学問空間

『承久記』『五代帝王物語』『とはずがたり』『増鏡』『太平記』『梅松論』等を素材として中世史と中世文学を研究しています。

0068 saebou VS 雁琳訴訟(その3)─控訴審での対応について

2024-04-22 | 北村紗枝とオープンレター騒動
第68回配信です。


一、前回配信の補足

山本一郎氏のnote
「鈴木わかな裁判長は司法修習の同期(53期)に本件原告代理人の神原元さんがおられ、最高裁判所へのご栄転が決まっています」
https://note.com/kirik/n/nc0a60b0bf7c1?sub_rt=share_h
2024.04.01付 最高裁人事
https://www.westlawjapan.com/p_affairs/2024/20240401_s.html
三森敏明氏「わたしの修習時代」
https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2014_06/p44.pdf

巧妙なトリミングの一例
https://news.livedoor.com/article/detail/18781374/

二、北村弁護団と「もののけ姫」

神原元(かんばらはじめ、武蔵小杉合同法律事務所、早稲田大学政経学部卒、2000弁護士登録)
http://www.mklo.org/about
宋惠燕(そんへよん、武蔵小杉合同法律事務所、学習院大学卒、2006弁護士登録)
http://savesetagaya.blog.fc2.com/blog-entry-102.html
http://www.mklo.org/about/hyeyonsong
https://lazak.jp/about_us/board_member/
太田啓子(湘南合同法律事務所、国際基督教大学卒、2002弁護士登録)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E7%94%B0%E5%95%93%E5%AD%90
https://shonan-godo.net/
https://www.chunichi.co.jp/article/301030
太田伊早子(横浜法律事務所、慶應義塾大学大学院法務研究科、2009弁護士登録)
https://yokohamalawoffice.com/lawyer/080/
https://note.com/withasakayuka/n/ne0aa8916d9d8
藤塚雄大(横浜法律事務所、早稲田大学大学院法務研究科、2015弁護士登録)
https://yokohamalawoffice.com/lawyer/120/
https://www.kanaben.or.jp/profile/column/2018/06/post-145.html
谷村紀代子(水田・谷村法律事務所、東京大学法学部・法科大学院、2008弁護士登録)
https://legal.coconala.com/lawyers/3931
http://www.mizuta-tanimura-law.com/
水田公章(水田・谷村法律事務所、東京大学法学部・法科大学院、2008弁護士登録)
https://www.bengo4.com/tokyo/a_13116/l_129640/
端野真(橋本法律事務所、東京大学法学部、2007弁護士登録)
https://www.bengo4.com/hiroshima/a_34100/g_34101/l_107948/

もののけ姫(1997)
Princess Mononoke
https://www.ghibli.jp/works/mononoke/

神原元…ジコ坊
宋惠燕…エボシ御前
太田啓子…トキ
太田伊早子…たたら場の女
藤塚雄大…甲六
谷村紀代子…キヨ
水田公章…ゴンザ
端野真…乙事主

三、控訴審での対応

1.訴訟の範囲の拡大が必要ではないか。

雁琳氏の根本的不満は北村によって非常勤講師の職を奪われたこと。
北村は自分に敵対する人物のネット活動、更には社会的活動を徹底的に抑圧することを常習的に行っている。
不法行為として損害賠償請求の反訴をすべきではないか。
仮に勝てなくても、これによって裁判の全体的な構造が変わる。
断片的な文章表現から雁琳氏の人間性が攻撃されてきたが、反訴により北村の人間性を正面から問うことができる。

2.雁琳氏が訴訟の前面に出るべき。

一審と同様の対応では全く勝ち目がない。
一審では明らかに雁琳氏と訴訟代理人の間の連絡が不足していた。
雁琳氏は弁護士に丸投げしていて、実際上何もやっていなかったのではないか。
紛争の全体を熟知し、裁判所に説得的に説明できるのは雁琳氏のみ。
一審で争点が整理されている以上、雁琳氏であれば本人訴訟は可能ではないか。
それが無理としても、二審では雁琳氏が訴訟追行の主体となり、弁護士の関与は補助的とすべき。
期日にも雁琳氏本人が必ず出て、裁判所に自分がいかなる人物かをアピールする。
良い人間と思ってもらう必要はない。
面白い人間と思ってもらえれば十分。

3.賠償額の争い方

何故に多くのカンパが集まったのか、その理由を裁判所に説明できるかがポイント。
多くの人にカンパした具体的理由を書いてもらい、北村がネットで行ってきたことの実態と北村の人間性を明らかにする。

チマチマした文章表現ではなく、北村と雁琳氏の人間性の違いを主題とする裁判に転換する。
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0067 saebou VS 雁琳訴訟(その2)─北村紗衣の虚像と実像

2024-04-21 | 北村紗枝とオープンレター騒動
第67回配信です。


一、前回配信の補足

「判決文を読む限り、証人尋問・当事者尋問への言及がない」と書いてしまったが、p49に「原告本人」とあった。

-------
11 争点11(損害額)について
 既述のとおり、本件投稿①から⑨及び⑪につきいずれも名誉棄損若しくは名誉感情侵害又はその双方の不法行為が成立するところ、令和元年から令和5年にかけて行われた前記各投稿を通じ、被告の原告に対する悪質な誹謗中傷が執拗に繰り返されている。一面識もない被告から前記のような誹謗中傷を受け続けたこと自体(原告本人)、原告にかなりの精神的苦痛をもたらしたものと推認することができる。

http://www.mklo.org/mklo/wp-content/uploads/2024/04/ffdd5b80e78c62b11a9a19dbd8ffa153.pdf


二、ネット世界における北村紗衣の実像と裁判官が「推認」した虚像

弁論主義…裁判の基礎となる訴訟資料の提出を当事者の権能かつ責任とすること

①裁判所は、当事者が主張していない事実を認定して裁判の基礎とすることは許されない(第1テーゼ)
②裁判所は、当事者間に争いのない事実はそのまま裁判の基礎にしなければならない(第2テーゼ。自白の拘束力。民事訴訟法179条)
③争いのある事実について証拠調べをするには、原則として、当事者が申し出た証拠によらなければならない(第3テーゼ。職権証拠調べの禁止とも言われます)

https://www.yokohama-roadlaw.com/glossary/cat2/post_182.html

裁判官が「推認」した北村紗衣像はオープンレター騒動を眺めていたネット世界の住人には極めて違和感がある。
私自身の当時の印象は以下の通り。

-------
2021年3月30日
呉座・北村騒動を傍観していて、最初は同じ東大出身で年齢も近い呉座氏と北村氏の間で昔から何か因縁があるのかと思ったら、北村氏は呉座氏の著書を読んだこともなく、何の関係もなかったそうで、ちょっとびっくり。

私は今は何故か北村氏にブロックされているので読めないけど、確か北村氏が「こんなことをされて、私だけでは抱えられない」(?)みたいなことをツイートしたら、「一人で抱え込まないで」とかの応援が殺到し、その後、有象無象のフェミ軍が湧き出てきてあっという間に呉座城炎上、

ついでに平山城と平林城も陥落、という感じで、私には背後に何があったのか全然分からず。何というか、「もののけ姫」の指揮を受けた猪の大軍に押しつぶされたみたいな感じだった。中には全く別件で呉座氏にいじめられたのか、すっかり「タタリ神」に化してしまったような中世史研究者も。

まあ、正直、「こんなことをされて、私だけでは抱えられない」(?)はちょっと芝居がかっているような感じがして、こうすればいつもの味方が呉座攻撃をしてくれるだろうと予想していたのではないかと思った。そして『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』を読んでみたら、北村氏は「一年に百本くらい映画

を映画館で見て、かつ百本くらい舞台も劇場で見ます。その全部について簡単な批評を書いて自分のブログにアップしています。また、一年に二六〇冊くらいの本を読みます」(p8)とのことなので、演技とシナリオライティングが完全に肉体化している感じ。

結局、呉座勇一氏はあくまで出版の世界の人でデジタル世界での戦闘力は皆無。他方、日本で最も優秀なウィキペディアンの北村氏はネットでの戦争の優れた戦術家であるばかりか、自らも戦闘技術を磨いてきた「デジタルもののけ姫」であり、北村氏の勝利は必然であった、というのが私の現在の見立て。

https://twitter.com/IichiroJingu/status/1376870186578370565

2021年12月21日
RT 北村紗衣氏、たいした才能だな。これほど戦闘力のある人は珍しい。私の「デジタルもののけ姫」という見立ても間違いではなかった。呉座氏はとんでもない人を相手にしてしまったな。


2022年1月22日
論点をずらしながら集中的な連続攻撃を行う巧みさから、以前、北村紗衣を「デジタルもののけ姫」に喩えたことがあるのだが、エボシ御前の方が適切な譬喩だったかも。石火矢衆の弁護士軍団を率いて学問の森を焼き尽くす破壊力がすごいよね。
https://twitter.com/IichiroJingu/status/1484854347057876994

Sachi ダーウィンAusさん

デジタル戦闘力!まさにその破壊力を感じました。私が対峙した時も他の学者と圧力が全然違う、そして失言が無い。私も普段反日左翼から襲われているので慣れているのですが、この時は段違いでした。
特に果敢にも氏に反論する人、私のコメントにいいねをする人を次々にブロックして、応援を断って孤立させる作戦をとっていて、本当に戦術に長けているなと。これで防衛力を下げさせて自由自在に攻撃、数百の罵倒コメントがやって来ます。
私は反日左翼からの罵倒を受けているのとそれなりのフォロワー数がいたのですが(当時1万弱だったと)それでも耐えきれずブロック。普通の人は耐えられない。もちろん、開示要求をする、大学名をチラつかせる、訴えるとの脅し文句も効果的でしたね、まさにデジタル戦闘力の武器がたくさん。



平山優 (歴史学者)

弊社代表平林のTwitter上における不適切な発言について(志学社)
https://shigakusha.jp/news/apology/

2021年3月23日
北守という人など、亀田俊和氏への対応を見たらインテリ〇〇〇の類ではないかと思われるが、そんな人間にまでここまで謝罪しなければならない理由は何なのだろうか。それほど強大な社会的権力なのか。

もののけ姫(1997)
Princess Mononoke
https://www.ghibli.jp/works/mononoke/

三、控訴審での対応について

雁琳氏には金がないので弁護士の補強は難しい。
無料ないし安価で協力してくれる弁護士の知人もいなさそう。
しかし、傑出した文章力がある。
本人訴訟をやれば良いのではないか。
(次回配信で説明)
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0066 saebou VS 雁琳訴訟(その1)─何故に雁琳氏は敗北したのか。

2024-04-20 | 北村紗枝とオープンレター騒動
第66回配信です。


一、雁琳氏敗北の原因

1、訴訟代理人の問題

http://www.mklo.org/mklo/wp-content/uploads/2024/04/ffdd5b80e78c62b11a9a19dbd8ffa153.pdf

原告側弁護団は八人。

神原元・宋惠燕(武蔵小杉合同法律事務所)
http://www.mklo.org/archives/1952
太田啓子(湘南合同法律事務所)
https://shonan-godo.net/
太田伊早子・藤塚雄大(横浜法律事務所)
https://yokohamalawoffice.com/
谷村紀代子・水田公章(水田・谷村法律事務所)
http://www.mizuta-tanimura-law.com/
端野真(橋本法律事務所)
https://www.bengo4.com/hiroshima/a_34100/g_34101/l_107948/
   
神原元(かんばら・はじめ、1967生)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E5%8E%9F%E5%85%83
「今後、重ねての問い合わせ、議論には一切対応しませんので、早急に訴訟提起して頂ければ幸いです」
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/58b2a8f25013d56c632be65c31a61296

他方、被告側は一人。

神田知宏
https://kandato.jp/
内幸町国際総合法律事務所
https://uchisaiwai-law.com/

ネットトラブル案件は慣れている人なのだろうが、判決文から被告側の主張を見る限り、原告が設定した争点に対して通り一遍の反論をしているだけ、という印象。

2、雁琳氏の対応の問題

判決文を読む限り、証人尋問・当事者尋問への言及がない。
仄聞したところによると、北村が希望して北村のみ当事者尋問を行い、雁琳氏はそうしなかったとのこと。
北村側は事前に予行練習をし、裁判所に好印象を与えられるように念入りに準備した上で本番に臨んだはず。
他方、雁琳氏は裁判所に自らの人間性をアピールする機会を自ら放棄。

雁琳氏のアカウント
「結論が先で論理は後」(by 藤林益三)〔2016-05-14〕
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/609e5e14290bde3ad9fbe30d3c5325fd

何故に賠償金額が極めて高額になったのか。
実質的には「懲罰的損害賠償」

おそらく裁判官にとって、雁琳氏の印象が最悪だったから。
原告側が雁琳氏を最低最悪のクズ人間、パブリック・エネミーとして描き出した。
当事者尋問はそうした評価を覆す最後のチャンス。
雁琳氏はそれを無視。
裁判所にとってみれば、「舐めとんのか」という態度。

雁琳を何としても懲らしめねばならぬ、という結論が先行。
後はそのために論理を積み上げるだけ。
これが裁判の実態。

二、控訴審での対応についての私見

(第1案)「表現の自由」の問題であることを前面に出して、憲法論を含め、理論面で徹底的に戦う。
  弁護団の補強が必要。
  しかし、多額の費用。

(第2案)賠償金額の減額のみを狙う。

 次回配信にて検討。
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0065 鈴木わかな・関泰士・鷲尾透弥─「助教」と「助教授」の区別がつかない裁判官たち(その1)

2024-04-19 | 北村紗枝とオープンレター騒動
第65回配信です。


地味な私のアカウントで、珍しく少し反響。

-------
午前0:21 · 2024年4月18日
裁判長裁判官の鈴木わかなと陪席の関泰士・鷲尾透弥は「助教」と「助教授」の区別もつかない莫迦。こんな社会常識のない莫迦裁判官に当たってしまった雁琳氏は気の毒、などと書いたら、私も名誉感情侵害で訴えられるのかな。

https://twitter.com/IichiroJingu/status/1780617588642611581

武蔵小杉合同法律事務所
http://www.mklo.org/archives/1952

判決の二か所に極めて奇妙な記述。

(ⅰ) 「第2 事実の概要」「2 前提事実」(p3)

-------
(3)呉座勇一(以下「呉座」という)による投稿及び同人に対する処分等
  呉座は、国際日本文化研究センターの助教授であったところ、【中略】
  呉座は、令和3年1月12日、国際日本文化研究センターの運営主体から、同年10月に定年制の資格を付与して助教授から准教授に昇格させる旨の決定を受けた。
-------

(ⅱ)「第3 当裁判所の判断」(p23)

-------
エ 呉座の提訴後、本件投稿①に至る経緯
 呉座は、令和3年10月29日までに、国際日本文化研究センターの運営主体を被告とし、原告を非難するツイートにつきSNS上における不適切発言に及んだという理由によって助教授から准教授への昇格決定を取り消す旨の本件処分(前提事実(3))の不当性を主張して、自身が無期雇用契約上の地位にあることの確認を求める訴訟を京都地方裁判所に提起した(甲21)。
-------

いずれも「助教」と「助教授」を混同。
しかし、「助教授」が「准教授」に変わったのは2007年で、十七年も前の話。

准教授
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%87%86%E6%95%99%E6%8E%88

三人の裁判官は余りに無知ではないか。
また、これは単なる無知にとどまらず、この無知・非常識が呉座を含む関係者の置かれた状況とオープンレター騒動の全体的な構図への重大な誤解につながっているのではないか。

参考、池内恵氏のツイート
-------
助教授(かつて存在した役職で、原則終身雇用だった)、助教(かつての助手で、原則終身雇用ではない)の違いが分かってない裁判官は、キャンセルした側とされた側の大学世界内での圧倒的な権力関係を理解できていない可能性がある。
https://twitter.com/chutoislam/status/1781027517819949485

呉座さんは助教だったから圧力でクビになった。助教授だったらクビになってない。大学人の間の係争を裁く裁判官は、研修所で大学の仕組みについて研修を受けた方がいいんじゃないか?
https://twitter.com/chutoislam/status/1781027520000983285

池内恵(1973生、東京大学先端科学技術研究センター教授)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%A0%E5%86%85%E6%81%B5

北村に対して極めて攻撃的であった呉座は何故に突如として謝罪したのか。(p22)
呉座と北村の和解が成立したのは何故令和3年7月16日なのか。(p23)
また、何故に呉座は同月10日、ブログで、「私、呉座勇一は、(中略)Twitter上において、複数回にわたり、北村様の誹謗中傷を行ってしまいました」、「私の上記行為を寛大な心で許して和解に応じてくださった北村様には心から感謝申し上げます」などと記したのか。

三人の裁判官はこれらを不自然に思わないのか。

呉座がここまで卑屈になった理由はたった一つ。
それは北村とのトラブルが解決したことを国際日本文化研究センターに訴えて、内定済みだった准教授就任への障害を取り除くため。
しかし、結果的には内定取り消し。
呉座にしてみれば踏んだり蹴ったり。
「北村様」にしてみれば、呉座が焦りを募らせるのをじっくり観察した上で、絶妙のタイミングで呉座にとって屈辱的な和解案を呑ませ、「謝罪文」を書かせたことになる。

それにしても余りに非常識で奇妙な誤解。
鈴木わかな・関泰士・鷲尾透弥のうち、いったい誰が判決の原案を書いたのか。

鈴木 わかな(裁判長)
https://www.sn-hoki.co.jp/judge/judge1530/
※4月1日付で司法研修所へ。
https://www.westlawjapan.com/p_affairs/2024/20240401_s.html
関泰士(右陪席)
https://www.sn-hoki.co.jp/judge/judge4247/
鷲尾透弥(左陪席)
https://www.sn-hoki.co.jp/judge/judge2663389/
https://www.westlawjapan.com/p_affairs/2023/20230116_s.html

「裁判官の職務について」(「法科大学院協会」サイト内)
-------
裁判長はベテランの裁判官が務め、そのほかの裁判官は、裁判官に任官して間もない若手裁判官(裁判長の左側に座ることから左陪席裁判官と呼ばれており、通常主任裁判官として関与します)と、若手裁判官とベテラン裁判官の間くらいの経験年数の裁判官(裁判長の右側に座ることから右陪席裁判官と呼ばれています)で構成されています。

https://www.lskyokai.jp/houkadaigakuin_1_1/

一番若手の鷲尾透弥が原案を書いたとして、鷲尾の世代の人が大学で「助教授」を見たことがあるのか。
仮に鷲尾の単純誤記だとしても、それに中堅・ベテランの関・鈴木が二人とも気づかないというのはどういうことなのか。
この判決全体の知的水準に疑念を感じるので、次回以降、少し詳しく分析する。
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「今後、重ねての問い合わせ、議論には一切対応しませんので、早急に訴訟提起して頂ければ幸いです」

2022-04-08 | 北村紗枝とオープンレター騒動
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 4月 8日(金)09時59分58秒

昨日、私が「呉座氏の裁判関係の投稿は、いったん一休みします」と投稿した数十分後に呉座氏がブログを更新し、「日本歴史学協会に対する訴訟提起について」という投稿をされましたね。

-------
日本歴史学協会は、令和3年4月2日、「歴史研究者による深刻なハラスメント行為を憂慮し、再発防止に向けて取り組みます(声明)」と題する声明を公開しました。そこには、「今般、日本中世史を専攻する男性研究者による、ソーシャルメディア(SNS)を通じた、女性をはじめ、あらゆる社会的弱者に対する、長年の性差別・ハラスメント行為が広く知られることとなりました。」との記載があり(傍線・太字は私によるもの)、私を名指しで糾弾しています。
この記述は、私が、Twitterにおいて、あらゆる社会的弱者に対してハラスメント行為(差別行為)を長年継続していた事実を摘示したものです。
私は、既に公に謝罪している通り、北村紗衣准教授に対して複数回、誹謗中傷をしてしまいました。また、女性一般に対する不適切な発言があり、これが「女性差別・女性蔑視的」と評価されることも理解していますし、深く反省しております。
しかし、私が「あらゆる社会的弱者に対する長年のハラスメント行為」をしたという日本歴史学協会の宣言は、事実ではなく、名誉毀損と言わざるを得ません。

https://ygoza.hatenablog.com/entry/2022/04/07/102424

私は既に一年前、日本歴史学協会の「声明」が出された翌日、

-------
真面目な話、あの声明が出た以上、私はこの問題は裁判になった方がよいと思っています。あれが多くの学会で賛同されたら呉座氏は論文発表の場も失うでしょう。学界「村八分」ですね。かといって、勤務先の処分を裁判で争うことも難しいでしょうが、日本歴史学協会なら相手として丁度よさそうです。

https://twitter.com/IichiroJingu/status/1378187340296777732

などと書いており、提訴は大賛成です。
オープンレターは署名者の数が多いとはいえ、所詮烏合の衆ですが、日本歴史学協会の方は専門研究者の同業者ギルドによる「村八分」であり、法的にはこちらの方がよほど問題ですね。
日文研の悪知恵トリオ、井上章一・松田利彦・瀧井一博も、オープンレターよりむしろ日本歴史学協会の声明にネジを巻かれたのではないですかね。
今回の問題が起きるまで、私は日本歴史学協会がいかなる団体なのかも知りませんでしたが、「日本歴史学協会常任委員会内50年史編集委員会」編の『日本歴史学協会50年史』(日本歴史学協会、2000)という小冊子を見たところ、1950年の創設時にはそれなりにバランスの取れた組織だったようです。

http://www.nichirekikyo.com/publication/50nenshi.pdf

しかし、今は歴史科学協議会などの「科学運動」に熱心な、要するに共産党系の人々が実質的に支配している団体で、それは役員の構成を見れば明らかですね。

http://www.nichirekikyo.com/about/31period.html

『日本歴史学協会50年史』も執筆の中心となっているのは宮地正人氏(東大史料編纂所元所長、歴博元館長)で、この時点で既に「科学運動」派が組織全体を完全制圧した、という印象の本です。
ま、そのあたりのことも裁判の進展に応じて書いて行こうと思います。
それにしても、

-------
日本歴史学協会代理人は、上記の主張を開示した以外は一切の対話・交渉を拒絶し、「今後、重ねての問い合わせ、議論には一切対応しませんので、早急に訴訟提起して頂ければ幸いです」とまで宣言しています。
-------

というのは、何とも異常な対応ですね。
これはオープンレター関係の裁判にも登場する某弁護士の発言のようですが、運動家としては一流で、抜群の行動力の持ち主ではあっても、理論面ではいささか心もとない人のようですね。
表現の自由、学問の自由に関わる重大な裁判なので、日本歴史学協会もこんなバウバウ吠えるだけが取り柄の番犬タイプの弁護士ではなく、きちんとした理論派タイプの弁護士を使って対応してほしいですね。
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呉座氏の裁判関係の投稿は一休みします。

2022-04-07 | 北村紗枝とオープンレター騒動
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 4月 7日(木)10時34分25秒

停職一か月の懲戒処分については一応の流れが掴めましたが、内定撤回については、呉座氏のブログによれば、

-------
そもそも人間文化研究機構の内規には、テニュア審査を経てテニュア付与を決定した後にこれを「再審査」によって取り消す規定は存在しません。加えて、テニュア審査は学術的な評価基準に基づいて行われており、職務と関係のない私的な発言を理由に「再審査」し取り消すことは、事実上の懲戒処分であり、停職処分と合わせると同一理由に基づく二重処分となります。テニュア付与の取り消しは事実上の解雇であり、解雇権の濫用と認識しております。


とのことなので、規程類を見ても手掛かりがないですね。
ま、これから裁判の過程で関係資料が出てくるでしょうし、井上章一・松田利彦・瀧井一博等を証人尋問すれば分る話ですから、呉座氏の裁判関係の投稿はこれで一休みして、小川剛生氏の論文、「謡曲「六浦」の源流─称名寺と冷泉為相・阿仏尼」(『金沢文庫研究』347号、2021年10月)に戻りたいと思います。

>筆綾丸さん
>こういうものは、普通、奇数にするものですが、

「運営会議」自体は、

-------
第3条 運営会議は、委員21名で組織し、次の各号に掲げる者をもって構成する。
(1)副所長
(2)研究調整主幹
(3)情報管理施設長
(4)総合研究大学院大学文化科学研究科国際日本研究専攻長
(5)センターの職員のうちから所長が指名するもの
(6)センターの職員以外の者で学識経験を有するもののうちから所長が指名するもの


ということで、奇数になっていますね。
ちなみに、(4)の「総合研究大学院大学文化科学研究科国際日本研究専攻長」というのは何だろ、と思って検索してみたら、誰が「長」なのかは分かりませんが、松田・瀧井を含む教員18人全員が日文研の関係者なので、日文研の東京出張所みたいなものでしょうか。


※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

5名以上7名以下?  2022/04/07(木) 01:40:10
つまらぬことですが。
「懲戒審査委員会」が「運営会議の議を経て」「運営会議委員会のうちから5名以上7名以下で組織」される、ということですが、たとえば、当該委員会が六名で組織され、懲戒の賛成者が3名、懲戒の反対者が3名の場合、報告された機構長も、どっちやねん、と困るでしょうね。
こういうものは、普通、奇数にするものですが、なぜ、「5名以上7名以下」などという、法の条文であまり見たことのないような文言があるのか、変な感じがしますね。
「5名又は7名で組織する」とすれば済む話で、ちょっと頭が悪いんじゃないの、と思いますが、「5名以上7名以下」という規定には、私などには窺い知れぬ、なにか深淵な意図があるのかもしれません。
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井上章一の音声データで分かったこと(その7)

2022-04-06 | 北村紗枝とオープンレター騒動
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 4月 6日(水)09時20分54秒

私は井上が「審査委員会」を「調査委員会」と言い間違えているのではないかと思っていましたが、これは誤解でした。
「新世紀ユニオン」のブログ「委員長の日記」には、資料として松田の2021年4月7日付メールが載っています。
4月2日、「日本歴史学協会」の「今般、日本中世史を専攻する男性研究者による、ソーシャルメディア(SNS)を通じた、女性をはじめ、あらゆる社会的弱者に対する、長年の性差別・ハラスメント行為が広く知られることとなりました」という声明が出され、次いで4月4日に北村紗衣・隠岐さや香等によって「オープンレター」が出された直後の、ネットでは「炎上」が延々と続いていた時期ですね。
当時、日文研では、

-------
3月29日にはG先生が日文研に呼び出され、井上章一所長、瀧井一博副所長、松田利彦副所長から再度の事情聴取を受け、この場で「調査委員会が立ち上がる」「懲戒処分の可能性がある」との説明がなされます。このとき、G先生は脅迫状等で身辺が不安なので日文研内の宿泊施設の利用をお願いしますが「警備に責任が持てない」「女性職員の反発が強い」との理由で、松田副所長から断られています。

http://shinseikiunion.blog104.fc2.com/blog-entry-3548.html

という状況だったそうです。
さて、松田のメールは、

-------
所内業務および信州大学兼業につき    2021/04/07 水 14:54

○○先生
CC:井上所長、瀧井副所長、一鷓総務課長

先生に関わる調査については近く調査委員会が立ち上がります。
提出していただいた資料の検討が中心になると思いますが、聞き取りなども必要に応じて行うかもしれません。
そのときはご協力をお願いします。
いくつかお伝えすべきことがあり、ご連絡差し上げます。

1)所内の担当委員会・小委員会について
 現在、所長から事実上自宅謹慎を言い渡されているかたちになっており、
また、所に来ていただくのも女性教職員を中心に反発があります。
日文研外のお名前が出ることは、呉座先生にとっても望ましいことではないと思います。
そこで、いくつかの委員については
以下のように、交代していただかざるを得ません。
 ・出版委員会: 委員会の委員から外れていただきます。
  同『日本研究』編集委員会: 編集委員会代表及び編集委員から外れていただきます。
 ・研究協力委員会 京都新聞担当小委員会: 代表を外れ、小委員会の委員として残留。
 ・広報委員会 一般公開実行委員会: 代表を外れ、小委員会の委員として残留。
本日の調整会議で承認され、明日のセンター会議で報告の見込みです。
なお、大橋直義先生の共同研究班代表など、さらに外れていただかなくてはならない業務が生ずるかと思われます。

2)兼業について
 添付の兼業届け(信州大学経法学部知財関係プロジェクト業務)をいただいています。
こちらは、まだ兼業の意思はおありということでしょうか。
調査にともなう自宅待機中につき当面控えていただくことは、可能でしょうか。
先方ともご連絡をとりご検討いただけますと幸いです。

ご自愛ください。
-------

というものですが、ここで松田は「先生に関わる調査については近く調査委員会が立ち上がります」と書いています。
この時点で松田が書き間違えるはずもないので、これは「運営会議」の下に置かれる「懲戒審査委員会」ではなく、文字通り「調査」を目的とした委員会ですね。
そして、「調査委員会」の結論が、井上の電話があった5月27日時点でもまだ出ておらず、「調査委員会がどんな結論を出して、運営会議がどんな結論を出すか、私には見えていないのですけれども」という表現になる訳ですね。
井上は「調査委員会には法律の専門家が二人入っていらっしゃるので」とも言っていますが、私はこれも「運営会議委員のうちから5名以上7名以下で組織」される「懲戒審査委員会」に「法律の専門家が二人入って」いるのかと思っていました。
しかし、そもそも「運営会議委員」のメンバー21人の中に「法律の専門家」が見当たらないので変な感じがしたのですが、これも「調査委員会」の話であり、「法律の専門家が二人」というのは弁護士が二人ということでしょうね。
さて、これまで懲戒処分の話をしてきましたが、重要なのはもちろん准教授内定の撤回の方です。
法律論としては本件の内定撤回はあまりに乱暴な話で、私は関係者が法律に無知なためにこんな無茶な結論を出したのかと思っていました。
しかし、井上が「人事権の濫用みたいなことになり得る判断をすると、そうした場合、あなたが不服の申し立てをしたら、私は日文研に勝ち目はないような気がしています」、「少なくとも私は呉座さんに、日文研にとどまる権利は担保されていると考えています」と言っているように、内定撤回が法的に無理なことは井上・松田・瀧井を始め、関係者はみんな熟知していた訳ですね。
そこで三人は呉座氏が「自発的に」退職するように「なだめたりすかしたり」することとし、5月21日、「どういう話になるのかというのが全く分からない」状態で呉座氏を呼び出して、相当強烈な退職勧奨を行なった訳ですね。
それは呉座氏にとって、次に呼び出されたら「監禁されてですね、何かサインするまで返さないとかそんなことはないと思いますけれども、まあ、いずれせよ、何かこう、重苦しい空気がずっと流れて、お互い気分が悪くなってもなあ」と思わせるほどのものであった訳です。
井上は「やめさせることは絶対出来んと思う」「そこに踏み込むのは、私は人事権の濫用やと思うし、呉座さんが不服の申し立てをすれば、呉座さんが勝つと思う」などとは言っていますが、結局は自らその「人事権の濫用」を行った訳で、まあ、当初から「ただ、自発的にやめてくださったらありがたいな、という気分」を松田・瀧井と共有していたのでしょうね。

日文研・井上章一所長と呉座勇一氏の会話記録(その1)(その2)
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/d8963b585fd4cf73c2ab214be9b2bbc0
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/21fb31990238d4b8518437ac19ffa172
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井上章一の音声データで分かったこと(その6)

2022-04-05 | 北村紗枝とオープンレター騒動
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 4月 5日(火)11時36分50秒

「運営会議」委員の具体的な名前は日文研サイトの「運営組織」に出ていますね。

-------
落合恵美子 京都大学大学院文学研究科教授
金水敏 大阪大学大学院文学研究科教授
ベティーナ・グラムリヒ=オカ 上智大学国際教養学部教授
佐藤弘夫 東北大学大学院文学研究科教授
高木博志  都大学人文科学研究所教授
十重田裕一 早稲田大学文学学術院教授
竹宮惠子 京都精華大学名誉教授
本郷恵子 東京大学史料編纂所教授
御厨貴 東京大学名誉教授
三谷博 東京大学名誉教授
吉澤健吉 京都産業大学文化学部教授

荒木浩 国際日本文化研究センター教授
牛村圭 国際日本文化研究センター教授
倉本一宏 国際日本文化研究センター教授
フレデリック・クレインス 国際日本文化研究センター教授
関野樹 国際日本文化研究センター教授
瀧井一博 国際日本文化研究センター副所長、教授
松田利彦 国際日本文化研究センター副所長、教授
安井眞奈美 国際日本文化研究センター教授
山田奨治 国際日本文化研究センター教授
劉建輝 国際日本文化研究センター教授

https://www.nichibun.ac.jp/ja/about/org/

瀧井の肩書が副所長になっているので、本日(4月5日)現在、このページは更新されておらず、2021年に呉座氏の件を「審議」したのもこのメンバーでしょうね。
さて、「国際日本文化研究センター懲戒審査委員会規則」を見ると、第1条に、

-------
第1条 人間文化研究機構職員懲戒規程第6条第1項に基づき、国際日本文化研究センター(以下「センター」という。)運営会議に案件ごとに国際日本文化研究センター懲戒審査委員会(以下「委員会」という。)を置く。

https://www.nichibun.ac.jp/ja/uploads/pdf/ki-12.pdf

とあります。
そして、第3条第1項には、

-------
第3条 委員会は、運営会議委員のうちから5名以上7名以下で組織する。ただし、当該者と利害関係があると認める者は、委員となることができない。
2 前項の委員は、運営会議の議を経て決定する。
3 委員の任期は、運営会議の任期が到来した後も、案件の審議が終了するまで、継続するものとする。
-------

とあって、「懲戒審査委員会」は「運営会議の議を経て」「運営会議委員のうちから5名以上7名以下で組織」される訳ですね。
そして、私にとってちょっと意外だったのは第7条です。
即ち、

-------
第7条 委員会は、当該懲戒事由に係る審査を終了したときは、遅滞なくその結果を所長を通じ、機構長に報告するものとする。
-------

となっていて、「運営会議」の役割は「懲戒審査委員会」の委員を決定することで終わってしまい、別に改めて「運営会議」で「懲戒審査委員会」の「審査の結果」の適否を判断する手続きはなく、「審査の結果」は所長を経由するだけで、いきなり「本部」の「機構長」に行ってしまう訳ですね。
ふーむ。
井上は、

-------
調査委員会がどんな結論を出して、運営会議がどんな結論を出すか、私には見えていないのですけれども

https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/d8963b585fd4cf73c2ab214be9b2bbc0

と言っているので、私は「調査委員会」ならぬ「懲戒審査委員会」が「審査の結果」を出した後、それを「運営会議」で検討して、その結果が「本部」に行くものと思っていたのですが、井上の発言は規程とは齟齬がありますね。
もともと私は「運営会議」を株式会社の取締役会みたいなものかとイメージしていたので、所長が「運営会議」のメンバーではないことが意外だったのですが、「運営会議」のメンバーでない以上、所長が「懲戒審査委員会」の委員になることもありえません。
要するに、懲戒処分に関しては、所長は「懲戒審査委員会」の「審査の結果」を「本部」の「機構長」に「報告」するだけの役割なんですね。
中間管理職どころか、郵便ポストみたいなものです。
従って、「調査委員会がどんな結論を出して、運営会議がどんな結論を出すか、私には見えていない」という表現に不正確な点はあるとしても、井上に「懲戒審査委員会」の「審査の結果」が「見えていない」ことは事実ですね。
日文研の制度上、所長であるにもかかわらず、井上は懲戒処分の判断過程から全く排除されています。
逆に、懲戒審査委員会の委員、特に委員長になれば、実際上、「審査の結果」を左右できそうですね。
では、委員長は誰なのか。
まあ、これが副所長の松田ということではないですかね。

※「調査委員会」については私に誤解がありました。
(その7)に整理していますので、そちらを見て下さい。
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/e64c09f215bff08d08fc0b09195fc2c1
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井上章一の音声データで分かったこと(その5)

2022-04-05 | 北村紗枝とオープンレター騒動
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 4月 5日(火)10時24分52秒

松田利彦は京大助手等を経て1998年に日文研の助教授となり、2013年教授、20年に副所長ですね。

松田利彦(1964生)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E7%94%B0%E5%88%A9%E5%BD%A6
https://www.nichibun.ac.jp/ja/research/staff/s026/

「第2部 シンポジウム「日本統治下の朝鮮と医学研究」松田利彦副所長(2020年度一般公開)」
https://www.youtube.com/watch?v=ckpQtioU2XE

「皆さん、こんにちは。日文研の松田利彦です」で始まるYouTubeの動画も見ましたが、まあ、率直に言って特にカリスマ性を感じさせる人物でもないですね。
そこで、松田が日文研の中で相当な権力を持っているらしいのは制度的な裏付けがあるからだろうと思って人文機構と日文研の規程類を見て行くと、なかなか珍しい仕組みになっていますね。
まず、「人間文化研究機構組織規程」第23条第1項に、

-------
第23条 国際日本文化研究センターに、所長を補佐し、当該機関の事業計画その他の管理・運営に関する重要事項について総括整理するため副所長を2名置き、教授をもって充てる。

https://www.nihu.jp/sites/default/files/regulation/ks-1.pdf

とあります。
「所長を補佐し、当該機関の事業計画その他の管理・運営に関する重要事項について総括整理」するのが副所長の役割ですね。
そして、「国際日本文化研究センター組織運営規則」を見ると、第2条に、

-------
第2条 規程第23条第1項の副所長は、所内担当及び所外担当として各1名ずつ置くものとし、所長が指名する教授をもって充てる。
2 副所長の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、指名する所長の任期の終期を超えることはできない。
3 補欠の副所長の任期は、前任者の残任期間とする。
4 所長に事故があるとき、又は欠けたときは、あらかじめ所長が指名する副所長がその職務を代理し、又はその職務を行う。

https://www.nichibun.ac.jp/ja/uploads/pdf/ks-3.pdf?1224

とあります。
2020年4月、松田と瀧井一博が副所長になっていますが、瀧井は今年の三月、二年の任期を終えて副所長を退き、後任がフレデリック・クレインス氏(日欧交渉史)なので、

 所内担当 松田利彦
 所外担当 瀧井一博

という分担だったのでしょうね。

瀧井一博(1967生)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%80%A7%E4%BA%95%E4%B8%80%E5%8D%9A
https://www.nichibun.ac.jp/ja/research/staff/s025/

さて、「運営会議」については「人間文化研究機構大学共同利用機関運営会議規程」によって大きな枠組みが定められていて、その枠組みの中で「国際日本文化研究センター運営会議規則」が定められています。
そこで、まず前者を見ると、運営会議の委員は、

(1)当該機関外の学識経験者
(2)当該機関の研究教育職員(これに準ずる職員を含む)

で組織され、過半数は(1)でなければならず(第2条)、「機関の長の推薦に基づき、機構長が任命する」(第3条)ものとなっています。
そして、その任務は、

-------
第5条 運営会議は、次に掲げる事項について審議する。
(1)当該機関の長候補者の選考に関すること。
(2)当該機関の研究教育職員の人事に関すること。
(3)事業計画その他管理運営に関する重要事項に関すること。

https://www.nihu.jp/sites/default/files/regulation/ks-9.pdf

となっていて、「研究教育職員の人事」には懲戒処分も含まれますから、「運営会議」の「審議」の対象となる訳ですね。
次に、「国際日本文化研究センター運営会議規則」を見ると、第3条に、

-------
第3条 運営会議は、委員21名で組織し、次の各号に掲げる者をもって構成する。
(1)副所長
(2)研究調整主幹
(3)情報管理施設長
(4)総合研究大学院大学文化科学研究科国際日本研究専攻長
(5)センターの職員のうちから所長が指名するもの
(6)センターの職員以外の者で学識経験を有するもののうちから所長が指名するもの

https://www.nichibun.ac.jp/ja/uploads/pdf/ks-1.pdf

とあります。
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井上章一の音声データで分かったこと(その4)

2022-04-04 | 北村紗枝とオープンレター騒動
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 4月 4日(月)12時21分46秒

井上の話の中で一番不思議なのは松田という人物の立場ですね。
私は副所長の松田利彦という人の名前も知りませんでしたが、呉座氏が「所長が私にお電話下さったのは、これは所長の一存で?」と聞くと、井上は、

-------
一存です。一応、松田さんとも相談したんやけどね。電話していいかという風に。もうそれは、自分にはそれは止められないと。まあ、松田さんが止める話でもないやろし、松田さんには了解をもらいました。

https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/21fb31990238d4b8518437ac19ffa172

などと答えています。
井上は松田に妙に遠慮している、というか恐れているような感じですね。
また、井上は「私たちは、あの、私たちと言ったらいかんか、私たちの中に、この際、退いてくれたらいいのに、と思う人が少なからずいる」と言っていますが、話の流れから見て、松田が「この際、退いてくれたらいいのに」と思っている勢力の代表格であることも明らかです。
そして、松田は「まあ、何て言うか、アカデミックな世界の、あの、気配は感じはるでしょう」「普通の、何と言うか、労働者の権利とは違うカラクリが働く世界じゃない」とどう関係しているのか。
そこで「松田利彦」を検索してみると、『歴史評論』820号(2018年8月)に「戦時期植民地朝鮮における防空体制の構築 ―警防団を中心に―」という論文を書いていたりします。

http://www.maroon.dti.ne.jp/rekikakyo/magazine/contents/kakonomokuji/820.html

また、『日韓の歴史をたどる──支配と抑圧、朝鮮蔑視観の実相』(赤旗編集局/編、新日本出版社、2021)という本に、「民族運動を抑えつつ同化図る」という論文(?)も寄せています。

https://www.shinnihon-net.co.jp/general/detail/code/978-4-406-06591-7

「松田利彦」プラス「赤旗」で検索してみたら、リンク先のブログ記事もありましたが、「民族運動を抑えつつ同化図る」というタイトルなので、赤旗の連載をまとめたのが新日本出版社の『日韓の歴史をたどる──支配と抑圧、朝鮮蔑視観の実相』みたいですね。

https://blog.goo.ne.jp/uo4/e/0e98755820a0e2ab0e01908e005b69ea

まあ、これだけ材料が揃えば松田がいかなる人物かは明らかで、「科学運動」に熱心なタイプの研究者、要するに共産党系の方ですね。
今の日文研は、こういう傾向の人が副所長になれる組織なのですね。
井上と松田、どちらが所長か分からないようなやり取りを見ていると、『日本研究』55号(国際日本文化研究センター、2017)に載っていた井上の発言も、かつて読んだ時とは違う味わいが出てきます。
即ち、2016年9月11日に行われた宮地正人(東京大学名誉教授)、仁藤敦史(国立歴史民俗博物館教授)と井上によるシンポジウム「<鼎談>「日文研問題」をめぐって」において、井上は、

-------
日文研と学問の自由
●井上 私は、ごめんなさい、まとまったデータを用意していません。思いつくことをしゃべります。
 私は、ここに共同研究で来てくださっている人から、よく言われることがあります。「あなたは自由な研究ができて、いいね。好きなことを調べられて、うらやましい」。ですが、三十年ほど前、日文研が創設されるというときに、専修大学の集いで吉田伸之氏〔当時、東京大学助教授・日本近世史〕はこう言いました。「日文研は学会との接点を持っていない。 そんな組織に研究の自由は保障されるのか」と。しかし、私は正統的な学会に所属している研究者から「あなたは自由でいいね」とよく言われます。
 ちょっとけんかを売る格好になるといかんのやけれども、申し上げましょう。学会との接点を持たない日文研に研究の自由はないと言われた吉田氏へ、こう言い返してやりたいと思ったことがあります。「歴研に本当の意味の自由はあるのか」と。すみません、けんかを売りました。(笑)
 日文研は今、人間文化研究機構から態度を改めるように言われています。もっと既成の学会と仲よくつき合いなさい、さまざまな学会の声を聞いて共同研究を組織しなさいと。ああ、三十年前の声がまた聞こえてくるなと私は思います。しかし、私はそういうところとの接点を持たなかったおかげで、自由な気ままな仕事ができたと思っています。接点を持たされるようになるかもしれない昨今を苦々しく眺めています。こういうことを皆さん、本当はどう思われるのでしょうか。

https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/b9ce6473f622b8a2e2ff2c5933740b59

と言っていますが、日文研が「人間文化研究機構から態度を改めるように言われ」た結果のひとつが松田の副所長就任ということなのでしょうか。
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井上章一の音声データで分かったこと(その3)

2022-04-04 | 北村紗枝とオープンレター騒動
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 4月 4日(月)11時32分32秒

私も人間文化研究機構の諸規程の表面だけを見て、「本部」と日文研等の六つの「機関」の関係について、かなり頓珍漢な誤解をしていました。
昨年10月30日には、

-------
呉座氏は「人間文化研究機構国際日本文化研究センター研究教育職員(当時)」なのか。とすると、井上章一所長以下、日文研関係者は誰も呉座氏の懲戒処分、そして准教授としての不採用について、せいぜい会議に参加するくらいで、実質的決定には関与できなかったのかな。

それにしても懲戒権を含む人事権を持たない「所長」というのはずいぶん奇妙な立場だな。上からの命令を執行するだけの中間管理職で、実質的にはとても組織の長とはいえない。

https://twitter.com/IichiroJingu/status/1454256574248087562

などとツイートしていました。
また、評論家の白井聡氏のツイートに対し、

-------
抵抗できるような組織になっていないことは人間文化研究機構の諸規程を見れば明らかではないか。日文研など所長といえども上からの命令を執行するだけの中間管理職で、とても組織の長と呼べるような存在ではない。

https://twitter.com/IichiroJingu/status/1454276578368634881

などとも書いていました。
後者は「ベストセラー「応仁の乱」著者が日文研を提訴 SNS不適切発言で「准教授取り消し」巡り」という京都新聞2021年10月29日付記事に、共産党系の渡辺輝人弁護士が、「え、正規雇用の内定を取り消されていたのか。うーん。それはかなり激しいな。(京都地裁のようだけどうちの事務所には来なかったのね)」とツイートしたのに対し、評論家の白井聡氏が「これ、二重懲罰になってますよね?」とコメントしたところ、白井氏と池内恵氏の間で若干のやり取りがあり、それを見ての私の感想です。

https://twitter.com/shirai_satoshi/status/1453972121516871681
https://twitter.com/chutoislam/status/1454102133884686343

今回、「大学共同利用機関法人人間文化研究機構職員懲戒規程」を丁寧に読んでみたところ、やはり重要なのは日文研内部での判断ですね。
「機構長」の最終的な決定まで四段階の手続きがありますが、実際上は第一段階、日文研の「運営会議」が設置する「審査委員会」の「審査」が一番重要であって、第二段階以降の「本部」での手続きは、第一段階の判断を追認するかどうか、ということだと思われます。
さて、以上の検討を踏まえた上で、2021年5月27日の井上章一の発言を読み直してみると、

-------
調査委員会がどんな結論を出して、運営会議がどんな結論を出すか、私には見えていないのですけれども、

https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/d8963b585fd4cf73c2ab214be9b2bbc0

の「調査委員会」は、正しくは「審査委員会」ですね。
そして、日文研の所長である井上がこんなあやふやなことを言っているので、うっかりすると、これは東京の「本部」の話なのかと誤解してしまいますが、あくまで懲戒処分の第一段階、日文研の話ですね。
日文研の「運営会議」が設置した「審査委員会」の結論が見えない、と井上は言っている訳です。
また、

-------
あの、調査委員会には法律の専門家が二人入っていらっしゃるので、たぶん、今の現行法規で判断しはると私は思います。

https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/21fb31990238d4b8518437ac19ffa172

とあるのも、本部ではなく、日文研の「審査委員会」の話ですね。
「たぶん、今の現行法規で判断しはると私は思います」はよく聞き取れなかったのですが、これは問題とされた呉座氏の行為があった時点、即ちSNSでの行動指針など存在していない時点での機構や日文研の規程に従って判断する、という意味だと思います。
また、「法律の専門家」とは外部の弁護士なのか、それとも日文研内部で法律に詳しそうな人、例えば京大法学部卒の瀧井一博あたりのことを言っているのは分かりません。

瀧井一博(1967生)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%80%A7%E4%BA%95%E4%B8%80%E5%8D%9A

なお、瀧井は2022年3月いっぱいで副所長は退任し、普通の教授に戻っていますね。

https://www.nichibun.ac.jp/ja/research/staff/s025/

※「調査委員会」については私に誤解がありました。
(その7)に整理していますので、そちらを見て下さい。
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/e64c09f215bff08d08fc0b09195fc2c1
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井上章一の音声データで分かったこと(その2)

2022-04-03 | 北村紗枝とオープンレター騒動
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 4月 3日(日)16時16分3秒

呉座氏の停職処分の場合、「人間文化研究機構職員就業規則第23条及び第26条第2号に違反し、同規則第36条第1項各号に該当」とあるので、第23条を見ると、これは職務専念義務です。

-------
第23条 職員は、この規則又は関係法令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、機構がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。

https://www.nihu.jp/sites/default/files/regulation/kh-1.pdf

第26条第2号は、

-------
二 職務の内外を問わず、機構の信用を傷つけ、その利益を害し、又は職員全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
-------

というものですが、勤務時間中にSNSに投稿するのが職務専念義務違反と言われると、まあ、形式的にはそうだとしても、それで停職一か月はあまりに重すぎますから、実質的に重視されたのは第26条第2号の方でしょうね。
ただ、こちらもずいぶん漠然とした規定です。
さて、第36条第3項に言う「職員懲戒規程」を見ると、第6条(懲戒の手続)には、

-------
第6条 職員のうち、機関の長及び研究教育職員(以下「研究教育職員等」という。)の懲戒処分は、機構が設置する大学共同利用機関(以下「機関」という。)の運営会議が設置する審査委員会の審査に基づき、教育研究評議会に設置する研究教育職員等懲戒委員会(以下「懲戒委員会」という。)において審議し、役員会の議を経て機構長が行う。
2 職員のうち、研究教育職員等を除く者の懲戒処分は、機構本部又は機関に置かれる調査委員会の調査に基づき、役員会の議を経て機構長が行う。

https://www.nihu.jp/sites/default/files/regulation/kh-38.pdf

とあります。
呉座氏はもちろん「研究教育職員」なので、第1項が適用されますが、その判断過程は四段階に分かれていて、

 1、「機構が設置する大学共同利用機関(以下「機関」という。)の運営会議が設置する審査委員会の審査」
 2、「教育研究評議会に設置する研究教育職員等懲戒委員会(以下「懲戒委員会」という。)において審議」
 3、「役員会の議」
 4、「機構長」

となっています。
「人間文化研究機構組織規程」も見て、本件に即してもう少し具体化すると、

 1、日文研の「運営会議」(組織規程第14条)が設置する「審査委員会」の「審査」
 2、「本部」の「教育研究評議会」(組織規程第11条)に設置する「研究教育職員等懲戒委員会」において「審議」
 3、「本部」の「役員会」(第9条)の「議」
 4、「機構長」

ということですね。
四段階のうち、第一段階だけ日文研の手続きで、第二~第四段階は「本部」での手続きではありますが、事実関係を詳細に調べて「審査」するのは日文研の「運営会議」が設置する「審査委員会」の役割ですから、実際上はここでの「審査」の結論が極めて重用なのでしょうね。
日文研の「審査委員会」の判断を、「本部」が他の機関で行われた同種の処分の関係を考慮して軽くすることはあっても、重くする方向で覆すといった事態は実際上考えにくいですね。
機構が2004年に設立された経緯を考えても、機構は以前から相当の独立性をもって運営されていた「機関」の寄せ集めであって、諸規程の形式的な文言はともかく、実際には各「機関」の判断が尊重される仕組みとなっていて、それが「職員懲戒規程」にも反映されているようですね。
この点、私はかなり誤解していました。
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井上章一の音声データで分かったこと(その1)

2022-04-03 | 北村紗枝とオープンレター騒動
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 4月 3日(日)16時02分34秒

「大学共同利用機関法人人間文化研究機構」(以下「機構」という)に所属する呉座勇一氏が機構から停職一か月の懲戒処分を受けた上、文書で内定通知を得ていた准教授就任が撤回されてしまった件、外部からは分かりにくい点がいくつかありましたが、私が特に疑問に思っていたのは、こうした決定が実質的にどのようになされたのか、という問題です。
つまり機構の如何なる役職にある誰が、具体的にどのような手続きで当該処分を決定したのか、そしてその際、「国際日本文化研究センター」(以下「日文研」という)の関係者がどのように関与したのか、ですね。
機構の諸規程を見れば形式的な決定者は明確で、これは機構の「機構長」(当時、2022年3月退任)であった平川南です。

平川南(1943生)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B7%9D%E5%8D%97

内定取消については、その性質上、対外的な発表はありませんが、停職一か月の懲戒処分については、機構のサイトに、

-------
令和3年10月15日
大学共同利用機関法人人間文化研究機構

 人間文化研究機構国際日本文化研究センター研究教育職員(当時)に対して以下のとおり懲戒処分を行いました。
 本機構の研究教育職員がこのような事態を起こしたことは誠に遺憾であり、被害者並びに関係者の皆様に心よりお詫び申し上げます。当該研究教育職員の行為は、本機構職員としてあるまじき行為であり、かかる行為は決して許されるものでなく、厳正な処分をいたしました。本機構としてもこのことを厳粛に受け止め今後このようなことがおこらないよう、再発防止に努めてまいります。
 なお、本件の詳細については、個人に対するプライバシー等の侵害や更なる二次被害を与える恐れがあることからこれ以上の公表を差し控えます。
【処分の量定】
 停職1ヶ月
【処分の理由】
 当該研究教育職員は、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)において不適切な発言を繰り返し行った。
 また、勤務時間中に私的な利用目的で複数回にわたってSNSに投稿した。
 これらのことは、人間文化研究機構職員就業規則第23条及び第26条第2号に違反し、同規則第36条第1項各号に該当することから、懲戒処分を行ったものである。
【処分日】
 令和3年9月13日

https://www.nihu.jp/ja/news/2021/20211015

とあります。
「機構長」の判断過程を見るために、まず機構の概要を確認しておくと、「本部」の下に六つの「大学共同利用機関」が置かれていて、その一つが日文研です。

人文機構本部の組織-運営管理体制-
https://www.nihu.jp/ja/about/organization
「人間文化研究機構組織規程」
https://www.nihu.jp/sites/default/files/regulation/ks-1.pdf

そして、「大学共同利用機関法人人間文化研究機構職員就業規則」「第7章 表彰及び懲戒」の第36条(懲戒)に、

-------
第36条 機構長は、職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分を行う。
 一 就業規則及び関連の法令に違反した場合
 二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合
 三 機構の職員としてふさわしくない行為のあった場合
2 懲戒の種類は次のとおりとする。
 一 戒告
 二 減給
 三 停職
 四 諭旨解雇
 五 懲戒解雇
3 その他職員の懲戒に関する事項は、別に定める「職員懲戒規程」による。

https://www.nihu.jp/sites/default/files/regulation/kh-1.pdf

とあり、懲戒処分を行うことができるのは「機構長」ですね。
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日文研・井上章一所長と呉座勇一氏の会話記録(その2)

2022-04-01 | 北村紗枝とオープンレター騒動
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 4月 1日(金)23時20分30秒

僕はなるべく、呉座さんの問題を職場の中で軟着陸させたいと思っているんですよ。

【呉座】はあ、はあ。

まあ、あの、みんながもろ手を挙げて、お帰り、おめでとう、という風にはまずならない、と思うけれども。

【呉座】まあ、それはそうでしょうね。

まあ、なだめたりすかしたりしながらだと思うんですけれども。
それと、これも仮定の話をしているんで、ごめんなさいなんだけれども、もし運営会議を終えた上で、呉座さんに留まってもらうような運びになった場合は、みんなの前で、丁寧な謝罪とか、自分の今の率直な思いを、まあ、ホンマに率直に語られたらつらいかもしれんけれども(笑)、あのー、今後自分がどうするみたいな殊勝な言葉とかを、頂戴する場を設けないかん、そのほか色々、検討しなあかんことがあると思うので、そこは覚悟しておいて下さい。

【呉座】はい、それはまあ、当然、私も考えておりました。

あの、調査委員会には法律の専門家が二人入っていらっしゃるので、たぶん、今の現行法規で判断しはると私は思います。
この現行法規で、SNSでの発言が、何と言うか、降格とかそういうのはありえないと私は思っています。だけど、まあ、何て言うか、アカデミックな世界の、あの、気配は感じはるでしょう。

【呉座】まあ、それはそうですね。

普通の、何と言うか、労働者の権利とは違うカラクリが働く世界じゃない。

【呉座】はい。

そこもまあ、飲み込んどいてもらわないといけないし、今後色々、あなた自身が屈辱を感じるようなことも、間々あろうかと思うんだけれども、それで今ね、この話をするのはひょっとしたら早いのかもしれないけれども、運営委員会で、運営会議で大体の結論が出た時にしゃべった方が良い話なのかもしれないけれど、松田さんからね、金曜日にはもう出たくないという風に、あの、言うてはるという話を聞いて、私はややフライング気味に、まあ、何て言ったらいいのかな、あの、井上は呉座さんを見捨てる気になっていないということをお伝えしたかったので。

【呉座】まあ、それはありがとうございます。大変ご迷惑をおかけしておきながら、そういう風に言っていただけるのは。
で、ちょっと念のため確認するのですけど、今日、所長が私にお電話下さったのは、これは所長の一存で?

一存です。一応、松田さんとも相談したんやけどね。電話していいかという風に。もうそれは、自分にはそれは止められないと。まあ、松田さんが止める話でもないやろし、松田さんには了解をもらいました。

【呉座】はあ、はあ。

ていうか、呉座さんが松田さんにそう返事しはったんでしょう。行きたくないと。

【呉座】そうですね。いや、まあ、これ、前回はどういう話になるのかというのが全く分からないで行きましたので。
で、前回行った感じですと、これはやめてくれという話としか解釈できなかったので、そうすると、それの返事ということになりますと、まあ、その話にしかならないであろうと。
で、まあ、さすがに、あの、監禁されてですね、何かサインするまで返さないとかそんなことはないと思いますけれども、まあ、いずれせよ、何かこう、重苦しい空気がずっと流れて、お互い気分が悪くなってもなあ、という風に思いまして。

それはまあ、やめさせることは絶対出来んと思うし、ただ、自発的にやめてくださったらありがたいな、という気分があるのも間違いないし。

【呉座】いや、それはそうだろうなと、客観的にみれば私もそれは分からないではないのですが。

ただ、そこに踏み込むのは、私は人事権の濫用やと思うし、呉座さんが不服の申し立てをすれば、呉座さんが勝つと思う。
で、まあ、私はそういう事態に持ち込みたくないと思っているし、もしそういう事態に持ち込んで、あの、日文研が負ければ、それはたぶん、私が責任をとってやめるという話になると思います。
で、要するにそういうもめごとにはしたくないので、何とか軟着陸させたいと思っているんですよ。

【呉座】なるほど。私もできれば、あまりそういう、泥試合のようなことは、なるべく避けたいなあ、という風には思っていますけれども。まあ、何分、どういう形の処分が出るのか、ちょっと見当がつかない状況ですので。

あの、今述べたのは、私の素人の考えで。

【呉座】いや、もちろん、そうですね。

責任をもっていう事はできないが。

【呉座】そうですね。なので、そこは、何ていうんですかね、私もそういう、職場と何かこう、あまりやり合うということは、今までお世話になってきた先生方と争うみたいなようなことは、まあ、なるべく避けたいとは思っていますけれども。

じゃあ、あの、私たちは、あの、私たちと言ったらいかんか、私たちの中に、この際、退いてくれたらいいのに、と思う人が少なからずいることと、だけれども、たぶん法的には、あの、そういう主張に道理はないという判断とをお伝えして、その上で、運営会議の判断が決まった後で、もう一度相談を、私と瀧井さん、松田さんと四人で、もう一度相談の場を設けるということで、明日はとりあえず行けないということで。

【呉座】はい。それでお願いできますか。すみません。

はい。じゃ、ごめんなさい。

【呉座】いえいえ、こちらこそ多大なご迷惑をかけしまして申し訳ありません

じゃ、失礼します。

【呉座】失礼いたします。
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日文研・井上章一所長と呉座勇一氏の会話記録(その1)

2022-04-01 | 北村紗枝とオープンレター騒動
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2022年 4月 1日(金)23時17分22秒

呉座勇一氏を支援する「新世紀ユニオン」のブログ「委員長の日記」に、日文研・井上章一所長と呉座氏の電話でのやり取りを記録した音声データが公開されました。

http://shinseikiunion.blog104.fc2.com/blog-entry-3548.html

約15分のやり取り全部を聞くのは大変だろうと思いますので、私が文字起こしをしてみました。
会話の途中から始まるので、最初は分かりにくいところもあります。
聞き取りが不正確な個所があれば御指摘下さい。

-------
【日時】2021年5月27日(木)
【登場人物】
  井上章一:所長(風俗史)
  松田利彦:副所長(日朝・日韓関係史)
  瀧井一博:副所長(当時、国制史・比較法史)
https://www.nichibun.ac.jp/ja/research/researcher/

行きたくないとおっしゃっておられると松田さんから伺いました。

【呉座】はい。

で、それは止むを得ないと思うのですが、ただあの、仮に残られるとしても、残られたときの手立てとか、今後の対応は検討していかないといけないと思うので、前も申し上げたけど、呉座さんにとって、そんなに居心地の良い道ではないような気がして、まあ、あの、一度そのへんのことを語り合う場は、これは運営会議が終わった後の方がいいかもしれんけど、持っていただきたいと思っています。

【呉座】はい。

はい、で、明日はやっぱり、あの、家にいらっしゃる?

【呉座】そのつもりですが。

まあ、分かりました。もう、それならそれで、あの、大丈夫です。
調査委員会がどんな結論を出して、運営会議がどんな結論を出すか、私には見えていないのですけれども、もし、何というか、人事権の濫用みたいなことになり得る判断をすると、そうした場合、あなたが不服の申し立てをしたら、私は日文研に勝ち目はないような気がしています。

【呉座】はい。

ただまあ、あの、ホント言うと私は、そういう風にはしたくないという強い思いがあるんだけれども。

【呉座】はい。

私は、少なくとも私は呉座さんに、日文研にとどまる権利は担保されていると考えています。ただ、残り方は、残っていただく場合の綱渡りみたいなことは、ちゃんと決めていかないといけないと思うので、えーと、おんなしこと言っているんで、さっきから。それは語り合う場に是非来てください。

【呉座】えっ、つまり私がどういう形で残ることになるのか、ということを話し合う場を設けたいと。

それもあるんだけど、えー、そうやね。どういう形で残るのか、と。形じゃなくて。そうやね。

【呉座】えっ、えっ、ちょっとお話が、あの、抽象的で、今一つ分りづらいんですが。

抽象的にならざるを得ないの。僕は今、調査委員会のメンバーではないし、運営会議の判断も、今のところ見えないので、あの、抽象的に話をせざるを得ないんですよ。
僕の勝手な、素人の法理解やと、あなたは業績で准教授昇任が認められた訳やから。

【呉座】はい。

これを覆すことはできないと思います。

【呉座】はい。

ただ、これは私があくまで素人やからそう思っているのでね、あの、どんな判断が下されるのか、は分からないし、ただ、あなたにとって悪い判断が下されても、あなたには抵抗する権利があると。

【呉座】はい。

ただ、これはあくまで、何を言っているのか分からへんと言われたから、ちょっとはっきり言ったんだけど、私の素人判断で、そこはお許し下さい。
ただ、仮に准教授になられたとしても、あの、たぶん、普通の准教授という格好になりにくいと思う。で、そういうことをめぐる相談事にも対応、乗ってもらわないと困る訳ですし。

【呉座】まあ、あくまで例えばの話ですけど、仮に准教授になったとしても、そのまあ、通常の准教授よりも、職務権限などが制約された形になったりするんではないか、ていうことですかね。

そうでしょうね。
まあ、そういうことは考えられると思います。
で、まあ、大きい大学なら呉座さんも見はったことがあると思うけれども、その、職場がややもてあましながら、でもずっと居続けはる教員っていらっしゃるでしょ。

【呉座】はい、はい。

で、まあ、あの道を、まあ、あんな風な道に行ってもらいたくはないなと思うんだけど、そういう風になってしまいそうな気がしてるんですよ。

【呉座】はい。

で、まあ、それも覚悟の上なら、手続きを粛々と進めるしかないんですけれども、ただ、その場合でも、例えば新しい人を採用する人事とかには、あの、たぶん、まあ、そりゃ、私が辞めた後の人事委員会かもしれへんけど、呉座さんに入っていただこうみたいな話にはなりにくいんじゃないかな。

【呉座】はい、はい。なるほど。

あるいは、共同研究の主宰者をどうする、というときに。まあ、割り切ればね、割り切れば、いろんな用務からはずしてもらえるから楽な道と思えんことはないんだけれども、まあ、率直に言って、あんまり居心地はいいことないと思う。

【呉座】まあ、それはそうなるでしょうね。当然。

そこは覚悟の上で、でも日文研に留まるとしたら、それはそれで手立てを考えなければいけないし。

【呉座】はい。
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