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La Mort de Marat

2014-08-22 | ヨーロッパの歴史
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2014年 8月22日(金)21時29分39秒

>筆綾丸さん
図書館でご紹介の『デスマスク』を手に取り、適当にページを開いたら、いきなりマリー・タッソー作のマラーのデスマスクが出てきて、ちょっとドキッとしました。
最近、竹中幸史氏の『図説フランス革命史』(河出書房新社、2013年)を読んでいて、マラー暗殺を描いた絵には有名なダヴィド作以外にもいくつかあり、時代によって画面構成が変化していることを知ったばかりだったのですが、巧妙に美化できる絵画と違ってデスマスクは本当に生々しいですね。

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 一九七三年七月一三日、「人民の友」ジャン=ポール・マラーがパリの自宅で入浴中に、ジロンド派の支持者シャルロット・コルデによって暗殺される。即死だったと言われる。さっそくそのデスマスクがとられることになるが、その任にあたったのが、マダム・タッソーの通称で知られる、ストラスブール生まれのアンヌ・マリー・グロスホルツ(一七六一-一八五〇)。次から次へとギロチンの露と消えていった革命の犠牲者たちのデスマスクや、それにもとづく蝋人形の製作で一世を風靡した女性である。今日も彼女の名前を冠した人気の蝋人形館がロンドンにあることは、皆さんもご承知のところであろう。
 そのマリー・タッソーが、『フランス革命の思い出と回想』(一八三九)という自伝を残しているが、それによると、マラー暗殺の一報を受けた彼女は、「要請に応じて、デスマスクの型をとるために必要な準備を抜かりなく整えて、マラーの家に一目散で直行せねばなりませんでした」、という。「彼はまだ生暖かく、血に染まった身体と、ほとんど悪魔のような顔立ちの青ざめた様相は、まるで恐怖に満ちた絵画のようでした」。彼女は、「ひじょうに痛ましい感情に襲われつつも自分の仕事を遂行したのです」。(p142)
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率直に言ってマラーの顔は若干貧相な感じが否めませんが、恐怖政治の主役であるロベスピエールは迫力のある顔をしていますね。(p151)

ジャン=ポール・マラー
La Mort de Marat

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

Richard III ・・・骨は語りすぎる? 2014/08/20(水) 19:11:10
小太郎さん
「古代国家のことについて多くの論文を書きながら、さて、『国家とは何か』とDさんにきいたら、あの人は高校生以上のことは言えないでしょう」ですが、Dさんが誰なのか、知りたいところですね。

http://www.bbc.com/news/uk-england-leicestershire-28825653
http://www.cnet.com/news/richard-iii-bone-chemistry-reveals-royal-life-of-luxury/
現代の bone chemistry なるものは、これほど精密な情報を遺骨から抽出できるものなのか、ちょっと信じ難いものがあります。bottle-a-day drinker くらいならば、なんとなくわるのですがね。
歯と大腿骨と肋骨の isotope analysis により継時的な生活の場所や食事内容を特定できる、肋骨の分析では白鳥・鶴・鷺の類を食べていたこともわかる・・・というような話になると、これはもう科学への過度の信仰にすぎないのではあるまいか、という気がしてきます。
追記
http://www.lemonde.fr/sciences/article/2014/08/21/richard-iii-peut-etre-tyrannique-certainement-fetard_4473999_1650684.html
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La prémolaire donne ainsi des indications sur son enfance, la molaire sur le début de son adolescence, le fémur sur l'ensemble de sa vie et la côte sur ses dernières années.
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ル・モンドは、骨の部位について、より詳しく書いています。小臼歯からは幼少期の、大臼歯からは青年期始めの、大腿骨からは生涯全般の、肋骨からは晩年の情報が得られる、と。ますます眉唾っぽい感じです。
リチャード三世は苦笑し、シェークスピアは戯曲の一部を変更し・・・死後もなかなか忙しい。

追記
http://gendai-shinsho.jp/
本屋さんで、どれにしようかと思いましたが、仲正昌樹氏の『マックス・ウェーバーを読む』はやめて、金子拓氏の『織田信長〈天下人〉の実像』を買いました。帯には次のようにありますが、新史料とはどのようなものなのか、これから読んでみます。
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新史料があきらかにする最も新しい信長像
1.「天下布武」は「全国統一」の宣言ではなかった
2.信長は改革者ではなく、室町幕府の継承者だった
3.東大寺正倉院の秘宝「蘭奢待」の切り取りは、天皇の権威簒奪のために行われたのではなかった
4.天皇は信長を征夷大将軍に推任した
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