マッコリの語源は「マッ+コルダ」(막 거르다、粗雑に+濾す)、つまり「粗く濾した酒」という意味だということを、この記事を読むまで知りませんでした(恥)。ウィキを見たらたしかにそう書いてありました。
さて表題の「週刊金曜日」の記事、連載の<新 買ってはいけない>の161回目の記事として渡辺雄二さんが書いています。
渡辺さんは「これまで伝統的なマッコリ(加熱殺菌していない生マッコリ)を何度も飲みましたが、さわやかな酸味と甘み、さらに発行による炭酸が加わり、「とても味わい深いお酒」という印象を受けました」と書いています。
ところが最近多く出回っている「真露マッコリ」「にっこりマッコリ」「ソウルマッコリ」等、市販の多くのマッコリは合成甘味料のアスパルテームを使っているため、自然の甘みが奪われている、と指摘しています。
アスパルテームは安全性にも不安があり、「化学物質に敏感な人の場合は頭痛やめまい、不眠などを起こす心配」がある、とか、「脳腫瘍のリスクを高める可能性」や「動物実験では、白血病やリンパ腫の発生が認められ」等々から、「アスパルテームを含んだ食品はできるだけ食べないほうがよいのです」と結論づけ、「本当に生マッコリの味に近づけたいというのであれば、今すぐアスパルテームの使用をやめるべきです」としています。
渡辺雄二さんのように「~です」「~べきです」と明確に断定する記事を読むと、「えっ、そうだったのか!」とすぐに感応する人も多数いらっしゃると思いますが、性格的には素直であっても知的な面では疑り深いことを信条としている(!?)私ヌルボとしては、問題とされるアスパルテームについて関係の本やサイト等で確かめてみました。
アスパルテームは砂糖の約200倍の甘みを有するアミノ酸系甘味料で、ダイエットシュガー、キシリトールガム、コカコーラ・ライトやダイエツトペプシ等の炭酸飲料、そして上記のマッコリ等に用いられています。
すぐわかったことは、アスパルテームに対する肯定論・否定論どちらの立場にも「専門家」はいて、また同様の断定的表現をする人が少なからずいるということですね。
実践女子大の西島基弘教授の著書「安心して食べたい!食品添加物の常識・非常識」の肯定論の要点は次の通りです。
・1980年に国連のFAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)が安全性を確認した。日本でも1983年食品衛生調査会の審査を経て食品添加物として認められた。現在は世界120ヵ国以上で使用されていて、とくに規制はされていない。
・アスパルテームは体内で分解・消化・吸収され、代謝される。妊娠中の女性や子どもが使用しても問題はない。
・アメリカで脳腫瘍との関連が話題とされてきたが、FDA(アメリカ食品医薬品局)はアメリカがん研究所の調査を公表し、関連はないとの結論を出した。
・先天性代謝異常であるフェニルケトン尿症患者は注意が必要。
・厚生労働省の調べでは日本でのアスパルテーム摂取量は1人平均2.55㎎。これは1日摂取許容量の0.2%にすぎず、まったく問題にならない。
なかなか説得力があるように思えますが、いかがでしょうか? 問題は、JECFAやFDA、日本の食品衛生調査会によるチェックの内実ですね。
ウィキには、次のような内容のアスパルテームをめぐる政治疑惑めいた記述もあります。
1979~1981年アメリカの政府機関食品医薬品局(FDA)の長官だっGoyanはアスパルテームを承認しなかったが、レーガン大統領が就任すると長官を解雇され、後任のヘイズは翌1982年アスパルテームを承認している。ヘイズは1983年に辞任、人工甘味料製造会社G. D. Searle & Companyに就職した。同社はアスパルテームの販売で莫大な利益を得ている。その利益のために人体への悪影響を無視し承認に踏み込んだのではないかという疑惑がある。なお、国防長官等を歴任したラムズフェルドは同社のCEOである。
強力な反アスパルテームの代表例として、<THINKER>というサイトに「最も論争をよんでいる人工甘味料」という記事がありました。いろいろ怖ろしい事例(?)があげられていますが、感情先行の書き方で客観的説得力はやや不足。最後の方の対処法の1つに「1週間に1日(2食抜くだけ)の断食も非常に有効です」というのもあったりして、頭の中に「?」がよぎってしまいました。
こうした論議を概観して思うことは、歴史分野も同様ですが、思い込みを排し、緻密にありのままを追究することが、専門家といわれる人たちにとっても難しいことなんだなあということです。中には政治や経済関係の組織等との関係が疑われる「専門家」もいるようなのは嘆かわしいかぎりです。
・・・で、はじめに戻って「週刊金曜日」の記事についてのヌルボの判断は、「参考になった」が「書き方が一方的」。
結論としては「アスパルテーム入りのマッコリについては、害があるかどうかはわからないが、あったとしてもただちに害があらわれるものではない(!)と思われます。各自で判断しましょう」。こんなとこですかねー。
なお、この記事では「マッコリ飲むならこちらがおすすめ!」としてアスパルテームの入っていない草家マッコリと高矢禮マッコリをあげています。
はたして違いがわかるかどうか、今度飲み比べてみます。
[2011年6月3日の追記]麹醇堂(ククスンダン)の米夢マッコリもアスパルテームなしということを知りました。追加しておきます。


【アスパルテームが入っていない草家マッコリ、高矢禮マッコリ、米夢マッコリ(左から)】
さて表題の「週刊金曜日」の記事、連載の<新 買ってはいけない>の161回目の記事として渡辺雄二さんが書いています。
渡辺さんは「これまで伝統的なマッコリ(加熱殺菌していない生マッコリ)を何度も飲みましたが、さわやかな酸味と甘み、さらに発行による炭酸が加わり、「とても味わい深いお酒」という印象を受けました」と書いています。
ところが最近多く出回っている「真露マッコリ」「にっこりマッコリ」「ソウルマッコリ」等、市販の多くのマッコリは合成甘味料のアスパルテームを使っているため、自然の甘みが奪われている、と指摘しています。
アスパルテームは安全性にも不安があり、「化学物質に敏感な人の場合は頭痛やめまい、不眠などを起こす心配」がある、とか、「脳腫瘍のリスクを高める可能性」や「動物実験では、白血病やリンパ腫の発生が認められ」等々から、「アスパルテームを含んだ食品はできるだけ食べないほうがよいのです」と結論づけ、「本当に生マッコリの味に近づけたいというのであれば、今すぐアスパルテームの使用をやめるべきです」としています。
渡辺雄二さんのように「~です」「~べきです」と明確に断定する記事を読むと、「えっ、そうだったのか!」とすぐに感応する人も多数いらっしゃると思いますが、性格的には素直であっても知的な面では疑り深いことを信条としている(!?)私ヌルボとしては、問題とされるアスパルテームについて関係の本やサイト等で確かめてみました。
アスパルテームは砂糖の約200倍の甘みを有するアミノ酸系甘味料で、ダイエットシュガー、キシリトールガム、コカコーラ・ライトやダイエツトペプシ等の炭酸飲料、そして上記のマッコリ等に用いられています。
すぐわかったことは、アスパルテームに対する肯定論・否定論どちらの立場にも「専門家」はいて、また同様の断定的表現をする人が少なからずいるということですね。
実践女子大の西島基弘教授の著書「安心して食べたい!食品添加物の常識・非常識」の肯定論の要点は次の通りです。
・1980年に国連のFAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)が安全性を確認した。日本でも1983年食品衛生調査会の審査を経て食品添加物として認められた。現在は世界120ヵ国以上で使用されていて、とくに規制はされていない。
・アスパルテームは体内で分解・消化・吸収され、代謝される。妊娠中の女性や子どもが使用しても問題はない。
・アメリカで脳腫瘍との関連が話題とされてきたが、FDA(アメリカ食品医薬品局)はアメリカがん研究所の調査を公表し、関連はないとの結論を出した。
・先天性代謝異常であるフェニルケトン尿症患者は注意が必要。
・厚生労働省の調べでは日本でのアスパルテーム摂取量は1人平均2.55㎎。これは1日摂取許容量の0.2%にすぎず、まったく問題にならない。
なかなか説得力があるように思えますが、いかがでしょうか? 問題は、JECFAやFDA、日本の食品衛生調査会によるチェックの内実ですね。
ウィキには、次のような内容のアスパルテームをめぐる政治疑惑めいた記述もあります。
1979~1981年アメリカの政府機関食品医薬品局(FDA)の長官だっGoyanはアスパルテームを承認しなかったが、レーガン大統領が就任すると長官を解雇され、後任のヘイズは翌1982年アスパルテームを承認している。ヘイズは1983年に辞任、人工甘味料製造会社G. D. Searle & Companyに就職した。同社はアスパルテームの販売で莫大な利益を得ている。その利益のために人体への悪影響を無視し承認に踏み込んだのではないかという疑惑がある。なお、国防長官等を歴任したラムズフェルドは同社のCEOである。
強力な反アスパルテームの代表例として、<THINKER>というサイトに「最も論争をよんでいる人工甘味料」という記事がありました。いろいろ怖ろしい事例(?)があげられていますが、感情先行の書き方で客観的説得力はやや不足。最後の方の対処法の1つに「1週間に1日(2食抜くだけ)の断食も非常に有効です」というのもあったりして、頭の中に「?」がよぎってしまいました。
こうした論議を概観して思うことは、歴史分野も同様ですが、思い込みを排し、緻密にありのままを追究することが、専門家といわれる人たちにとっても難しいことなんだなあということです。中には政治や経済関係の組織等との関係が疑われる「専門家」もいるようなのは嘆かわしいかぎりです。
・・・で、はじめに戻って「週刊金曜日」の記事についてのヌルボの判断は、「参考になった」が「書き方が一方的」。
結論としては「アスパルテーム入りのマッコリについては、害があるかどうかはわからないが、あったとしてもただちに害があらわれるものではない(!)と思われます。各自で判断しましょう」。こんなとこですかねー。
なお、この記事では「マッコリ飲むならこちらがおすすめ!」としてアスパルテームの入っていない草家マッコリと高矢禮マッコリをあげています。
はたして違いがわかるかどうか、今度飲み比べてみます。
[2011年6月3日の追記]麹醇堂(ククスンダン)の米夢マッコリもアスパルテームなしということを知りました。追加しておきます。



【アスパルテームが入っていない草家マッコリ、高矢禮マッコリ、米夢マッコリ(左から)】
以前雑誌かなんかで、添加物いろいろの山崎パンについて、「日持ちがするパンが作られたから、客があまり来ないいなかの店としては助かったんだ」という弁護の意見も載っていて、そういう考え方もあるのか、と思いましたが・・・。
まあ、自分の味覚と、知識と、ふところ具合等々を勘案して飲めばいいのでは、というのが私の(いいかげんな)見解です。
鄭銀淑「マッコルリの旅」なんかを手がかりに、韓国で生マッコリを飲む機会があればそれに越したことはないんですけどねー。
×アステルパーム
○アスパルテーム