千恵子@詠む...................

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ISIS退治 苦慮する米国

2015年10月29日 | 
 ISIS退治 苦慮する米国
 
希望・夢・安心などという大嘘でだまして、人々を戦争に駆り立てる。それ、ジョージ・オーウェルの小説『1984』にそっくりだ。唯一の政党ビッグ・ブラザーのスローガンが「戦争は平和である・自由は隷属である・無知は力である」であった。そんな無茶苦茶な、と笑っている場合ではない。日本は今、そんな国になってしまったということだ。
 
と思っていたところ、米国が主導したイラク戦争への参加を決断した英国の元首相トニー・ブレアが、2003年のイラク進攻について、「誤りだった」と認めて謝罪した。そんなこと、今頃になって謝罪されても、もう遅い。何万ものイラク人が亡くなり、米兵4000人以上、英兵179人が死亡した。さらに兵役を退いたあとも後遺症としてPTSD(心的外傷後ストレス障害)で苦しんでいる者も少なくない。
 
イラクのフセイン政権が化学兵器をはじめとする大量破壊兵器を保持しているとの名目でイラクを侵略したのだが、そんなものはどこからも出てこなかった。
 
今回の謝罪に付随してブレアは、驚くべき発言をした。曰く「イラク進攻がISIS(イスラム国)台頭を招く根本原因だったという見方には『一片の真実』がある」というのだ。つまりISISはイラク戦争の鬼っ子として誕生した、と認めているのである。
 
米国が主導する「有志連合」と称する国々が、ISISの支配地域に対し、さかんに空爆を行なっている(カナダは撤退を表明した)。また、安倍首相はカイロでテロ対策として一億ドルの資金提供を表明している。しかし、いくら空爆を重ねようが壊滅は不可能だ。相手はゲリラ戦の達人で、部隊があるわけでもない。ムスリムは世界中に広がっており、そのムスリムの一部がISISを支持・支援していることを考えると、いくら空爆しても壊滅はありえない。
 
唯一の方法は、地上戦で壊滅させるというという方法しか残されていない。しかし対ゲリラ戦争だったイラク戦争で手ひどい目にあった米国は地上戦は考えたくないだろう。
 
さて、ISIS壊滅に手詰まりとなっている米国は、一つの手として、すでに戦争ができる国になってしまった日本に地上戦をさせたい、と考えても不自然ではない。もし日本が地上戦で参戦したら、当然大量の戦死者が出るし、ほとんどの日本の部隊は壊滅する。
 
イラク戦争がISISを産んだことを含めて描写・分析した本がある。
 
◇ 常岡浩介・高世仁 『イスラム国とは何か』 旬報社
 
 
旬報社: 『イスラム国とは何か』 (著者インタビュー動画あり)
 
クリエイティブ・コモンズにて、転載。救援連絡センター発行「救援」紙2面の連載コラムより。
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