介護施設から、母の画像が送られてきた。
コロナ禍で面会できない現況、心遣いがありがたい。流しそうめんを食べている写真だそうだ。あんぐりと口を開けてそうめんを啜りこむ母の顔は、悲哉、やはり変わった。
母の老衰を、どう表現したらいいだろう。使い込んで角を失い、小さくなった石鹸みたいだ。
車椅子移動、リハビリパンツ、オムツ、職員たちの目の届いた優しい完全介護の孤独。徐々に後退してゆく認知機能。
それでも身体に痛みの少ない最晩年は、仕合せ、と思う。幸せではないにせよ。
家族の愛に囲まれた自宅での別れは理想だが、そんな幸せは滅多に恵まれない。
母の表情は平和で、まるで幼児のようだ。
神に感謝。
水彩、午後。F3号。