五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

二人の皇子とグレートマザー

2013年06月01日 | 第2章 五感と体感
大津皇子と草壁皇子。

文武両道であり、イケメンである大津皇子の母親は、鵜野皇女(後の持統天皇)の姉である大田皇女です。

かたや鵜野皇女の息子である草壁皇子は、大津皇子ほどの才能はなかったようです。

出来る男の大津皇子は、恋人もいて、互いにやりとりした歌も万葉集に入っており、生きた足跡を辿ることができます。

母親同士は姉妹であり、同時に天武天皇との間に生まれた大津腹違いの兄弟であった二人。

世間が認める皇子であっても、母親である大田皇子は他界しており、気の強い鵜野皇女の子息である草壁皇子のほうが、政治的に裏打ちされた強い安定があったことは確かのようです。

国を治めるには、統率力、判断力があり、人から慕われるカリスマ性が必要ですが、それらを持ち備えていても、統率者の周りを固める人々の力が無くては、砂上の城です。

世間から認められ、次期天皇としての期待もされていたであろう大津皇子は、あっさりと謀反の罪に着せられ処刑されてしまうのです。

そして、二上山の頂上に葬られ、見せしめとされるのです。

そうであるから故、當麻寺の向こうにそびえる二上山は、哀しみの対象として私の心に留まっています。

大津皇子が葬られた後も、後継者が決まらず、結局は身体が弱かった草壁皇子も亡くなってしまいます。

結局、持統天皇となる鵜野皇女は、めきめきと本領を発揮していくのです。

我が子を飲み込み、母親としての役割以上に子供を追い越してしまう母親像を象徴的に表現するならば、真っ先に持統天皇が浮かぶのは私ぐらいかもしれませんが、現代の親子関係に置き換えてみると、いつの世もなんら変わらない「人の成り」であるように思います。

ユングの云う6つのファクターの一つである「グレートマザー」にしても、このような歴史の積み重ねから臨床学的に立証もされてきたのでしょう。

母親の存在の強さと葛藤する経験は、人が成長としていくうえで、必要な通過儀礼であるかもしれません。
出来得ることならしかるべき年齢にそれが経験できることが望ましいかもしれません。
いつまでも母の幻影が付きまとわれていると、その幻影は限りなく大きなモンスターとなって、本当に飲み込まれてしまうかもしれません。「グレートマザー」とは、良く言ったもんだ、、、と、思います。

母親と子供の関係は、精神的なカニバリズムであると、ツラツラ思うわけです。。。
とはいえ、母と子の課題は、誰しもありし課題なのです。

クリック応援お願いします♪「生き甲斐の心理学/五感で観る」
人気blogランキング
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする