雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

妣たちのつぎつぎ去りてかの人の心容れにし器うつくし

2021-11-25 16:21:00 | Weblog

 押し入れを片付けていたら、昔々の重箱が現れた。

 




 花沢瀉の蒔絵家紋入りだから、戦前の、まだ祖父祖母が健在な時代だろう。すると百年とまではゆかないが、80年は経ったはずだ。

 今までも何度か、母はこの重箱を思い出して見つけ出したいとぼやいていたが、こんな時期にようやく出てきた。
 もう一度、母の手がこの器に触れることがあって欲しいものだ。

 昔の黒漆は厚みがあって頼もしい。当時としては格別な高級品ではなかったにせよ、今の時代では戦前の格式を伝える稀な品。

 過ぎてゆく時間の隙間に残された、農家の素朴なお宝。

 感謝。



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