高校時代の休み時間と言えば音楽の話で盛上がっていたように思う。
その頃のミュージックシーンは、ロックが細分化され、へビィメタルやパンクなどの言葉が世の中を走り始めていた。
それに感化された学友連中は、ミュージシャンをマネてカーリースタイルにパーマを当て恰好つけるのだが、先生に発見されると坊主にされていた。
私もロックに目覚めるものの、スタートラインはビートルズだった。
兄貴と一緒に買い集めたビートルズのアルバムは、中学卒業までには全部揃えていた。
それを目当てに、友人達はこぞって私にテープのダビングを頼むのだった。
学校ではビートルズ通で通っていた私は、中2の時に突然に射殺されたジョン・レノン
の訃報を聞いたとき、次の日の学校を休んだ。
そんな中学時代を卒業し高校に入学、多分ビートルズから離れつつあった頃だろう・・・
同じ水泳部に所属する他の女子高の子と付き合いが始まった。
後にちょこんと尻尾のように髪を伸ばしたその子は、進学校に在籍し頭もよく都会慣れした雰囲気を持っていた。
部活の帰りに待ち合わせし、暗い夜道を家まで送るのが習慣になっていた。
どんな話をしていたのか、今となっては覚えていない。
私は、彼女に誕生日のプレゼントをした。
当時、街で流行り始めたファンシーショップで可愛らしい陶器の置物などを買った覚えがある。
あまりにも女の子趣味に傾倒したそのセンスは、今思ってもこそばゆい。
そして、自分の誕生日・・・
彼女からプレゼントを頂いた。
それは、ビリージョエルのアルバムだった。
輸入版だったそのアルバムは、ジャケットをラッピングされ密閉されており、当時流行であったラッピングを外し間髪入れずに中の匂いを嗅ぐ・・・
すると、アメリカの空気を嗅ぐことができる、なんていうのが定番になっていた。
しかし、自分がプレゼントしたファンシーグッズと比べたら如何なものだろうと、比べてしまった。
自分は幼かった。
少なくとも彼女よりは・・・
彼に洋楽のアルバムをプレゼントするなんて・・・
一枚上手だ。
そう思うと、顔から火が出る思いだった。
次の年には、彼女とは自然消滅していた。
そして久しぶりに街で見つけた彼女は、フランス車の助手席に納まっていた。
やはり、自分の器では満足させられなかった相手なんだろう。
偶に街で耳にする、ビリージョエルを聞くと、胸がキュンと痛む・・・
ビリー・ジョエル 素顔のままで Billy Joel Just the Way You Are