ギリシャ神話あれこれ:牛人ミノタウロス(続)

 
 ダイダロスは早速、知恵を絞って、等身大の牝牛の張りぼてを作り上げる。さてこの牝牛、木板で牛そっくりに形取られ、本物の牛皮をかぶせられて、移動できるよう脚には車輪、出入りできるよう背には蓋が取りつけられている。
 で、内側は空洞になっていて、……ちょっと想像したくないけど、ここにパシパエがもぐり込み、牡牛と交わろうってわけ。

 で、牡牛はまんまと騙されて、この偽牝牛に挑みかかり、王妃は想いを遂げる。う~む。

 やがてパシパエは怪異な赤ん坊を産む。それは人間の身体に牛の頭を持つ、半人半牛の怪物だった。
 この赤ん坊は、養父ミノス王に因んでアステリオスと名づけられるが、いつしか牛人ミノタウロス(=ミノスの牛)と呼ばれるようになる。

 このことが露見すると、ミノス王はダイダロスに命じて、迷宮ラビュリントスを作らせ、そこにミノタウロスを幽閉してしまう。
 迷宮の奥深くに住まい、人間の肉を喰らうミノタウロスは、やがてテセウスに退治されることになる。

 闘牛と関係があるのか知らないが(あまり好きじゃないので)、ピカソの絵には、あの「ゲルニカ」に限らず、牛がよく描かれている。ピカソにとって「牛」は、知性を踏みにじる暴力の象徴。
 で、ピカソには、パシパエが荒々しく牡牛と交わる絵や、不気味なミノタウロマキア(ミノタウロスとの戦い)の絵も、いくつかある。
 ……ピカソってやっぱり、なんかヘン。

 画像は、ワッツ「ミノタウロス」。
  ジョージ・フレデリック・ワッツ(George Frederic Watts, 1817-1904, British)

     Previous

     Bear's Paw -ギリシャ神話あれこれ-
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ギリシャ神話... ダーリング »