ギリシャ神話あれこれ:イカロスの墜落

 
 「勇気一つを友にして」という曲がある。いい曲なのだが、子供の頃、大いに疑問だった。蝋で固めた鳥の羽根で、太陽を目指して飛んでゆくのを、勇気と呼ぶものだろうか?
 無謀、無思慮、無鉄砲、……これすべて、勇気とは異なると思う。

 アテナイの英雄テセウスは、王女アリアドネが迷宮ラビュリントスを作った当の工匠、ダイダロスから授かった秘策をもって、迷宮を脱出、アテナイへと帰還した。
 で、アリアドネ失踪後、ミノス王は大激怒。テセウスらを助力した咎で、ダイダロスとその息子イカロスを、迷宮に幽閉する。

 だが、野心と創意工夫とを持つダイダロスが、そのまま甘んじるはずがない。彼は鷹の羽根を蝋(あるいは膠)でつなぎ合わせて鳥の翼を作り上げ、それを肩へと結びつける。鳥のように羽ばたいて、迷宮の塔から空へと脱出しようというわけ。
 ここでダイダロスはイカロスを厳重に戒める。……高く飛びすぎてはいけない。太陽の熱で蝋が溶け出してしまう。また、低く飛びすぎてもいけない。海の湿気で蝋が剥がれ落ちてしまう。と。

 さあ、空へと飛び立った二人は、鳥のように翼を羽ばたかせ、クレタ島を脱出する。

 To be continued...

 画像は、ピオラ「ダイダロスとイカロス」。
  ドメニコ・ピオラ(Domenico Piola, 1627-1703, Italian)

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