実家で掃除をしていたら、こんなものを見つけてしまいました。
チエちゃんが小学校1年から中学3年までの9年間使っていた絵の具箱です。
2階の天井近くの棚の上でほこりまみれになってました。
50年以上前のものなので、なんと木製なんです。
開けてみると、絵の具と絵筆が当時のまま出てきました。
絵の具の中身はカチンカチンでしたけどね。
あれは中学2年の夏休みのことです。
題材は何でもよいから、絵を1枚描いてくる宿題が出ていました。
絵が苦手だったチエちゃんは1日1日先送りにしていたのですが、とうとう明日は夏休み最後の日という時になって、ようやく重い腰を上げました。
何を描くかはもう数日前から決めてありました。
家の門道に咲いているひまわり。そこは、柿の木が日陰を作っているので写生をするのもバッチリです。
まずは、鉛筆で下書き。
写生は対象となるものをよおく観察して描けって、先生が言ってたな。
葉っぱはどんなふうに付いてるのかな? 花弁は?
まずまずの下書きが完成しました。
それから、いよいよ絵筆を使い色づけです。
たしか、葉っぱの色は全部同じみどりじゃないとも言ってたっけ。
最初は薄い色から。影になってる部分と光が当たってる部分をよく見て。
出来た!
我ながら、よく描けてる。
特に、2輪描いた左側のひまわりの種の部分。うまく描けてるじゃん。
でも、・・・・ 右側のひまわりが何度手直ししても、どうしてもうまく描けない。
ああ、めんどくさい! もういいや、これで完成。
そして、新学期が始まり、廊下に張り出されたチエちゃんのひまわりの絵にはなんと金紙が張られていたのです。
やった! 金紙もらうなんて初めてだ!
ちょうどそこへやって来た
ナオちゃんにも「うまく描けてるね。」と誉められ、有頂天になっていると、
「でも、チエちゃん、右側のひまわり、どうして左側と同じに描かなかったの?」
(うは~、やっぱり絵がうまいナオちゃんの眼は誤魔化せないや)
「あたしだって、できることなら描きたかったよ。でも、どうやってもダメだったんだよ」