『未来』新年号がはやくも届いた。
出掛けついでに、図書館に行って鈴木しづ子さんの句集を借りる。
『夏みかん酸っぱしいまさら純潔など』
謎の多い女流俳人。このなかに、句集「春雷」「指輪」をおさめる。
一句、一句、きざまれるような自己表白。露悪ではない省察。
このひとの生きざまを語る十七文字。
雪こんこんしびとのごとき男の手
コスモスなどやさしくふけば死ねないよ
月の夜の蹴られて水に沈む石
……。
わたしは橋本多佳子さんのファンで、彼女の裂帛の吐露をいくつも心にとどめている。
雪はげし抱かれて息の詰まりしこと
夫(つま)恋へば我に死ねよと青葉木兎
乳母車夏の怒涛に横向きに
俳句もどき、を作っていたころ、感動して読んでいた。対照的な女性ふたり、相通うものは、嫋嫋とした風情のなかの鋼のような強さ、だろうか。
見てくれの佳さを超えて、芯の強さが立ち昇り、ときにたじろぐ。
口当たりのよさに傾きがちなわたしは、ときにこういう作家に出会うと、息を呑み、たちすくむ思いになる。
今夜はクリスマスイブ。
さまざまなひとが、いろいろな思いをこめて集い、祝い、祈る。
被災地の方の寒さが、あまりつらくありませんように、と。
また、被災者ではない、日常の中で、さまざまに疲れ、心いたむひとにも、やわらかな時間がありますように。
このちいさな部屋を覗いてくださったあなたに、良い聖夜でありますように。