チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
+昭和50年代~現在のお話も・・・

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運 命

2007年11月29日 | チエの玉手箱
 ねえ、あの時、どうしてあんなこと言ったの?

また、逢いたいって・・・・・

そりゃあ、また逢いたいって、思ったからだろ

 ふ~ん、一目惚れだったんだ

そんなんじゃねぇよ!

でもよ、おまえもよく来たよなぁ、 クルマのことなんか全然知らなかったくせにな

 だって、ナオと遊びたかったんだもん・・・


あれは、俺達の運命だったんだな

 そうね、運命だったのかもしれないね・・・・・



第125話 富士スピードウェイ

2007年11月28日 | チエちゃん
 夜通し走り続けたコスモは、東の空が白み始める頃、ようやく目的地に到着しました。
初めて訪れた富士スピードウェイは、新鮮な驚きに満ち溢れていました。

 スタンド前のメインストリートは、クルマ自慢の若者たちのパフォーマンス場と化しています。
 派手なオーバーフェンダーを取り付けたメタリックブルーのケンメリ、ショッキングピンクのダルマセリカはいかにも暴走族と思しきリアスポイラー付き、地面スレスレまで車高を下げた改造ローレルは、メタリックヴァイオレット。
オーバーフェンダーとリアスポを装備した真っ赤なフェアレディは、爆音を響かせていました。


 9:00 チエちゃん達もメインスタンドに陣取って、レース観戦です。

「うわぁ~、速い!すごいスピード!」
「どれが一番なの?」
「あれだよ、あの赤と黒のツートン!」

ロータリーエンジンだって・・・」
「俺達の乗ってきたコスモも、ロータリーエンジンだぜ!」

 初めのうちは4人仲良く並んで観戦していたのに、いつの間にか、タロサとナオちゃんは二人だけのラブラブモードになっています。
取り残されてしまったヒロシとチエちゃんは、何を話したらよいのか分からないまま、並んでいました。

 あのう・・・、入院してたって、聞きましたけど・・・

 ああ、あれかぁ!
 ションベンする時、ものすごく痛くってよ、血尿まで出ちまって、そんで入院したんだ
 2・3日経って便所に行ったら、カラカランって音がして、後は何でもなくなった
 あん時、石が出ちまったんだな!

 うわ~、痛そう・・・・・


 五月といえども、標高の高い場所にある富士スピードウェイを渡る風は、まだ冷たく、薄着のチエちゃんの唇は紫色になりつつありました。

 寒いんじゃねぇのか? これ着なよ

そう言うと、ヒロシは着ていた革ジャンを脱いで差し出しました。

 えっ?いいの? ヒロシ君、寒くないの?

 俺は平気だから、着なよ・・・

 ありがとう、じゃあ、お借りします

(ヒロシ君、案外優しい。見た目より、いい人なのかも?)

 レースが終了し、富士スピードウェイを後にしたチエちゃん達は山中湖に立ち寄り、記念写真を撮ることにしました。アヒルボートの前で、
「ヒロシ君とチエちゃんも二人並んで!」
「いいよ、別に・・・」
そう言いながらも、満更でもない様子のヒロシなのでした。 



 この日は1泊し、翌日、日光を経由してタロサの部屋へ無事帰りつき、旅行は終わりました。
それから、ヒロシはチエちゃんをコスモでアパートまで送りました。

 どうも、ありがとう、じゃあ!

チエちゃんが、クルマを降りかけた時、

 あのサ・・・、また、逢ってもらえるかな?

 エッ?! あッ、 はい・・・


 あの時、どうして、チエちゃんは「はい」と答えてしまったのでしょうか?
事の成り行き? ナオちゃんの紹介だから?
いいえ、たぶん、怖いもの見たさ。
これまで、付き合ったことのない人種だから、興味を持ってしまった・・・
チエちゃんは、ちょいワル系に弱かったのです。

   


第124話 MAZDA コスモAP

2007年11月25日 | チエちゃん
 5月2日、仕事を終えたチエちゃんは、ナオちゃんの部屋へと向かいました。
この前、ナオちゃんの誕生日パーティーで、連休を利用して遊びに行く約束をしたからです。
チエちゃんにとって行き先はどうでもよく、ナオちゃんと一緒に遊べることが何より楽しみでした。

 そして、ナオちゃんの部屋で、紹介されたのです。

 こちら、タロサの友達 ヒロシ君、こっちはアタシの友達、チエちゃん!

 はじめまして、よろしく・・・・

 あ、、、ど~も・・・・・

 うわぁ~~~~!! なにコイツ!
 タロサの友達っていうから、もっとカッコイイ人だと思ってたのに・・・
 ツッパリ?! チョー悪そう!

 髪型はアフロだし、ツッパリの変なメガネかけてるし、
 それにピンクのセーターって、なに? 似合うと思ってるの?
 変なヤツ~~~!!
 (イメージできない場合は、湘南爆走族リーダー補佐 原沢良美を思い浮かべてください 
 余談ですが、原沢くんって、リーダー江口洋介よりある意味カッコイイです チエは好きだなあ)
 ナオちゃんの紹介したい人って、この人なの?

チエちゃんのヒロシに対する第一印象は、すこぶる悪かったのです。
何しろ、チエちゃんのこれまでの人生の中では、関わりのない人種だったからです。

 まあ、どうでもいいや、ナオちゃんが一緒だし・・・・・


 今回の旅行に乗っていくのは、ヒロシのクルマです。
こげ茶色の2ドアスポーツカーでした。
この時点で、チエちゃんのクルマに関する知識はほとんどなかったのです。
ただ、ハンドルがやけに太く、小さいなと感じただけでした。

後に判明した所によれば、
クルマは、マツダ コスモAP 12Aロータリーエンジン マニュアル5速ミッション
車高を少しだけ低くし、ドアミラー、タイヤは逆輸入アメリカンダンロップ フロント225、リア250
もちろん、ステアリングはスポーツタイプに交換。ただし、パワーステアリングが装備されていなかったようで、操作はかなり大変そうでした。
まだ、下品なスポイラーやオーバーフェンダーが付いていないだけマシというものです。(それゆえ、チエちゃんは気付かなかった)

22:00
いざ、富士山へ向かって出発進行、ナスのおしんこう!

 この時、チエちゃんは、目的地の富士スピードウェイがどんなところであるのか、全く知る由もなかったのです。

 








第123話 誕生日パーティー

2007年11月22日 | チエちゃん



 それぞれの高校に進学してから、疎遠になっていたナオちゃんと再会したのは、デパートの地下食品売り場で店員として働いている彼女を、偶然見かけたからでした。

 ナオちゃん、ここで働いてたの?
 チエちゃん、久しぶり!

 それから、ナオちゃんの休憩時間にお茶をして、お互いの暮らしぶりなどを話したのです。
なんと、彼女は彼と彼の家の離れで、同棲生活をしていると言うのです。
化粧も派手、タバコも吸うようになっていました。
それでも、ナオちゃんであることに変わりはありませんでした。
その後、時々会って、彼氏のタロサも紹介されました。
ナオちゃん、やるじゃん! 眠そうな顔してるけど、なかなかイイ男!

 そんなある日、チエちゃんはナオちゃんから誘いを受けました。
「今度ね、私の誕生日パーティーやるから、チエちゃんも来ない?」
「うん、行く! 行く!」

 そこは、車庫の2階部分に設けられた離れです。
8畳と6畳の間の襖を取り払ってワンルームにし、ナオちゃんらしいセンスのよい家具や小物、観葉植物が並んでいました。
もう、数人のお友達が集まっています。
ナオちゃんのお友達というよりは、タロサのお友達とその彼女という感じでした。

ハッピー バースディ! ナオちゃん!

若さとは、よいものです。初対面の人達とも会話がはずみ、楽しい誕生日パーティーを過ごしました。

 もうそろそろ、お開きとなる頃、ナオちゃんがチエちゃんに言ったのです。

 実は今日、チエちゃんに紹介したい人がいたんだけど、
 そのコ、尿道結石で入院しちゃってサ、
 すごくいい人だから、また今度、紹介するから・・・・ね!

 ニョウドウケッセキ? 何、それ? ・・・・・

 でね、連休にそのコと、富士山に自動車レース、見に行くんだけど、チエちゃんも行かない?

 えっ! どうしようっかなあ! 特に予定はないけど・・・
 ナオちゃんと一緒なら、行ってみようかなあ・・・
 



ありふれた名前

2007年11月19日 | チエの玉手箱
チエちゃんは、ヒロシをからかってみる


 ヒロシってサ、ありふれた名前だよね!

 だってサ~、クレヨンしんちゃんの父ちゃんも ひろし だし、

 ちびまる子ちゃんのお父さんも ひろし、

 コナンの阿笠博士も ひろし だよ

 そうそう、ホラ、最近テレビに出ないけど、

 お笑いで、元ホストの、彼も ヒロシです って・・・


 バーカ! それだけ、いい名前ってことだろ!


チエもありふれた名前だけどね・・・・・





冬の使者

2007年11月17日 | チエの玉手箱
      今朝は、寒い朝でした。霜が降りました。
 
      そうだ!

      もう、冬の使者がやって来ているに違いない。

      福島市の白鳥飛来地に来てみました。


 
 親子?
 
 近寄って、人からエサをもらう白鳥
 
 1羽だけみつけたマガモの♂
 
 こんなに近づいても逃げない、人に馴れています        
 
 幼鳥の羽ばたき?
 
 来る途中見えた吾妻山には雪が・・・道理で寒いわけです



第122話 ヒロシ

2007年11月16日 | チエちゃん
 ヒロシは、お世辞にもまじめな高校生とはいえませんでした。

 小学生で覚えたタバコは中学の時には常習となり、仕舞いには、親も「隠れて吸わずに灰皿のあるここで吸え」と公認したほどです。
タバコ代に困ることもありませんでした。下級生が貢いでくれるからです。
お金のない彼らがどうやってそれを調達してくるのか、もちろん承知の上のことでした。
「俺はいらないって言うんだぜ。けどヨ~、どうしても貰ってくれって言うからサ」
 目障りなヤツは体育館裏に呼び出せば、大抵はおとなしくなるか、なびくかのどちらかです。
 類は友を呼ぶ。他校のアタマと呼ばれるヤツらは、ほとんど友達でした。
 学校から帰ると、ガソリンがある限り、先輩から譲り受けたCB750を駆って出かけます。
ご帰還は決まって真夜中。
「俺は族じゃないぜ! ただ、仲間と走りたいだけサ」(それを世の中では、族と言うんです)
 そんなヒロシも、バイク代の借金とガス代のために、アルバイトに精を出すこともありました。
すし屋の出前持ち、ガソリンスタンドの店員、ストリップ小屋の幕引きまで・・・
 他校のワルとケンカし、停学をくらうこともありました。
「俺はヨ、学校が好きだから行きたかったサ。だけど、向こうが来なくていいって言うからヨ」
そのお陰で3年の時は、あと1日でも休めば、出席日数が不足し卒業できないと言われ、40度の熱があるときも学校に行く羽目になりました。

 ヒロシはグレていたのでしょうか?
それはちょっと違うような気がします。
若気の至りといいますか、少しやんちゃをしてみたかっただけなのだと思います。
お山の大将になって喜んでいる山猿です。

(画像と本文は関係がありません、念のため。あるのかな?)

化 粧

2007年11月13日 | チエの玉手箱
毎朝、鏡に向かい、化粧をする
ファンデーションをのばし、眉を描き、アイシャドウをぼかす
アイラインは滅多に入れない
もう そんなバッチリメイクは お化けにしか見えないから・・・
でも、忘れずに入れるのは チーク
頬がピンクだと 明るく見えるらしいから
鏡の中で 変わってゆく わたし・・・・・
戦闘モードになってゆく
心にも 鎧をまとう

わたしは 朝のこの儀式で 公私を分けているようです






第121話 赤 飯

2007年11月10日 | チエちゃん
 お母さんは、お祝いだから御赤飯を炊く慣わしになっているというのです。
チエちゃんはそんなこと、絶対にして欲しくはありませんでした。
だって、そんなことをしたら、お父さんにもおじいちゃんにもバレてしまうからです。

 お母さんは、小学5年生になったばかりのチエちゃんを呼び、話を始めました。

「女の子は、小学校5・6年生になると、生理が始まる。
それは、将来赤ちゃんを産むための準備だから、女は誰でもそうなる。
生理が来たら、ひとつ大人になるということ。
チエの生理用下着やナプキンは、準備してあるから、生理が来たらお母さんに、すぐ言いなさい。」

チエちゃんはお友達がその話をしているのを聞いたことがあったので、特別に驚くことはなかったけれど、何しろ経験がありませんから、どうなるのかな?という不安もありましたが、今ひとつピンと来るものはありませんでした。


 そして、その日は突然にやって来ました。
学校から帰って、お便所に行ったとき、下着に茶色の染みがついていることに気が付いたのです。早速、お母さんに話し、生理用ショーツに履き替え、手当をしたのです。
何か変な気分・・・
ところが、それっきり・・・
あれは、何かの間違いじゃなかったのかと思い始めた3週間後、それは本格的にやって来たのでした。

初めの頃は周期が定まるまで、不順な日々が続きました。
ベタベタして何となく気持ち悪いのに、シャワーのなかったチエちゃん家ではお風呂に入れなかったし、学校で男子の目に触れないようにナプキンを取り出すのも一苦労で、何もいいことはありませんでした。
そんなことに毎月1週間も縛られるのです。

 それなのに、あれほど止めてと言ったのに、お母さんはとうとう御赤飯を炊いたのです。
何が、めでたいの?
ちっとも、いいことなんかじゃない。
どうして、女の子だけ、こんな目に遭わなければならないの?
大人になんか、ならなくたっていい・・・