市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

虫の音のかぼそくなりて夜々冷ゆる家族なき家にやすらぎのある

2021-09-25 20:53:00 | Weblog

 今日一日で、和服の風通しをほぼ済ませた。

 箪笥の奥底から、私が赤ん坊の時、たぶんお宮参りか何かに着せられたネルの襦袢が出てきて、目を丸くした。

 ネルなんて、今時の人は知らないだろう。私の10代の頃までは、高齢者の防寒肌着などによく使われていた、厚手の柔らかい繊維だ。肌触りが良いので、赤ん坊のおくるみにも利用されていたと思う。

 


 長い両袖は紅絹、もみ、で、これも今は生産・販売されない。ただの紅い絹ではなく、柔らかくて防毒効果のある天然染色繊維だ。
 よくも残っていたと感動したが、そのあとこの襦袢に重ねたらしい嬰児用の振袖なども出てきて、もちろん私には覚えがないのだが、奥底の潜在意識には、たぶんこうした衣装の経験があって、今の着物好きに繋がっているのだろう。

 










 祖母の手縫い、手編みの真綿半纏、チョッキ。いずれもしっかりした仕立てだ。

 繊維や素材、染色技法の変化もまた、時の流れを映し出す。

 さまざま感謝。


 


 

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