね。


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