市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

別れ告げて頬に寂しさ浮かぶとき伝へたき確かなぬくもりのある

2011-02-12 19:56:12 | Weblog



 交代勤務の仕事のおしまいに、フロアの入居者さんにあいさつをする。



 言葉もよく通じないかもしれない認知症、アルツハイマーの方も、そこにはいらっしゃる。


  小半日、ケアを担当したある方、あわただしくても、介助の最中は、微笑みが浮かんだり、目をぱちぱちさせたり、また眉をしかめたり、ぶつぶつ小言を言ったり、ふいに声をたてて笑ったりして、ゆっくりだけれど、いきいきと表情を動かしてくださる。


 
 でも、さよなら、と言いつつ傍らでお辞儀すると、むっと口を噤んで眼を伏せてこちらを見てくれない。

 あ、寂しいのかな……と思う。もしも自分のことを、そんなふうに感じてくださっているのなら、申し訳ないことだけれど、わたしにとってはうれしいことでもある。

 

 「今日はこれで帰ります、さよなら、また○曜日には来ますね」


 言葉でお返事のできる方ではないのだけれど、口を引き結んでうつむいている、かたい表情はさびしげに見えた。



 そんな映像が心に残った日。




 守秘義務への配慮あって、日常のお勤め、仕事のことは曖昧にしか詠えない。たぶん、わたしの現実詠の表現力が稚拙なんだろうと思う。


 今日のささやきも主観的な一瞬に過ぎないのだけれど。






 

 
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