チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第60話 おじいちゃん(その3)

2007年04月17日 | チエちゃん
 4月生まれのおじいちゃんは誕生日になると、

 今日はじいちゃんの誕生日だがら、おごってやっぺ!

そう言って、チエちゃんとたかひろ君にお菓子や三ツ矢サイダーをたくさん買ってくれたものです。
 普通、誕生日と言えばプレゼントをもらえるものですが、おじいちゃんの場合は逆でした。
お刺身(あの頃、まぐろのお刺身はめったに食べられないごちそうでした)を買ってきたり、得意のお料理を作ったりして、家族にご馳走してくれたのです。

  面倒見がよく、気の良いおじいちゃんでしたが、家族にも中の人達にも1つだけ嫌われていることがありました。

 それは・・・、おじいちゃんは酒癖が悪かったのです。

 普段は小心者でお人好しの分、お酒が入ると気が大きくなり、怖いもの知らずになってしまうのでした。
2~3合の晩酌ぐらいなら、昔話をして陽気に振舞っているのですが、その量を超えてしまうと、急に怒り出したり絡んだりするのです。それで、チエちゃんも口答えしたとか、行儀が悪いとか、何度怒られたものかわかりません。

 の新年会や寄合いの後のお酒の席では、幾度となく絡んで中の人に迷惑を掛けたことか。そのくせ、酔いが醒めた時にはその時のことを一切覚えていないというのですから、あきれたものです。
 こんなおじいちゃんを見ていたせいか、お父さんはあまりお酒を飲みませんでした。

 おじいちゃんが亡くなってから、お母さんがチエちゃんに言ったことがあります。
 
 お酒を飲むと、じいちゃんはよぐおまえらをおごってだなあ
 かわいそうだったげど、助け舟をだそうもんなら、
    よげいにおごっから、なあんにもでぎねがったんだ 

 お酒を飲まなければ、最高のおじいちゃんだったのに・・・・・