市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

まぼろしか知りつついのち深みゆく我に沈めて炎(も)ゆる夕光(ゆふかげ)

2011-12-28 16:23:54 | Weblog


 冬のつめたく澄みとおった夕光(ゆふかげ)が射す。




 しばらく前に、貝原易軒のエピソードをふと思い出した。



 易軒と、その老母との対話のエピソード。聡明でしられた母堂とか。



 「母上、女人はいつまで女人か?」

 
 というようなことを、易軒はたずね、七十を越えた母君は、静かに黙って、眼の前の火鉢の灰をゆっくりと火箸で掻いていた、と。


 言葉はなくて。


 灰になるまで。





 『雪香ものがたり』の冒頭に、「美しく老いる、ということのむつかしさ…」というような記述があったと思う。

 つくづくと、この名前にこめられた密度を感じた一年でもあった。


  


 ……。易軒の母君は、うつくしい方だったのだろうか。老境にさしかかり、成人した息子がそのようななまめいた質問をしたくなるのならば、たぶん、魅力的な女性だったのだろう。


 

 今年もまもなく終わる。


 しみじみと、さまざまなことがあったと思う。






 


 









 




 


 
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